出エジプト記(47)—契約の再締結—

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シナイ契約の再締結から私たちに適用される霊的真理を学ぶ。

出エジ47 出エジプト記34章1節~35節

「契約の再締結」

1.文脈の確認

(1)これまでの話しの流れ

①モーセが山にいた40日の間にイスラエルの民は金の子牛を作った。

②怒りを覚えたモーセは、石の板2枚を砕いた(契約破棄)。

③民は裁かれた。

(2)前回のメッセージのアウトライン

  ①悲しむ民

  ②神との新しい対話法(宿営の外で神と出会う)

③モーセの祈り

  *「あなたの道を教えてください」

  *「いったい何によって知られるのでしょう」

  *「どうか、あなたの栄光を私に見せてください」

  2.メッセージのアウトライン

(1)神の栄光の啓示(1~9節)

(2)契約の再締結(10~28節)

(3)モーセの顔の輝き(29~35節)

  3.メッセージのゴール

(1)新約聖書における神の栄光の啓示

(2)モーセが顔におおいをかけた理由

このメッセージは、シナイ契約の再締結から私たちに適用される霊的真理を学ぶためのものである。

Ⅰ.神の栄光の啓示(1~9節)

  
1.【主】からの命令(1~3節)

  「【主】はモーセに仰せられた。『前のと同じような二枚の石の板を、切り取れ。わたしは、

あなたが砕いたこの前の石の板にあったあのことばを、その石の板の上に書きしるそう。

朝までに準備をし、朝シナイ山に登って、その山の頂でわたしの前に立て』」

  (1)神が契約を再締結してくださる。

  ①朝までに二枚の石の板を用意する。

②シナイ山に登り、頂で【主】の前に立つ。

    (2)最初の時との相違

①石の板はモーセが用意する。

  ②そこに文字を書くのは【主】である。

  ③モーセがひとりで山に登る。

  ④家畜が山の麓で草を食べていてもいけない。

2.山に登るモーセ(4節)

「そこで、モーセは前のと同じような二枚の石の板を切り取り、翌朝早く、【主】が命じら

れたとおりに、二枚の石の板を手に持って、シナイ山に登った」

(1)モーセの従順

  ①二枚の石の板を切り取った。

②翌朝早く

③【主】が命じられたとおりに

④これで3度目の登山。毎回40日40夜山頂に留まる。

(2)軽くて小さい石の板

  ①モーセが自分の手で山頂まで運べたほどの重さ

  ②契約の箱に入るサイズ

  3.シャカイナグローリー(5節)

  「【主】は雲の中にあって降りて来られ、彼とともにそこに立って、【主】の名によって宣

言された」

  (1)この雲はシャカイナグローリーである。

  ①会見の天幕の入り口にあった雲の柱が山頂に移動した。

  ②【主】はシャカイナグローリーの中から宣言された。

(2)訳語の問題

「【主】の名によって宣言された」(新改訳)、 「主の名を宣べられた」(口語訳)、

「主の御名を宣言された」(新共同訳)

  ①新共同訳がよい。

  ②この箇所は、御名による宣言ではなく、御名の宣言である。

  ③御名とは神の本質であり、それこそモーセが祈りの中で願ったことである。

  ④御名の内容は、6~7節に出てくる。

4.【主】はモーセの前を通り過ぎた(6~7節)

「【主】は彼の前を通り過ぎるとき、宣言された。「【主】、【主】は、あわれみ深く、情け深

い神、怒るのにおそく、恵みとまことに富み、恵みを千代も保ち、咎とそむきと罪を赦す

者、罰すべき者は必ず罰して報いる者。父の咎は子に、子の子に、三代に、四代に」

  (1)【主】は彼の前を通り過ぎた。

①【主】の栄光の啓示がモーセに与えられる。

②【主】の栄光の啓示とは、神の性質の啓示である。

    (2)訳語の問題

  「【主】、【主】は」(新改訳)、「主、主」(口語訳)、「主、主」(新共同訳)

