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使徒の働き(4)―イエスの昇天―
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イエスの昇天と弟子たちの従順について学ぶ。
「イエスの昇天」
使徒1:9~15a
1.はじめに
(1)前回の内容の確認
①使徒たちの質問(6節)
②イエスの答え(7節)
③イエスによる任命(8節)
Act 1:8 しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」
(2)アウトライン
①昇天(9~11節)
②エルサレムへの帰還(12節)
③一致した祈り(13~15節a)
結論:
(1)エルサレムの重要性
(2)キリスト教の比類なき特徴
イエスの昇天と弟子たちの従順について学ぶ。
Ⅰ.昇天(9~11節)
1.9節
Act 1:9 こう言ってから、イエスは彼らが見ている間に上げられ、雲に包まれて、見えなくなられた。
(1)「こう言ってから」
①復活したイエスは、40日間にわたって弟子たちに現われた。
②最後は、オリーブ山の東山麓にあるベタニヤという村から昇天された。
③弟子たちには突然のことであったが、イエスにとってはそうではなかった。
④イエスは、地上でのすべての使命を終えて、天に昇られた。
⑤これ以降、イエスは使徒たちと教会を通して地上での働きを継続される。
(2)「雲に包まれて、見えなくなられた」
①この雲は、栄光の雲(シャカイナ・グローリー)である。
②ルカ24:50~51に平行記事がある。
Luk 24:50 それから、イエスは、彼らをベタニヤまで連れて行き、手を上げて祝福された。
Luk 24:51 そして祝福しながら、彼らから離れて行かれた。
2.10節
Act 1:10 イエスが上って行かれるとき、弟子たちは天を見つめていた。すると、見よ、白い衣を着た人がふたり、彼らのそばに立っていた。
(1)弟子たちは、すぐにイエスが戻って来られることを期待して天を見つめていた。
①そこにふたりの天使が現われ、重要なメッセージを伝えた。
②彼らは、白い衣を着た人として姿を現した。
3.11節
Act 1:11 そして、こう言った。「ガリラヤの人たち。なぜ天を見上げて立っているのですか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たときと同じ有様で、またおいでになります。」
(1)「ガリラヤの人たち。なぜ天を見上げて立っているのですか」
①使徒たちは、イスカリオテのユダ以外は全員ガリラヤ出身であった。
②イエスはすぐには帰って来ないので、天を見上げていても無駄だという意味。
(2)「このイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たときと同じ有様で、
またおいでになります」
①これは、イエスの再臨の預言である。
②同じお方が、同じ有様で(つまり、栄光の雲に包まれて)戻って来られる。
③ダニ7:13~14
Dan 7:13 私がまた、夜の幻を見ていると、/見よ、人の子のような方が天の雲に乗って来られ、/年を経た方のもとに進み、その前に導かれた。
Dan 7:14 この方に、主権と光栄と国が与えられ、/諸民、諸国、諸国語の者たちがことごとく、/彼に仕えることになった。/その主権は永遠の主権で、過ぎ去ることがなく、/その国は滅びることがない。
④マタ24:30
Mat 24:30 そのとき、人の子のしるしが天に現れます。すると、地上のあらゆる種族は、悲しみながら、人の子が大能と輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見るのです。
⑤黙1:7
Rev 1:7 見よ、彼が、雲に乗って来られる。すべての目、ことに彼を突き刺した者たちが、彼を見る。地上の諸族はみな、彼のゆえに嘆く。しかり。アーメン。
