私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ローマ人への手紙(44)—献身の勧め(2)—
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真理適用の基本原則を学ぶ。
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「献身の勧め(2)」
1.はじめに
(1)文脈の確認
①神学のない礼拝はない。
②礼拝のない神学もない。
③同じ意味で、神学のない実践はない。また、実践のない神学もない。
④パウロ書簡の特徴は、教理、そして、適用である。
⑤ロマ書の場合
*1~8章が教理
*9~11章がイスラエルの救い
*12~16章が適用
(2)前回のメッセージ
①神の恵みの理解(1~11章)が土台
②自発的ささげ物をささげる。
*旧約時代のささげ物は、死んだ動物の犠牲
*新約時代のささげ物は、生きた聖なるささげ物
③自発的ささげ物は、当然の(理性的帰結としての)応答である。
④アンケートの紹介
(3)きょうの箇所
①ロマ12:2だけを取り上げる。
②ロマ12:1は、一度限りの決断。
③ロマ12:2は、継続した行動。
④ロマ12:1~2は、それ以降の行動を導く基本原則である。
2.アウトライン
(1)否定形の命令(外的要素)
(2)肯定形の命令(内的要素)
(3)命令の目標
3.メッセージのゴール(クリスチャンの自己認識)
(1)「この世」について
(2)「天国人」について
このメッセージは、真理適用の基本原則を学ぼうとするものである。
Ⅰ.
否定形の命令(外的要素)
1.訳文の比較
「この世と調子を合わせてはいけません」(新改訳)
「あなたがたはこの世に倣ってはなりません」(新共同訳)
「あなたがたは、この世と妥協してはならない」(口語訳)
2.「この世」とは何か。
(1)ギリシア語で、「コスモス」(ヨハ3:16)ではなく、「アイオウン」。
①2001年、総合スーパー「ジャスコ」は「イオン」に社名を変更した。
②ラテン語の「イオン」(永遠)から取られたと言われている。
③ギリシア語の中心的な意味は、「時代」である。
*宇宙、世界のシステム、大昔、永遠などの意味もある。
3.否定形の命令の内容
(1)3つの訳はすべて、能動態に訳している。
(2)ギリシア語は、「サスケイマチゾウ」という動詞である。
①受動態(あるいは、中間態。その行動が自分に戻ってくる)
②「この時代」が何かの行動を起こし、その影響を受けるということ。
③否定的命令形の要点は、「この時代」の要求に同意しないということ。
(3)私訳
「この時代は、あなたがたを一定の『型』にはめようとするが、それに同意してはな
らない」
①時代は私たちを攻撃してくる。外からの影響。
②それに対して、パウロは、攻撃的守備を提唱している。
③そうすれば、「型」にはめられることはない。
④「サスケイマチゾウ」=「スン」(一致)+「スキーム」(構想、陰謀、計画)
Ⅱ.肯定形の命令(内的要素)
1.訳文の比較
「いや、むしろ、…心の一新によって自分を変えなさい」(新改訳)
「むしろ、心を新たにして自分を変えていただき、」(新共同訳)
「むしろ、心を新たにすることによって、造りかえられ、」(口語訳)
2.「変える」という動詞
(1)ギリシア語で「メタモルフォウ」という動詞である。
①これは受動態である。
②新改訳はこれを能動態に訳しているが、問題あり。
*ロマ書7章クリスチャンに回帰する危険性がある。
*アンケートの中でそれを指摘した方がいる。
(例話)受動態命令形に関する私の疑問(神学校時代)
(2)受動態命令形
①動作の主体は自分以外である。
②その主体によって自分は影響を受けるが、それに対してどういう態度を取るか。
*否定形の場合は、それを拒否する。「この時代」に対する態度。
*肯定形の場合は、それを受け入れる。「神」に対する態度。
③神が主体の場合、「divine passive」(神的受動態)という言葉がある。
*聖化は、「divine passive」(神的受動態)の結果起こる祝福である。
(3)この動詞の意味
①マタ17:2
「そして彼らの目の前で、御姿が変わり、御顔は太陽のように輝き、御衣は光の
ように白くなった」
②2コリ3:18
