ローマ人への手紙(49)—二重国籍者への勧め(1)—

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このメッセージでは...

信者と国家の関係について学ぶ。
チャート「神の義の啓示」

「二重国籍者への勧め(1)」

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①1~8章が教理

    ②9~11章がイスラエルの救い

    ③12~16章が適用

    (2)これまでに学んだ12章の内容

      ①献身の勧め(1~2節)

②謙遜の勧め(3~8節)

③愛の勧め(9~16節)

アンケートの紹介

    (3)13章は、二重国籍者への勧めである。

      ①国家との関係(1~7節)

②愛の律法(8~10節)

③決断の時(11~14節)

  *以上の勧めは、「生けるいけにえ」になった人に対するものである。

  *勧めの内容は容易に理解できる。

  *その周辺の情報や議論が、重要である。

  2.アウトライン

    命令:権威への服従(1節a)

    理由①(1b~2節)

    理由②(3~4節)

    理由③(5~7節)

  3.メッセージのゴール

    (1)権威への抵抗の可能性

このメッセージは、信者と国家の関係について学ぼうとするものである。

命令:権威への服従

1.1節a

「人はみな、上に立つ権威に従うべきです」

  (1)12:1は、勧告であった。

「そういうわけですから、兄弟たち。私は、神のあわれみのゆえに、あなたがたにお

願いします」

(2)ここでは、「従う」は、現在形、受動態、命令形である。

「Let every soul be in subjection to the higher powers.」

(3)「人はみな」は、「プシケイ」(魂)であって、霊ではない。

  ①信者も未信者も、この命令に従うべきであるということ。

(4)「従う」は、「ヒュポタソウ」という動詞。39回出てくる。

  ①テト3:1 信者の政治権力への従順

  「あなたは彼らに注意を与えて、支配者たちと権威者たちに服従し、従順で、す

べての良いわざを進んでする者とならせなさい」

②コロ3:18 妻の夫への従順

「妻たちよ。主にある者にふさわしく、夫に従いなさい」

③1ペテ5:5 若者の長老への従順

「同じように、若い人たちよ。長老たちに従いなさい。みな互いに謙遜を身に着

けなさい。神は高ぶる者に敵対し、へりくだる者に恵みを与えられるからです」

④共通しているのは、神の権威への服従であり、祝福のためである。

  2.ローマ帝国内でのキリスト教会

    (1)皇帝はいつでも、誰の命でも奪うことができた。

      ①マタ2:16~18 ヘロデ大王は、ベツレヘムにいた2歳以下の子を殺した。

      ②マコ6:14~29 30年後、ヘロデの息子ヘロデ・アンテパスは、バプテスマの

  ヨハネを殺した。

      ③帝国内では、人の運命は不安定なものであった。

    (2)新約聖書と初代教会に関係のある皇帝

      ①アウグスト(BC27~AD14年)

    *ルカ2:1 全世界の住民登録を命じた皇帝

      ②テベリオ(ティベリウス)(14~37年)

    *ルカ3:1

        「皇帝テベリオの治世の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロ

デがガリラヤの国主、その兄弟ピリポがイツリヤとテラコニテ地方の国主、

ルサニヤがアビレネの国主であり、アンナスとカヤパが大祭司であったころ、

神のことばが、荒野でザカリヤの子ヨハネに下った」

      ③カリギュラ(37~41年)

*キリストの復活と教会誕生の数年後に皇帝になった。

*ローマに信者はいたであろうが(使2:10)、迫害はなかった。

*ユダヤ教は公認宗教であり、キリスト教はその一派とみなされた。

*エルサレム神殿に自分の像を建てようとしたが、ユダヤ人の反対に会った。

*即位の半年後に気が狂い、親戚のほとんどを殺した。

*食事をしながら人々を拷問にかけ、殺した。

*愛馬をカウンセラーにした。

*自分を神と宣言し、諸神殿を建てたが、近衛兵によって殺害された。

      ④クラウデオ(クラウディウス)(41~54年)

*カリギュラの叔父

*48年、妻のメッサリーナを殺し、姪の小アグリッピナ(カリグラの妹)

と再婚。54年に、彼女によって毒殺された。

*49年、ユダヤ人をローマから追放した。

*使18:2

「ここで、アクラというポント生まれのユダヤ人およびその妻プリスキラに

出会った。クラウデオ帝が、すべてのユダヤ人をローマから退去させるよう

に命令したため、近ごろイタリヤから来ていたのである。パウロはふたりの

ところに行き、」

  ⑤ネロ(54~68年)

