使徒の働き(60)―テサロニケでの伝道―

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第二次伝道旅行について学ぶ。

「テサロニケでの伝道」
使徒17:1~10a

 

1.はじめに
(1)パウロの旅程
 ①トロアスで、マケドニア人の幻を見た。
 ②マケドニア州でのパウロの最初の訪問地は、ピリピであった。
 ③次に、テサロニケ、ベレアへと進む。
 ④写真4点
  *アムピポリス・ストリモン川
  *テサロニケ・アゴラ①
  *テサロニケ・アゴラ②
  *テサロニケ・現在のイグナチオ街道

 

(2)アウトライン
 ①ピリピからテサロニケへ(1節)
 ②会堂での伝道(2~4節)
 ③ユダヤ人たちの反発(5~10節a)

 

結論:テサロニケでの伝道から学ぶ教訓
(1)力と聖霊と強い確信
(2)伝道者の手本
(3)真の神への立ち帰り

 

テサロニケでの伝道について学ぶ。

 

Ⅰ.ピリピからテサロニケへ(1節)
 1.1節
Act 17:1 彼らはアムピポリスとアポロニヤを通って、テサロニケへ行った。そこには、ユダヤ人の会堂があった。
(1)一行は、すぐに次の町を目指した。
 ①体が回復してから活動を再開するのが普通であるが、パウロはそうではない。
 ②「彼ら」とは、パウロ、シラスの2人であろう。
 ③テモテは、後からパウロとシラスに合流した可能性が高い。
  *使17:14にテモテの名が出て来る。
Act 17:14 そこで兄弟たちは、ただちにパウロを送り出して海べまで行かせたが、シラスとテモテはベレヤに踏みとどまった。
 ④ルカは、ピリピに留まった。

 

(2)アムピポリス
 ①ピリピから西に約50キロ、イグナチオ街道を移動する。
 ②アムピポリスは大きな町であるが、一行は1泊しただけで、先に進む。
 ③この町には、ユダヤ教の会堂はなかった。

 

(3)アポロニア
 ①アムピポリスから西南に約40キロ、イグナチオ街道を移動する。
 ②ここでも、一行は一泊しただけであろう。
 ③この町にも、ユダヤ教の会堂はなかった。
 ④ピリピでは異邦人伝道しか行えなかったので、ユダヤ人がいる町を目指した。

 

(4)テサロニケ
 ①アポロニアから西に約55キロ、イグナチオ街道を移動する。
 ②マケドニア州の首都である。
 ③交通の要衝の町
  *イグナチオ街道の町であり、主要な港町である(テルマイコス湾)。
  *パウロの時代、経済的にも、軍事的にも重要な町であった。
 ④当時の人口は、約20万人と推定される。
  *大半が土着のギリシア人。
  *多くのローマ人もいた。
  *アジア人やユダヤ人もいた。
 ⑤テサロニケは、タルソやアテネと同じように「自由都市」であった。
  *自治権が与えられている。選挙で選ばれた代表による議会政治。
  *自分の貨幣を鋳造することができた。
  *ローマ兵の部隊が駐留していなかった。
 ⑥テサロニケのユダヤ人の会堂は、大きな力を持っていた。
  *「神を敬う(神を恐れる)異邦人」も多くいた。
 ⑦偶像礼拝がもたらす道徳的堕落が蔓延していた。
  *ユダヤ教の自制心のある教えに感動する異邦人もいた。

 

Ⅱ.会堂での伝道(2~4節)
 1.2節
Act 17:2 パウロはいつもしているように、会堂に入って行って、三つの安息日にわたり、聖書に基づいて彼らと論じた。
(1)パウロはすぐに会堂に行った。
 ①これは、彼の伝道戦略であった。先ずユダヤ人に、次に異邦人に。
 ②使13:14~15
Act 13:14 しかし彼らは、ペルガから進んでピシデヤのアンテオケに行き、安息日に会堂に入って席に着いた。
Act 13:15
律法と預言者の朗読があって後、会堂の管理者たちが、彼らのところに人をやってこう言わせた。「兄弟たち。あなたがたのうちどなたか、この人たちのために奨励のことばがあったら、どうぞお話しください。」
 ③テサロニケでも、パウロは巡回ラビとして語ることを許された。

 

(2)「三つの安息日にわたり、聖書に基づいて彼らと論じた」
 ①パウロは、3週間にわたりユダヤ人伝道を行った。
 ②安息日だけでなく、他の日にも、ユダヤ人伝道を行ったことであろう。
 ③テサロニケでの滞在期間は短かったが、3週間以上は続いた。
  *3週目以降は、異邦人伝道を行ったのであろう。
 ④パウロは、聖書を基に論じた。
  *ヘブル語聖書の中のメシア預言を解説し、ユダヤ人たちと対話した。
  *パウロの伝道の鍵は、旧約聖書の解説によってイエスがメシアであることを
   証明することである。

