創世記(45)—ヤコブ一家の逃亡—

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このメッセージでは...

神の祝福から離れることの愚かさを学ぶ。

創世記45 創世記31章17節~55節

「ヤコブ一家の逃亡」

イントロ:

1.ヤコブの一家が、パダン・アラムから逃亡しようとしている。

(1)20年間そこで働いた。

2.カナン帰還は、神の時に行われている。

(1)ヤコブ自身の思い(郷愁)

(2)ラバンとその息子たちとの関係の悪化

(3)神からの語りかけ

(4)妻たちの同意

3.きょうの箇所

(1)ヤコブ一家の逃亡

(2)ラバンの追跡

(3)ヤコブとラバンの対決

(4)ギルアデの契約

4.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。

(1)個人への適用:私は祝福から離れていないか。

(2)教会への適用:今のキリスト教は祝福から離れていないか。

このメッセージは、神の祝福から離れることの愚かさを学ぼうとするものである。

Ⅰ.ヤコブの一家の逃亡(31:17~21)

 
「そこでヤコブは立って、彼の子たち、妻たちをらくだに乗せ、また、すべての家畜と、彼が得たすべての財産、彼がパダン・アラムで自分自身のものとした家畜を追って、カナンの地にいる父イサクのところへ出かけた」

1.ヤコブが持って行ったもの。ラバンから盗んだものではない。

(1)子たち

(2)妻たち

(3)彼が得たすべての財産(ヤコブは商人でもあった)

(4)自分自身のものとした家畜

2.行先は、カナンの地にいる父イサクのところ。

3.状況

(1)「そのとき、ラバンは自分の羊の毛を刈るために出ていたので、」

①つまり、ラバンはその近辺にはいなかった。

(2)「ラケルは父の所有のテラフィムを盗み出した」

①テラフィムとは、小さな偶像(複数形。家族の守り神)。

②ラケルが偶像礼拝者であったわけではない。

③ハムラブ法典:テラフィムを所有している者が相続権を主張できる。

(3)ラケルがテラフィムを盗んだのは、父ラバンの財産をヤコブに与えるため。

①盗むことができる神とは、どういう神なのか。

②ラケルは、神を盗むという罪を犯した。

(4)ヤコブは、ラバンに内緒で逃れた。

①ユーフラテス川を渡り、ギルアデの山地に向かった。

②ヨルダン川の東にある高原、カナンの地に入る前に通る最後の場所

Ⅱ.ラバンの追跡(31:22~24)

1.「三日目に、ヤコブが逃げたことがラバンに知らされた」

(1)これは、ラバンがふたつの群れの間に三日の距離に置いていたから。

2.ラバンは、身内の者たちを率いて、7日の道のりを追って行った。

(1)ギルアデの山地で、先を行くヤコブの一行に追いついた。

(2)ヤコブが発ってから、13日目のことである。距離は、約600キロ。

(3)ヤコブは、家族と家畜の大群を率いていたので、進む速度が遅かった。

(4)ラバンは、パロがイスラエル人を追いかけたのと同じことをしている。

①奴隷状態に引き戻そうとした。

3.「しかし神は夜、夢にアラム人ラバンに現れて言われた。『あなたはヤコブと、事の善悪を論じないように気をつけよ』」

(1)創20:3では、神はアビメレクに夢の中で現れた。

(2)神は未信者の夢の中で現れ、族長を攻撃してはならないとの警告を与えた。

(3)「事の善悪を論じないように気をつけよ」:中立でいるように、非難しないように。

(4)つまり、ヤコブをパラン・アラムに戻そうと説得しないように。

4.ヤコブがギレアデの山地に天幕を張っているのを見て、ラバンもそこに天幕を張った。

Ⅲ.ヤコブとラバンの対決(31:26~42)

1.ラバンの不満

「何ということをしたのか。私にないしょで私の娘たちを剣で捕らえたとりこのように引いて行くとは。…あなたは全く愚かなことをしたものだ」

(1)内緒で逃げたことを非難

(2)送別の宴会ができなかったことを非難

(3)口づけができなかったことを非難

(4)結論:「あなたは全く愚かなことをしたものだ」

2.神からの語りかけ

「私はあなたがたに害を加える力を持っているが、昨夜、あなたがたの父の神が私に告げて、『あなたはヤコブと、事の善悪を論じないように気をつけよ』と言われた。それはそうと、あなたは、あなたの父の家がほんとうに恋しくなって、どうしても帰って行きたくなったのであろうが、なぜ、私の神々を盗んだのか」

