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使徒の働き(11)―初代教会の誕生―
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初代教会の誕生とその特徴について学ぶ。
「初代教会の誕生」
使徒2:41~47
1.はじめに
(1)ペテロの第1回目のメッセージを学んだ。
①そのメッセージは、使徒の働きの土台となるものである。
②そのメッセージのゴールは、「イエスは主でありメシアである」というもの。
(2)前回のメッセージの最後の言葉
Act 2:40 ペテロは、このほかにも多くのことばをもって、あかしをし、「この曲がった時代から救われなさい」と言って彼らに勧めた。
①悔い改めるとは、ナザレのイエスは主でありメシアであると信じること。
②悔い改めるとは、イエスを拒否した世代と決別すること。
③ペテロの呼びかけに、多くの人たちが応答した。
(3)メッセージのアウトライン
①初代教会の誕生(41節)
②初代教会の弟子訓練(42~43節)
③初代教会の特徴(44~47節)
結論:
(1)使徒の働きの区分
(2)使徒の働き2章のまとめ
初代教会の誕生とその特徴について学ぶ。
Ⅰ.初代教会の誕生(41節)
1.41節
Act 2:41 そこで、彼のことばを受け入れた者は、バプテスマを受けた。その日、三千人ほどが弟子に加えられた。
(1)「彼のことばを受け入れた者」
①ペテロのメッセージに「悔い改め」をもって応答した人
②その人たちは、信じた時点で救われている。
③彼らには、聖霊の内住が与えられている。
④聖霊は、「信者をバプテスマする働き」を開始された。
⑤その結果、教会が誕生した。
(2)「バプテスマを受けた」
①ユダヤ人のバプテスマは、浸礼しかない。
②これは、不信仰な世代から分離し、キリストと一体化したことを示す。
③これは、信じて救われた人が受けるバプテスマである。
*内的信仰の外的表現
(3)「その日、三千人ほどが弟子に加えられた」
①神殿の南側には、およそ200の洗礼槽があった(考古学者の見解)。
*数十に及ぶ洗礼槽が発掘されている。
②三千人の洗礼を短時間の内に行うことは、十分に可能である。
*使徒たちが洗礼を授けたかどうかは、定かでない。
③彼らは、「弟子」となった。
*巡礼者も多数いた。彼らは、それぞれの国に帰って行った。
④人数が概数になっていることに注意すべきである。
*この中には、本当の信者でない者も含まれると考える学者もいる。
(4)ペテロはイエスのことばを思い出したことであろう。
Mat 4:19 イエスは彼らに言われた。「わたしについて来なさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう。」
Joh 14:12 まことに、まことに、あなたがたに告げます。わたしを信じる者は、わたしの行うわざを行い、またそれよりもさらに大きなわざを行います。わたしが父のもとに行くからです。
Ⅱ.初代教会の弟子訓練(42~43節)
1.42節
Act 2:42 そして、彼らは使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをしていた。
(1)決心した信者たちの弟子訓練が継続して行われた。
①ルカは、初代教会の温かい雰囲気を伝えようとしている。
(2)訳文の比較
「そして、彼らは使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをして
いた」(新改訳)
「彼らはいつも、使徒たちの教えを守り、交わりを持ち、パンを裂き、祈りをしてい
た」(新改訳2017)
「彼らは、使徒の教え、相互の交わり、パンを裂くこと、祈ることに熱心であった」
(新共同訳)
「そして一同はひたすら、使徒たちの教を守り、信徒の交わりをなし、共にパンをさ
き、祈をしていた」(口語訳)
①彼らは、熱心であった。
②熱心は英語で「enthusiastic」である。
*ギリシア語で「entheos」である。
*「内に神をいただいている」「神に捕らえられている」という意味である。
③この熱心さは、人間の努力ではなく、内住の聖霊の力による。
(3)彼らは、2つのことに熱心であった。
①「使徒たちの教え」
*公生涯の間に、イエスが使徒たちに教えた内容である。
*聖霊が、使徒たちにその内容を思い出させた。
*最初は口頭での伝達であったが、今は新約聖書に記録されている。
②「信徒の交わり」
*ギリシア語で「コイノニア」である。
*この世から呼び出され(聖別)、神の家族となった。
*「パンを裂き」という言葉は、食事と聖餐式の両方を含む。
*後に、愛餐(食事会)に問題が起こるようになり、その習慣は終わった。
*「祈りをしていた」の「祈り」には定冠詞が付いている。
*つまり、神殿での祈りである。
2.43節
Act 2:43 そして、一同の心に恐れが生じ、使徒たちによって多くの不思議としるしが行われた。
(1)一同の心に畏怖の念が与えられた。
①聖霊による畏怖の念である。
