出エジプト記(46)—金の子牛事件(3)—

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このメッセージでは...

モーセの祈りから私たちに適用される霊的真理を発見する。

出エジ46 出エジプト記33章1節~23節

「金の子牛事件(3)」

1.文脈の確認

(1)これまでの話しの流れ

①出32章 モーセが山にいた40日の間に山の麓の状況が変化した。

②執りなしの祈りを捧げたモーセは、山を下る。

③怒りを覚えたモーセは、石の板2枚を砕いた。

④アロンは弁解した。

⑤民は裁かれた。

  2.メッセージのアウトライン

(1)悲しむ民(33:1~6)

(2)神との新しい対話法(33:7~11)

(3)モーセの祈り(33:12~23)

  3.メッセージのゴール

(1)なぜ神はモーセの祈りに答えるのか。

(2)モーセが最も求めていることはなんなのか。

(3)真の安息はどこにあるのか。

このメッセージは、モーセの祈りから私たちに適用される霊的真理を発見するためのものである。

Ⅰ.悲しむ民(1~6節)

  
1.【主】の約束は継続する(1節)

  「【主】はモーセに仰せられた。『あなたも、あなたがエジプトの地から連れ上った民も、

わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓って、「これをあなたの子孫に与える」と言った

地にここから上って行け』」

    (1)神はイスラエルの民を滅ぼすことを留まられた。

(2)神はイスラエルの民にカナンの地を与えてくださる。

  ①アブラハム契約のゆえに

  ②この契約は無条件契約である。

  2.【主】とイスラエルの民の関係が、金の子牛事件以降変化した(2~3節)。

  「わたしはあなたがたの前にひとりの使いを遣わし、わたしが、カナン人、エモリ人、ヘ

テ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い払い、乳と蜜の流れる地にあなたがたを行かせ

よう。わたしは、あなたがたのうちにあっては上らないからである。あなたがたはうなじ

のこわい民であるから、わたしが途中であなたがたを絶ち滅ぼすようなことがあるといけ

ないから」

  (1)変化していない部分

①カナンの地の住民を追い払う。

    *カナン人、エモリ人、ヘテ人、ペリジ人、エブス人

  ③そこは乳と蜜の流れる地である。

*エジプトほど肥沃な地ではないが、荒野よりもはるかに農業に適した地。

  (2)変化した部分

  ①出23:23で約束が与えられていた。

  「わたしの使いがあなたの前を行き、あなたをエモリ人、ヘテ人、ペリジ人、カ

  ナン人、ヒビ人、エブス人のところに導き行くとき、わたしは彼らを消し去ろう」

*この使いは、「【主】の使い」である(第二位格の神)

  ②出33:2でその約束が変更された。

*「ひとりの使い」とは、被造物の天使である。

*「わたしは、あなたがたのうちにあっては上らないから」

  (3)変化の理由

  ①「あなたがたはうなじのこわい民であるから」

*シナイ契約に違反した民

  ②「途中であなたがたを絶ち滅ぼすようなことがあるといけないから」

  (4)変化の結果

  ①出25~31章までの幕屋に関する命令は、すべて無駄となる。

  ②シャカイナグローリーは民の間には現れない。

3.悲しむ民(4節)

「民はこの悪い知らせを聞いて悲しみ痛み、だれひとり、その飾り物を身に着ける者はい

なかった」

  (1)金の子牛の回りで踊った時に、これらの飾り物を身に着けていた可能性がある。

  (2)内面的な悲しみと悔い改めを、外面的に表現した。

  ①自らの罪によって、【主】の臨在を失ったことへの反省

  4.【主】のことば(5~6節)

  「【主】はモーセに、仰せられた。『イスラエル人に言え。あなたがたは、うなじのこわい

民だ。一時でもあなたがたのうちにあって、上って行こうものなら、わたしはあなたがた

を絶ち滅ぼしてしまうだろう。今、あなたがたの飾り物を身から取りはずしなさい。そう

すれば、わたしはあなたがたをどうするかを考えよう』。それで、イスラエル人はホレブの

山以来、その飾り物を取りはずしていた」

  (1)「わたしはあなたがたを絶ち滅ぼしてしまうだろう」

  ①出24:1~8でシナイ契約が血の契約であることが明らかになっていた。

  ②違反した者は、血の代価を要求される。

  ③【主】が民の命を要求されても、それは当然のことであった。

  ④【主】がともに上らないのは、民にとっては恵みである。

  (2)「そうすれば、わたしはあなたがたをどうするかを考えよう」

  ①神が迷っているのではない。

  ②民の悔い改めの度合いによって、神の対応が変化するのである。

  (3)イスラエルの民は、ホレブの山以来、飾り物をとりはずしていた。

  ①喪に服する時の恰好をしたということ。

Ⅱ.神との新しい対話法(7~11節)

