私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
使徒の働き(59)―ピリピでの伝道(3)―
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第二次伝道旅行について学ぶ。
「ピリピでの伝道(3)」
使徒16:25~40
1.はじめに
(1)パウロは、トロアスでマケドニア人の幻を見た。
①一行は、ただちにトロアスから船に乗ってマケドニアに向った。
②パウロの旅程
*トロアス→サモトラケ→ネアポリス→ピリピ
③マケドニア州でのパウロの訪問地
*ピリピ、テサロニケ、ベレア
(2)ルカは、ピリピ伝道に最多のスペースを割いている。
①第二次と第三次伝道旅行で訪問したどの町の情報よりも多い。
②ピリピは、植民都市であった。
*その町の住民は、ローマの市民権を持っていた。
(3)これまでの流れ
①ルデヤとその家族が福音を信じ、洗礼を受けた。
②占いの霊につかれた若い女奴隷が解放された。
③使16:24
Act 16:24 この命令を受けた看守は、ふたりを奥の牢に入れ、足に足かせを掛けた。
④写真 パウロの牢獄①と②
(4)アウトライン
①大地震(25~27節)
②看守の救い(28~34節)
③牢からの釈放(35~40節)
結論:伝道の底流
ピリピでの伝道(3)について学ぶ。
Ⅰ.大地震(25~27節)
1.25節
Act 16:25 真夜中ごろ、パウロとシラスが神に祈りつつ賛美の歌を歌っていると、ほかの囚人たちも聞き入っていた。
(1)「真夜中ごろ」
①パウロとシラスは、真夜中ごろに起きていた。
②背中から血が流れ、体全体に激痛が走っていた。
③足かせが体の自由を奪っていた。
(2)「神に祈りつつ賛美の歌を歌っていると、」
①奥の牢の暗闇の中から、パウロとシラスの声が聞こえてきた。
②祈りの声とヘブル語の歌の朗詠
③恐らく、痛みを忘れるための祈りと朗詠であろう。
④彼らの霊は打ちひしがれていなかったのである。
⑤彼らの信仰は、状況に支配されていなかった。
⑥この祈りと賛美を聞いていたのは、神だけではなかった。
(3)「ほかの囚人たちも聞き入っていた」
①「エパクロアオマイ」という動詞。朗読や音楽を、喜びながら聞くという意味。
②ほかの囚人たちは、祈りと賛美の意味は分からなかったが、聞き入っていた。
③彼らは、聞いたことのないヘブル語の祈りと賛美を楽しんでいた。
2.26節
Act 16:26 ところが突然、大地震が起こって、獄舎の土台が揺れ動き、たちまちとびらが全部あいて、みなの鎖が解けてしまった。
(1)パウロとシラスの祈りと賛美の最中に、突然、地震が起こった。
①古代、この地方での地震は珍しいことではなかった。
②これは、タイミングの奇跡である。
③ペテロは獄舎からの解放を2度経験している。
*使5:18~20、12:3~11
(2)これは、大地震であった。
①獄舎の土台が揺れ動いた。
②とびら全部があいた。
③囚人たち全員の鎖が解けてしまった。
④しかし、建物が破壊されることはなかった。
3.27節
Act 16:27 目をさました看守は、見ると、牢のとびらがあいているので、囚人たちが逃げてしまったものと思い、剣を抜いて自殺しようとした。
(1)地震で目をさました看守は、仰天した。
①牢のとびらがあいているのを見た。
②彼は、囚人たちが逃げてしまったと思い込んだ。
(2)看守は、剣を抜いて自殺しようとした。
①囚人を逃がした場合は、その囚人が受けるべき刑を受けるのが決まりであった。
②いかなる状況であっても、弁解は許されない。
③看守は、死刑を覚悟した。
④公開処刑の辱めを避けるために、短剣を胸に当てて自殺しようとした。
Ⅱ.看守の救い(28~34節)
1.28節
Act 16:28 そこでパウロは大声で、「自害してはいけない。私たちはみなここにいる」と叫んだ。
(1)パウロは、暗闇の中で看守の影を見て、大声で叫んだ。
①自害してはいけない。
②私たちはみなここにいる。
(2)他の囚人たちは、なぜ逃げなかったのか。
①ルカは説明していない。
②パウロとシラスが伝える神の力を見て、畏怖の念が生まれたのであろう。
③この中から、ピリピ教会のメンバーが何名か誕生したと思われる。
