創世記(2)—カオスから秩序へ—

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創世記1章2節は、私たちの聖書観と世界観を規定する。

創世記2 創世記1章2節

「カオスから秩序へ」

イントロ:

1.創世記1:1~3の解釈

(1)創世記1:2の日本語訳を読み比べてみる。

(口語訳)「地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた」

(新改訳改定3)「地は茫漠として何もなかった。やみが大水の上にあり、神の霊が水の上を動いていた」

(新共同訳)「地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた」

(2)質問:神が創造された世界は、カオス(混沌)なのか。

(3)これにどう答えるかで、その人の聖書観や世界観が決まってくる。

2.きょうの箇所は、私たちにとってどういう意味があるか。

(1)人生の座標軸を持つ必要性がある。トータル的な聖書の理解。

(2)サタン(悪)の存在をどう理解するかが決まる。

(3)どういう終末論を持つかが決まる。

(4)いかに生きるかが決まる。

 ①未信者からクリスチャンへ

 ②霊的な幼子から、成長したクリスチャンへ

創世記1章2節は、私たちの聖書観と世界観を規定する。

Ⅰ.創世記1:1~3を巡る3つの立場

1.Original Creation View(オリジナル・クリエイション・ビュー)

(1)創世記1:1は、創造の6日間の第1日目に含まれる。

(2)神は最初にカオスを創造し、そこから秩序ある世界を仕上げていった。

 2.Pre-Creation Chaos View(プリ‐クリエイション・カオス・ビュー)

(1)創造の前から、何らかの理由でカオスが存在していた。

(2)創世記の創造記事は、絶対的(無から有)創造ではなく、相対的な創造である。

(3)創世記1:1は、天地創造記事の要約か、あるいはイントロダクションである。

(4)2節は、神の創造の材料となるものである。

(5)3節以降は、具体的な創造の方法を記している。

 3.Gap Theory あるいは、Restitution Theory(ギャップ・セオリー)

(1)創世記1:1と2の間に、時間的な隔たりがある。

(2)1節:天地は完璧な状態で創造された。無から有の創造。

(3)2節:完璧な天地が、カオスになっている。

①「トーフー・ワ・ボーフー」という3語がカオスを表現している。

②「トーフー」と「ボーフー」が対になって登場するのはイザヤ34:11、エレ4:23。

③ともに、裁きを表している。

   ④1節と2節の間に、サタンの堕落がある。

   ⑤長い時間を想定する必要はない。

   ⑥恐竜の生存をここに入れようとする人がいるが、それは不必要であり、非聖書的。

 (4)3節以降:神による回復の業

Ⅱ.創世記1章2節

 
1.1節の最後

(1)日本語訳には出てこない。

(2)マソラ本文には、1節の最後に「ラフィア(休止符)」が打たれている。

①つまり、1節は、独立した叙述文である。

②要約、イントロダクションではない。次に続く文章でもない。

 2.「ワ」という接続詞

(1)次に続く文章ではないので、「And」(そして)とは訳せない。

(2)「Now」(さて)が正しい訳である。

 3.「地」という名詞

  (1)ヘブル語では動詞が先に来る。名詞(主語)が先に来るのは、新情報を付加するため。

  (2)「地」の状態を表す動詞は、「ハィエター(ハヤー)」という動詞。

①通常は、「was」(であった)と訳す。

②ここでは、「became」(となった)と訳すべきである。

 4.「トーフー・ワ・ボーフー」という3語

  (1)サタンの堕落の結果(エゼキエル28:11~16)

   ①神の御座

   ②地の管理人。宝石の園。海はない。

   ③サタンの堕落。カオスの出現。

5.闇という名詞

(1)カオスを表す言葉。

(2)裁き、滅び、絶望、死、サタンとの関連

①出エジプト10:15、21~23、Ⅰサムエル2:9

②エペソ6:12

 6.大水という名詞

(1)「テホム」であり、深い淵、深い水を指す。

(2)混沌として塩水の淵が、かつて栄光の輝いていた地をおおっている。

 7.神の霊という名詞

(1)ここから、希望が始まる。

(2)三位一体の神の第三位格

 8.動いていた(おおっていた)という動詞

  (1)「メラヘフェット」という動詞。震える、羽ばたく、宙に舞う。

  (2)手厚い保護の下に置かれている状態。

  (3)母鳥が卵を抱き、孵化させようとしている状態。

  (4)マタイ3:16と関係あり。

 9.水という名詞

  (1)「マイム」と「ヘホム」とは違う。

  (2)「マイム」は命を与えるもの。

  (3)聖霊によって、カオスが秩序あるものに変えられ、命が誕生しようとしている。

結論

1.創世記1章1節と2節の間には、ギャップがある。

(1)サタンの堕落

(2)被造の世界に下った裁き

(3)そこからの回復の業

 2.聖書理解と信仰の成長

(1)十字架は信じるが、復活は信じがたいという段階。

(2)復活は信じるが、再臨は信じがたいという段階。

(3)再臨は信じるが、千年王国は信じがたいという段階。

(4)千年王国は信じるが、新天新地は信じがたいという段階。

(5)新天新地まですべて信じるという段階。

 3.信仰の土台

  (1)字義通りの解釈

  (2)再臨の後に出現する千年王国は、アダムの罪によって呪われた被造の世界の回復。

  (3)千年王国の後に出現する新天新地は、サタンの罪によって呪われた世界の回復。

   ①黙示録21:1~22:2

   ②そこには、海は存在していない。

 4.創世記1章2節は、1節と3節のつなぎである。

  (1)次回は、3節から学ぶ。

  (2)「光あれ」ということばには、私たちの人生を変える力がある。

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