(1)ラバンの願望:「私はあなたがたに害を加える力を持っている」

(2)神の介入があった。

①ラバンにとっては、ヤハウェなる神、「アブラハム、イサク、ヤコブの神」は、

たくさんいる中のひとつの神であり、彼の神ではない。

②神が現れ、ヤコブをパダン・アラムに帰るように説得してはならないと告げた。

(3)ヤコブの気持ちを容認する。

①父の家が恋しくなって、帰りたくなったのであろう。

②これは真実ではない。ラバンが正直ではないので、ヤコブは去ろうとしている。

(4)ラバンが一番言いたかったこと。「なぜ、私の神々を盗んだのか」

①ラバンは、多神教を信じる偶像礼拝者である。

②ヤコブが将来、ラバンの家の神々を持って戻って来るのを恐れた。

③しかし、ヤコブはテラフィムについては全く知らなかった。

2.ヤコブの応答

(1)「あなたの娘たちをあなたが私から奪い取りはしないかと思って、恐れた」

①ヤコブはラバンを全く信用していなかった。

(2)「あなたが、あなたの神々をだれかのところで見つけたなら、その者を生かしてはおきません。私たちの一族の前で、私のところに、あなたのものがあったら、

調べて、それを持って行ってください」

①ヤコブは、ラケルがテラフィムを盗んだのを知らなかった。

②この誓いによって、ラケルが殺される可能性が出てきた。

3.ラバンの捜し物

(1)「そこでラバンはヤコブの天幕と、レアの天幕と、さらにふたりのはしための天幕にも入って見たが、見つからなかったので、レアの天幕を出てラケルの天幕に入った」

①最後に残ったのは、ラケルの天幕だけである。

②ラバンが自分の娘を殺さないという保証はない。

(2)「ところが、ラケルはすでにテラフィムを取って、らくだの鞍の下に入れ、その上にすわっていたので、ラバンが天幕を隅々まで捜し回っても見つからなかった」

①残されているのは、らくだの鞍の下だけである。

②ラケルが立ち上がらない限り、鞍の下を見ることはできない。

(3)「父上。私はあなたの前に立ち上がることができませんので、どうかおこらないでください。私には女の常のことがあるのです」

①月のものによる痛みがあるので、立ち上がれないというのである。

②その期間、女は立ち上がらなくてもよいというのが、この地の習慣である。

③もし本当なら、テラフィムはその血に触れたので、汚れたものとなっている。

④これは、恐らく嘘であろう。

(4)ラバンはかつてその地の習慣を使って、ヤコブを騙した(29:26)。

①今彼は、その地の習慣によって欺かれている。

②呪いには、同じ種類の呪いが返って来る。

(5)ラバンは、テラフィムを見つけることができなかった。

4.ヤコブの怒りに満ちた応答

(1)盗んだという証拠があるなら、それを見せて欲しい。

①証人がこんなにいる。

(2)ヤコブは自分の過去の行為を振り返っている。

「私はこの二十年間、あなたといっしょにいましたが、あなたの雌羊も雌やぎも流産したことはなく、あなたの群れの雄羊も私は食べたことはありませんでした。野獣に裂かれたものは、あなたのもとへ持って行かないで、私が罪を負いました。あなたは私に責任を負わせました。昼盗まれたものにも、夜盗まれたものにも。私は昼は暑さに、夜は寒さに悩まされて、眠ることもできない有様でした」

①あなたの雌羊も雌やぎも流産したことはなく

②あなたの群れの雄羊も私は食べたことはありません。

*当時の羊飼いたちがよく行っていた行為

③野獣に裂かれたものは、あなたのもとへ持って行かないで私が罪を負いました。

*持っていけば、責任はない。

④あなたは私に責任を負わせました。昼盗まれたものにも、夜盗まれたものにも。

⑤私は昼は暑さに、夜は寒さに悩まされて、眠ることもできない有様でした。

(3)以上から、羊飼いの生活の厳しさがよく分かる。

(4)ハムラビ法典の規定

①羊飼いは、預かった頭数の受領書を出す。

②妥当な頭数の増加を達成する義務がある。

③何頭かは自分の食用にすることが許されていた。

④ライオンや、落雷などで死んだものは、免責となる。

⑤しかし、不注意で死なせた場合は、10倍にして弁済する責任があった。

(5)ヤコブは、法律で保障されていた権利を行使しなかった。

(6)ラバンの不誠実を指摘

「私はこの二十年間、あなたの家で過ごしました。十四年間はあなたのふたりの娘たちのために、六年間はあなたの群れのために、あなたに仕えてきました。それなのに、あなたは幾度も私の報酬を変えたのです」

①14年間はふたりの娘のために。最初は、ラケルのために7年間の約束であった。

②6年間はラバンの群れのために、ラバンに仕えた。

③「しかも、あなたはわたしの報酬を十回も変えました。」(新共同訳)

(7)神の介入

「もし、私の父の神、アブラハムの神、イサクの恐れる方が、私についておられなかったなら、あなたはきっと何も持たせずに私を去らせたことでしょう。神は私の悩みとこの手の苦労とを顧みられて、昨夜さばきをなさったのです」

