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ヨハネの黙示録(3)—ヨハネが見た事:栄光の主—
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「ヨハネが見た事」の内容について学ぶ
「ヨハネが見た事:栄光の主」
黙1:9~20
1.はじめに
(1)黙示録の3区分
①黙1:19は、黙示録を3区分している。
Rev 1:19 そこで、あなたの見た事、今ある事、この後に起こる事を書きしるせ。
②3区分の内容
*「あなたの見た事」(1章)
*「今ある事」(2~3章)
*「この後に起こる事」(4~22章)
③今回は、「ヨハネが見た事」を取り上げる。
*前回は、キリストが「アルファでありオメガである」ことを学んだ。
*今回は、天におられる栄光のキリストについて学ぶ。
*キリストは、地上の教会の様子を熟知しておられる。
2.アウトライン
(1)ラッパの音のような大きな声(9~11節)
(2)栄光に輝く人の子(12~16節)
(3)幻の解釈(17~20節)
3.結論:
(1)ヨハネにとってのキリスト
(2)教会にとってのキリスト
(3)信者にとってのキリスト
「ヨハネが見た事」の内容について学ぶ
Ⅰ.ラッパの音のような大きな声(9~11節)
1. 9節
Rev 1:9 私ヨハネは、あなたがたの兄弟であり、あなたがたとともにイエスにある苦難と御国と忍耐とにあずかっている者であって、神のことばとイエスのあかしとのゆえに、パトモスという島にいた。
(1)ヨハネの自己紹介
①あなたがたの兄弟
②あなたがたとともにイエスにある苦難と御国と忍耐にあずかっている者
*苦難、御国、忍耐の3つが関連している。
*ヨハネとその同労者たちは、ドミティアヌス帝によって迫害されていた。
*彼は「主にして神」と自称し、人々にそれを認めるように強要した。
*それに反発したのが、ユダヤ人とクリスチャンである。
③迫害は、イエスが預言しておられたことである。
Joh 16:33 わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、あなたがたがわたしにあって平安を持つためです。あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。わたしはすでに世に勝ったのです。」
④パウロも同じ真理を教えていた。
Act 14:22 弟子たちの心を強め、この信仰にしっかりとどまるように勧め、「私たちが神の国に入るには、多くの苦しみを経なければならない」と言った。
*パウロもまた、苦難、神の国、忍耐を関連づけている。
(2)ヨハネがいた場所
①「神のことばとイエスのあかしのゆえに」
*神のことばに対する信仰と宣教のゆえに
*イエスについてのあかしのゆえに
②「パトモスという島にいた」
*エペソの南西、エーゲ海に浮かぶ島
③教会教父たちの証言
*エイレナイオス、アレクサンドリアのクレメンス、エウセビオス
*ヨハネは、エペソでの牧会の後、この島に島流しになった。
④ヴィクトリヌス(最初の黙示録の注解書を書いた人物)の証言
*ヨハネはこの島で囚人として、鉱山で働かされた。
*96年にドミティアヌス帝が死ぬと、ネルウァ帝はヨハネのエペソ帰還を許
した。
2.10節
Rev 1:10 私は、主の日に御霊に感じ、私のうしろにラッパの音のような大きな声を聞いた。
(1)「主の日」とは、週の初めの日ではない。
①原文では「主の」という言葉は形容詞である。
*「主の栄光が輝き出た特別な日」
②旧新約聖書では、「主の日」とは「裁きの日」の意味で用いられている。
*イザ2:12、13:6、ヨエ1:15、アモ5:20、ゼカ14:1、マラ4:5
*1テサ5:20、2ペテ3:10
③ヨハネは、よく知られていた言葉を用いて、特別な日を描写したのであろう。
④この日彼は、御霊に感じた(御霊に満たされた)。
*神からの啓示が受けやすい状態になったということ。
(2)彼は、ラッパの音のような大きな声を聞いた。
①明瞭で大きな声
②恐らく、戦いを告げるラッパがイメージされているのだろう。