  ①口語訳と新共同訳がよい。原文では、「ヤハウェ、ヤハウェ」である。

(3)神の栄光の啓示(あらゆ善が8つの性質で表現されている)

  ①「【主】、【主】」

*契約の神の御名

*神の固有名詞

    ②「あわれみ深く、情け深い神」

③「怒るのにおそく」

④「恵みとまことに富み」

*創造主がイスラエルの民を通してご自身を全人類に啓示しておられる。

*これらの性質がなければ、旧約聖書はここで終わっている。

*あるいは、人類の再創造が始まっている。

*これらの性質のゆえにシナイ契約の再締結が行われるのである。

⑤「恵みを千代も保ち」

⑥「咎とそむきと罪を赦す者」

⑦「罰すべき者は必ず罰して報いる者」

  *罪を赦すという性質は神の弱さではない。

  *また罪を犯す口実としてはならない。

  *罪は赦されるが、その結果は残る。

⑧「父の咎は子に、子の子に、三代に、四代に」

*親の悪影響は子孫に及ぶ。

*それは3代、4代までである。

  5.モーセの応答(8~9節)

  「モーセは急いで地にひざまずき、伏し拝んで、お願いした。『ああ、主よ。もし私があな

たのお心にかなっているのでしたら、どうか主が私たちの中にいて、進んでくださいます

ように。確かに、この民は、うなじのこわい民ですが、どうか私たちの咎と罪を赦し、私

たちをご自身のものとしてくださいますように』」

  (1)ここで出33:21~23の約束が成就した。

  ①モーセは神の背中(after-glow)を見た。

  ②彼は地にひざまずき、伏し拝んだ。

  (2)モーセの祈り

  ①民の咎と罪が赦されるように。

  ②民が神の所有物となるように。

  ③神と民の関係が完全に回復されるように。

Ⅱ.契約の再締結(10~28節)

  
1.出20章~23章の繰り返し

(1)基本的な内容が要約されている。

  ①民が神のことばに従うなら、神からの守りがある。

  ②カナン人との契約は禁止。

  ③偶像礼拝も禁止。

  ④三大祭りを祝う。

*種なしパンの祭り(過越の祭りを含む)

*七週の祭り

*仮庵の祭り

  ⑤安息日を守る。

  2.モーセの役割と神の役割

(1)モーセが契約条項を書き記す(27節)。

「これらのことばを書きしるせ。わたしはこれらのことばによって、あなたと、また

イスラエルと契約を結んだのである」

(2)四十日四十夜(28節)

「モーセはそこに、四十日四十夜、【主】とともにいた。彼はパンも食べず、水も飲

まなかった。そして、彼は石の板に契約のことば、十のことばを書きしるした」

  ①モーセは、40日40夜、【主】とともにいた。

  ②モーセは断食をした。

  ③新改訳、口語訳、新共同訳のすべてが、モーセが書いたように訳している。

  ④しかし、「彼」とは【主】のことである。

Ⅲ.モーセの顔の輝き(29~35節)

  1.初回にはなかった現象が起こった(29節)

  「それから、モーセはシナイ山から降りて来た。モーセが山を降りて来たとき、その手に

二枚のあかしの石の板を持っていた。彼は、主と話したので自分の顔のはだが光を放った

のを知らなかった」

  (1)前回同様、二枚のあかしの石の板を持って山を降りて来た。

(2)モーセの顔のはだが光を放った。

  ①モーセは知らなかった。

  ②【主】の栄光を見たために、モーセの顔が輝いていた。

  ③月が太陽に光を反射するように、モーセの顔が【主】の栄光を反射させていた。

2.民の反応(30~32節)

