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使徒の働き(37)―異邦人の救い―
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異邦人の救いについて学ぶ。
「異邦人の救い」
使徒10:34~48
1.はじめに
(1)2つの幻が、コルネリオとペテロの出会いを作り出す。
①異邦人がユダヤ人の家に行くよりも、ユダヤ人が異邦人の家に行く方が難しい。
②ペテロがコルネリオの家に行ったのは、画期的な出来事であった。
(2)使10:23b~48がひとつの「まとまり」である。
①ペテロとコルネリオの出会い(23b~33節)
②ペテロのメッセージ(34~43節)
③コルネリオの救い(44~48節)
*今回は、②と③を取り上げる。
(3)教会は、使2章で誕生した。
①最初は、ユダヤ人信者だけで構成されていた(2章)。
②次にサマリヤ人信者が加えられた(8章)。
③ここで、異邦人信者が加えられる(10章)。
2.アウトライン
(2)ペテロのメッセージ(34~43節)
①ペテロの発見(34~35節)
②イエスの死(36~39節)
③イエスの復活(40~43節)
(3)コルネリオの救い(44~48節)
①聖霊によるバプテスマ(44節)
②ユダヤ人信者の驚き(45~46節a)
③洗礼(46b~48節)
結論 :聖霊によるバプテスマ
(1)3つの事例
(2)私たちの聖霊のバプテスマ
異邦人の救いについて 学ぶ。
Ⅱ.ペテロのメッセージ(34~43節)
1.ペテロの発見(34~35節)
(1)34~35節
Act 10:34 そこでペテロは、口を開いてこう言った。
「これで私は、はっきりわかりました。神はかたよったことをなさらず、
Act 10:35 どの国の人であっても、神を恐れかしこみ、正義を行う人なら、神に受け入れられるのです。
①口を開いた。
*重要なメッセージが始まることを意味する定型句
②はっきりわかった。幻の意味を理解した。
*ペテロは、コルネリオの家に入った結果、真理を知性で理解した。
③理解した内容
*神はえこひいきをしないお方である。
・申10:17、2歴19:7、ロマ2:11
*ユダヤ人たちには誤解があった。
・自分たちは、アブラハムの子孫なので、御国の子たちである。
・バプテスマのヨハネは、そのような考え方を叱責した。
*ペテロは、異邦人も信仰があれば神に受け入れられることを発見した。
*使2:39
Act 2:39 なぜなら、この約束は、あなたがたと、その子どもたち、ならびにすべての遠くにいる人々、すなわち、私たちの神である主がお召しになる人々に与えられているからです。」
*ペテロは、異邦人はユダヤ教に改宗してから救われると考えていた。
*この発見をエルサレムの兄弟たちに理解してもらうのは、難しい。
2.イエスの死(36~39節)
(1)36節
Act 10:36 神はイエス・キリストによって、平和を宣べ伝え、イスラエルの子孫にみことばをお送りになりました。このイエス・キリストはすべての人の主です。
①ペテロのメッセージの内容は、マルコの福音書のアウトラインになっている。
*マルコは、ペテロの影響を受けていた。
*教えよりも、行動、奇跡、死、復活、大宣教命令に焦点が合わさっている。
②イエスは、神がイスラエルの子孫に送ったロゴスである。
③ロゴスは人として来られ、平和を宣べ伝えた。
*神と人との平和、人と人の平和、民族と民族の平和
④イエス・キリストはすべての人(ユダヤ人と異邦人)の主である。
*これは、喜びと勝利の挿入句である。
(2)37~38節
Act 10:37 あなたがたは、ヨハネが宣べ伝えたバプテスマの後、ガリラヤから始まって、ユダヤ全土に起こった事がらを、よくご存じです。
Act 10:38 それは、ナザレのイエスのことです。神はこの方に聖霊と力を注がれました。 このイエスは、神がともにおられたので、巡り歩いて良いわざをなし、また悪魔に制せられているすべての者をいやされました。
①イエスの紹介が、バプテスマのヨハネから始まる。
*バプテスマのヨハネは、水で人々にバプテスマを授けた。
*神は、聖霊でイエスにバプテスマを授けた。
②訳文の比較
「神はこの方に聖霊と力を注がれました」(新改訳)
「神はこのイエスに聖霊と力によって油を注がれました」(新改訳2017)
「神は、聖霊と力によってこの方を油注がれた者となさいました」(新共同訳)
「神はナザレのイエスに聖霊と力とを注がれました」(口語訳)
「God anointed him with the Holy Spirit and with power:」(ASV)
*メシアという言葉は使っていないが、これはメシア宣言である。
*神は、イエスがメシア(油注がれた者)であると宣言された。
③これは、イザ61:1~2の成就である。
④その結果、イエスはかずかずの奇跡や癒しを行われた。
(3)39節
Act 10:39 私たちは、イエスがユダヤ人の地とエルサレムとで行われたすべてのことの証人です。人々はこの方を木にかけて殺しました。
①使徒たちは、イエスの公生涯の証人である。
②さらに、ユダヤ人たちがイエスを十字架に架けて殺したことの証人である。
③これまでに、ペテロは3回イエスを殺したことの責任をユダヤ人たちに問うた。
*使3:15、4:10、5:30
④ステパノも同じようにユダヤ人たちを糾弾した。
*使7:52
3.イエスの復活(40~43節)
(1)40~41節
Act 10:40 しかし、神はこのイエスを三日目によみがえらせ、現れさせてくださいました。
Act 10:41 しかし、それはすべての人々にではなく、神によって前もって選ばれた証人である私たちにです。私たちは、イエスが死者の中からよみがえられて後、ごいっしょに食事をしました。