(2)「多くの不思議としるし」
①使徒たちの教えの信頼性を証明するための奇跡である。
Ⅲ.初代教会の特徴(44~47節)
1.44~45節
Act 2:44 信者となった者たちはみないっしょにいて、いっさいの物を共有にしていた。
Act 2:45 そして、資産や持ち物を売っては、それぞれの必要に応じて、みなに分配していた。
(1)物の共有
①貧しい兄弟たちのために、自分の持ち物を売って分配していた。
②モーセの律法の実践である。
Deu 15:4 そうすれば、あなたのうちには貧しい者がなくなるであろう。あなたの神、【主】が相続地としてあなたに与えて所有させようとしておられる地で、【主】は、必ずあなたを祝福される。
*7年ごとの負債の免除
③キリストの再臨は近いという意識が、この考え方の背後にある。
(2)これは実際に起こったことの記録であって、普遍的に適用すべき教えではない。
①この習慣は、エルサレム教会だけのものであった。
*使徒の働きの中で、他の教会がこの習慣を採用したという記録はない。
②この習慣は、最初の数年で終わった。
*飢饉が襲ってくると、エルサレムの教会は貧しい教会となった。
*使11:28~29、24:17、ロマ15:26~27、ガラ2:10
(3)しかし、この習慣から学ぶべき適用は今もある。
①隣人愛の実践のひとつは、富の分かち合いである。
2.46~47節
Act 2:46 そして毎日、心を一つにして宮に集まり、家でパンを裂き、喜びと真心をもって食事をともにし、
Act 2:47 神を賛美し、すべての民に好意を持たれた。主も毎日救われる人々を仲間に加えてくださった。
(1)神殿に上る。
①エルサレムに住む敬虔なユダヤ人にとっては、当然のことである。
②日々の祈りの時間
③祭りの期間
④彼らはまだユダヤ教とは切り離されていなかった。
(2)家でパンを裂き、食事をともにし、神を賛美した。
①彼らは、家々を回りながら、聖餐式と愛餐式を行った。
*食事なしに何かが起こることは、中東文化ではあり得ない。
②食事の席は、みことばを学び、祈り、賛美する場でもあった。
③教会史の最初の200年間は、家の教会が中心であった。
*家の教会の重要性については、先に行ってから述べるつもりである。
(3)「すべての民に好意を持たれた」
①この段階では、ユダヤ人社会はまだ教会を脅威とは見なしていなかった。
*この平和な状況は、すぐに消え去っていく。
*闇は光を憎むからである。
②「主も毎日救われる人々を仲間に加えてくださった」
*福音に応答するのは、人間の側の責務である。
*人が救われるのは、神の御業である。
結論:
1.使徒の働きの区分
(1)宣教活動の地理的広がりによる区分
Act 1:8 しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」
(2)主役による区分
①ペテロが中心
②パウロが中心(13章以降)
(3)教会の成長による区分
①2:47
②6:7
③9:31
④12:24
⑤16:5
⑥19:20
⑦28:30~31
Act 28:30 こうしてパウロは満二年の間、自費で借りた家に住み、たずねて来る人たちをみな迎えて、
Act 28:31 大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。
2.使徒の働き2章のまとめ
(1)五旬節の祭りの預言的意味は、聖霊降臨によって成就した。
Act 2:1 五旬節の日になって、みなが一つ所に集まっていた。
①「五旬節の日が満ちた時」(回復訳)
(2)シナイ山では、不信仰のゆえに三千人が殺された(金の子牛事件)
Exo 32:27 そこで、モーセは彼らに言った。「イスラエルの神、【主】はこう仰せられる。おのおの腰に剣を帯び、宿営の中を入口から入口へ行き巡って、おのおのその兄弟、その友、その隣人を殺せ。」
Exo 32:28 レビ族は、モーセのことばどおりに行った。その日、民のうち、おおよそ三千人が倒れた。
①エルサレムでは、信仰のゆえに三千人が救われた。
2Co 3:6 神は私たちに、新しい契約に仕える者となる資格を下さいました。文字に仕える者ではなく、御霊に仕える者です。文字は殺し、御霊は生かすからです。
(3)使徒の働き2章は、シナイ山での物語の続編である。
①いかなる外的感動や体験も、人の心を変えることはできない。
②聖霊による新生によってのみ、人の心は変わる。
③幕屋と神殿に宿られた神は、今や私たちの内側に住んでおられる。
④聖霊は、私たちの心に愛の律法を刻まれた。
Jer 31:33 彼らの時代の後に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこうだ。──【主】の御告げ──わたしはわたしの律法を彼らの中に置き、彼らの心にこれを書きしるす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。
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