 

 2.3節
Act 17:3
そして、キリストは苦しみを受け、死者の中からよみがえらなければならないことを説明し、また論証して、「私があなたがたに伝えているこのイエスこそ、キリストなのです」と言った。
(1)パウロが説明し、論証した内容
 ①キリストは苦しみを受け、
 ②死者の中からよみがえらなければならない。
 ③私が伝えているイエスこそ、キリストである。

 

 3.4節
Act 17:4 彼らのうちの幾人かはよくわかって、パウロとシラスに従った。またほかに、神を敬うギリシヤ人が大ぜいおり、貴婦人たちも少なくなかった。
(1)パウロのメッセージを信じたのは、少数であった。
 ①ユダヤ人のうちの幾人かは信じ、パウロとシラスに従った。
 ②その中には、ヤソン、アリスタルコ、セクンドも含まれていた。
 ③「テサロニケ人アリスタルコとセクンド」(使20:4)

 

(2)異邦人で信じる人が大ぜい起された。
 ①神を敬うギリシア人が大ぜい信じた。
 ②貴族階級の婦人たちも、相当数、信じた。
  *彼女たちは、ユダヤ教に関心を抱いていた人たちである。

 

(3)テサロニケで救われる異邦人の大半が、偶像礼拝の背景を持っていた。

 

Ⅲ.ユダヤ人たちの反発(5~10節a)
 1.5節
Act 17:5
ところが、ねたみにかられたユダヤ人は、町のならず者をかり集め、暴動を起こして町を騒がせ、またヤソンの家を襲い、ふたりを人々の前に引き出そうとして捜した。
(1)神を恐れる異邦人が救われ始めると、ユダヤ人からの迫害が起こる。
 ①第一次伝道旅行で迫害が起こった町々
  *ピシデヤのアンテオケ、イコニオム、ルステラ

 

(2)暴動を煽動するのはユダヤ人であるが、実行するのは町のならず者である。
 ①「広場にたむろしているならず者」(新共同訳)
 ②彼らは、騒ぎが起こるのを楽しみにしているならず者たちである。
 ③彼らは、ユダヤ人が煽動すれば、容易に馬鹿騒ぎを始める者たちである。

 

(3)暴徒たちは、ヤソンの家を襲った。
 ①ヤソンは、新しく信者になったユダヤ人である。
 ②ヤソンは、パウロとシラスを家に迎え、伝道の拠点を提供していた。
 ③暴徒たちは、家の扉を破り、中に入ってパウロとシラスを捕らようとした。
  *町の法廷に引きずり出すためであった。

 

 2.6~7節
Act 17:6
しかし、見つからないので、ヤソンと兄弟たちの幾人かを、町の役人たちのところへひっぱって行き、大声でこう言った。「世界中を騒がせて来た者たちが、ここにも入り込んでいます。
Act 17:7 それをヤソンが家に迎え入れたのです。彼らはみな、イエスという別の王がいると言って、カイザルの詔勅にそむく行いをしているのです。」
(1)しかし、パウロとシラスを見つけることはできなかった。
 ①そこで、ヤソンと信者数名を、町の役人たちのところへ引っ張って行った。
 ②つまり、法廷に引き出したということである。

 

(2)長官と役人の違い
 ①ピリピでは、長官が登場した。
  *ギリシア語で「ストラテイゴス」である。
 ②テサロニケでは、役人が登場している。
  *ギリシア語で「ポリターケイス」である。
  *他の文献にこの単語が出て来ないので、ルカの信頼性が疑問視された。
  *その後、この単語が碑文の中で17個見つかった。
   ・「ポリターケイス」は、自由都市の役人のタイトルである。
  *ルカの記録の信憑性が再確認された。
  *テサロニケでは、役人たち選挙で選ばれ、市議会を構成していた。

 