  1.会見の天幕(7~8節)

  「モーセはいつも天幕を取り、自分のためにこれを宿営の外の、宿営から離れた所に張り、

そしてこれを会見の天幕と呼んでいた。だれでも【主】に伺いを立てる者は、宿営の外に

ある会見の天幕に行くのであった。モーセがこの天幕に出て行くときは、民はみな立ち上

がり、おのおの自分の天幕の入口に立って、モーセが天幕に入るまで、彼を見守った」

(1)金の子牛事件の前は、シャカイナグローリーは宿営の中に宿っていた。

  ①民の罪のゆえに、シャカイナグローリーは宿営から離れた。

    (2)モーセは宿営から離れた所に天幕を張った。

  ①これが会見の天幕である。

  ②「呼んでいた」とは「呼んだ」、「名づけた」という意味である。

  ③会見の天幕が幕屋を指すこともあるが、これは幕屋ではない。

  ④モーセは、神と民の完全な和解を達成するために神と対話する必要があった。

  ⑤距離はどれくらいか。

*ユダヤ人の学者は、ヨシ3:4を根拠に距離を約900メートルと考える

「あなたがたと箱との間には、約二千キュビトの距離をおかなければならな

い。それに近づいてはならない。それは、あなたがたの行くべき道を知るた

めである。あなたがたは、今までこの道を通ったことがないからだ」

    (3)モーセが天幕に向かうと、民は立ち上がり、彼がそこに入るまで見守った。

  ①かつては、「あのモーセという者」と呼んだ。

②今は、モーセに対する尊敬の念がある。

*リーダーとして

*神の器として

*神と民の仲介者として

  2.雲の柱(9~11節)

  「モーセが天幕に入ると、雲の柱が降りて来て、天幕の入口に立った。主はモーセと語ら

れた。民は、みな、天幕の入口に雲の柱が立つのを見た。民はみな立って、おのおの自分

の天幕の入口で伏し拝んだ。【主】は、人が自分の友と語るように、顔と顔とを合わせてモ

ーセに語られた。モーセが宿営に帰ると、彼の従者でヌンの子ヨシュアという若者が幕屋

を離れないでいた」

  (1)モーセが天幕に入ると、雲の柱がシナイ山の頂から地上に降りて来た。

  ①雲の柱は天幕の入り口に立った。

  ②主は雲の柱の中からモーセと語られた。

  ③これは大いなる恵みであった。

  (2)民は自分の天幕の入り口で伏し拝んだ。

  ①モーセが神と話しているという事実の前に、畏怖の念を感じた。

  (3)【主】は、人が自分の友と語るように、顔と顔とを合わせてモーセに語られた。

  ①【主】は、モーセの信仰をよしとされた。

②神は、恐れを与える語り方ではなく、優しく、明瞭に語られた。

③モーセの側からすると、神と民の和解の可能性が残されているということ。

  (4)民に神のことばを告げるために、モーセは宿営に帰る。

  (5)ヨシュアという若者が幕屋を離れないでいた。

  ①「幕屋」ではなく「会見の天幕」である。そこを管理していた。

  ②若者

*モーセの従者。モーセと比較すると若い。

*実際は、アマレクとの戦いで司令官を務めた。

*ヨシュアの寿命は110歳であった(ヨシ24:29)。

*そこから50数年を引くと、当時は50代の半ばになっていた。

  ③モーセの後を継ぐリーダーが育っていた。

Ⅲ.モーセの祈り(12~23節)

  1.第一の願い:「あなたの道を教えてください」(12~13節)

(1)「ひとりの使い」が誰なのか分からない。

  ①以前は「【主】の使い」がともにいてくださった。

  ②これからは、被造物の名も知らない天使が来るというが、不安である。

(2)私が御前で特別な恵みをいただいていると言われました。

  ①名ざして選んだ。

  ②わたしの心にかなっている。

(3)もしそうなら、あなたの道を教えてください。

  2.第一の願いに対する神からの答え

「わたし自身がいっしょに行って、あなたを休ませよう」(新改訳)