    *パウロがロマ書を書いたのは、ネロの時代である。57年頃。

*15歳で皇帝になり、22歳で母を殺した。

*3年後に離婚し、妻を殺した。

*64年のローマの大火の責任を、クリスチャンに負わせた。

(5)パウロは、不信者の政府、神なき組織にも従うように命じている。

理由①:すべての権威は神によって立てられているから

  1.1b節

  「神によらない権威はなく、存在している権威はすべて、神によって立てられたものです」

    (1)箴8:15

    「わたしによって、王たちは治め、君主たちは正義を制定する」

(2)ヨハ19:11

    「イエスは答えられた。『もしそれが上から与えられているのでなかったら、あなたに

はわたしに対して何の権威もありません。ですから、わたしをあなたに渡した者に、

もっと大きい罪があるのです』」

(3)いかなる方法で権威が誕生したのかは、問題ではない。

  ①現代の民主主義国家では、選挙という方法が取られる。

  ②国家権力は、民に安全と祝福をもたらすための神の方法である。

  2.2節

  「したがって、権威に逆らっている人は、神の定めにそむいているのです。そむいた人は

自分の身にさばきを招きます」

  (1)権威に逆らうことは、神の定めにそむくことである。

  (2)そむいた人は、自分の身にさばきを招く。

    ①定冠詞の「the」がない。

    ②必ずしも終末的なさばきではない。

理由②:自分自身の祝福のため

  1.3節

  「支配者を恐ろしいと思うのは、良い行いをするときではなく、悪を行うときです。権威

を恐れたくないと思うなら、善を行いなさい。そうすれば、支配者からほめられます」

  (1)支配者が神の意図に従って政治(統治)を行うことを前提に話している。

  ①悪人は、支配者を恐れる。

    ②善人は、恐れる必要はなく、支配者の保護を受ける。

2.4節

「それは、彼があなたに益を与えるための、神のしもべだからです。しかし、もしあなた

が悪を行うなら、恐れなければなりません。彼は無意味に剣を帯びてはいないからです。

彼は神のしもべであって、悪を行う人には怒りをもって報います」

    (1)不信者であっても、神のしもべとしての役割を果たしている。

  ①「神のしもべ」という言葉は、「神」に強調がある。

    (2)「剣」とは、執行する力である。

      ①12:19の復讐禁止命令と矛盾しない。

      ②個人的復讐は、憎しみから出る。公の報いは、善と平和を保持するためのもの。

理由③:自分自身の良心のため

1.5節

「ですから、ただ怒りが恐ろしいからだけでなく、良心のためにも、従うべきです」

  (1)良心の問題として、権威に服従する。

    ①キリストに弟子にとって、最も大切な行動原理となる。

    ②後になって心が痛むようなことはしないということである。

2.6~7節

「同じ理由で、あなたがたは、みつぎを納めるのです。彼らは、いつもその務めに励んで

いる神のしもべなのです。あなたがたは、だれにでも義務を果たしなさい。みつぎを納め

なければならない人にはみつぎを納め、税を納めなければならない人には税を納め、恐れ

なければならない人を恐れ、敬わなければならない人を敬いなさい」

  (1)権威に従順である3つの例

①「みつぎ(貢)」(tribute)とは、人頭税。

②「税」(custom)とは、物品税。

③「敬意」とは、心の税と考えるとよい。

結論:権威への抵抗の可能性

  1.権威は神によって立てられていることを再確認する。

    (1)ダニ2:21

    「神は季節と時を変え、王を廃し、王を立て、知者には知恵を、理性のある者には知

識を授けられる」

(2)ダニ2:31~35

「王さま。あなたは一つの大きな像をご覧になりました。見よ。その像は巨大で、そ

の輝きは常ならず、それがあなたの前に立っていました。その姿は恐ろしいものでし

た。その像は、頭は純金、胸と両腕とは銀、腹とももとは青銅、すねは鉄、足は一部

が鉄、一部が粘土でした。あなたが見ておられるうちに、一つの石が人手によらずに

切り出され、その像の鉄と粘土の足を打ち、これを打ち砕きました。そのとき、鉄も

粘土も青銅も銀も金もみな共に砕けて、夏の麦打ち場のもみがらのようになり、風が

それを吹き払って、あとかたもなくなりました。そして、その像を打った石は大きな

山となって全土に満ちました」

  ①純金の頭:バビロン帝国

  ②銀の胸と両腕:メド・ペルシヤ連合帝国

  ③青銅の腹ともも:アレクサンドロスのギリシア帝国

  ④第4の帝国:帝国主義(ローマ帝国以上のもの)

    *統一王国の時代

    *二国に分裂した時代

    *十国に分裂した時代

  ⑤山:メシア的王国

    *人手によらない

    *切り出された一つの石は、メシアである。

  2.権威は、神によって与えられた使命から逸脱する可能性がある。

    (1)「権威」とは、「エクスーシア」である。


  ①エペ2:2

      「そのころは、それらの罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ

支配者として今も不従順の子らの中に働いている霊に従って、歩んでいました」

②堕天使と関連した言葉である。

      ③サタンは、権威が神に反抗した究極の例である。

    (2)そのような場合、権威に従うなら、それは信者の使命を放棄したことになる。

      ①ポーランドのクリスチャンたちは、ユダヤ人をかくまわなかった。

      ②ヒトラーは、ロマ書13章を根拠に、教会に国家への従順を要求した。

  3.聖書に記された権威に反抗した例

    (1)出1:15~17 神を恐れたユダヤ人の助産婦たち

    (2)使4:19~20

    「ペテロとヨハネは彼らに答えて言った。『神に聞き従うより、あなたがたに聞き従

うほうが、神の前に正しいかどうか、判断してください。私たちは、自分の見たこと、

また聞いたことを、話さないわけにはいきません』」

(3)使5:29

「ペテロをはじめ使徒たちは答えて言った。『人に従うより、神に従うべきです』」

  4.パウロの心

    (1)教会を支配する論理を、敵に与えるために書いたのではない。

    (2)彼の心の中にあった確信

      ①宣教のための秩序

      ②地上の支配者は過ぎ去る。

      ③しかし、信者に与えられたメッセージは、永遠に続く。

      ④ペテロは、ネロの迫害によりローマで殉教した(エウセビオス『教会史』)。

      ⑤パウロもまた、67年頃、ネロの迫害によって殉教したと言われている。

      ⑥「生きたささげもの」となった。

    (3)コンスタンチヌス帝の時(313年のミラノ勅令)に、キリスト教が公認。

      ①これが教会にとってよかったかどうかは、分からない。

  5.私たちへの適用

    (1)地上の権威に従う。

    (2)しかし、その権威が神に反抗する場合は、声を上げ、抵抗する。

    (例話)杉原千畝氏

    (例話)デートリッヒ・ボンヘッファー

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