ヨハネの黙示録(7)—フィラデルフィアにある教会—

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フィラデルフィアにある教会について学ぶ。
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フィラデルフィアにある教会について学ぶ。

「フィラデルフィアにある教会」

黙3:7~13

1.はじめに

  (1)黙示録の3区分

    ①黙1:19は、黙示録を3区分している。

Rev 1:19 そこで、あなたの見た事、今ある事、この後に起こる事を書きしるせ。

     ①「今ある事」(2~3章)の内容は、アジアにある7つの教会への手紙である。

    ②今回は、フィラデルフィアにある教会を取り上げる。

2.アウトライン

  (1)フィラデルフィアにある教会(3:7~13)

    ①宛先

    ②賞賛

③叱責

④奨励

⑤約束

  3.結論:

    (1)フィラデルフィアにある教会から学ぶ教訓

    (2)携挙

フィラデルフィアにある教会について学ぶ。

Ⅰ.フィラデルフィアにある教会

  1.宛先(7節)

Rev 3:7 また、フィラデルフィヤにある教会の御使いに書き送れ。/『聖なる方、真実な方、ダビデのかぎを持っている方、彼が開くとだれも閉じる者がなく、彼が閉じるとだれも開く者がない、その方がこう言われる。

    (1)フィラデルフィアの町は、サルデスの南東約45キロメートルに位置する。

      ①肥沃な地と農業生産で有名な町である。

②特にワインで有名。酒の神ディオニソス(バッカス)が町の主神であった。

      ②たびたび地震に襲われ、数回にわたって町が破壊された。

      ③最も近い地震は、紀元37年に起こっていた。

    (2)命名の由来

        ①ペルガモン王国の第4代国王アッタロス2世が建設した町であった。

        ②彼は、アッタロス・フィラデルフォス(愛兄王)と呼ばれた。

        ③そこからフィラデルフィアという名前になった。

    (3)キリストの自己紹介

      ①「聖なる方、真実な方」

         *キリストは聖なるお方である。つまり、神である。

        *真実な方は、神以外にはいない。

「ダビデのかぎを持っている方」

        *黙1:18では、「死とハデスとのかぎを持っている方」と紹介されていた。

        *ここでは、「ダビデのかぎを持っている方」。

   *イザ22:22

Isa 22:22 わたしはまた、/ダビデの家のかぎを彼の肩に置く。/彼が開くと、閉じる者はなく、/彼が閉じると、開く者はない。

        *ヒルキヤの子エルヤキムにダビデの家のかぎが与えられた。

        *彼は、王の財宝に自由に近づくことができた。

        *同じように、キリストは霊的富に自由に近づくことができる。

「彼が開くとだれも閉じる者がなく、彼が閉じるとだれも開く者がない」

   *キリストは絶対的な権威を持ったお方である。

  *伝道の扉を開くのは、キリストご自身である。

  *開いた扉を閉じる者はいない。

  2.賞賛(8~9節)
(1)8節

Rev 3:8 「わたしは、あなたの行いを知っている。見よ。わたしは、だれも閉じることのできない門を、あなたの前に開いておいた。なぜなら、あなたには少しばかりの力があって、わたしのことばを守り、わたしの名を否まなかったからである。

       ①キリストは、この教会の信徒たちの行いを知っておられる。

      ②黙3:8の訳文の比較

「あなたには少しばかりの力があって、」(新改訳)

*「あなたは力が弱かったが、」(新共同訳)

*「あなたには少ししか力がなかったにもかかわらず、」(口語訳)

      ③この教会は、町の中では影響力が小さかったのであろう。

      ④あるいは、信徒たちは下層階級の出身であったのかもしれない。

      ⑤にもかかわらず、彼らはキリストのことばを守り、信仰を捨てなかった。

        *信者は、弱い時にこそ強い。キリストの力が働く。

      ⑥キリストは、彼らが忠実であったので、彼らのために門を開かれた。

        *これは、伝道の門、神への奉仕の門である。

        *だれもこの門を閉ざすことはできない。

     (2)9節

Rev 3:9 見よ。サタンの会衆に属する者、すなわち、ユダヤ人だと自称しながら実はそうでなくて、うそを言っている者たちに、わたしはこうする。見よ。彼らをあなたの足もとに来てひれ伏させ、わたしがあなたを愛していることを知らせる。

      ①彼らの敵は、当時の状況では、不信仰なユダヤ人たちである。

      ②「サタンの会衆に属する者、すなわち、ユダヤ人だと自称しながら実はそうで

なくて、うそを言っている者たち」

③主イエスを拒否したユダヤ人たちは、無意識のうちにサタンの手先となった。

*適応においては、これをキリスト教のカルトと考えてもよい。

④彼らの敵は、やがて真理を認めるようになる。

        *彼らの敵は、キリストが彼らを愛していることを知るようになる。

        *神は、ユダヤ人だけでなく異邦人も愛しておられる。

        *これは、使15章のエルサレム会議で明らかになった真理である。

  3.叱責

    (1)叱責のことばがない。

      ①スミルナの教会の場合も、叱責のことばはなかった。

  4.奨励

    (1)奨励のことばもない。

      ①ほめられ、約束のことばが与えられているだけである。

  5.約束(10~13節)

    (1)10節

Rev 3:10 あなたが、わたしの忍耐について言ったことばを守ったから、わたしも、地上に住む者たちを試みるために、全世界に来ようとしている試練の時には、あなたを守ろう。