Ⅱ.エルサレムへの帰還(12節)
1.12節
Act 1:12 そこで、彼らはオリーブという山からエルサレムに帰った。この山はエルサレムの近くにあって、安息日の道のりほどの距離であった。
(1)オリーブ山からエルサレムへの帰還
①「安息日の道のりほどの距離」、「安息日に歩くことが許される道のり」(新2017)
③ヨシ3:4(宿営地と契約の箱の距離は、約2000キュビト)
Jos 3:4 あなたがたと箱との間には、約二千キュビトの距離をおかなければならない。それに近づいてはならない。それは、あなたがたの行くべき道を知るためである。あなたがたは、今までこの道を通ったことがないからだ。」
④約900メートル弱。つまり、短い距離を移動したということ。
(2)彼らは、忠実にエルサレムに留まろうとしている。
①そこは、弟子たちにとっては危険な町であったが、そこに戻って行った。
②弟子たちの信仰の成長が見られる。
Ⅲ.一致した祈り(13~15節a)
1.13節
Act 1:13 彼らは町に入ると、泊まっている屋上の間に上がった。この人々は、ペテロとヨハネとヤコブとアンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコブと熱心党員シモンとヤコブの子ユダであった。
(1)彼らが集った場所は、「屋上の間」であった。
①最後の晩餐の部屋。伝承ではヨハネ・マルコの母の家だったとされている。
②復活のイエスは、この部屋に2度姿を現した(ヨハ20:19、26)。
③この部屋は、イエスの復活と昇天後、信者たちの本部になっていた。
(2)12使徒がリストアップされている。
①このリストは、ルカ6:14~16のリストと同じである。
②ただし、イスカリオテのユダが欠落している。
2.14~15節a
Act 1:14 この人たちは、婦人たちやイエスの母マリヤ、およびイエスの兄弟たちとともに、みな心を合わせ、祈りに専念していた。
Act 1:15a そのころ、百二十名ほどの兄弟たちが集まっていたが、
(1)「120名ほどの兄弟たちが集まっていたが」
①この人数は、当時の二階部屋の収容能力を越えていた。
②この人数は信者の総数ではない。信者の総数は、500人以上になる。
③500人以上の信者が、イエスの復活を目撃している(1コリ15:5~7)。
④つまり、380人以上が、その場にいなかったことになる。
⑤この部屋にいた信者の多くが、巡礼祭のためにエルサレムに上ってきていた。
⑥他の信者たちは、ガリラヤやその他の場所にいたのであろう。
*資金力の不足か、恐れか。
(2)「イエスの母マリヤ」
①新約聖書でイエスの母マリアの名が出て来るのは、これが最後である。
②信者たちは、マリアに向かってではなく、マリアとともに祈っていたのである。
*マリアは、「イエスの母」であって、「神の母」ではない。
③彼女の使命は終わり、これ以降特筆すべき働きをすることはなかった。
(3)「イエスの兄弟たち」
①かつてイエスを信じようとしなかったイエスの4人の弟たちも、そこにいた。
②ヤコブは、復活のイエスに出会っている(1コリ15:7)。
*後に彼は、エルサレム教会の指導者(監督)となる。
*ヤコブの手紙の著者である。
③他の弟たちも、イエスの復活を目撃したと思われる。
④彼らは、マリアの息子たちである。
*マリアは、「永遠の乙女」ではない。
(4)「婦人たち」
①紀元1世紀の文書に、婦人たちへの言及があるのは珍しいことである。
②男女が同じ部屋で祈っていた。
*後代になると、会堂では男女の席が分離されるようになる。
③考えられる婦人たち
*マグダラのマリア(イエスの復活の目撃者。ヨハ20:18)
*ヤコブの母マリアとサロメ(イエスの復活の目撃者。マコ16:1)
*ヘロデの執事クーザの妻ヨハンナ(ルカ8:3)
*スザンナ(ルカ8:3)
*マルタとマリア(ヨハ12:2~3)
*イエスの母の姉妹マリア(ヨハ19:25)
*使徒たちの妻たち
