ローマ人への手紙(44)—献身の勧め(2)—

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このメッセージでは...

真理適用の基本原則を学ぶ。
チャート「神の義の啓示」

「献身の勧め(2)」

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①神学のない礼拝はない。

    ②礼拝のない神学もない。

    ③同じ意味で、神学のない実践はない。また、実践のない神学もない。

    ④パウロ書簡の特徴は、教理、そして、適用である。

⑤ロマ書の場合

*1~8章が教理

*9~11章がイスラエルの救い

*12~16章が適用

    (2)前回のメッセージ

      ①神の恵みの理解(1~11章)が土台

      ②自発的ささげ物をささげる。

        *旧約時代のささげ物は、死んだ動物の犠牲

        *新約時代のささげ物は、生きた聖なるささげ物

      ③自発的ささげ物は、当然の(理性的帰結としての)応答である。

      ④アンケートの紹介

    (3)きょうの箇所

      ①ロマ12:2だけを取り上げる。

②ロマ12:1は、一度限りの決断。

      ③ロマ12:2は、継続した行動。

      ④ロマ12:1~2は、それ以降の行動を導く基本原則である。

  2.アウトライン

    (1)否定形の命令(外的要素)

(2)肯定形の命令(内的要素)

(3)命令の目標

  3.メッセージのゴール(クリスチャンの自己認識)

    (1)「この世」について

(2)「天国人」について

このメッセージは、真理適用の基本原則を学ぼうとするものである。

Ⅰ.
否定形の命令(外的要素)

  
1.訳文の比較

「この世と調子を合わせてはいけません」(新改訳)

  「あなたがたはこの世に倣ってはなりません」(新共同訳)

  「あなたがたは、この世と妥協してはならない」(口語訳)

  2.「この世」とは何か。

    (1)ギリシア語で、「コスモス」(ヨハ3:16)ではなく、「アイオウン」。

      ①2001年、総合スーパー「ジャスコ」は「イオン」に社名を変更した。

      ②ラテン語の「イオン」(永遠)から取られたと言われている。

      ③ギリシア語の中心的な意味は、「時代」である。

*宇宙、世界のシステム、大昔、永遠などの意味もある。

  3.否定形の命令の内容

(1)3つの訳はすべて、能動態に訳している。

(2)ギリシア語は、「サスケイマチゾウ」という動詞である。

  ①受動態(あるいは、中間態。その行動が自分に戻ってくる)

  ②「この時代」が何かの行動を起こし、その影響を受けるということ。

  ③否定的命令形の要点は、「この時代」の要求に同意しないということ。

(3)私訳

「この時代は、あなたがたを一定の『型』にはめようとするが、それに同意してはな

らない」

  ①時代は私たちを攻撃してくる。外からの影響。

②それに対して、パウロは、攻撃的守備を提唱している。

③そうすれば、「型」にはめられることはない。

④「サスケイマチゾウ」=「スン」(一致)+「スキーム」(構想、陰謀、計画)

Ⅱ.肯定形の命令(内的要素)

  1.訳文の比較

  「いや、むしろ、…心の一新によって自分を変えなさい」(新改訳)

  「むしろ、心を新たにして自分を変えていただき、」(新共同訳)

  「むしろ、心を新たにすることによって、造りかえられ、」(口語訳)

  2.「変える」という動詞

    (1)ギリシア語で「メタモルフォウ」という動詞である。

      ①これは受動態である。

      ②新改訳はこれを能動態に訳しているが、問題あり。

        *ロマ書7章クリスチャンに回帰する危険性がある。

        *アンケートの中でそれを指摘した方がいる。

    (例話)受動態命令形に関する私の疑問(神学校時代)