①もし神の介入がなかったら、ヤコブは来た時のままで去っていたことであろう。

②神の御名:「イサクの恐れる方」は、ここと31:53にだけ出てくる。

Ⅳ.ギルアデの契約(31:43~55)

1.ラバンの虚勢(はったり)

「ラバンは答えてヤコブに言った。『娘たちは私の娘、子どもたちは私の子ども、群れは私の群れ、すべてあなたが見るものは私のもの。この私の娘たちのために、または娘たちが産んだ子どもたちのために、きょう、私は何ができよう』」

(1)所有権の主張

(2)力の主張:できるが、しようとは思わない。

①しかし彼は、神の命令によって、それができないことを知っていた。

2.ラバンの提案

「さあ、今、私とあなたと契約を結び、それを私とあなたとの間の証拠としよう」

(1)互いに傷つけ合わないように、契約を結ぼう。

(2)証しとなるものを立てる。

3.ヤコブの同意

 「そこで、ヤコブは石を取り、これを立てて石の柱とした。ヤコブは自分の一族に言った。『石を集めなさい』。そこで彼らは石を取り、石塚を作った。こうして彼らは石塚のそばで食事をした」

(1)契約の締結

①石の柱(マツェイヴァ)

②石塚(ガル)

③契約の食事をした。

(2)場所に名前を付ける。

「ラバンはそれをエガル・サハドタと名づけたが、ヤコブはこれをガルエデと名づけた」

①「エガル・サハ・ドタ」(アラム語)

②「ガルエデ」(エデは、証し)

③ともに、「証しの塚」という意味である。

(3)ラバンが名前の意味を解説。

「この石塚は、きょう私とあなたとの間の証拠である」

(4)さらに、もう一つの名が与えられた。

「またそれはミツパとも呼ばれた。彼がこう言ったからである。『われわれが互いに目が届かない所にいるとき、【主】が私とあなたとの間の見張りをされるように』」

①ミツパとは、見張りの塔という意味である。

②この言葉は、警告の言葉である。

③互いに信頼し合っていない者同士の契約には、警告が必要となる。

④石の柱と石塚とは、境界線となる。

⑤互いにその境界線を越えないという約束。

⑥ラバンは、ヤコブがテラフィム持参で帰還し、財産を要求することを恐れた。

4.ラバンの脅し

「もしあなたが私の娘たちをひどいめに会わせたり、もし娘たちのほかに妻をめとったりするなら、われわれのところにだれもいなくても、神が私とあなたとの間の証人であることをわきまえていなさい」

(1)ヤコブがラバンの娘たちを虐待した場合

(2)ほかに妻をめとった場合

(3)人間の証人がいなくても、神が証人である。

5.神の御名によって契約が結ばれる。

「どうかアブラハムの神、ナホルの神──彼らの父祖の神──が、われわれの間をさばかれますように」

(1)ナホルは偶像礼拝者であったが「アブラハムの神、ナホルの神」となっている。

(2)「ヤコブも父イサクの恐れる方にかけて誓った」

①ヤコブがこの境界線を越えると、テラフィムの法的効力はなくなる。

④ヤコブは、ラケルがテラフィムを盗んだことを知らない。

⑤従って、彼には関係のないことである。

6.契約の食事

「そうしてヤコブは山でいけにえをささげ、一族を招いて食事を共にした。食事をしてから彼らは山で一夜を明かした」

(1)これは、子どもたちも食する契約の食事である。

(2)この契約の効力は、子どもたちにも及ぶ。

(3)ヤコブの子どもたちは、パダン・アラムに嫁を探しにいくことはなくなった。

7.別離

「翌朝早く、ラバンは子どもたちと娘たちに口づけして、彼らを祝福した。それからラバンは去って、自分の家へ帰った」

(1)ヘブル語聖書では、32:1になっている。

(2)ラバンは、ヤコブを無視している。29:13とは大違いである。

「ラバンは、妹の子ヤコブのことを聞くとすぐ、彼を迎えに走って行き、彼を抱いて、口づけした。そして彼を自分の家に連れて来た」

(3)これ以降、パダン・アラムの家族の記録は聖書から消え去る。

結論

1.
個人への適用:私は祝福から離れていないか。

(1)今までに、ロトの例を見てきた。

(2)富める青年(マタ19:16~22)


「もし、あなたが完全になりたいなら、帰って、あなたの持ち物を売り払って貧しい人たちに与えなさい。そうすれば、あなたは天に宝を積むことになります。そのうえで、わたしについて来なさい」。ところが、青年はこのことばを聞くと、悲しんで去って行った。この人は多くの財産を持っていたからである。

(3)最初から救われていない人(マタ7:21)


「わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う者がみな天の御国に入るのではなく、天におられるわたしの父のみこころを行う者が入るのです」

2.教会への適用:今のキリスト教は祝福から離れていないか。

(1)アブラハム契約の祝福

(2)異邦人は、その祝福に接木された。

(3)根なし草のキリスト教には、困難を乗り越える力がない。

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