ヘブル人への手紙(15)—さらにすぐれた契約—

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イエスの祭司職は、「さらにすぐれた契約」に基づいていることを学ぶ。

「さらにすぐれた契約」

ヘブル8:1~13

1.はじめに

  (1)この手紙が書かれた理由を再確認する。

    ①信仰が後退しつつあった第2世代のメシアニック・ジューたちへの励まし

  (2)ユダヤ教の3つの柱は、天使、モーセ、レビ的祭司である。

      ①御子は、天使に勝るお方であることが証明された。

      ②御子は、モーセに勝るお方であることも証明された。

      ③御子は、アロンに勝るお方であることの証明が続いている。

    (3)ヘブ8章の要点

      ①レビ的祭司職は、シナイ契約に基づいていた。

②イエスの祭司職は、新しい契約に基づいている。

③シナイ契約は一時的なものであるが、新しい契約は永遠のものである。

④それゆえ、イエスの祭司職は、レビ的祭司職に勝るものである。

2.アウトライン

(1)すぐれた契約の仲介者イエス(1~6節)

  (2)新しい契約の優位性(7~12節)

  (3)結論(13節)

結論:

(1)古い契約

(2)新しい契約

イエスの祭司職は、「さらにすぐれた契約」に基づいていることを学ぶ。

Ⅰ. すぐれた契約の仲介者イエス(1~6節)

   1. 1~2節

Heb 8:1 以上述べたことの要点はこうです。すなわち、私たちの大祭司は天におられる大能者の御座の右に着座された方であり、

Heb 8:2 人間が設けたのではなくて、主が設けられた真実の幕屋である聖所で仕えておられる方です。

     (1)「以上述べたことの要点はこうです」

      ①この言葉によって、議論が次の段階に移行することが分かる。

      ②今まで論じてきた内容を要約し、新しいテーマに入る準備をしている。

    (2)「わたしたちにはこのような大祭司が与えられていて、」(新共同訳)

      ①「We have such a high priest, who….」(ASV)

      ②その内容は、4:16~7:28で論じられていた。

    (3)大祭司イエスの特徴

      ①イエスは、天におられる大能者の右の座に着座された。

      ②詩110:1がそれを預言していた。

Psa 110:1 【主】は、私の主に仰せられる。/「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまでは、/わたしの右の座に着いていよ。」

        *詩110の1節「私の主」と4節「メルキゼデクのような祭司」は同一人物。

      ③イエスの働きはすべて完了したので、それが可能になった。

*イエスが着座してるのは、ダビデの王座ではない。

*今イエスは、エルサレムからではなく、第三の天から支配しておられる。

④イエスが大祭司として仕えているのは、天の幕屋である。

        *それは、人間が設けた地上の幕屋ではない。

        *それは、主が設けられた幕屋である。

        *それは、真実の(真の、本物の)幕屋である。

      ⑤天の幕屋での奉仕は、地上の幕屋での奉仕よりも優れている。

        *次に、その証明がなされる。

    (4)ヘブ1:3の再確認

Heb 1:3 御子は神の栄光の輝き、また神の本質の完全な現れであり、その力あるみことばによって万物を保っておられます。また、罪のきよめを成し遂げて、すぐれて高い所の大能者の右の座に着かれました。

   2. 3~4節

Heb 8:3 すべて、大祭司は、ささげ物といけにえとをささげるために立てられます。したがって、この大祭司も何かささげる物を持っていなければなりません。

Heb 8:4 もしキリストが地上におられるのであったら、決して祭司とはなられないでしょう。律法に従ってささげ物をする人たちがいるからです。

     (1)三段論法①

      ①大前提:大祭司の職務は、ささげ物といけにえをささげることである。

      ②小前提:イエスは大祭司である。

      ③結論:イエスは、何かささげる物を持っていなければならない。

        *イエスのささげ物は、9:11~10:18で詳しく説明される。

    (2)三段論法②

      ①大前提:イエスが大祭司として仕える領域は、天上か地上である

      ②小前提:地上にはレビ的祭司がいるので、イエスが仕える領域は地上ではない。

      ③結論:イエスが仕える領域は、天上の幕屋でなければならない。

        *天上の幕屋は、9:1~10で詳しく説明される。

  3. 5節

Heb 8:5 その人たちは、天にあるものの写しと影とに仕えているのであって、それらはモーセが幕屋を建てようとしたとき、神から御告げを受けたとおりのものです。神はこう言われたのです。「よく注意しなさい。山であなたに示された型に従って、すべてのものを作りなさい。」

