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創世記(39)—イサクの歴史—
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危機の時代を乗り切る原則について学ぶ。
創世記39 創世記26章1節~33節
「イサクの歴史」
イントロ:
1.創世記の第8のトルドットは、創25:19~35:29。「イサクの歴史」
2.イサクが主役になるのは、創世記26章だけである。
(1)創世記25章 アブラハムの死とヤコブの紹介
(2)創世記27章 ヤコブの物語
(3)26章の前はアブラハムの息子、26章の後はヤコブの父として紹介される。
3.イサクが一番長寿であった(180歳)が、記録は最も少ない。
(1)アブラハムは175歳。
(2)ヤコブは147歳(創47:28)。
4.どちらかと言うと、受身の人物(1人のアブラハム、100人のイサク)
(1)テレビ番組のゲストにはなりにくい人物。信仰の質は別問題。
(2)その生涯のほとんどの期間を、ネゲブ砂漠で過ごした。
(3)アブラハムとヤコブの橋渡し
5.重要なのは、この章にアブラハム契約の再確認が2度出てくること。
(1)アブラハムは8人の子を得たが、イサクがアブラハム契約の継承者となった。
6.きょうの箇所とメッセージのアウトライン
(1)アブラハム契約の再確認
(2)アビメレクとの関係
(3)井戸をめぐる争い
(4)神からの祝福
7.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)人生の危機管理
(2)臨機応変に対応すべきことと、曲げてはならない原則
(3)偉大なる楽天主義
このメッセージは、危機の時代を乗り切る原則について学ぼうとするものである。
Ⅰ.アブラハム契約の再確認(26:1~5)
1.「さて、アブラハムの時代にあった先のききんとは別に、この国にまたききんがあった」
(1)創12:10に記録されたききんとは別のもの。
(2)この時アブラハムは、エジプトに下る決心をした。
(3)イサクは、ゲラルのペリシテ人の王アビメレクのところへ行った。
(4)つまり、そこを経由して、エジプトに下ることを考えたのである。
2.アビメレクは、すでに創20章、21:22~34に出てきたが、そのアビメレクとは違う。
(1)アビメレクという名称は、ゲラルの王の称号である。エジプトのパロと同じ。
(2)「ペリシテ人の王アビメレク」とあるが、当時ペリシテ人はその地にいない。
①歴史を先取りした表現。後にペリシテ人が住むようになる地という意味。
②ゲラルは、ペリシテ人の都市になる。
③アビメレクというのがペリシテ人の王の称号となる。
④Ⅰサム21:10~15 ガテの王アキシュ(ペリシテ人の王のひとり)
⑤詩34の前書き
「ダビデがアビメレクの前で気が違ったかのようにふるまい、彼に追われて去っ
たとき」
3.ゲラルは、創20:1でアブラハムが行った場所と同じ。
(1)ゲラルは、約束の地の内側にある都市国家である。
(2)イサクはまだ約束の地を去っていない。エジプト行きを考えている段階。
4.神の顕現
「【主】はイサクに現れて仰せられた」
(1)イサクへの初めての顕現。目に見える形での現れ。
(2)アブラハム契約の再確認の最初のもの。
(3)「エジプトへは下るな。わたしがあなたに示す地に住みなさい」
①禁止命令:エジプトへは下さるな。アブラハムがしたことをまねてはいけない。
②命令:約束の地に住め。約束の地から離れてはならない。
(4)創12:1でアブラハムは「わたしが示す地へ行きなさい」という命令を受けた。
(5)ここでイサクは、「わたしがあなたに示す地に住みなさい」という命令を受けた。
①すでにイサクは、その地に住んでいた。
5.アブラハム契約の条項が語られる。
(1)個人的祝福を受けるための土台
「あなたはこの地に、滞在しなさい」(新改訳)
「あなたがこの土地に寄留するならば」(新共同訳)
(2)イサクは約束の地の内側にとどまっていた。
