私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ローマ人への手紙(30)—現在の苦難(1)—
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被造物のうめきの原因と解決について学ぶ。
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「現在の苦難(1)―被造物のうめき―」
1.はじめに
(1)救いの3つの側面は、すべて信仰により、恵みによって達成される。
①義認(過去形)
②聖化(現在進行形)
③栄化(未来形)
(2)きょうの箇所から「栄化」のテーマに入る。
①ロマ8:18~27で3つの「うめき」が記されている。
*被造物のうめき(8:17~22)
*神の子たちのうめき(8:23~25)
*御霊のうめき(8:26~27)
②今回は、被造物のうめきを取り上げる。
③次回は、神の子たちのうめき、御霊のうめき、を取り上げる。
2.東日本大震災に関連して
4月22日、ローマ法王ベネディクト16世が、イタリア国営テレビのカトリック教徒向
け番組に出演し、東日本大震災を体験した7歳の日本人少女(イタリア人の父、日本人の母を持つ千葉市の少女。自宅近くが液状化の被害を受けた)の質問に答えた。
「私は今、とても怖いです。大丈夫だと思っていた私の家がとても揺れたり、私と同じ
年ぐらいの子供がたくさん死んだり、公園に遊びに行けないからです。なんでこんなに悲
しいことにならないといけないのですか」
「私も同じように『なぜ』と自問しています。答えは見つかりませんが、神はあなたと
ともにあります。この痛みは無意味ではありません。私たちは苦しんでいる日本の子供た
ちとともにあります。ともに祈りましょう」
3.私たちの心構え
(1)キリスト教を世界観、歴史観として理解する必要がある。
(2)ロマ書8章は、実にタイムリーな箇所である。
4.アウトライン
(1)パウロの資格(18節)
(2)被造物のうめきの原因(19~20節)
(3)被造物のうめきの解決(21~22節)
3.メッセージのゴール
(1)被造世界は、どこに向かっているのか。
(2)それでは、私たちはいかに生きるべきか。
このメッセージは、被造物のうめきの原因と解決について学ぼうとするものである。
Ⅰ.
パウロの資格(18節)
1.18節
「今の時のいろいろの苦しみは、将来私たちに啓示されようとしている栄光に比べれば、
取るに足りないものと私は考えます」
(1)クリスチャン生活における苦難を否定していない。
①「いろいろの苦しみ」(複数形)
②苦難は不信仰のしるしでも、神から見放されていることのしるしでもない。
(2)パウロは比較を行っている。
①現在の苦難と将来私たちに啓示されようとしている栄光の比較
③栄光があまりにも素晴らしいので、比較する価値すらない。
(3)「私は考えます」(ロギゾマイ)
①ロマ6:11に出てきた。
「このように、あなたがたも、自分は罪に対しては死んだ者であり、神に対して
はキリスト・イエスにあって生きた者だと、思いなさい」
②「思いなさい」という現在形の命令形。
③基本的な意味は、算数の用語。よく計算して、答えを出しなさい。
④感情ではなく、知的理解である。
2.パウロの資格
(1)パウロほど苦難を経験した人はいない。
①本からの知識によってではなく、体験から語っている。
(例話)文芸春秋(8月号):松本清張の講演
菊池寛と夏目漱石、芥川龍之介の対比。菊池寛は、パウロ的人物である。
(2)2コリ6:3~5
「私たちは、この務めがそしられないために、どんなことにも人につまずきを与えな
いようにと、あらゆることにおいて、自分を神のしもべとして推薦しているのです。
すなわち非常な忍耐と、悩みと、苦しみと、嘆きの中で、また、むち打たれるときに
も、入獄にも、暴動にも、労役にも、徹夜にも、断食にも、」
(3)2コリ11:23~28
「彼らはキリストのしもべですか。私は狂気したように言いますが、私は彼ら以上に
そうなのです。私の労苦は彼らよりも多く、牢に入れられたことも多く、また、むち
打たれたことは数えきれず、死に直面したこともしばしばでした。ユダヤ人から三十
九のむちを受けたことが五度、むちで打たれたことが三度、石で打たれたことが一度、
難船したことが三度あり、一昼夜、海上を漂ったこともあります。幾度も旅をし、川
の難、盗賊の難、同国民から受ける難、異邦人から受ける難、都市の難、荒野の難、
海上の難、にせ兄弟の難に会い、労し苦しみ、たびたび眠られぬ夜を過ごし、飢え渇
き、しばしば食べ物もなく、寒さに凍え、裸でいたこともありました。このような外
から来ることのほかに、日々私に押しかかるすべての教会への心づかいがあります」
Ⅱ.被造物のうめきの原因(19~20節)
1.19~20節
「被造物も、切実な思いで神の子どもたちの現れを待ち望んでいるのです。それは、被造
物が虚無に服したのが自分の意志ではなく、服従させた方によるのであって、望みがある
からです」
(1)被造物の擬人化はヘブル的手法
①詩98:8
「もろもろの川よ。手を打ち鳴らせ。山々も、こぞって【主】の御前で喜び歌え」
②イザ55:12
「まことに、あなたがたは喜びをもって出て行き、安らかに導かれて行く。山と
丘は、あなたがたの前で喜びの歌声をあげ、野の木々もみな、手を打ち鳴らす」
(2)被造物に責任はない。