    (1)レビ的祭司は、天にあるものの写しと影とに仕えているのである。

      ①地上の幕屋は、天にあるものの型である。

      ②地上の幕屋は、神からモーセに示された型に従って作られた。

      ③レビ的祭司は、その幕屋で、モーセの律法に従って仕えた。

        *この書簡の執筆時点で、神殿での祭儀は継続して行なわれていた。

    (2)幕屋の建設を命じたモーセでさえ、その幕屋で祭司として奉仕ができなかった。

      ①大祭司イエスも、モーセの律法によれば、地上の幕屋で仕える資格がない。

      ②それゆえ、イエスの奉仕の場は、天の幕屋である。

    (3)地上の幕屋は、一時的な契約(シナイ契約)に基づいて建設された。

      ①地上の幕屋は、永遠の幕屋に取って代わられる必要がある。

      ②永遠の幕屋は、永遠の契約(新しい契約)に基づかなければならない。

  4. 6節

Heb 8:6 しかし今、キリストはさらにすぐれた務めを得られました。それは彼が、さらにすぐれた約束に基づいて制定された、さらにすぐれた契約の仲介者であるからです。

     (1)キリストの奉仕は、大祭司アロンよりも優れている。

      ①大祭司キリストの奉仕は、すぐれた契約に基づいている。

      ②キリストは、すぐれた契約の仲介者である。

    (2)シナイ契約の場合

      ①モーセが仲介者となった。

      ②アロンが大祭司となった。

    (3)新しい契約の場合

      ①イエスは、仲介者であり、大祭司である。

    (4)新しい契約がすぐれている理由は、すぐれた約束に基づいているからである。

      ①シナイ契約では、モーセの律法が与えられた。

        *律法への従順は、祝福をもたらした。

        *律法への不従順は、裁きを、時には死をもたらした。

      ②新しい契約は、恵みによる契約である。

        *新しい契約は、信じる者を義とすることができる。

        *キリストの律法を実行するための力を与えることができる。

    (5)キリストの大祭司職は、新しい契約に基づいている。

      ①次に、新しい契約の内容が論じられる。

Ⅱ. 新しい契約の優位性(7~12節)

   1. 7節

Heb 8:7 もしあの初めの契約が欠けのないものであったなら、後のものが必要になる余地はなかったでしょう。

    (1)初めの契約とは、シナイ契約である。

      ①それには、欠点があった。

      ②その契約は、一時的である。

      ③その契約は、人を義とすることができない。

    (2)後のものとは、新しい契約である。

      ①神は、預言者たちを通して、新しい契約を結ぶと預言しておられた。

      ②新しい契約の預言は、初めの契約が不完全であったことを証明している。

      ③旧約聖書の時代から、新しい契約が来ることが知らされていた。

  2. 8~9節

Heb 8:8 しかし、神は、それに欠けがあるとして、こう言われたのです。/「主が、言われる。/見よ。日が来る。/わたしが、イスラエルの家やユダの家と/新しい契約を結ぶ日が。

Heb 8:9 それは、わたしが彼らの父祖たちの手を引いて、/彼らをエジプトの地から導き出した日に/彼らと結んだ契約のようなものではない。/彼らがわたしの契約を守り通さないので、/わたしも、彼らを顧みなかったと、/主は言われる。

    (1)エレミヤ31:31~34の引用

      ①エレミヤは、古い契約が廃棄される日が来ることを預言していた。

      ②古い契約とは、出エジプトの時代にイスラエルの民と結んだ契約である。

      ③古い契約の上に、レビ的祭司職が乗っていた。

      ④古い契約が廃棄されたなら、レビ的祭司職も廃棄される。

    (2)8節aの訳文の比較

「しかし、神は、それに欠けがあるとして、こう言われたのです」(新改訳)