6.神は7つの条項を具体的に列挙された。
(1)わたしはあなたとともにいて
約束の地から出ることは、神の臨在から離れること。
(2)あなたを祝福しよう。
(3)これらの国々をすべて、あなたとあなたの子孫に与える。
①「国々」:少なくとも10のカナン人の部族によって支配されていた。
②都市国家は、それ以上の数存在していた。
③イサク個人と、その子孫への約束
④アブラハムに個人的に2度約束されたことが、イサクにも約束された。
(4)こうしてわたしは、あなたの父アブラハムに誓った誓いを果たすのだ。
①この誓いは、創22:16~18に記録されている。
②アブラハム契約は、アブラハムの8人の息子の中のイサクだけに継承される。
(5)あなたの子孫を空の星のように増し加え
(6)あなたの子孫に、これらの国々をみな与えよう。
①ここでも、「国々」となっている。
(7)こうして地のすべての国々は、あなたの子孫によって祝福される。
①創12章、22章でアブラハムに約束されたことが、イサクにも約束された。
②いつか、霊的祝福がイサクの子孫(種)を通して異邦人に流れていく。
7.祝福の理由
「これはアブラハムがわたしの声に聞き従い、わたしの戒めと命令とおきてとおしえを守
ったからである」
(1)アブラハムは、恵みにより、信仰によって救われた(創15:6)。
(2)彼は、その信仰を行動で表した。
(3)「戒めとおきてとおしえ」:モーセの律法はまだ与えられていない。
(4)アブラハム契約のもとで知られていた「神の命令」のことである。
Ⅱ.アビメレクとの関係(26:6~11)
1.「そこで、イサクはゲラルに住んだ」
(1)主の命令に忠実に従った。ゲラルは約束の地の内側にある。
(2)ベエル・シェバやベエル・ラハイ・ロイに戻る必要はない。
2.イサクは父と同じ罪を犯す。
(1)妻を自分の妹だと言った。
(2)アブラハムの場合は、半分嘘で半分本当。
(3)イサクの場合は、真っ赤な嘘。
(4)嘘の原因は、恐れである。
「リベカが美しかったので、リベカのことでこの土地の人々が自分を殺しはしないか
と思ったからである」
(5)創世記には、妻を妹と偽る事例が3度出てくる。創12章、20章、26章。
3.発覚の経緯
(1)かなりの時間の経過がある。嘘が長い間ばれなかった。
(2)「ペリシテ人の王アビメレクが窓から見おろしていると、なんと、イサクがその
妻のリベカを愛撫しているのが見えた」
「あるとき、ペリシテ人の王アビメレクが窓から下を眺めると、イサクが妻のリベカ
と戯れていた」(新共同訳)
(3)イサクと「メツァヘック」に言葉遊びがある。
「イサクが妻のリベカをイサクっていた」
(4)イシュマエルは、創21:9でイサクをからかった。「メツァヘック」である。
(5)「メツァヘック」は、否定的にも、肯定的にも用いられる言葉である。
4.アビメレクの追求と、イサクの言い訳
(1)アビメレクは、イサクの嘘がいかに危険なことであるかを指摘した。
「何ということをしてくれたのだ。もう少しで、民のひとりがあなたの妻と寝て、あ
なたはわれわれに罪を負わせるところだった」
(2)創20:1~18が、民族の記憶として残っていたのであろう。
(3)イサクは言い訳をしている。
5.アビメレクの勅令
「この人と、この人の妻に触れる者は、必ず殺される。」
「この人、またはその妻に危害を加える者は、必ず死刑に処せられる。」(新共同訳)
(1)死刑は、カナン人の法律としては極めて厳しいものである。
(2)創20章の事件が、民族の記憶に残っている。
(3)イサクの偉大さが認められていた。彼を呪うことは、自分が呪われることである。
Ⅲ.井戸をめぐる争い
1.イサクの富
(1)農業における祝福
「イサクはその地に種を蒔き、その年に百倍の収穫を見た。【主】が彼を祝福してくだ
さったのである」
①農業は、新しい試みである。これまでは、遊牧民。
②神がともにいるという約束は、成就した。
③ききんにもかかわらず、100倍の収穫があった。
④神の祝福の結果である。
(2)個人的繁栄