「私たちはみな、顔のおおいを取りのけられて、鏡のように主の栄光を反映させ
ながら、栄光から栄光へと、主と同じかたちに姿を変えられて行きます。これは
まさに、御霊なる主の働きによるのです」
③まさに変貌である。完全に変化すること。
3.「心の一新によって」
(1)「心」という名詞
①ギリシア語で「ヌース」。
②英語では「mind」であろう。
③知的、道徳的判断の土台になる部分。
④自分という車の運転席に座っている部分。
(2)「一新」という名詞
①ギリシア語で「アナカイノウシス」
②「アナ」(再び)+「カイノス」(新しい)
(3)動詞の使用例
①2コリ4:16
「ですから、私たちは勇気を失いません。たとい私たちの外なる人は衰えても、
内なる人は日々新たにされています」
②コロ3:9~10
「互いに偽りを言ってはいけません。あなたがたは、古い人をその行いといっし
ょに脱ぎ捨てて、新しい人を着たのです。新しい人は、造り主のかたちに似せら
れてますます新しくされ、真の知識に至るのです」
③パウロが使用している「アナカイノウシス」の意味が分かる。
*神に関する知識が日々更新されること
*それは、精神、知性、判断力の更新である。
(4)私訳
「神に関する知識を日々更新することによって、キリストの似姿に作り変えていただ
きなさい」
①動作の主体は神である。
②私たちはそれを受け入れる。
③私たちの側の責務は、神に関する知識を日々更新することである(聖書研究)。
Ⅲ.命令の目標
1.訳文の比較
「神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのか
をわきまえ知るために、」(新改訳)
「何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわき
まえるようになりなさい」(新共同訳)
「何が神の御旨であるか、何が善であって、神に喜ばれ、かつ全きことであるかを、わき
まえ知るべきである」(口語訳)
(1)目的か(新改訳)
(2)結果か(新共同訳)(口語訳)
2.「わきまえ知る」
(1)ギリシア語では「ドキマゾウ」という動詞。
①「わきまえ知る」=わきまえる+知る
②試し、検証した結果、欠点がない、よいことだと、判断する。
(2)「この時代」の型から自由になっている。
3.「神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのか」
(1)神の御心を知って、それを実行することが人生である。
①良いこと
②神に受け入れられること
③完全なこと
(2)神の働きかけに日々応答している人は、この判断ができるようになる。
結論
1.「この世」について
(1)歴史の中でのある区切られた期間
①単に、堕落した世とそこに住む人々を指すのではない。
②「時代」には、哲学がある。
③世界観がある。
④信念がある。
⑤戦略がある。
⑥背後にサタンの存在がある。
(2)「モダン(近代)」から「ポストモダン(Postmodern)」へ
①近代の行詰りを克服しようとする動き
②定義は一律ではない。また、時代区分としてふさわしいのかも分からない。
③最大の違い
*モダニズムでは自己同一性は保たれている。
*ポストモダニズムでは自己同一性が曖昧になる。
*「私はだれなのかが分からない」時代である。
(3)この時代の型
①同性愛、性同一性障害の問題
②家族制度、結婚関係の問題
③永遠よりも一時的な価値観を重視
2
.「天国人」について
(1)ガラ1:4
「キリストは、今の悪の世界から私たちを救い出そうとして、私たちの罪のためにご
自身をお捨てになりました。私たちの神であり父である方のみこころによったのです」
(2)ピリ3:20
「けれども、私たちの国籍は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主と
しておいでになるのを、私たちは待ち望んでいます」
(3)コロ3:2
「あなたがたは、地上のものを思わず、天にあるものを思いなさい」
(4)一度限りの献身の決心
①「ささげる」という動詞は、アオリストである。
(5)継続した選び
①「調子を合わせる」と「変えていただく」は、現在形である。
②聖化は、現在形である。
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