使徒の働き(46)―ピシデヤのアンテオケ(2)―

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ピシデヤのアンテオケ(2)について学ぶ。

「ピシデヤのアンテオケ(2)」
使徒13:23~41

1.はじめに
(1)第一次伝道旅行(13:1~14:28)が始まった。
(2)訪問地(地図で確認)

⑤パンフリヤのペルガ(使13:13)
⑥ピシデヤのアンテオケ(使13:14~52)

2.アウトライン
(6)ピシデヤのアンテオケ(使13:14~52)

①会堂訪問(使13:14~15)
②ユダヤ人の歴史の回顧(使13:16~22)
③福音の提示(使13:23~37)
④決心への招き(使13:38~41)
⑤説教に対する反応(使13:42~52)

結論:救われるために理解すべきこととは何か。

ピシデヤのアンテオケでの伝道について学ぶ。
Ⅵ.ピシデヤのアンテオケ(使13:14~52)
Ⅵ-3.福音の提示(使13:23~37)
1.23節
Act 13:23 神は、このダビデの子孫から、約束に従って、イスラエルに救い主イエスをお送りになりました。
(1)パウロによるイスラエルの歴史の回顧は終わった。

①パウロの説教は、ダビデからイエスに約千年間飛ぶ。
②イエスとは誰か。
*ダビデの子孫であるが、ダビデよりも偉大なお方である。
*約束に従って神からイスラエルの民に送られた救い主である。
③約束とは何か。

*イザ11:1
Isa 11:1 エッサイの根株から新芽が生え、/その根から若枝が出て実を結ぶ。
*イザ11:10
Isa 11:10 その日、/エッサイの根は、国々の民の旗として立ち、/国々は彼を求め、/彼のいこう所は栄光に輝く。

(2)神はダビデ契約によって、ダビデ王朝が永遠に続くことを約束された。

①ダビデ契約は、イスラエルの民の心をメシア到来に向けて準備した。
②イエスは、ダビデの王座に着く永遠の王である。
③アミダー(十八祈祷文)の15番目の祈りは、メシアの到来を願う祈りである。

(3)イエスが約束の救い主であるというパウロの宣言は、大変勇気あるものである。

①聴衆は、旧約聖書に親しみながらも、異なったメシア理解を持っていた。

2.24~25節
Act 13:24 この方がおいでになる前に、ヨハネがイスラエルのすべての民に、前もって悔い改めのバプテスマを宣べ伝えていました。
Act 13:25 ヨハネは、その一生を終えようとするころ、こう言いました。『あなたがたは、私をだれと思うのですか。私はその方ではありません。ご覧なさい。その方は私のあとからおいでになります。私は、その方のくつのひもを解く値うちもありません。』
(1)パウロはここで、メシアの先駆者であるバプテスマのヨハネを紹介する。

①ヨハネは、主の道を整えるという自らの使命を果たした。
②これは、マラ3:1と4:5の預言の成就である。
③バプテスマのヨハネの奉仕から約20年が経過していた。
④彼は依然として、ユダヤ人共同体では有名であった。

(2)ヨハネの奉仕のクライマックスは、以下の宣言である。

①私は、メシアではない。
②メシアは、私のあとから来られる。
③私は、その方のくつのひもを解く値打ちもない。
④福音書が完成する前から、パウロは、ヨハネの言葉を正確に知っていた。

3.26節
Act 13:26 兄弟の方々、アブラハムの子孫の方々、ならびに皆さんの中で神を恐れかしこむ方々。この救いのことばは、私たちに送られているのです。
(1)再びパウロは、ユダヤ人と神を恐れる異邦人に語りかける。

①「この救いのことば」とは、イエスが約束の救い主であるということ。

(2)神が与える究極的な備えは、約束のメシアの派遣である。

①神は常にイスラエルの民を守り、彼らの必要に応えてこられた。
②しかし民は、常に神に対して反抗的であった。
③イスラエルの指導者たちは、イエスに関しても同じ過ちを犯した。