①しかし、神はこのイエスを3日目に復活させた。
②イエスは、少人数の信者だけに現れた。
*1コリ15:6によれば、約500人である。
③「前もって選ばれた証人である私たち」
*イエスは、ご自分を現わす対象となる人数を限定された。
*出エジは、不信仰な者は奇跡を見ても神を信じないことを示している。
*ルカ16:31
Luk 16:31 アブラハムは彼に言った。『もしモーセと預言者との教えに耳を傾けないのなら、たといだれかが死人の中から生き返っても、彼らは聞き入れはしない。』」
*真珠を豚に投げない。
④使徒たちは、復活のイエスと食事をした。
*復活のイエスは幻ではなく、肉体を持っておられた。
(2)42~43節
Act 10:42 イエスは私たちに命じて、このイエスこそ生きている者と死んだ者とのさばき主として、神によって定められた方であることを人々に宣べ伝え、そのあかしをするように、言われたのです。
Act 10:43 イエスについては、預言者たちもみな、この方を信じる者はだれでも、その名によって罪の赦しが受けられる、とあかししています。」
①イエスは、使徒たちに大宣教命令を与えた。
②ペテロは、異邦人の聴衆を意識して、メシア預言を引用していない。
③イエスを「生きている者と死んだ者とのさばき主」として紹介した。
*「メシア」ではなく、「さばき主」(審判者、judge)という用語を使用した。
④さばき主の裁きを免れるためには、その名を信じるしか方法がない。
Ⅲ.コルネリオの救い(44~48節)
1.聖霊によるバプテスマ(44節)
(1)44節
Act 10:44 ペテロがなおもこれらのことばを話し続けているとき、みことばに耳を傾けていたすべての人々に、聖霊がお下りになった。
①ペテロのメッセージはまだ終わっていなかった。
*復活と大宣教命令に続く次のテーマは、再臨である。
*そのテーマに入る前に、聖霊が聴衆の上にお下りになった。
②彼らは、イエスが救い主であると信じて救われたのである。
*聖霊が下ったのは、彼らが救われたからである。
*祈る前に、罪を告白する前に、洗礼を受ける前に、信仰だけで救われた。
2.ユダヤ人信者の驚き(45~46節a)
(1)45~46節a
Act 10:45 割礼を受けている信者で、ペテロといっしょに来た人たちは、異邦人にも聖霊の賜物が注がれたので驚いた。
Act 10:46a 彼らが異言を話し、神を賛美するのを聞いたからである。
①ペテロに同行してきた6人のユダヤ人信者は驚いた。
②訳文の比較
「異邦人にも聖霊の賜物が注がれたので驚いた」(新改訳)
(新改訳2017)、(新共同訳)、(口語訳)の訳もすべて「聖霊の賜物」である。
「【聖霊】が賜物として異邦人の上にも注がれたのを見て驚いた」(回復訳)
*「聖霊の賜物」と「御霊の賜物」(霊的な賜物)を混同してはならない。
③ユダヤ人信者が驚いた理由は、異邦人に聖霊が賜物して注がれたからである。
*聖霊が注がれたことは、異言によって知ることができた。
*驚きの理由は、異邦人もユダヤ人と同じ原則で救われたからである。
3.洗礼(46b~48節)
(1)46b~47節
Act 10:46b そこでペテロはこう言った。
Act 10:47 「この人たちは、私たちと同じように、聖霊を受けたのですから、いったいだれが、水をさし止めて、この人たちにバプテスマを受けさせないようにすることができましょうか。」
①ペテロは、異邦人たちが信仰によって救われたことを認識した。
②神の御業に逆らうことのできる人はいない。
③この質問は、「ノー」という答を予測する質問である。
(2)48節
Act 10:48 そして、イエス・キリストの御名によってバプテスマを受けるように彼らに命じた。彼らは、ペテロに数日間滞在するように願った。
①ペテロは、コルネリオとその親族、友人たちに、洗礼を受けるように命じた。
*地中海に出て行って、洗礼を受けたことであろう。
②この箇所から、幼児洗礼を主張するのは無理がある。
③彼らの願いに応えて、ペテロは数日間滞在した。
*霊的幼子たちに、信仰の基本を教えたのであろう。
結論:聖霊によるバプテスマ
1 .3つの事例
(1)聖霊によるバプテスマは、一定のパターンで起こったわけではない。
①ユダヤ人信者の聖霊によるバプテスマ(使2章)
*激しい風が吹いて来るような響きと炎のような分かれた舌
②サマリヤ人信者の聖霊によるバプテスマ(使8章)
*ペテロとヨハネによる按手(彼らの上に手を置くと)
③異邦人信者の聖霊によるバプテスマ(使10章)
*ペテロのメッセージの途中で(話し続けていると)
④共通しているのは、異言で話し出したということ。
*この異言は、御霊の賜物としての異言ではない。
*この異言は、聖霊によるバプテスマを受けたことのしるしであった。
2 .私たちの聖霊によるバプテスマ
(1)使徒の働きは、移行期の記録である。
①使徒たちが経験したのと同じ経験を求めるべきではない。
②使徒たちが教えたことから学ぶべきである。
(2)1コリ12:13
1Co 12:13 なぜなら、私たちはみな、ユダヤ人もギリシヤ人も、奴隷も自由人も、一つのからだとなるように、一つの御霊によってバプテスマを受け、そしてすべての者が一つの御霊を飲む者とされたからです。
(3)ロマ8:9
Rom 8:9 けれども、もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、あなたがたは肉の中にではなく、御霊の中にいるのです。キリストの御霊を持たない人は、キリストのものではありません。
(4)エペ5:18
Eph 5:18 また、酒に酔ってはいけません。そこには放蕩があるからです。御霊に満たされなさい。
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