④ルカは、婦人たちの貢献と奉仕を正当に評価している。
(5)「みな心を合わせ、祈りに専念していた」
①彼らの心には、父の約束(聖霊)に対する期待感が満ちていた。
②一致した祈り、継続した祈りを引き出す力は、神の約束に対する期待感である。
③祈りによって神を動かそうとすると、苦しくなる。
④みことばの中に約束を発見し、その約束に対する期待感をもって祈るなら、そ
れは力ある祈りとなる。
結論:
1.エルサレムの重要性
(1)旧約聖書に670回出て来る。
(2)アブラハムの時代には、サレムと呼ばれていた(創14:18)。
(3)アブラハムはここで、イサクを捧げた(モリヤの山。創22章)。
(4)ダビデは、エブス人を征服し、ここを首都とした。
①エルサレムは、「ダビデの町」と呼ばれるようになった。
②ユダヤ人の霊的、精神的、文化的、政治的、経済的、軍事的中心となった。
(5)ダビデはここに契約の箱を運び入れた(2サム6:12)。
(6)ソロモンは、ここに神殿を建設した。
(7)ユダヤ人たちは、エルサレムを世界の「ヘソ」と考えてきた。
①エゼ5:5
Eze 5:5 神である主はこう仰せられる。「これがエルサレムだ。わたしはこれを諸国の民の真ん中に置き、その回りを国々で取り囲ませた。
(8)町と神殿は、前586年にバビロン軍によって破壊された。
(9)バビロンから帰還後(前6世紀の終わり)、第2神殿が建設された。
①粗末な建物であった。
(10)それから約500年後に、ヘロデ大王が第2神殿を拡張した。
①エルサレムは、ローマ世界屈指の町として建て上げられた。
(11)エルサレムは、イエスに敵対する町となった。
①イエスは、この町で死に、復活し、昇天された。
(12)使徒たちは、ペンテコステ以降、ここを伝道の拠点とするようになる。
(13)イエスは、この町に戻ってこられる。
(14)エルサレムは、千年王国の都となる。
(15)異邦人は、礼拝のためのエルサレムに上ってくるようになる。
①ミカ4:1~2
Mic 4:1 終わりの日に、/【主】の家の山は、山々の頂に堅く立ち、/丘々よりもそびえ立ち、/国々の民はそこに流れて来る。
Mic 4:2 多くの異邦の民が来て言う。/「さあ、【主】の山、ヤコブの神の家に上ろう。/主はご自分の道を、私たちに教えてくださる。/私たちはその小道を歩もう。」/それは、シオンからみおしえが出、/エルサレムから【主】のことばが出るからだ。
②イザ2:2~4
2.キリスト教の比類なき特徴
(1)十字架の死と埋葬
①人となられた神の子が、罪人の罪を贖うために呪われた死を遂げられた。
(2)死者の中からの復活
①贖いの死が有効であることが証明された。
②死後のいのちが保証された。
(3)昇天
①信じる者の救いの完成が保証された。
②復活したイエスは、父なる神の右に座し、信者の救いを完成へと導かれる。
③使2:33
Act 2:33 ですから、神の右に上げられたイエスが、御父から約束された聖霊を受けて、今あなたがたが見聞きしているこの聖霊をお注ぎになったのです。
④ヘブ1:3
Heb 1:3 御子は神の栄光の輝き、また神の本質の完全な現れであり、その力あるみことばによって万物を保っておられます。また、罪のきよめを成し遂げて、すぐれて高い所の大能者の右の座に着かれました。
⑤ヘブ8:1~2
Heb 8:1 以上述べたことの要点はこうです。すなわち、私たちの大祭司は天におられる大能者の御座の右に着座された方であり、
Heb 8:2 人間が設けたのではなくて、主が設けられた真実の幕屋である聖所で仕えておられる方です。
⑥ヘブ12:2
Heb 12:2 信仰の創始者であり、完成者であるイエスから目を離さないでいなさい。イエスは、ご自分の前に置かれた喜びのゆえに、はずかしめをものともせずに十字架を忍び、神の御座の右に着座されました。
(4)再臨
①信者に与えられている究極的な希望である。
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