私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
創世記(15)—洪水の終わり—
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大洪水物語を通して、クリスチャン生活の本質を明らかにする。
創世記15 創世記8章1節~22節
「洪水の終わり」
イントロ:
1.前回までの復習
(1)第3の区分(トルドット)「これはノアの歴史である」
(2)このトルドットの構造:antithetical parallelism 対照対句法がある。
A 6:11~13 神は人類を滅ぼすことを決意する。
B 6:14~22 ノアは箱舟を造る。
C 7:1~9 神は箱舟に入るように命じる。
D 7:10~16 洪水が始まる。
E 7:17~24 洪水が150日続く。山々が水で覆われる。
F 8:1a 神はノアを覚えておられた。
E 8:1b~5 洪水が150日後に引いていく。山々が現れる。
D 8:6~14 地は乾き始める。
C 8:15~19 神は箱舟から出るように命じる。
B 8:20 ノアは祭壇を築く。
A 8:21~22 神は人類を滅ぼさないことに決める。
2.メッセージのアウトライン
(1)神はノアを覚えておられた。
(2)洪水が150日後に引いていく。山々が現れる。
(3)地は乾き始める。
(4)神は箱舟から出るように命じる。
(5)ノアは祭壇を築く。
(6)神は人類を滅ぼさないことに決める。
3.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)神の守りの確実性
(2)信仰と努力のバランス
(3)神のジレンマ(十字架の必然性)
このメッセージは、大洪水物語を通して、クリスチャン生活の本質を明らかにしようとするものである。
Ⅰ.F 8:1a 神はノアを覚えておられた。
1.「心に留める(覚えている)」の意味
(1)「忘れていない」ということではない。
(2)心に留めている対象に対する「行動」を指す言葉である。
2.他の聖句の例
(1)創19:2 「神はアブラハムを覚えておられた」:ロトの救出についての言及
(2)出2:24 「神は彼らの嘆きを聞かれ、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた」:イスラエルの民の救出についての言及
(3)エレ2:2 「さあ、行って、主はこう仰せられると言って、エルサレムの人々の耳に呼ばわれ。わたしは、あなたの若かったころの誠実、婚約時代の愛、荒野の種も蒔かれていない地でのわたしへの従順を覚えている」:エルサレムの救出についての言及
(4)エレ31:20 「エフライムは、わたしの大事な子なのだろうか。それとも、喜びの子なのだろうか。わたしは彼のことを語るたびに、いつも必ず彼のことを思い出す。それゆえ、わたしのはらわたは彼のためにわななき、わたしは彼をあわれまずにはいられない。──【主】の御告げ──」:エフライムに差し出された神の恵みについての言及
(5)ルカ1:54~55 「主はそのあわれみをいつまでも忘れないで、そのしもべイスラエルをお助けになりました。私たちの父祖たち、アブラハムとその子孫に語られたとおりです」:メシアをイスラエルの民に送るという約束についての言及
3.契約関係を示す言葉
(1)「心に留める(覚える)」という言葉は、契約関係を前提として語られる言葉。
(2)この時点では、ノア契約はまだ結ばれていない。
(3)その預言は創6:18にある。「しかし、わたしは、あなたと契約を結ぼう」
(4)神はノア契約のゆえに、箱舟の中にいた人間と動物を守るために行動を起こされた。(5)私たちはイエス・キリストにあって神と契約関係に入った。
(6)それゆえ、神は私たちに「心に留め(覚え)」てくださる。
Ⅱ.E 8:1b~5 洪水が150日後に引いていく。山々が現れる。
1. 地から水が引き始める。
(1)神が風を使ってそうなさった。
2. 8章1節の内容は、創世記1:2とよく似ている。
(1)創世記8章は、創世記1章~2章に記された「天地創造のテーマ」の再現である。
(2)渇いた土地が現れ、そこに植物が生長するというテーマ
3.2節では、地下の水源が閉ざされ、天からの雨がとどめられている。
4.3節では、水はしだいに地から引いている。
(1)具体的には、150日の終わりに減り始めた。
(2)水が蒸発によって減り始めた。
5.4節では、箱舟はアララテ山の上にとどまった。
(1)第7の月の17日
(2)水位が相当下がった。
(3)アララテ山の標高は、5000メートル以上もある。
(4)山頂にとどまったと考えなくてもよい。
6.5節では、水は第10の月まで、ますます減り続けた。
(1)第10の月の1日に、山々の頂が現れた。
(2)最初は高い山々が、次に低い山々が姿を現している。
Ⅲ.D 8:6~14 地は乾き始める。
1. ノアは、40日の終わりになって、箱舟の窓を開き、烏を放った。