  (1)アロンとイスラエルの民は、恐れた。

  ①モーセに近づけなかった。

  ②モーセが彼らを呼び寄せた。

  (2)それから、シナイ山で神から命じられたことを、ことごとく告げた。

3.おおいに関する方針

  (1)民と語り終えると、顔におおいを掛けた。

  (2)天幕で神と語る時は、おおいを外した。

(3)天幕から出て民に語る時は、モーセの顔は光を放った。

  (4)それが終わると、再び顔におおいを掛けた。

結論:私たちに適用される霊的真理

1.新約聖書における神の栄光の啓示

  (1)人間が作る神概念

①無神論者は、神はいないと考えている。

②偶像礼拝者は、偶像礼拝が悪いとは思っていない。

③クリスチャンでさえも、自分の神概念を作り上げている。

  (2)出エジプトの目的は、【主】を知ることにある。

①モーセひとりがそれを理解し始めている。

②幕屋は、【主】を知るための恵みの手段である。

③クリスチャン生活の目的もまた、【主】を知ることにある。

  (3)新約聖書における神の栄光の啓示は、イエス・キリストである。

①ヨハ1:14

「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父

のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちて

おられた」

②ヨハ14:9

「イエスは彼に言われた。『ピリポ。こんなに長い間あなたがたといっしょにいるの

に、あなたはわたしを知らなかったのですか。わたしを見た者は、父を見たのです。

どうしてあなたは、「私たちに父を見せてください」と言うのですか』」

③コロ1:27

「神は聖徒たちに、この奥義が異邦人の間にあってどのように栄光に富んだものであ

るかを、知らせたいと思われたのです。この奥義とは、あなたがたの中におられるキ

リスト、栄光の望みのことです」

*罪の赦し(義認)

*人格の清め(聖化)

*栄光の姿に変えられること(栄化)

2.モーセが顔におおいをかけた理由

  (1)日常会話で顔が輝いていると、相手に恐れを与える。

  (2)パウロの解釈が2コリ3:12~18にある。


  「このような望みを持っているので、私たちはきわめて大胆にふるまいます。そして、モーセが、消えうせるものの最後をイスラエルの人々に見せないように、顔におおいを掛けたようなことはしません。しかし、イスラエルの人々の思いは鈍くなったのです。というのは、今日に至るまで、古い契約が朗読されるときに、同じおおいが掛けられたままで、取りのけられてはいません。なぜなら、それはキリストによって取り除かれるものだからです。かえって、今日まで、モーセの書が朗読されるときはいつでも、彼らの心にはおおいが掛かっているのです。しかし、人が主に向くなら、そのおおいは取り除かれるのです。主は御霊です。そして、主の御霊のあるところには自由があります。私たちはみな、顔のおおいを取りのけられて、鏡のように主の栄光を反映させながら、栄光から栄光へと、主と同じかたちに姿を変えられて行きます。これはまさに、御霊なる主の働きによるのです」

①モーセの顔の輝きは徐々に消えて行くものである。

②モーセは栄光が消えて行くところを民に見せたくなかった。

  (3)
3
つの対比


①モーセの務めは、石に刻まれた十戒によって人を罪に定め、死を宣告するもの。

新しい契約の務めは御霊の務めであり、人を義とし、命を与える務めである。

②顔の光が消えていったことから分かるように、古い契約の栄光は一時的なもの。

新しい契約の栄光は永続性のあるもの。

③消え去る栄光を見られまいとして顔に覆いをかけるのは消極的働きである。

新しい契約に仕える弟子たちは、何かに覆いをかけるような消極的なことはしない。

  (4)パウロによる適用


①モーセが顔におおいをかけたように、イスラエル人は心におおいをかけている。

②イスラエル人が心にかけているおおいは、「霊的なおおい」である。

③旧約聖書はキリストを指し示しているが、イスラエル人はその事実を理解できない。

④同じおおいが、「今」も会堂でモーセの律法の朗読を聞く人々の心にかかっている。

⑤この状況は、21世紀になった今も変わっていない。

⑥モーセが【主】に向く時におおいを外したように、イスラエル人もキリストに向け

ば、霊的おおいが取り除かれる。

⑦霊的おおいとは、律法によって救われようとする頑迷さのことである。

⑧このおおいは、御霊によって取り除かれる。「
主は御霊です。そして、主の御霊の

あるところには自由があります」


キリストを仰ぐ者は、顔の覆いなしに主と対面し、鏡のように主の栄光を反映させ

ながら、主と同じ姿に変えられていく。

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