私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
出エジプト記(35)—シナイ契約の締結—
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シナイ契約に隠されたメシアを発見する。
出エジ35 出エジプト記24章1節~18節
「シナイ契約の締結」
1.文脈の確認
(1)出エジプトを経験した民は、神の期待を負った民である(出19章)。
①わたしの宝、②祭司の王国、③聖なる国民
(2)その使命を果たすために必要なのがモーセの律法である(出20章~23章)
①基本条項(出20章の十戒)
②基本条項に付加された諸条項(出21章~23章)
(3)今回の内容
①イスラエルの民は神との契約関係に入ることを了解するかどうか。
②シナイ契約が締結される。
2.きょうのアウトライン
(1)イスラエルの民の同意(24:1~3)
(2)契約の血(24:4~8)
(3)契約の食事(24:9~11)
(4)シャカイナグローリー(24:12~18)
3.メッセージのゴール
(1)契約の食事と新しい契約
(2)契約の血と十字架
(3)シャカイナグローリーとメシアの受肉
このメッセージは、シナイ契約に隠されたメシアを発見するためのものである。
Ⅰ.イスラエルの民の同意(1節~3節)
1.山に上れとの命令(1~2)
「主は、モーセに仰せられた。『あなたとアロン、ナダブとアビフ、それにイスラエルの長老七十人は、【主】のところに上り、遠く離れて伏し拝め。モーセひとり【主】のもとに近づけ。他の者は近づいてはならない。民もモーセといっしょに上ってはならない』」
(1)主語は誰か。
①「主は、モーセに仰せられた」(新改訳)
②「主はモーセに言われた」(新共同訳)、「また、モーセに言われた」(口語訳)
③ヘブル語では、「さて、彼はモーセに言われた」
④三位一体の神の暗示か。
(2)上る人々
①モーセ
②アロンとその息子たち(ナダブとアビフ)
③イスラエルの長老70人(しゅうとイテロの助言で長老制度ができた)
(3)彼らの立ち位置
①【主】のもとに立つのはモーセだけ。モーセは仲介者である。
②中腹に立つのは、アロン、ナダブ、アビフ、イスラエルの長老70人。
③麓では、民が待機している。
2.モーセによる解説(3a)
「そこでモーセは来て、【主】のことばと、定めをことごとく民に告げた」
(1)山に上る前に、民の意志を確認しておく必要がある。
①「【主】のことば」とは、出エジプト20章の内容である。
*私たちはそれを4回にわけて学んだ(27回~30回)。
②「定め」とは、出エジプト21章~23章の内容である。
*私たちはそれを4回にわけて学んだ(31回~34回)。
③そのために8時間以上かけたが、モーセも相当な時間を使ったはずである。
*契約締結の儀式は、翌朝行われている(4節)
3.民の同意(3b)
「すると、民はみな声を一つにして答えて言った。『【主】の仰せられたことは、みな行い
ます』」
(1)モーセが告げることは、すべて【主】のことばとして認識された。
①出20:19で、彼らはモーセが仲介役を務めるように懇願した。
(2)彼らの応答
①神と契約関係に入り、モーセの律法の下で生きることを誓う。
②しかし、余りにも理解が浅く、言葉が軽い。
③自分たちの将来に対する神の計画が十分に理解されていない。
④神の聖さの基準が理解されていない。
*モーセの律法が要求する霊性を理解していないので、形式に終始する。
*後の時代に現れるパリサイ主義の芽がすでにある。
*イエスはメシアとしてモーセの律法の再解釈を行われた。
⑤自分たちの弱さと限界が理解されていない。
⑥いずれにしても、彼らが同意したので、契約の締結に向かう。
Ⅱ.契約の血(4節~8節)
1.祭壇と12の石の柱(4)
「それで、モーセは【主】のことばを、ことごとく書きしるした。そうしてモーセは、翌
