ヘブル人への手紙(14)—レビ的祭司職とイエスの祭司職の対比—

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レビ的祭司職とイエスの祭司職の対比について学ぶ。

レビ的祭司職とイエスの祭司職の対比」

ヘブル7:11~28

1.はじめに

  (1)この手紙が書かれた理由を再確認する。

    ①信仰が後退しつつあった第2世代のメシアニック・ジューたちへの励まし

  (2)ユダヤ教の3つの柱は、天使、モーセ、レビ的祭司である。

      ①御子は、天使に勝るお方であることが証明された。

      ②御子は、モーセに勝るお方であることも証明された。

      ③御子は、アロンに勝るお方であることの証明が続いている。

    (3)ヘブ7:1~28の構造

      ①メルキゼデクとイエスの対比(7:1~3)

      ②メルキゼデク的祭司職とレビ的祭司職の対比(7:4~10)

      ③レビ的祭司職とイエスの祭司職の対比(7:11~25)

      ④結論(7:26~28)

    (4)メルキゼデクに関する聖書箇所(2箇所のみ)

        *創14:17~20(歴史的記録)

          ・アブラハムがメルキゼデクに戦利品の十分の一を与えた。

        *詩110:4(預言)

Psa 110:4 【主】は誓い、そしてみこころを変えない。/「あなたは、メルキゼデクの例にならい、/とこしえに祭司である。」

2.アウトライン: レビ的祭司職とイエスの祭司職の対比

(1)新しい祭司職が古い祭司職に取って代わった(11~19節)

  (2)新しい祭司職は古い祭司職よりも優れている(20~25節)

  (3)結論(26~28節)

結論:ヘブル書とロマ書の対比

  (1)ヘブ7:12~13とロマ6:14

  (2)ヘブ7:24~25とロマ8:34

レビ的祭司職とイエスの祭司職の対比について学ぶ。

Ⅰ. 新しい祭司職が古い祭司職に取って代わった(11~19節)

   1. 11~12節

Heb 7:11 さて、もしレビ系の祭司職によって完全に到達できたのだったら、──民はそれを基礎として律法を与えられたのです──それ以上何の必要があって、アロンの位でなく、メルキゼデクの位に等しいと呼ばれる他の祭司が立てられたのでしょうか。