「事実、神はイスラエルの人々を非難して次のように言われています」(新共同訳)

「ところが、神は彼らを責めて言われた、」(口語訳)

「然るに彼らを咎めて言ひ給ふ」(文語訳)

       ①欠けがあったのは、モーセの律法ではなく、イスラエルの民である。

      ②イスラエルの民には、律法を行なう力がなかった。

      ③また、律法はその力を提供しなかった。

  3. 10~12節

Heb 8:10 それらの日の後、わたしが、/イスラエルの家と結ぶ契約は、これであると、/主が言われる。/わたしは、わたしの律法を彼らの思いの中に入れ、/彼らの心に書きつける。/わたしは彼らの神となり、/彼らはわたしの民となる。

Heb 8:11 また彼らが、おのおのその町の者に、/また、おのおのその兄弟に教えて、/『主を知れ』と言うことは決してない。/小さい者から大きい者に至るまで、/彼らはみな、わたしを知るようになるからである。

Heb 8:12 なぜなら、わたしは彼らの不義にあわれみをかけ、/もはや、彼らの罪を思い出さないからである。」

    (1)新しい契約は、神がイスラエルの家と結ぶ契約である。

      ①エレミヤ書では、「イスラエルの家とユダの家」とある。

      ②新しい契約は、神が教会と結んだものではない。

      ③新しい契約は、アブラハム契約の祝福をイスラエルの民に提供するものである。

      ④異邦人信者は、新しい契約に接ぎ木されたのである。

    (2)新しい契約には、古い契約にない力がある。

      ①罪の赦し

      ②内面の変化(心に律法が記される)

      ③神との新しい関係

Ⅲ.結論(13節)

1. 13節

Heb 8:13 神が新しい契約と言われたときには、初めのものを古いとされたのです。年を経て古びたものは、すぐに消えて行きます。

    (1)エレミヤが新しい契約を預言した瞬間に、初めのものは古い契約となった。

      ①古い契約は、一時的なものであることが明確になった。

      ②古い契約は、すぐに消えて行く。

      ③「古い」「古びる」

        *「アーカイオス」:時間的古さ

        *「パレイオス」:機能的古さ

        *ここでは、「パレイオオウ」(動詞)が使われている。

    (2)イエスが死んだ瞬間に、古い契約は消え去った。

結論:

  1. 古い契約

    (1)シナイ契約(モーセ契約)

    (2)神とイスラエルの民の契約

      ①仲介者は、モーセである。

    (3)この契約の条項は、モーセの律法である。

      ①モーセの律法自体には問題はない。

      ②問題は、イスラエルの民にあった。

      ③ロマ7:12~13

Rom 7:12 ですから、律法は聖なるものであり、戒めも聖であり、正しく、また良いものなのです。

Rom 7:13 では、この良いものが、私に死をもたらしたのでしょうか。絶対にそんなことはありません。それはむしろ、罪なのです。罪は、この良いもので私に死をもたらすことによって、罪として明らかにされ、戒めによって、極度に罪深いものとなりました。

    (4)律法は、イスラエルの民をキリストに導く養育係になった(ガラ3:19~29)。

(5)この契約の中心的要素は、血のいけにえである。

      ①レビ17:11

Lev 17:11 なぜなら、肉のいのちは血の中にあるからである。わたしはあなたがたのいのちを祭壇の上で贖うために、これをあなたがたに与えた。いのちとして贖いをするのは血である。

(6)神は、イスラエルの民が失敗することを知っておられた。

      ①しかし、神は彼らを見捨てない。

      ②その約束が、新しい契約である。

  2. 新しい契約

    (1)神とイスラエルの2つの家の契約

      ①仲介者は、イエスである。

    (2)イスラエルの霊的回復が約束されている。

    (3)古い契約ができなかったことを実現する契約である。

      ①イスラエルの罪を取り去る。

      ②聖霊が内住される。

      ③メシアの律法を実行する力が与えられる。

    (4)異邦人信者は、新しい契約に接ぎ木された。

    (5)教会は、ユダヤ人信者と異邦人信者から成る「新しいひとりの人」である。

    (6)新しい契約は、無条件契約であり、今も有効である。

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