朝早く、山のふもとに祭壇を築き、またイスラエルの十二部族にしたがって十二の石の柱
を立てた」
(1)山の麓の境界線のあたりに祭壇を築き、12の石の柱を立てた。
①祭壇はいけにえを捧げるためのもの。
②12の石の柱は、契約の一方の当事者であるイスラエルの民を象徴するもの。
(2)通常の宗主権契約では、偶像たちが証人に呼ばれる。
①12の柱は、シナイ山麓で神との契約が締結されたことの記念でもある。
2.祭壇に血を注ぐ(5~6)
「それから、彼はイスラエル人の若者たちを遣わしたので、彼らは全焼のいけにえをささ
げ、また、和解のいけにえとして雄牛を【主】にささげた。モーセはその血の半分を取っ
て、鉢に入れ、残りの半分を祭壇に注ぎかけた」
(1)イスラエル人の若者たちが、全焼のいけにえと和解のいけにえを捧げた。
①祭司制度が啓示される前なので、若者たちは、必ずしもレビ族ではない。
(2)モーセは血の半分を鉢に入れ、残りの半分を祭壇に注ぎかけた。
①創15:9~21 アブラハム契約締結の時
*3歳の雌牛、3歳の雌やぎ、3歳の雄羊、山鳩とそのひな
②シナイ契約は血の契約である。
3.契約条項の朗読(7)
「そして、契約の書を取り、民に読んで聞かせた。すると、彼らは言った。『【主】の仰せ
られたことはみな行い、聞き従います』」
(1)契約の書とは、出20章~23章の内容である。
①前日の解説よりも、短時間で終わったはずである。
(2)民は前日同様に、ただちに同意した。
4.民に血を注ぐ(8節)
「そこで、モーセはその血を取って、民に注ぎかけ、そして言った。『見よ。これは、これ
らすべてのことばに関して、【主】があなたがたと結ばれる契約の血である』」
(1)血の半分を民に注ぎかけた。
①民とは誰か。3つの可能性あり。
*若者たち、70人の長老たち、12本の石の柱
(2)神とイスラエルの民の契約の土台は、いけにえの血にある。
Ⅲ.契約の食事(9節~11節)
1.食事に参加した人々(9)
「それからモーセとアロン、ナダブとアビフ、それにイスラエルの長老七十人は上って行
った」
(1)24:1の命令通りに、モーセ、アロン、ナダブとアビフ、70人の長老が上る。
①契約書の朗読
②民の同意
③いけにえの血を祭壇に注ぐ
④いけにえの血を民に注ぐ
⑤以上のことを行ってから、山に上って行った。
2.シャカイナグローリー(10)
「そうして、彼らはイスラエルの神を仰ぎ見た。御足の下にはサファイヤを敷いたような
ものがあり、透き通っていて青空のようであった。」
(1)モーセ以外の人々にも、特権が与えられた。
①モーセは【主】から啓示を受けたことを証言するためであろう。
(2)彼らは、神の形を見たわけではない。
①彼らが見たのは、シャカイナグローリーである。
②サファイヤを敷いたようなもの、透き通っていて青空のよう
3.契約の食事(11)
「神はイスラエル人の指導者たちに手を下されなかったので、彼らは神を見、しかも飲み
食いをした」
(1)神を見たなら死ぬというのが、イスラエル人の一般的な認識である。
(2)彼らは神とともに契約の食事をした。
①和解のいけにえの肉を食べた(雄牛)。
Ⅳ.シャカイナグローリー(12節~18節)
1.山に上るモーセ(12~14)
「【主】はモーセに仰せられた。『山へ行き、わたしのところに上り、そこにおれ。彼らを
教えるために、わたしが書きしるしたおしえと命令の石の板をあなたに授けよう』。そこで、
モーセとその従者ヨシュアは立ち上がり、モーセは神の山に登った。彼は長老たちに言っ
た。『私たちがあなたがたのところに帰って来るまで、ここにいなさい。ここに、アロンと
フルとがあなたがたといっしょにいます。訴え事のある者は、だれでも彼らに告げるよう
にしなさい』」
(1)山に上る目的は、神から石の板(複数形)を受けるため。
①そこには、おしえと命令が書かれている。
②長持ちする。