Heb 7:12 祭司職が変われば、律法も必ず変わらなければなりませんが、

     (1)レビ的祭司職と律法の関係

      ①レビ的祭司職は、律法の基礎である。

      ②つまり、レビ的祭司職がなければ律法が機能しないということである。

      ③レビ的祭司職と律法とは相関関係にある。

      ④片方が機能しなくなれば、もう片方も機能しなくなる。

    (2)レビ的祭司職は、不完全なものである。

      ①レビ的祭司職は、「神との完全に調和ある関係」をもたらすことができない。

      ②レビ的祭司職には欠陥があるので、より良い祭司職が必要なのである。

      ③「他の祭司」とは、「質の違う他の祭司」という意味である。

    (3)祭司職の移行

      ①不完全な祭司職=レビ的祭司職=アロンの位の祭司職

      ②完全な祭司職=メルキゼデク的祭司職=イエスの祭司職

    (4)律法の移行

      ①祭司職と律法は不可分な関係にある。

      ②祭司職が変わると、律法も変わる。

      ③律法が変わると、祭司職も変わる。

  2. 13~14節

Heb 7:13 私たちが今まで論じて来たその方は、祭壇に仕える者を出したことのない別の部族に属しておられるのです。

Heb 7:14 私たちの主が、ユダ族から出られたことは明らかですが、モーセは、この部族については、祭司に関することを何も述べていません。

    (1)古い祭司職から新しい祭司職に移行したという証拠

①古い祭司職(レビ的祭司職)は、レビ族から出る。

②しかし、新しい祭司職(メルキゼデク的祭司職)は、そうではない。

③主イエスは、ユダ族から出られた。

④モーセは、ユダ族から出る祭司職については何も語っていない。

⑤つまり、モーセが命じていなかった祭司職が機能し始めたのである。

  3. 15~16節

Heb 7:15 もしメルキゼデクに等しい、別の祭司が立てられるのなら、以上のことは、いよいよ明らかになります。

Heb 7:16 その祭司は、肉についての戒めである律法にはよらないで、朽ちることのない、いのちの力によって祭司となったのです。

     (1)以上のこと(祭司職が移行したこと)を証明するさらなる証拠がある。

      ①メルキゼデクのような別の祭司が立てられた。

    (2)その祭司の特徴

      ①律法が命じる家系(レビ族)に基づいて立てられたのではない。

      ②「朽ちることのない、いのちの力によって祭司となった」

         *イエスは、永遠に生きておられる。

        *イエスは、永遠の祭司である。

   4. 17節

Heb 7:17 この方については、こうあかしされています。/「あなたは、とこしえに、/メルキゼデクの位に等しい祭司である。」

     (1)ここで再度、詩110:4が引用されている。

      ①モーセの律法に基づく祭司職が機能している時代に、ダビデは預言した。

      ②あるお方が、レビ的祭司職ではない祭司として現れる。

      ③そのお方は、「とこしえ」にメルキゼデクのような祭司である。

    (2)死海文書は、「油注がれた2人の人物」に言及している。

      ①ダビデ(ユダ族)から出てくる王なるメシア

      ②レビ族から出てくる大祭司

      ③詩110:4は、メルキゼデク的祭司は、レビ族から出るのではないと教える。

      ④つまり、「油注がれた2人の人物」は、同一人物だということである。

  5. 18~19節

Heb 7:18 一方で、前の戒めは、弱く無益なために、廃止されましたが、

Heb 7:19 ──律法は何事も全うしなかったのです──他方で、さらにすぐれた希望が導き入れられました。私たちはこれによって神に近づくのです。

    (1)モーセの律法は、弱く無益であった。

      ①それゆえ、廃止された。

    (2)それに代わって、さらにすぐれた希望がもたらされた。

      ①すぐれた希望とは、大祭司イエスのことである。

      ②私たちは、大祭司イエスを通して神に近づくのである。

      ③ではなぜ、大祭司イエスがすぐれた希望と言えるのか。

Ⅱ.新しい祭司職は古い祭司職よりも優れている(20~25節)

   1. 20~22節

Heb 7:20 また、そのためには、はっきりと誓いがなされています。

Heb 7:21 ──彼らの場合は、誓いなしに祭司となるのですが、主の場合には、主に対して次のように言われた方の誓いがあります。/「主は誓ってこう言われ、/みこころを変えられることはない。/『あなたはとこしえに祭司である。』」──

Heb 7:22 そのようにして、イエスは、さらにすぐれた契約の保証となられたのです。

     (1)主イエスは誓いによって大祭司とされた。

      ①それに対して、アロンの子たちは誓いなしに祭司となる。

      ②血のつながりがあれば、自動的に祭司となる。

    (2)再度、詩110:4が引用される。

      ①「主は誓ってこう言われ、みこころを変えられることはない」

       ②主イエスは、神ご自身の誓いによって永遠の大祭司として立てられた。

    (3)その結果、イエスは、さらにすぐれた契約の保証となられた。

      ①「保証」とは、ビジネスの世界で言う「手付け金」のことである。

      ②「さらにすぐれた契約」とは、新約のことである。

      ③ここで初めて、新約という概念が登場する。

      ④レビ的祭司職が代表してるディスペンセーションよりも、すぐれたディスペン

セーションに入っている。

  2. 23~24節

Heb 7:23 また、彼らの場合は、死ということがあるため、務めにいつまでもとどまることができず、大ぜいの者が祭司となりました。

Heb 7:24 しかし、キリストは永遠に存在されるのであって、変わることのない祭司の務めを持っておられます。

     (1)レビ的祭司たちは、期間限定の奉仕をした。

      ①死という現実があった。

      ②そのため、多くの者が祭司となった。

    (2)キリストの場合は、そうではない。

      ①キリストは、永遠に存在される。

      ②変わることのない祭司の務めを持っておられる。

   3. 25節

Heb 7:25 したがって、ご自分によって神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。キリストはいつも生きていて、彼らのために、とりなしをしておられるからです。