(3)暴徒たちの訴えの内容
 ①「世界中を騒がせて来た者たちが、ここにも入り込んでいます」
  *ピリピでは、ローマ市民に対する違法な伝道が訴えの内容であった。
  *テサロニケでは、それ以上に深刻な罪、反逆罪が訴えの内容である。
   ・「世界を騒がせて来た」というのは、誇張である。
   ・しかし、霊的視点から見れば、それは当たっている。
  *クラウデオ帝によるローマからのユダヤ人追放は、数ヶ月前の出来事。
  *それゆえ、反逆罪で訴えられるのは、非常に危険なことであった。
 ②「それをヤソンが家に迎え入れたのです」
 ③「彼らはみな、イエスという別の王がいると言って、カイザルの詔勅に
   そむく行いをしているのです」
  *暴動の背後に、ユダヤ人がいるのが分かる。
  *ユダヤ人が暴徒たちに入れ知恵をしている。
  *確かにパウロは、イエスが王であるというメッセージをしていた。
   ・メシアが王として再臨される。
   ・メシア的王国が設立される。

 

 3.8~9節
Act 17:8 こうして、それを聞いた群衆と町の役人たちとを不安に陥れた。
Act 17:9 彼らは、ヤソンとそのほかの者たちから保証金を取ったうえで釈放した。
(1)不安の原因
 ①この訴えを退けるための証拠がない。
 ②パウロとシラスが見つからない。

 

(2)役人たちは、冷静に対応した。
 ①ピリピの長官たちとは異なる。
 ②彼らは、ヤソンとそのほかの者たちから保証金を取ったうえで釈放した。
 ③パウロとシラスがすぐにテサロニケを去り、二度と戻らないことを約束させた。
 ④騒ぎがこのまま収まれ、保証金は返還される。
 ⑤もし騒ぎが起これば、保証金は没収される。

 

 4.10節a
Act 17:10a 兄弟たちは、すぐさま、夜のうちにパウロとシラスをベレヤへ送り出した。
(1)パウロとシラスは、どこかに匿われていたのであろう。
 ①その夜、ふたりは町を出て、ベレアに向った。
 ②1テサ2:17
1Th 2:17
兄弟たちよ。私たちは、しばらくの間あなたがたから引き離されたので──といっても、顔を見ないだけで、心においてではありませんが、──なおさらのこと、あなたがたの顔を見たいと切に願っていました。

 

(2)教会に対する迫害は、ますます強くなった。
 ①しかし、テサロニケのクリスチャンたちの信仰は成長した。

 

結論:テサロニケでの伝道の評価
(1)力と聖霊と強い確信
 ①1テサ1:5a
1Th 1:5a なぜなら、私たちの福音があなたがたに伝えられたのは、ことばだけによったのではなく、力と聖霊と強い確信とによったからです。
 ②神の超自然的な働きによって、彼らは救われた。
 ③これは、彼らの救いが神の計画によるものであることを証明している。
 ④パウロは、自分の体験と重ね合わせている。

 

(2)伝道者の手本
 ①1テサ1:5b
1Th 1:5b また、私たちがあなたがたのところで、あなたがたのために、どのようにふるまったかは、あなたがたが知っています。
 ②パウロの伝道を支えたのは、ピリピ教会であった。
  *ピリ4:15~16
Php 4:15
ピリピの人たち。あなたがたも知っているとおり、私が福音を宣べ伝え始めたころ、マケドニヤを離れて行ったときには、私の働きのために、物をやり取りしてくれた教会は、あなたがたのほかには一つもありませんでした。
Php 4:16 テサロニケにいたときでさえ、あなたがたは一度ならず二度までも物を送って、私の乏しさを補ってくれました。
 ③パウロは、自給伝道も行った。
  *1テサ2:9
1Th 2:9
兄弟たち。あなたがたは、私たちの労苦と苦闘を覚えているでしょう。私たちはあなたがたのだれにも負担をかけまいとして、昼も夜も働きながら、神の福音をあなたがたに宣べ伝えました。
  *2テサ3:7~8
2Th 3:7 どのように私たちを見ならうべきかは、あなたがた自身が知っているのです。あなたがたのところで、私たちは締まりのないことはしなかったし、
2Th 3:8 人のパンをただで食べることもしませんでした。かえって、あなたがたのだれにも負担をかけまいとして、昼も夜も労苦しながら働き続けました。

 

(3)真の神への立ち帰り
 ①1テサ1:9~10
1Th 1:9
私たちがどのようにあなたがたに受け入れられたか、また、あなたがたがどのように偶像から神に立ち返って、生けるまことの神に仕えるようになり、
1Th 1:10
また、神が死者の中からよみがえらせなさった御子、すなわち、やがて来る御怒りから私たちを救い出してくださるイエスが天から来られるのを待ち望むようになったか、それらのことは他の人々が言い広めているのです。
 ②「やがて来る御怒り」とは、大患難時代のことである(黙6~19章)。
 ③この希望があったので、彼らは患難の中でも忍耐と確信を失うことがなかった。

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