2.29~30節
Act 16:29 看守はあかりを取り、駆け込んで来て、パウロとシラスとの前に震えながらひれ伏した。
Act 16:30 そして、ふたりを外に連れ出して「先生がた。救われるためには、何をしなければなりませんか」と言った。
(1)訳文の比較(29節)
「看守はあかりを取り、駆け込んで来て、」(新改訳)
「看守は明かりを求めてから、牢の中に駆け込み、」(新改訳2017)
「看守は、明かりを持って来させて牢の中に飛び込み、」(新共同訳)
「獄吏は、あかりを手に入れた上、獄に駆け込んできて、」(口語訳)
「獄守(ひとやもり)、燈火(ともしび)を求め、駈け入りて」(文語訳)
①この看守は、監獄の長である。
②燈火を持つ部下を奥の牢に入らせた。
③おののきながら、パウロとシラスの前にひれ伏した。
*これは、礼拝の姿勢である。
(2)看守は、ふたりを奥の牢から外に連れ出すと、最も重要な質問をした。
①「先生がた。救われるためには、何をしなければなりませんか」
②「先生がた」は、「キュリオス」、英語の「Sirs」である。
③「救われる」とは、死刑を免れるという意味ではない。
*死刑になるようなことは、まだ起こっていない。
④彼は、どのようにしたら神を知ることができるとかと問うている。
*彼は、占いの霊につかれた女奴隷が解放されたことを知っていた。
*彼は、パウロとシラスが神の使者であることを確信した。
*彼は、罪を持ったままで神の前に立ってはならないことを感じた。
3.31~32節
Act 16:31 ふたりは、「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます」と言った。
Act 16:32 そして、彼とその家の者全部に主のことばを語った。
(1)「主イエスを信じなさい」
①これは、福音のすべてではない。
②その夜、パウロとシラスは、看守とその家の者全部に福音の全貌を語った。
*看守が、家の者全員を呼び寄せたのであろう。
③福音の内容が1コリ15:1~8に記されている。
*キリストは私たちの罪のために死なれた。
*死んで墓に葬られた。
*三日目に甦られた。
(2)「そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます」
①あなたは、主イエスを信じる信仰によって救われます。
②あなたの家族も、主イエスを信じる信仰によって救われます。
③ある人の信仰によって、別の人が救われるという教えはない。
3.33~34節
Act 16:33 看守は、その夜、時を移さず、ふたりを引き取り、その打ち傷を洗った。そして、そのあとですぐ、彼とその家の者全部がバプテスマを受けた。
Act 16:34 それから、ふたりをその家に案内して、食事のもてなしをし、全家族そろって神を信じたことを心から喜んだ。
(1)看守の応答
①ふたりを引き取り、その打ち傷を洗った。
*ふたりが逃げないことを知っていた。
②彼と家の者全部がバプテスマを受けた。
*獄舎の中庭にある井戸の水を使ったと思われる。
(2)看守とその家の者たちは、全員、兄弟姉妹となった。
①その後、パウロとシラスを家に招いた。
②傷の治療のため
③食事を提供するため
④この食事は、救われたことを記念する祝会となった。
Ⅲ.牢からの釈放(35~40節)
1.35~36節
Act 16:35 夜が明けると、長官たちは警吏たちを送って、「あの人たちを釈放せよ」と言わせた。
Act 16:36
そこで看守は、この命令をパウロに伝えて、「長官たちが、あなたがたを釈放するようにと、使いをよこしました。どうぞ、ここを出て、ご無事に行ってください」と言った。
そこで看守は、この命令をパウロに伝えて、「長官たちが、あなたがたを釈放するようにと、使いをよこしました。どうぞ、ここを出て、ご無事に行ってください」と言った。
(1)翌朝、長官たちから派遣された警吏たちがやって来た。
①騒ぎを起した者を懲らしめるというのが、長官たちの意図だったのだろう。
②彼らが派遣したのは、パウロとシラスをむち打った警吏たちである。
③警吏たちは、「あの人たちを釈放せよ」という命令を看守に伝えた。