①自分の意志で虚無に服したのではない。
②服従させた方がおられる。
③だから希望がある。
(3)責任はアダムにある。
①創3:17~18
「また、人に仰せられた。『あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわ
たしが命じておいた木から食べたので、土地は、あなたのゆえにのろわれてしま
った。あなたは、一生、苦しんで食を得なければならない。土地は、あなたのた
めに、いばらとあざみを生えさせ、あなたは、野の草を食べなければならない」
②アダムの罪の影響が被造世界に及んだ。
(4)被造物には望みがある。
①神の子どもたちの現れを待ち望んでいる。
②アダムの罪による呪いが栄光に変えられることを待ち望んでいる。
Ⅲ.被造物のうめきの解決(21~22節)
1.21節
「被造物自体も、滅びの束縛から解放され、神の子どもたちの栄光の自由の中に入れられ
ます」
(1)キリストの再臨との関係
①復活の体を持った神の子たちが出現する。
②これは栄光の体である。栄化の成就である。
(2)次に地上に千年王国が成就する。
①エデンの園の状態が回復するということである。
②これは、被造物が滅びの束縛から解放されることである。
2.22節
「私たちは、被造物全体が今に至るまで、ともにうめきともに産みの苦しみをしているこ
とを知っています」
(1)アダムの堕落以来、今に至るまで、自然界は崩壊しつつある。
①「ともに」とは、私たちとともに、という意味である。
(2)「産みの苦しみ」
①意味のない苦しみではない。新しい世界が現れるための苦しみである。
②ヨハ16:20~21
「まことに、まことに、あなたがたに告げます。あなたがたは泣き、嘆き悲しむ
が、世は喜ぶのです。あなたがたは悲しむが、しかし、あなたがたの悲しみは喜
びに変わります。女が子を産むときには、その時が来たので苦しみます。しかし、
子を産んでしまうと、ひとりの人が世に生まれた喜びのために、もはやその激し
い苦痛を忘れてしまいます」
結論:
1.被造物はどこに向かっているのか。
(1)神は天と地を創造した。
①これが最初の理想的な状態である。
(2)創1:1と1:2の間で、サタンの堕落が起こった。
①被造世界は混沌とした状態になった。
(3)再創造によって、秩序ある世界が出現した。
①人類はエデンの園に置かれた。
(4)アダムの堕落によって、世界は呪いを受けた。
①今の世界は崩壊しつつある。
②それは、新しい世界を産み出すための苦しみである。
(5)千年王国(メシア的王国)
①キリストの再臨
②神の子たちの出現(栄化の成就)
③これはエデンの園の状態の回復である。
④2ペテ3:10~13
「しかし、主の日は、盗人のようにやって来ます。その日には、天は大きな響き
をたてて消えうせ、天の万象は焼けてくずれ去り、地と地のいろいろなわざは焼
き尽くされます。このように、これらのものはみな、くずれ落ちるものだとすれ
ば、あなたがたは、どれほど聖い生き方をする敬虔な人でなければならないこと
でしょう。そのようにして、神の日の来るのを待ち望み、その日の来るのを早め
なければなりません。その日が来れば、そのために、天は燃えてくずれ、天の万
象は焼け溶けてしまいます。しかし、私たちは、神の約束に従って、正義の住む
新しい天と新しい地を待ち望んでいます」
(6)新天新地
①旧約聖書の預言のピークは千年王国(メシア的王国)である。
②その先を預言しているのが、ヨハネの黙示録である。
③新天新地は、永遠の秩序である。
④これは、サタンの堕落が起こる前の状態の回復である。
④黙21:1~2
「また私は、新しい天と新しい地とを見た。以前の天と、以前の地は過ぎ去り、
もはや海もない。私はまた、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために飾られ
た花嫁のように整えられて、神のみもとを出て、天から下って来るのを見た」
2.それでは、私たちはいかに生きるべきか。
(1)終末的視点で生きる。
①地上での生活は一時的なものである。
②質的に異なった世界が実現する。
③富であれ苦難であれ、地上のものに目を注ぐならそれによって束縛される。
④上のものに目を注ぐ生き方をする。
(2)2コリ4:16~18
「ですから、私たちは勇気を失いません。たとい私たちの外なる人は衰えても、内な
る人は日々新たにされています。今の時の軽い患難は、私たちのうちに働いて、測り
知れない、重い永遠の栄光をもたらすからです。私たちは、見えるものにではなく、
見えないものにこそ目を留めます。見えるものは一時的であり、見えないものはいつ
までも続くからです」
(3)ピリ3:18~21
「というのは、私はしばしばあなたがたに言って来たし、今も涙をもって言うのです
が、多くの人々がキリストの十字架の敵として歩んでいるからです。彼らの最後は滅
びです。彼らの神は彼らの欲望であり、彼らの栄光は彼ら自身の恥なのです。彼らの
思いは地上のことだけです。けれども、私たちの国籍は天にあります。そこから主イ
エス・キリストが救い主としておいでになるのを、私たちは待ち望んでいます。キリ
ストは、万物をご自身に従わせることのできる御力によって、私たちの卑しいからだ
を、ご自身の栄光のからだと同じ姿に変えてくださるのです」
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