     (1)信仰を持ち続けるべき理由

      ①キリストは、ご自分に信頼する人々を完全に救うことができる。

      ②試練に打ち勝つ力が与えられる。

③神との完全に調和のある関係がもたらされる。

    (2)キリストは、大祭司として常に私たちのためにとりなしをしておられる。

      ①大祭司に近づくなら、信仰が守られる。

      ②大祭司に近づくなら、キリストの律法を行なうことができる。

Ⅲ.結論(26~28節)

  1. 26節

Heb 7:26 また、このようにきよく、悪も汚れもなく、罪人から離れ、また、天よりも高くされた大祭司こそ、私たちにとってまさに必要な方です。

    (1)以上の内容の適用

      ①そのご性質は、罪も汚れもない。

      ②復活後、父なる神の右の座に上げられた。

③主イエスは、私たちに必要な大祭司である。

  2. 27~28節

Heb 7:27 ほかの大祭司たちとは違い、キリストには、まず自分の罪のために、その次に、民の罪のために毎日いけにえをささげる必要はありません。というのは、キリストは自分自身をささげ、ただ一度でこのことを成し遂げられたからです。

Heb 7:28 律法は弱さを持つ人間を大祭司に立てますが、律法のあとから来た誓いのみことばは、永遠に全うされた御子を立てるのです。

    (1)キリストは、他の大祭司とは違う。

      ①自分の罪のために、また民の罪のために、毎日いけにえを捧げる必要はない。

      ②キリストは、ただ一度で、これを成し遂げられた。

        *より詳細な解説は、ヘブ9章と10章に出てくる。

    (2)律法によって立てられたレビ的祭司職は、弱さを持った人間である。

      ①しかし、キリストは神の誓いによって大祭司として立てられた。

      ②御子は、永遠に完全な指導者(大祭司)とされている。

      ③ヘブ2:10

Heb 2:10 神が多くの子たちを栄光に導くのに、彼らの救いの創始者を、多くの苦しみを通して全うされたということは、万物の存在の目的であり、また原因でもある方として、ふさわしいことであったのです。

結論:ヘブル書とロマ書の対比

  1.ヘブ7:12~13とロマ6:14

    (1)ヘブ7:12~13

Heb 7:12 祭司職が変われば、律法も必ず変わらなければなりませんが、

Heb 7:13 私たちが今まで論じて来たその方は、祭壇に仕える者を出したことのない別の部族に属しておられるのです。

    (2)ロマ6:14

Rom 6:14 というのは、罪はあなたがたを支配することがないからです。なぜなら、あなたがたは律法の下にはなく、恵みの下にあるからです。

    (3)適用

      ①ヘブル書は、祭司職が変われば、律法も必ず変わると教えている。

      ②ロマ書は、信者は律法の下にはなく、恵みの下にあると教えている。

      ③ともに、古い律法からの解放を教えている。

        *主イエスを信じながら、モーセの律法の全部、あるいは一部が有効である

かのように考えるのは、矛盾である。

      ④もしモーセの律法が有効であるなら、私たちは罪の支配下にあることになる。

        *モーセの律法(レビ的祭司職)は、私たちを罪から解放することができな

かった。

      ⑤大祭司イエスが、完全な救いをもたらしてくださった。

        *大祭司が変わったので、律法も、モーセの律法からキリストの律法へ変わ

った。

*これは、律法の時代から恵みの時代への移行である。

*恵みの時代は、聖霊の時代である。

2. ヘブ7:24~25とロマ8:34

  (1)ヘブ7:24~25

Heb 7:24 しかし、キリストは永遠に存在されるのであって、変わることのない祭司の務めを持っておられます。

Heb 7:25 したがって、ご自分によって神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。キリストはいつも生きていて、彼らのために、とりなしをしておられるからです。

    (2)ロマ8:34

Rom 8:34 罪に定めようとするのはだれですか。死んでくださった方、いや、よみがえられた方であるキリスト・イエスが、神の右の座に着き、私たちのためにとりなしていてくださるのです。

    (3)適用

      ①キリスト・イエスは、死んでくださった。

      ②よみがえられた。

      ③神の右の座(栄光の座)に着いている。

      ④私たちのために執りなしをしておられる。

        *聖霊は私たちの心に中にあって、執りなしをしておられる。

        *キリストは栄光の座で、執りなしをしておられる。

      ⑤以上のことは、ロマ6~8章のまとめである。

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