「こうして、この人は富み、ますます栄えて、非常に裕福になった」
①グレイト、グレイター、グレイテスト
(3)富
「彼が羊の群れや、牛の群れ、それに多くのしもべたちを持つようになったので」
2.結果として、「ペリシテ人は彼をねたんだ」
「それでペリシテ人は、イサクの父アブラハムの時代に、父のしもべたちが掘ったすべて
の井戸に土を満たしてこれをふさいだ」
(1)ききんという背景のもとで、命の源が断たれた。
3.アビメレクは、イサクにその地を去るように要請した。
「あなたは、われわれよりはるかに強くなったから、われわれのところから出て行ってく
れ」
(1)イサクは争うのではなく、その地を去ることにした。
「イサクはそこを去って、ゲラルの谷間に天幕を張り、そこに住んだ。」
(2)「ゲラルの谷間」とは、ワジ・ゲラルである。
(3)約束の地の所有権を約束されたイサクが、その地を去って放浪するのである。
(4)この約束の成就は、まだ先のことである。
4.井戸掘り
「イサクは、彼の父アブラハムの時代に掘ってあった井戸を、再び掘った。それらはペリ
シテ人がアブラハムの死後、ふさいでいたものである。イサクは、父がそれらにつけてい
た名と同じ名をそれらにつけた」
(1)イサクは、父がつけた名を覚えていた。
(2)3つの井戸
①最初の井戸をワジで掘った。
*そこをエセクと名づけた(争う)。
②次の井戸を掘ったが、そこでも争いが起こった。
*そこをシテナ(シトナ)と名づけた(敵意)。
*「シッツナー」とは「サタン」(ヨブ1:6)と同じ語源。
③3番目の井戸を掘った。
*そこをレホボテと名づけた(広い場所の複数形)。
5.イサクの結論
「今や、【主】は私たちに広い所を与えて、私たちがこの地でふえるようにしてくださった」
Ⅳ.神からの祝福
1.ベエル・シェバに寄留
(1)2度目のアブラハム契約の再確認
①ベエル・シェバに到着した夜
②イサクは、それに応答して祭壇を築いた。
③「主の御名によって祈った」とは、公の礼拝をしたという意味。
(2)「彼はそこに天幕を張り、イサクのしもべらは、そこに井戸を掘った」
①相当期間、そこに寄留したということ。
2.アビメレクとの契約
(1)アブラハムがアビメレクと契約を結んだのと同じ。
(2)同じアビメレクではない。
(3)3人で来たことは、彼らがイサクを恐れていたことを示している。
「そのころ、アビメレクは友人のアフザテとその将軍ピコルと、ゲラルからイサクの
ところにやって来た」
(4)イサクは、自分を追い出しておいて、なぜ今になって訪ねてきたのかと問う。
(5)彼らは、イサクが主に祝福されているのを見て、イサクを恐れた。
(6)不可侵条約の締結を求めている。
(7)契約の食事と誓約
「次の朝早く、互いに誓いを交わした後、イサクは彼らを送り出し、彼らは安らかに
去って行った。」(新共同訳)
(8)彼らは、平和のうちに去って行った。
3.新しい井戸
(1)「ちょうどその日」 契約を結んだ日
(2)イサクのしもべたちが、新しい井戸を掘り当てた。
「わたしたちは水を見つけました」
①それまでは、水を買っていたか、遠距離を移動していたのであろう。
(3)命名
「そこで彼は、その井戸をシブアと呼んだ。それゆえ、その町の名は、今日に至るま
で、ベエル・シェバという」
①創21章 7頭の雌の子羊 数字の「7」に強調点がある。
②創26章 「誓い」に強調点がある。
結論
1.
人生の危機管理
(1)一喜一憂しない。
(2)争わない。
(3)一つの扉が閉ざされたなら、別の扉が開く。
2.臨機応変に対応すべきことと、曲げてはならない原則
(1)約束の地に留まる。神の臨在に留まる。
(2)これは、アブラハム契約を信じることである。
(3)新約時代のクリスチャンは、イエス・キリストを通した契約を信じること。
3.偉大なる楽天主義
(1)人生は、もともと自分が考えた通りにならない。
(2)ユダヤ人の楽天主義から学ぶ。
(3)ロマ8:28の原則
(4)詩篇23:5の祝福
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