4.27~28節
Act 13:27 エルサレムに住む人々とその指導者たちは、このイエスを認めず、また安息日ごとに読まれる預言者のことばを理解せず、イエスを罪に定めて、その預言を成就させてしまいました。
Act 13:28 そして、死罪に当たる何の理由も見いだせなかったのに、イエスを殺すことをピラトに強要したのです。
(1)パウロは、イエスの公生涯を省略して直ちに十字架、埋葬、復活のテーマに入る。

①彼は、ユダヤ人の指導者たちは無知のゆえにイエスを有罪にしたと糾弾した。
②会堂では、安息日ごとにメシア預言が朗読されていた。
③それゆえ、無知であることは、責任逃れの口実にはならない。
④指導者たちの無知を指摘する点は、ペテロのメッセージと同じである。

Act 3:17 ですから、兄弟たち。私は知っています。あなたがたは、自分たちの指導者たちと同様に、無知のためにあのような行いをしたのです。

(2)イスラエルの指導者たちは、神の究極的な備え(提供)さえも拒否した。

①メシア預言を理解しなかったが、結果的にはその預言を成就させてしまった。
②これは、歴史の大いなる皮肉である。
③サンヘドリンは、有罪の証拠がないのに、イエスをローマの法廷に訴えた。
④ピラトに圧力を加え、イエスを死刑にすることを要求した。

5.29~30節
Act 13:29 こうして、イエスについて書いてあることを全部成し終えて後、イエスを十字架から取り降ろして墓の中に納めました。
Act 13:30 しかし、神はこの方を死者の中からよみがえらせたのです。
(1)ここには「福音の三要素」が書かれている。

①イエスは十字架に付けられ、呪われた者として死なれた。
②イエスの死体は、墓に納められた。
③神はイエスを死者の中からよみがえらせた。

(2)使13:29の訳文の比較
「イエスを十字架から取り降ろして墓の中に納めました」(新改訳)
「イエスを木から降ろして、墓に納めました」(新改訳2017)
「人々はイエスを木から降ろし、墓に葬りました」(新共同訳)
「人々はイエスを木から取りおろして墓に葬った」(口語訳)

①スタウロス(十字架)をいう言葉を避け、クスロン(木)を使っている。
②これは、会堂での公の説教という文脈の中での配慮である。
③ペテロも同じ配慮をしている(使2:23、5:30、10:29)。

6.31節
Act 13:31 イエスは幾日にもわたり、ご自分といっしょにガリラヤからエルサレムに上った人たちに、現れました。きょう、その人たちがこの民に対してイエスの証人となっています。
(1)復活の証拠

①イエスは幾日にもわたり、12弟子たちに現れた。
②彼らは、ユダヤ人たちに対して、イエスの復活を目撃した証人となっている。

7.32~33節
Act 13:32 私たちは、神が父祖たちに対してなされた約束について、あなたがたに良い知らせをしているのです。
Act 13:33 神は、イエスをよみがえらせ、それによって、私たち子孫にその約束を果たされました。詩篇の第二篇に、『あなたは、わたしの子。きょう、わたしがあなたを生んだ』と書いてあるとおりです。
(1)パウロが宣べ伝えている福音は、神が先祖たちに与えた約束そのものである。
(2)イエスが復活のメシアであることの証明として、メシア預言が3つ引用される。

①詩2:7、②イザ55:3、③詩16:10

(3)詩2:7
「あなたは、わたしの子。きょう、わたしがあなたを生んだ」

①神はイエスを死者の中からよみがえらせ、高く引き上げられた。
②イエスは復活により、神の子であることが証明された。
③パウロのこの解釈は、ユダヤ人の伝統的な解釈と一致する。
*詩2篇は、メシア的詩篇である。

8.34~35節
Act 13:34 神がイエスを死者の中からよみがえらせて、もはや朽ちることのない方とされたことについては、『わたしはダビデに約束した聖なる確かな祝福を、あなたがたに与える』というように言われていました。
Act 13:35 ですから、ほかの所でこう言っておられます。『あなたは、あなたの聖者を朽ち果てるままにはしておかれない。』
(1)イザ55:3
Isa 55:3 耳を傾け、わたしのところに出て来い。/聞け。そうすれば、あなたがたは生きる。/わたしはあなたがたととこしえの契約、/ダビデへの変わらない愛の契約を結ぶ。

