ローマ人への手紙(4)—あいさつ(3)—

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このメッセージでは...

啓示された「神の義」の大枠を理解する。
チャート「神の義の啓示」

「あいさつ(3)」

1.はじめに

  (1)パウロの自己紹介(1節)

  ①しもべ、キリスト・イエスの

  ②召された、使徒として

  ③選びだされた、神の福音のために

(2)挿入句(2~6節)

  ①パウロの情熱がこの挿入句を作り出した。

②福音の内容が要約されている。

③6節の「このパウロから」というのは補足した言葉である。

④福音の内容

 *神が作者である。

 *天地創造の前から計画されていた。

 *御子に関することである。

  (3)きょうは、5~7節を扱う。

  ①挿入句の残りの部分(5~6節)

  ②宛先へのあいさつ(7節)

  2.メッセージのアウトライン

(1)「神の義」を宣言する器

(2)「神の義」の内容

(3)「神の義」に与った人々

(例話)検察の信頼が失墜した事件

*村木厚子・厚生労働省元局長の無罪が確定した郵便不正事件

*証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件

*大阪地検特捜部の元主任検事や前特捜部長らが逮捕された。

*検察トップの大林宏検事総長(63)が年内に辞任する意向を固めた。

*村木厚子氏にとっては、名誉回復の機会となった。

  *「神の義」とは「神の名誉」であり「神の栄光」である。

  3.メッセージのゴールは、啓示された「神の義」の大枠を理解すること。

このメッセージは、啓示された「神の義」の大枠を理解するためのものである。

Ⅰ.「神の義」を宣言する器

  1.「私たち」という言葉

(1)ローマの信者を含めた「私たち」ではない。

    (2)使徒たち全員を含めた「私たち」の可能性はある。

(3)パウロ個人のことを示す「私たち」であろう。

  ①ギリシア語ではよくある使用法(あるいは、編集的複数形とも言う)

  ②僭越な印象を相手に与えないための婉曲法

  ③「わたくし‐ども」(私共)

「ども」は接尾語。自称。単数・複数にかかわらず用いる。自分、または自分の

家族・仲間などをへりくだっていう語。

  2.「このキリストによって」

(1)キリストに2性があることは、前回確認した。

①人間性

②神性

(2)「dia」の第一義的意味は、「通して」である。

  ①父なる神の御業が私たちに届けられるための管であり、手段である。

  ②旧約聖書では大祭司が神と民とをつなぐ管となり、手段となった。

  ③日本人が「仲介者」の必要性を感じないのは、神を地上レベルに引き下ろして

  いるから。

  ④体験的にも「キリストを通して」ということは真理である。

(3)私たちが受けるすべてのよきものは、キリストを通して与えられる。

  3.パウロがキリストを通して受けたもの

(1)恵み(カリス)

  ①罪人に与えられた神の憐れみ、一方的な愛のこと。

  ②神の聖さが人間に影響を与え、信仰による救いを得させること。

  ③パウロも、一般的な意味での恵みを受けた。

  ④さらに、使徒としての使命を果たすための力を受けた。

(2)使徒の務め(使徒職のこと)

  ①パウロにとっては、恵みは使徒職の土台である。

  ②使徒は神の代理人(シャリアハ)である。

  ③パウロは神の代理人として語るのである。

    *パリサイ派の学びの中心は、暗記である。

*自分の師の名によって、師から受けたことをそのまま次の世代に伝える。

*日本的宗教観との違いは明白である。

「宗教とは人間の知能による発明であり、人々に受け入れられた時、それが

広まる」と多くの日本人が考えている。

(3)恵み(権威)と責務の関係に注目しよう。

  ①恵み(権威)なき責務はなく、責務なき恵み(権威)もない。

  ②これは人生における真理であり、クリスチャン生活にそのまま当てはまる。

Ⅱ.「神の義」の内容(原文の語順に従って解説する)