    (2)受動態命令形

①動作の主体は自分以外である。

②その主体によって自分は影響を受けるが、それに対してどういう態度を取るか。

  *否定形の場合は、それを拒否する。「この時代」に対する態度。

  *肯定形の場合は、それを受け入れる。「神」に対する態度。

③神が主体の場合、「divine passive」(神的受動態)という言葉がある。

  *聖化は、「divine passive」(神的受動態)の結果起こる祝福である。

    (3)この動詞の意味

      ①マタ17:2

      「そして彼らの目の前で、御姿が変わり、御顔は太陽のように輝き、御衣は光の

ように白くなった」

②2コリ3:18

「私たちはみな、顔のおおいを取りのけられて、鏡のように主の栄光を反映させ

ながら、栄光から栄光へと、主と同じかたちに姿を変えられて行きます。これは

まさに、御霊なる主の働きによるのです」

      ③まさに変貌である。完全に変化すること。

  3.「心の一新によって」

    (1)「心」という名詞

      ①ギリシア語で「ヌース」。

      ②英語では「mind」であろう。

      ③知的、道徳的判断の土台になる部分。

      ④自分という車の運転席に座っている部分。

    (2)「一新」という名詞

      ①ギリシア語で「アナカイノウシス」

②「アナ」(再び)+「カイノス」(新しい)

    (3)動詞の使用例

      ①2コリ4:16

      「ですから、私たちは勇気を失いません。たとい私たちの外なる人は衰えても、

内なる人は日々新たにされています」

      ②コロ3:9~10

      「互いに偽りを言ってはいけません。あなたがたは、古い人をその行いといっし

ょに脱ぎ捨てて、新しい人を着たのです。新しい人は、造り主のかたちに似せら

れてますます新しくされ、真の知識に至るのです」

③パウロが使用している「アナカイノウシス」の意味が分かる。

*神に関する知識が日々更新されること

*それは、精神、知性、判断力の更新である。

    (4)私訳

    「神に関する知識を日々更新することによって、キリストの似姿に作り変えていただ

きなさい」

  ①動作の主体は神である。

  ②私たちはそれを受け入れる。

  ③私たちの側の責務は、神に関する知識を日々更新することである(聖書研究)。

Ⅲ.命令の目標

  1.訳文の比較

  「神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのか

をわきまえ知るために、」(新改訳)

「何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわき

まえるようになりなさい」(新共同訳)

「何が神の御旨であるか、何が善であって、神に喜ばれ、かつ全きことであるかを、わき

まえ知るべきである」(口語訳)

  (1)目的か(新改訳)

(2)結果か(新共同訳)(口語訳)

2.「わきまえ知る」

  (1)ギリシア語では「ドキマゾウ」という動詞。

    ①「わきまえ知る」=わきまえる+知る

    ②試し、検証した結果、欠点がない、よいことだと、判断する。

  (2)「この時代」の型から自由になっている。

  3.「神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのか」

    (1)神の御心を知って、それを実行することが人生である。

      ①良いこと

      ②神に受け入れられること

      ③完全なこと

    (2)神の働きかけに日々応答している人は、この判断ができるようになる。

結論

  1.「この世」について

    (1)歴史の中でのある区切られた期間

      ①単に、堕落した世とそこに住む人々を指すのではない。

      ②「時代」には、哲学がある。

      ③世界観がある。

      ④信念がある。

      ⑤戦略がある。

      ⑥背後にサタンの存在がある。

    (2)「モダン(近代)」から「ポストモダン(Postmodern)」へ

①近代の行詰りを克服しようとする動き

②定義は一律ではない。また、時代区分としてふさわしいのかも分からない。

③最大の違い

*モダニズムでは自己同一性は保たれている。

*ポストモダニズムでは自己同一性が曖昧になる。

*「私はだれなのかが分からない」時代である。

    (3)この時代の型

  ①同性愛、性同一性障害の問題

  ②家族制度、結婚関係の問題

  ③永遠よりも一時的な価値観を重視

2
.「天国人」について

(1)ガラ1:4

「キリストは、今の悪の世界から私たちを救い出そうとして、私たちの罪のためにご

自身をお捨てになりました。私たちの神であり父である方のみこころによったのです」

    (2)ピリ3:20

    「けれども、私たちの国籍は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主と

しておいでになるのを、私たちは待ち望んでいます」

(3)コロ3:2

「あなたがたは、地上のものを思わず、天にあるものを思いなさい」

    (4)一度限りの献身の決心

      ①「ささげる」という動詞は、アオリストである。

    (5)継続した選び

      ①「調子を合わせる」と「変えていただく」は、現在形である。

      ②聖化は、現在形である。

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