私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
Q206 北の10部族は失われていますか。
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イスラエルにはもともと12の部族があり、そのうち旧北王国の10部族が、アッシリア捕囚の際に引かれていきました。
この10部族は、本当に行方がわからなくなったり、ユダヤ人としてのアイデンティティを失ってしまったのでしょうか。
聖書にはなんと書いてあるか、見ていきます。
206 北の10部族は失われていますか。
Q:北の10部族は失われているという教えを聞きました。ということは、ユダヤ人と呼ばれている人たちの中には北の10部族は含まれていないということでしょうか。頭が混乱しています。教えてください。
A:結論から申し上げますと、「失われた北の10部族」という説は神話です。この説が神話だという理由を、いつものように3つ申しあげます。
1番目に、歴史的事実を確認してみましょう。
アッシリヤ捕囚の際に、北の10部族はアッシリヤに引かれて行きました。彼らは、帝国内の町々に定住しました。アッシリヤはバビロンによって滅ぼされますが、10部族の人たちはそのままバビロンの支配下に置かれました。この時、南の2部族(ユダ族とベニヤミン族)もバビロンに引かれて行きましたので、12部族全部がバビロン帝国の支配下に置かれることになりました。次に、メド・ペルシヤがバビロンを征服すると、12部族全部がこの帝国の支配下に置かれるようになりました。ペルシヤがイスラエル人の祖国帰還を許可すると、その地に留まる人たちも出ましたが、12部族の中の多くの人たちがカナンの地に戻って行きました。
2番目に、聖書的証拠を確認してみましょう。
ルカ2章には、女預言者アンナという人が出て来ますが、彼女は「アセル族のパヌエルの娘」でした。少なくとも、アセル族のアンナは失われていなかったことが分かります。さらに、ヤコブ1章1節にはこうあります。「神と主イエス・キリストのしもべヤコブが、国外に散っている十二の部族へあいさつを送ります」。ヤコブは、離散の地のどこに12部族の末裔たちがいるかを知っていました。つまり、12部族は失われていなかったということです。
3番目に、パウロの証言を確認してみましょう。
パウロは、さまざまな呼び名を自分に当てはめています。ヘブル人、イスラエル人、そして、ピリ3:5では「ベニヤミンの分かれの者」。さらに、ユダヤ人という呼び名も用いています。以上のことから分かるのは、パウロの時代には部族名がさほど重視されなくなっていたということ、また、ユダヤ人という呼称が12部族全てを指すものとなっていたということです。ちなみに、紀元70年のエルサレム崩壊の際に系図も破壊されましたので、今のユダヤ人たちは、自分がどの部族に属しているか分かりません。
参考になる聖句
「私は八日目の割礼を受け、イスラエル民族に属し、ベニヤミンの分かれの者です。きっすいのヘブル人で、律法についてはパリサイ人、」(ピリ3:5)
「失われた北の10部族」という説は神話です。
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