  1.「信仰の従順をもたらすため」

    (1)律法による義を求める熱心さではない。

①ロマ10:2

「私は、彼らが神に対して熱心であることをあかしします。しかし、その熱心は

知識に基づくものではありません」

②かつてのパウロがそうであった。

    (2)信仰から出てくる従順のことである。

      ①パリサイ的ユダヤ教とは異なった原理である。

      ②信仰は神への従順を生み出す。

  2.「あらゆる国の人々の中に」

    (1)新共同訳、口語訳ともに、「異邦人」と訳している。

      ①ギリシア語では「エスノス」。

      ②彼は、ローマの教会にユダヤ人信者と異邦人信者がいたことを意識している。

    (2)パウロのメッセージは、2重の意味で革命的であった。

      ①「信仰の従順」を説いた。

      ②異邦人も招かれていることを説いた。

  3.「御名のために」

    (1)訳語の問題

      ①新改訳は、直訳をしているだけ。

      ②「その御名を広めて」(新共同訳)では、弱い。

    (2)「神の栄誉と栄光のために」が正しい訳である。

      ①詩106:8

「しかし主は、御名のために彼らを救われた。それは、ご自分の力を知らせるた

めだった」

②エゼ20:14

「しかし、わたしはわたしの名のために、彼らを連れ出すのを見ていた諸国の民

の目の前でわたしの名を汚そうとはしなかった」

      ③イスラエルの民は、地上における神の代理人である。

        *彼らの使命は、異邦人の中にあって神の栄誉を示すことである。

        *しかし、彼らはその使命を果たすことに失敗した。

    (3)パウロは神の代理人(シャリアハ)として召された。

      ①イスラエルの民が失敗したことを、パウロは忠実に行おうとしている。

      ②それは、異邦人の中にあって神の栄誉を示すことである。

      ③神がいかにして妥協なしに異邦人を救うか、というのが「神の義」である。

Ⅲ.「神の義」に与った人々

  1.「あなたがたも、それらの人々の中にあって、イエス・キリストによって召された人々

です」(6節)

  (1)ローマの信者たちも、同じ福音を信じて救われた。

    ①イエス・キリストによってこの世から呼び出された。

  (2)パウロの三段論法に注目

    ①パウロは異邦人に対して使徒としての権威と責任を与えられた。

    ②あなたがたもまた、異邦人の中にあってイエス・キリストによって召された。

    ③従って、私にはあなたがたを導く権威を責任がある。

2.「ローマにいるすべての、神に愛されている人々、召された聖徒たちへ」(7節a)

  (1)「すべての」

    ①ユダヤ人信者も異邦人信者も

    ②男も女も、富んだ者も貧しい者も、奴隷も自由人も

  (2)「神に愛されている人々」

    ①愛する理由があるからではない。

    ②従順だからでもない。

    ③神の性質のゆえに、愛されている。

  (3)「召された聖徒たち」

    ①聖徒は「ハギオス」である。

    ②3つの使用法

      *地域教会の会員(使9:32、41)

      *普遍的教会の会員(1コリ1:2)

      *信者個人(エペ1:18、コロ1:12、黙13:10)

    ③欠陥がないという意味ではない。

    ④選び分けられた、神のご用のために選ばれたという意味である。

3.「私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安があなたがたの上にあります

ように」(7節b)

    (1)伝統的なユダヤ人のあいさつの形式である。

      ①パウロ書簡のあいさつの特徴である。

    (2)「恵み」と「平安(シャローム)」という2つの言葉

①この中に、霊的・肉体的祝福がすべて詰まっている。

②「恵み」の作者は、父なる神である。

③「平安(シャローム)」をもたらしたのは主イエス・キリストである。

  *神と人の和解

  *ユダヤ人と異邦人の和解

*人と人の和解

結論:
メッセージのゴールは、啓示された「神の義」の大枠を理解すること。

  1.パウロの自己認識は、神の代理人(シャリアハ)である。

    (1)彼の関心は、神の義がいかに啓示されたかを伝えることにある。

    (2)異邦人が救いの外に置かれているなら、神の義がなったとは言えない。

    (3)異邦人の救いは、神の義の実現である。

  2.パウロは、旧約聖書に啓示されていた神の義を認識していた。

    (1)創49:10(ヤコブの預言)

    「王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない。ついにはシロ

が来て、国々の民は彼に従う」

(2)詩2:7~8(メシア的詩篇)

「わたしは【主】の定めについて語ろう。主はわたしに言われた。『あなたは、わた

しの子。きょう、わたしがあなたを生んだ。わたしに求めよ。わたしは国々をあなた

へのゆずりとして与え、地をその果て果てまで、あなたの所有として与える』」

  3.新約時代になって啓示された「奥義」がある。

    (1)パウロは神の代理人として、神の計画の全貌を開示しようとしている。

    (2)「奥義」の内容

  ①イスラエルの民のつまずき

  ②異邦人の救い(アブラハム契約への接ぎ木)

  ③イスラエルの民のねたみ

  ④イスラエルの民の民族的救い

    (3)ロマ1:16~17がテーマである。

    「私は福音を恥とは思いません。福音は、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、信じる

すべての人にとって、救いを得させる神の力です」

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