私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
続・福音の奥義に生きる(2)―的を外したキリスト教
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キリスト福音教会夏季聖会「時は近づいている」
(2009年8月13~15日)
この聖会では、キリスト教を点や線ではなく、面で捉えることができるようなメッセージを語りたいと願っていました。前半の3つのメッセージでは、啓示信仰がどのような形で発展し、その後あるべき姿から逸脱してきたのかを、時系列順に解説しました。後半の2つのメッセージでは、旧約聖書に記されたイスラエルの祭りを枠組みとして、メシアの働きについて解説しました。所期の目的がどの程度達成されたかは分かりませんが、現代世界に何が起こっているかを理解するための助けにはなると確信しています。
Ⅱ.的を外したキリスト教
1.キリスト教はユダヤ的ルーツを持つ宗教である。
(1)イエスはユダヤ人であり、ユダヤ人のメシアとして来られた。
(2)12弟子たちも全員ユダヤ人であった。
(3)初代教会は、ユダヤ人の共同体であった。
2.救いの教理
(1)イエスは神の子(三位一体の神の第2位格)であり、メシアである。
①神の複数性は、旧約聖書で啓示されている。
(2)イエスの死は、「世の罪を取りのぞく神の小羊」としての死である。
①受難のしもべとしての啓示を最も鮮明に語ったのは、預言者イザヤである。
②イエスをメシアとして信じることは、ユダヤ人として当然のことである。
*律法が与えられた目的を誤解していたユダヤ人は、信じなかった。
*ミシュナ法を守っていたユダヤ人も、信じなかった。
*既得権益を守ろうとしていたユダヤ人も、信じなかった。
3.異邦人教会の発展
(1)エルサレム、ユダヤ、サマリヤ、地の果てまで、という順番がある。
(2)最初の異邦人信者は、ローマの百人隊長のコルネリオ。
(3)最初の異邦人教会は、アンテオケ教会。
①クリスチャンというあだ名が生まれた教会
②異邦人宣教を開始した教会
(4)エルサレム会議(使15章)で、異邦人宣教が公認された。
(5)紀元70年以降、異邦人信者はユダヤ人と距離を置こうとする。
(6)4世紀以降、異邦人中心のキリスト教に変質していく。
①ユダヤ的ルーツの否定
②ユダヤ人であり続けるなら、救いはないとの教え
4.反ユダヤ主義的キリスト教への変質
(1)字義通りの解釈(Literal interpretation)
(2)比ゆ的解釈(Allegorical interpretation)
①言葉の意味を、象徴的、比ゆ的に解釈する。
②その結果、著者の意図とは異なった結論を導き出すことになる。
③アレキサンドリヤの教父であったオリゲネス(185年頃~254年頃)が源流。
④彼は、新プラトン主義とキリスト教を結合して、比ゆ的解釈法を確立した。
⑤これは、字義通りの解釈を否定する「合理主義的解釈」である。
(3)中世的4重の解釈の例:エルサレムとは
①字義的(Literal)エルサレム(都)
②道徳的(Moral)人の心
③比喩的(Allegorical)教会
④類比的(Analogical)天国
(4)アウグスティヌス(354~430)の影響
①ラテン教父とよばれる神学者の一人。
②古代キリスト教世界のラテン語圏において最大の影響力をもつ神学者。
③彼によって、置換神学と呼ばれる神学体系が確立した。
*「イスラエル」という言葉を、「教会」と解釈した。
*メシアを拒否したイスラエルに、教会が取って代わった。
*イスラエルに与えられていた約束は、教会が継承した。
④キリスト教は、比ゆ的解釈と置換神学によって、本来の啓示宗教から逸脱した。
5.中世以降のキリスト教
(1)中世において、キリスト教会は反ユダヤ主義的組織となる。
①ユダヤ人はキリスト殺しの犯人であるとの教え。
②聖地エルサレムを奪回しようとする十字軍の蛮行。
(2)シスマ:1054年の東西分裂(東方正教会とローマ・カトリック教会)
①教理的理由:聖霊は「父から」流出するか、「父と子から」か。
②政治的理由:西ローマ帝国崩壊後、神聖ローマ帝国下に結集した勢力と、東ローマ帝国(ビザンチン帝国)との戦い
(3)その後、東方正教会はさらに分裂(キリストの単性論主張)
①東方諸教会(コプト正教会、エチオピア正教会、シリア正教会)
(4)西方教会は宗教改革で分裂(16世紀)
①プロテスタンティズムの誕生。1515年、ルターの95カ条の論題
②ツウィングリの改革(チューリッヒ)
③カルバンの改革(ジュネーブ)
(5)宗教改革は、救済論(救いの教理)を本来の啓示内容に修正した。
①解釈学の発展が、その背景にある。
②しかし、この宗教改革でさえも、反ユダヤ主義から脱却していない。
③つまり、置換神学の影響から脱却していないということである。
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