(1)150日から数えて、40日後。
(2)烏は黒い色をした野鳥で、聖書では「きよくない鳥(汚れた鳥)」に分類されている。
①レビ11:15、申命記14:14など参照。
②ルカ12:24では、烏は神によって養われている。
③Ⅰ列17:6では、烏がエリヤに食物を運んでいる。
2.「するとそれは、水が地からかわききるまで、出たり、戻ったりしていた」(新改訳)
(1)烏は、水の上に浮かんだ動物の死骸を食べて生きることができた。
(2)洪水の後なので、あちこちに動物の死骸が漂っていた。
(3)従って、箱舟に帰って来る必要はなかった。
(4)烏は、動物の死体の上に留まり、あちこち飛び回った。
3.鳩を放った。
(1)鳩は白い色をした飼育可能な鳥で、聖書では「きよい鳥」に鳥に分類されている。
(2)鳩は、積極的なイメージを表現するために用いられている。
①若い時の目の美しさ(雅歌1:15、4:1、5:12)
②愛の象徴(雅歌2:14、5:2、6:9)
③長距離を飛ぶ鳥(詩篇55:6、イザヤ60:8、ホセア11:11)
(3)ノアの行動
①これまでノアは、神の啓示によって行動してきた。
②ここでは神からの語りかけがないので、普通の方法で状況を確かめようとした。
③神の啓示を通し、また、人間の方法を通して状況判断をするというバランス。
(4)鳩は、水の上に浮かんだ動物の死骸を食べて生きることはできない。
(5)また、烏のように頂上を好むのではなく、谷に生息することを好む。
(6)鳩が帰って来たことは、まだ水が地表を覆っていたことを示している。
4.2度目に放った鳩
(1)7日待って
(2)オリーブの若葉をくわえて帰って来た。
(3)高地には水がなくなっていることが分かった。
5.3度目に放った鳩
(1)なお7日待って
(2)鳩は戻って来なかった。
(3)谷間の地区も乾いた。
6.地は乾いた。
(1)ノアの生涯の601年の第1の月の1日
(2)箱舟のおおいを取り去り、外をながめると、地の面は乾いていた。
①おおいとは、箱舟の上にかぶせたものであろう。
②それでもノアは、さらに57日を箱舟の中で過ごし、神のことばを待った。
③第2の月の27日、地は渇き切った。
(3)ノアが箱舟の中にいた期間は、371日、ちょうど53週だった。
7.私たちへの教訓
(1)神の啓示と、自分の判断とのバランス
(2)肝心な点においては神の指示を待つ。
Ⅳ.C 8:15~19 神は箱舟から出るように命じる。
1. 神の命令とノアの従順
(1)箱舟に入れと神が言われた時、ノアはそれに従った(6:18)
(2)今度は、箱舟から出よとの命令が下り、ノアはその命令にも従った。
2.ノアの家族、そして箱舟にいた鳥や家畜、地をはうものなどが出て来た。
(1)大洪水を生き延びたこの少数の人々と生き物の群には、新しい使命が与えられた。
(2)彼らは、新しくなった地に満ちるようにとの命令を受けた。
「…それらが地に群がり、地の上で生み、そしてふえるようにしなさい」
2. 大洪水は、バプテスマの型である。
(1)Ⅰペテロ3:20~21
「…わずか八人の人々が、この箱舟の中で、水を通って救われたのです。そのことは、今あなたがたを救うバプテスマをあらかじめ示した型なのです」
(2)私たちも、バプテスマという儀式を通過し、霊的に増え広がるように期待されている。
Ⅴ.B 8:20 ノアは祭壇を築く。
1. 箱舟を出たノアが最初にしたことは、主を礼拝すること。
2. 彼は、祭壇を築いた。
(1)「祭壇」という言葉が初めて登場する。
(2)神の臨在が現れていたエデンの園は、洪水で滅びた。
(3)神の臨在に出会う場として、また犠牲を捧げる場として、祭壇が必要になった。
3.すべてのきよい動物や鳥のうちから取り、祭壇の上で全焼のいけにえとして捧げた。
Ⅵ.A 8:21~22 神は人類を滅ぼさないことに決める。
1. 主は、再びこの地をのろうことはすまいと約束された。
2. その理由は、「人の心の思い計ることは、初めから悪であるからだ」というもの。
(1)かつては、これが地を滅ぼす理由となった。
(2)ここでは、それが地を滅ぼさない理由となっている。
(3)大洪水は、神の義を示すために起こった。
(4)人間が罪を犯すたびに大洪水が起こるなら、神は何度も同じことをせねばならなる。
(5)これ以降は、神の憐れみと恵みが示される。
3.この祭壇と全焼のいけにえは、カルバリの丘の十字架を予表している。
(1)究極的には、神は御子イエスの贖いの死によって、私たちを滅びから解放される。
(2)神の義と愛が交差したところに、十字架が立つ。
結論
1.神の守りの確実性
(1)契約概念の理解
2.信仰と努力のバランス
(1)神とともに人生を作り上げていく。
(2)バプテスマを受けて以降の物理的、かつ霊的拡大。
3.神のジレンマ(十字架の必然性)
(1)神の義と愛が交差したところに、十字架が立つ。
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