      「全世界に来ようとしている試練の時には、あなたを守ろう」

         *黙6~19章の大患難時代。「the hour of trial」

      ②これは、大患難時代からの守りの約束である。

      ③フィラデルフィアの教会は、13世紀まで生き延びた。

        *小アジアにおける宣教の拠点であった。

④今日でも少数のクリスチャンが住んでいる。迫害を恐れて、身を隠している。

     (2)11~12節

Rev 3:11 わたしは、すぐに来る。あなたの冠をだれにも奪われないように、あなたの持っているものをしっかりと持っていなさい。

Rev 3:12 勝利を得る者を、わたしの神の聖所の柱としよう。彼はもはや決して外に出て行くことはない。わたしは彼の上にわたしの神の御名と、わたしの神の都、すなわち、わたしの神のもとを出て天から下って来る新しいエルサレムの名と、わたしの新しい名とを書きしるす。

      「わたしは、すぐに来る」

         *すぐに、そして、突然来る。

      ②それゆえ、今持っている信仰を持ち続ける必要がある。

      ③勝利を得る者は、神の聖所の柱となる。

        *これは、比喩的言葉である。

        *この町の偶像の宮では、貴族の名が刻まれた柱が建てられていた。

        *新しいエルサレムには神殿はない。そこ全体が神殿である。

        *黙21:22

Rev 21:22 私は、この都の中に神殿を見なかった。それは、万物の支配者である、神であられる主と、小羊とが都の神殿だからである。

        *柱は、力、栄誉、永遠の保証のしるしである。

        *地上の神殿の柱は倒れるが、信者は永遠に倒れない。

      ④信者の上には、3つの新しい名が記される。

*名を記すとは、所有権を表す行為である。

        *神の御名、新しいエルサレムの御名、キリストの新しい名

*信者は、この3つと一体化している。

*キリストの新しい名とは、キリストのご性質の全貌を意味している。

     (3)13節

Rev 3:13 耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。」』

       ①ここでも、最後にこの奨励のことばが出てくる。

結論:

  1.フィラデルフィアにある教会から学ぶ教訓

    (1)フィラデルフィアとは「兄弟愛」という意味である。

    (2)この教会は、「大宣教時代の教会」の型である。

      ①18世紀~19世紀の教会の型

      ②1648年(ウェストファリア条約)~1900年頃

    (3)有名な宣教師たち

①ウィリアム・ケアリ(インドで奉仕したイギリス人宣教師)

  ・靴屋であったが、宣教師となった。

  ・ベンガル語を初めとする6ヶ国語の聖書を完成させた。

②アドニラム・ジャッドソン(ビルマで奉仕した米国人宣教師)

  ・ビルマ(ミャンマー)で40年間宣教した。

  ・聖書をビルマ語に翻訳した。

③ハドソン・テーラー(中国で奉仕したイギリス人宣教師)

  ・チャイナ・インランド・ミッション(中国奥地宣教団)の創立者である。

・清で51年間活動した。

・この宣教団体は、800人の宣教師を呼び、125の学校を開校し、18,000人

の回心者を生んだ。

・現在、この団体はOMFインターナショナルとなっている。

④18世紀~19世紀の200年間、世界中で宣教師たちに閉ざされた国はほとんど

なかった。

(4)この教会に対する叱責のことばはない。

  2.携挙

    (1)黙3:10の釈義

Rev 3:10 あなたが、わたしの忍耐について言ったことばを守ったから、わたしも、地上に住む者たちを試みるために、全世界に来ようとしている試練の時には、あなたを守ろう。

      ①「全世界に来ようとしている試練の時」とは、大患難時代のことである。

      ②「the hour of trial」と前置詞がある。

    (2)訳文の比較

      「全世界に来ようとしている試練の時には、あなたを守ろう」(新改訳)

      「全世界に来ようとしている試練の時に、わたしもあなたを守ろう」(新共同訳)

      「全世界に臨もうとしている試錬の時に、あなたを防ぎ守ろう」(口語訳)

      「I also will keep thee from the hour of trial.」(KJV)

    (3)前置詞をどう訳すかで、意味は変わって来る。

      ①前置詞は「エク」である。

        *区別、分離を意味する前置詞である。

      ②大患難時代の中での守りではなく、そこから取り出されるということ。

      ③黙3:10は、携挙のタイミングがいつかを示している聖句である。

      ④「試練の時には、あなたを守ろう」と訳すと、教会は大患難時代を通過するこ

とになる。

⑤「試練の時からあなたを守ろう」と訳すと、教会は大患難時代が始まる前に天

に上げられることになる。

⑥黙3:10は、大患難時代の前の携挙を教えている。

    (4)地域教会であるフィラデルフィアの教会になぜこの約束が与えられたのか。

      ①フィラデルフィアの教会は真実な教会の型でもある。

        *聖書の教えに回帰した教会である。

      ②この約束は、真実な教会に普遍的に与えられるものである。

    (5)参照聖句

      ①ヨハ14:1~3、1コリ15:51~54、1テサ4:13~17

    (6)黙3:11

Rev 3:11 わたしは、すぐに来る。あなたの冠をだれにも奪われないように、あなたの持っているものをしっかりと持っていなさい。

      ①「すぐに」とは、いつ起こってもおかしくないという意味。

      ②再臨は大患難時代の後に起こるが、携挙はなんの前提もなしに起こる。

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