④それを聞いた看守は、大喜びでパウロに、このグッドニュースを伝えた。
2.37節
Act 16:37
ところが、パウロは、警吏たちにこう言った。「彼らは、ローマ人である私たちを、取り調べもせずに公衆の前でむち打ち、牢に入れてしまいました。それなのに今になって、ひそかに私たちを送り出そうとするのですか。とんでもない。彼ら自身で出向いて来て、私たちを連れ出すべきです。」
ところが、パウロは、警吏たちにこう言った。「彼らは、ローマ人である私たちを、取り調べもせずに公衆の前でむち打ち、牢に入れてしまいました。それなのに今になって、ひそかに私たちを送り出そうとするのですか。とんでもない。彼ら自身で出向いて来て、私たちを連れ出すべきです。」
(1)パウロは、ローマの市民権に基づく権利を主張した。
①長官たちは、大きな間違いを犯した。
②ローマ市民を裁判にかけずに公衆の前で辱め、投獄した。
③そこでパウロは、長官たちに2つのことを要求した。
*彼ら自身が出向いてきて、公に謝罪すること
*彼ら自身が、自分たちを牢から連れ出すこと
(2)これは、個人的な復讐心から出たことではない。
①ピリピ教会がローマ市民によって立てられたことを印象づけるためである。
3.38~39節
Act 16:38 警吏たちは、このことばを長官たちに報告した。すると長官たちは、ふたりがローマ人であると聞いて恐れ、
Act 16:39 自分で出向いて来て、わびを言い、ふたりを外に出して、町から立ち去ってくれるように頼んだ。
(1)長官たちは、恐れた。
①ふたりの言う通りにした。
②ローマ市民から告訴されたなら、自分たちが罰せられる。
(2)そして、ふたりに町から立ち去ってくれるように頼んだ。
①民衆は、依然としてふたりに敵意を抱いている。
4.40節
Act 16:40 牢を出たふたりは、ルデヤの家に行った。そして兄弟たちに会い、彼らを励ましてから出て行った。
(1)パウロとシラスは、町を去るためにルデヤの家に行った。
①そこには、生まれたばかりのピリピ教会が集っていた。
②ふたりは、若い信者の集まりを励ましてから、町を去った。
(2)使16:40で、「私たち」から「彼ら」に変わる。
①ルカは、ピリピに留まったのであろう。
②使20:5~6で、「私たち」に戻る。
*パウロの一行がピリピを通過する箇所である。
結論:伝道の底流
1.福音は、すべての人に救いをもたらす神の力である。
(1)ルカは、ピリピで信者となった3人の人たちを描いている。
①ルデヤ(上流階級の裕福な婦人)
②女奴隷(下層階級の貧しい女)
③看守(中流階級の代表)
2.福音を聞く人の心を開くのは、主である。
(1)使徒の働きは、生けるキリストの働きの記録である。
3.福音を受け入れた人は、天国の市民権を持つようになる。
(1)ピリピの住民たちの誇りは、ローマの市民権である。
(2)クリスチャンの誇りは、天国の市民権である。
4.福音を伝える人は、光の国と闇の国の戦いに巻き込まれている。
(1)神は、神の国を完成させようとして働いておられる。
(2)悪魔も、悪魔の国を造ろうとして働いている。
(3)光の国と闇の国の衝突は、聖書全体を貫く一大テーマである。
5.福音を伝える人は、いかなる状況にあっても喜ぶことができる。
(1)ピリ3:1
Php 3:1
最後に、私の兄弟たち。主にあって喜びなさい。前と同じことを書きますが、これは、私には煩わしいことではなく、あなたがたの安全のためにもなることです。
最後に、私の兄弟たち。主にあって喜びなさい。前と同じことを書きますが、これは、私には煩わしいことではなく、あなたがたの安全のためにもなることです。
(2)パウロは、「主にあって喜びなさい」という命令を、自ら実行した。
(3)獄中での祈りと賛美
①これは、看守とその家族、さらに他の囚人たちを主に導く力となった。
②苦しい時に喜ぶことができるのは、クリスチャンの特徴である。
(4)使16:34
Act 16:34 それから、ふたりをその家に案内して、食事のもてなしをし、全家族そろって神を信じたことを心から喜んだ。
(5)ピリピ人への手紙は、喜びの書簡である。
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