③モーセは、これを用いて民を教える。
(2)従者ヨシュアがともに上る。
①ヨシュアは、頂上までは行かないで、途中で待機している。
②シャカイナグローリーに入るのはモーセだけである。
③モーセ、ヨシュア、70人の長老、イスラエルの民の順番で神に向かっている。
(3)アロンとフルに後を任せる。
①このふたりは、アマレクとの戦いの時に、モーセの両手を支えた(出17:12)。
②フルは、70人の長老のひとりであろう。
2.シャカイナグローリー(15~18)
「モーセが山に登ると、雲が山をおおった。【主】の栄光はシナイ山の上にとどまり、雲は
六日間、山をおおっていた。七日目に主は雲の中からモーセを呼ばれた。【主】の栄光は、
イスラエル人の目には、山の頂で燃え上がる火のように見えた。モーセは雲の中に入って
行き、山に登った。そして、モーセは四十日四十夜、山にいた」
(1)山をおおった雲は、【主】の栄光、シャカイナグローリーである。
①モーセは6日間、雲の外にいて待った。
②7日目に、モーセが招かれた。
③山麓にいた民の目には、シャカイナグローリーは燃え上がる火のように見えた。
(2)モーセは、シャカイナグローリーの中に40日間とどまった。
①断食をした。
「私が石の板、【主】があなたがたと結ばれた契約の板を受けるために、山に登
ったとき、私は四十日四十夜、山にとどまり、パンも食べず、水も飲まなかっ
た」(申9:9)
②ヨシュアは断食をしたか。マナを食べたであろう。
結論:このメッセージは、シナイ契約に隠されたメシアを発見するためのものである。
1.契約の食事と新しい契約
(1)ヘブル的には、和解の食事、契約の食事というものがある。
①ガリラヤ湖畔でイエスが用意された食事は、和解の食事である。
②最後の晩餐は、新しい契約のための食事である。
(2)最後の晩餐
①過越の食事である。
②その食事を、イエスは新しい契約のための食事とされた。
③聖餐式は、それを記念するための儀式である。
2.契約の血と十字架
(1)血が祭壇と、12の石の柱に注ぎかけられた。
①イスラエルの民には感動的なシーンである。
②シナイ契約の土台が、血のいけにえにあることを認識させられるシーンである。
(2)24:8のモーセの言葉
「見よ。これは、これらすべてのことばに関して、【主】があなたがたと結ばれる契約の
血である」
①マタ26:28のイエスのことば
「これは、わたしの契約の血です。罪を赦すために多くの人のために流されるもので
す」
②ヘブ9:13~14
「もし、やぎと雄牛の血、また雌牛の灰を汚れた人々に注ぎかけると、それが聖めの
働きをして肉体をきよいものにするとすれば、まして、キリストが傷のないご自身を、
とこしえの御霊によって神におささげになったその血は、どんなにか私たちの良心を
きよめて死んだ行いから離れさせ、生ける神に仕える者とすることでしょう」
(3)クリスチャンとは、キリストの血による契約にサインをした人である。
①キリストは私の罪のために死なれた。
②墓に葬られた。
③3日目に甦られた。
3.シャカイナグローリーとメシアの受肉
(1)出エジプト記におけるシャカイナグローリーの働き
①モーセを出エジプトのリーダーとして召した。
②イスラエルの民を荒野の旅へと導いた。
③イスラエルの民をエジプトの軍勢から守った。
④エジプトの軍勢を滅ぼした。
⑤マナとうずらを供給した。
⑥シナイ契約を結んだ。
⑦十戒が刻まれた石の板を与えた。
(2)シャカイナグローリーは、人間イエスの内に宿った。
①ヨハ1:14
「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父
のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちて
おられた」
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