「わたしが自ら同行し、あなたに安息を与えよう」(新共同訳)

  ①直訳は、「わたしの顔が行く」である。

  ②幕屋の再建が約束された。

  ③モーセ個人の安息ではなく、民全体の安息が約束された。

  3.第二の願い:「いったい何によって知られるのでしょう」(15~16節)

(1)【主】がともにおられないなら、荒野にいた方がましだ。

(2)イスラエルの民が地上のすべての民と区別されるのは、【主】がともにおられる

という事実による。

  4.第二の願いに対する神からの答え(17節)

  「あなたの言ったそのことも、わたしはしよう。あなたはわたしの心にかない、あなたを

名ざして選び出したのだから」

5.第三の願い:「どうか、あなたの栄光を私に見せてください」(18節)

6.第三の願いに対する神からの答え(19~23節)

  (1)「わたし自身、わたしのあらゆる善をあなたの前に通らせ、【主】の名で、あなた

の前に宣言しよう。わたしは、恵もうと思う者を恵み、あわれもうと思う者をあ

われむ」

①あらゆる善とは、神の栄光のことである。

②【主】の性質の宣言を行う。

③神の主権の宣言を行う。

  (2)「あなたはわたしの顔を見ることはできない。人はわたしを見て、なお生きてい

  ることはできないからである」

  ①顔や手という言葉は、擬人法である。

  ②「わたしの顔」とは神の栄光のすべてを指す。

  ③人間の限界性のゆえに、神の栄光のすべてを見ることはできない。

  (3)「見よ。わたしのかたわらに一つの場所がある。あなたは岩の上に立て。わたし

  の栄光が通り過ぎるときには、わたしはあなたを岩の裂け目に入れ、わたしが通

り過ぎるまで、この手であなたをおおっておこう。わたしが手をのけたら、あな

たはわたしのうしろを見るであろうが、わたしの顔は決して見られない」

①「わたしのうしろ」とは背中のこと。

②栄光の片鱗を見るということ。

結論:私たちに適用される霊的真理

1.なぜ神はモーセの祈りに答えるのか。

  (1)神は負けるのが好きなのだ。

①真剣に神の祝福を求めている者に対して

②真実に悔い改めている者に対して

  (2)創32章に出てくるヤコブの祈りを見よ。

    ①ヤコブは神に勝った。

②イスラエルという名をもらった。

  (3)出33章のモーセの祈り見よ。

①3度のリクエストは、徐々に厚かましくなっていく。

②神が負けることを楽しんでおられるようではないか。

③幕屋の建設が許可された。

④モーセは誰も体験したことのないレベルで、神の栄光を体験した。

2.モーセが最も求めていることはなんなのか。

  (1)「あなたの道を教えてください」(13節)

①どのようにして民をカナンの地に導こうとしているのか。

②誰が導いてくれるのか。

③自分(モーセ)に対する計画はどうなのか。

④民に対する計画はどうなのか。

⑤何よりも、神のご性質はどのようなものなのか。

  (2)「あなたの栄光を私に見せてください」(18節)

①神の完全性

②神の知恵

③神の聖さ

④神の義

⑤神の力

⑥神の忠実さ

⑦神の恵み

  (3)出エジプトの目的は、神を知ることにある。

①これは、神がイスラエルの民に期待したことである。

②少なくとも、ひとりの人がそれを理解し始めた。

③聖書の神と、人間が想像する神とは違う。

(例話)クリスチャン・スミスという人の本

最近の福音派クリスチャンの神観 

「moral, therapeutic deism」(the Santa Claus god)

  *神は私たちに善良な人間になって欲しいと願っておられる。

  *神は私たちに幸せになって欲しいと願っておられる。

  *神は遠くにいて、私たちの日常生活には関わらない。

3.真の安息はどこにあるのか。

  (1)アブラハム以来、この民族には安らぎがなかった。

  (2)彼らはカナンの地に導かれる。

  (3)私たちにとっての安息は、天のエルサレムにある。

  (例話)先日出会った車いすの90歳になるご婦人のことば。早く召されたい。

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