(2)詩16:10
Psa 16:10 まことに、あなたは、私のたましいを/よみに捨ておかず、/あなたの聖徒に墓の穴をお見せにはなりません。

(3)この2つの聖句から導き出される結論

①神は、とこしえに統治するダビデの子を与えると約束された。
②神は、「聖徒」(聖者)(the Holy One)を墓の中に置いたままにはしない。
③神はイエスを復活させ、朽ちることのない方とされた。

9.36~37節
Act 13:36 ダビデは、その生きていた時代において神のみこころに仕えて後、死んで父祖たちの仲間に加えられ、ついに朽ち果てました。
Act 13:37 しかし、神がよみがえらせた方は、朽ちることがありませんでした。
(1)ダビデは死んで、墓の中で朽ち果てた。

①それゆえ、詩16:10がダビデに適用されるはずはない。
②神がよみがえらせたイエスは、朽ちることがない。

Ⅵ-4.決心への招き(使13:38~41)
1.38~39節
Act 13:38 ですから、兄弟たち。あなたがたに罪の赦しが宣べられているのはこの方によるということを、よく知っておいてください。
Act 13:39 モーセの律法によっては解放されることのできなかったすべての点について、信じる者はみな、この方によって、解放されるのです。
(1)ここからパウロは、特に同胞のユダヤ人たちに語りかける。

①テーマがモーセの律法である。

(2)モーセの律法によっては義とされることのない罪があった。

①民15:30

Num 15:30 国に生まれた者でも、在留異国人でも、故意に罪を犯す者は、【主】を冒涜する者であって、その者は民の間から断たれなければならない。

②ミシュナには、36の赦されない罪が列挙されてる。
③意図的に違反した場合に、義とされる方法のない重罪である。
*獣姦、近親相姦、偶像礼拝、冒涜、安息日違反、過越の祭りや贖罪の日に
対する違反、など。

(3)しかし、イエスによって、すべての点で罪の赦しが得られる。

①イエスを救い主として信じるなら、すべての罪が赦される。
②福音書によれば、罪を赦すことができるのは神だけである。
③ここでパウロは、イエスのメシア性と神性を宣言してる。

2.40~41節
Act 13:40 ですから、預言者に言われているような事が、あなたがたの上に起こらないように気をつけなさい。
Act 13:41 『見よ。あざける者たち。驚け。そして滅びよ。/わたしはおまえたちの時代に一つのことをする。/それは、おまえたちに、どんなに説明しても、/とうてい信じられないほどのことである。』」
(1)警告の言葉が語られる。

①イエスはトーラーよりも優れ、トーラーよりも力のある方である。
②それゆえ、自らの信仰や人生観を変更すべきである。

(2)最後は、ハバクク書1:5からの引用で終わる。

①神がされた「一つのこと」とは、イエスの復活である。
②それを信じなければ、滅びる。
③先祖たちの不信仰のサイクルを断ち切って、裁きを免れるように。

結論:救われるために理解すべきこととは何か。
1.ある程度の信仰はあったが、救われていなかった人たちがいた。
(1)エチオピア人の宦官(使8:26~39)
(2)コルネリオ(使10章)
(3)アポロ(使18:24~28)
(4)エペソの12人の弟子たち(使19:1~7)

2.救いは、神(イエス・キリスト)への信頼(信仰)によって与えられる。
(1)イエス・キリストをどのような方として信じたかが重要である。
(2)救いに至る信仰には、最低限の福音理解が要求される。

3.「福音の三要素」は、最低限の理解である。
(1)イエスは私たちの罪のために死なれた。

①イエスが神の子であることを理解しなければ、イエスの死は意味がなくなる。
②イエスの死の意味が理解できないなら、自分が罪赦される必要があることが理
解できない。

(2)死んで墓に葬られた。

①イエスは確実に死なれた。
②イエスが死んだことを理解しなければ、復活は理解できない。
③埋葬は、イザ53:9の預言の成就である。

(3)3日目に甦られた。

①復活が理解できないなら、イエスの死の意味も理解できない。
②復活が信じられないなら、生きておられる救い主への信仰は成り立たない。

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