3.11節
Rev 1:11 その声はこう言った。「あなたの見ることを巻き物にしるして、七つの教会、すなわち、エペソ、スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、フィラデルフィヤ、ラオデキヤに送りなさい。」
(1)その声がヨハネに命じた(命じているのはイエスである)。
①これから見ることを巻物に記せ。
②小アジアにある7つの教会に送れ。
③ヨハネは、これらの教会から霊的父と仰がれていたのであろう。
(2)見たことを記せという命令は、黙示録に12回出てくる。
①書いてはならない幻がひとつある(10:4)。
(3)7つの教会はすべて自立した教会である。
①エペソから始まり、半円形に北、東、南へと回る。
②詳細は、2~3章で取り上げる。
Ⅱ.栄光に輝く人の子(12~16節)
1.12~13節
Rev 1:12 そこで私は、私に語りかける声を見ようとして振り向いた。振り向くと、七つの金の燭台が見えた。
Rev 1:13 それらの燭台の真ん中には、足までたれた衣を着て、胸に金の帯を締めた、人の子のような方が見えた。
(1)声が出てくる方を振り返ると、7つの金の燭台が見えた。
①これはメノラー(七枝の燭台)ではなく、7つの独立した燭台である。
②その意味は、後に解き明かされる(20節)。
(2)燭台の真ん中に「人の子のような方」が見えた。
①「人の子」はメシアの称号である。
*イエスは好んでこのタイトルを使用された。
*福音書には、80回以上出てくる。
②ダニ7:13に「人の子のような方」というタイトルが出てくる。
Dan 7:13 私がまた、夜の幻を見ていると、/見よ、人の子のような方が天の雲に乗って来られ、/年を経た方のもとに進み、その前に導かれた。
③長い衣を着ているのは、裁き主(裁判官)の姿である。
④胸に金の帯を締めているのは、正義によって裁くことの象徴である。
Isa 11:5 正義はその腰の帯となり、/真実はその胴の帯となる。
2.14~15節
Rev 1:14 その頭と髪の毛は、白い羊毛のように、また雪のように白く、その目は、燃える炎のようであった。
Rev 1:15 その足は、炉で精錬されて光り輝くしんちゅうのようであり、その声は大水の音のようであった。
(1)この描写は、ダニ7:9の「年を経た方」に似ている。
Dan 7:9 私が見ていると、/幾つかの御座が備えられ、/年を経た方が座に着かれた。/その衣は雪のように白く、/頭の毛は混じりけのない羊の毛のようであった。/御座は火の炎、/その車輪は燃える火で、
①「年を経た方」とは、父なる神である。
②子なる神も、父なる神と同じ聖さと永遠性を持っておられる。
*頭と髪の毛は、羊の毛のように、雪のように白い。
(2)目は、燃える炎のよう。
①完ぺきな知識、誤りなき洞察力、罪に対する容赦なき裁きを示している。
Rev 2:18 また、テアテラにある教会の御使いに書き送れ。/『燃える炎のような目を持ち、その足は光り輝くしんちゅうのような、神の子が言われる。
(3)足は、炉で精錬されて光り輝くしんちゅうのよう。
①しんちゅうという言葉は、黙1:15と2:18にしか出てこない。
*ギリシア語で「カルカリボノス」である。
*しんちゅうは、銅と亜鉛の合金。
*厳密な意味では、これではない。正確な内容は分からない。
*銅と銀や銀の合金だと提案する学者もいる。
*いずれにしても、銅を基にした合金である。
②青銅という言葉が最初に出てくるのは、創4:22である。
*「ナホッシェット」というヘブル語。
*青銅とは、銅と錫の合金である。
*このヘブル語の第一義的意味は銅。銅の合金一般も含まれる。
*七十人訳では、「カルコス」というギリシア語。
③ちなみに、英語訳(KJVやASV)では、しんちゅうも青銅も「brass」である。
④共通点は、銅の合金という点である。
⑤神殿の中の青銅の祭壇は、罪のためのいけにえと、その上に下る神の怒りに関
係している。
⑥足に関する描写(光輝くしんちゅうのよう)も、キリストが裁き主であること
を示している。
(4)声は、大水のとどろきのよう。
①大波のとどろくのように威厳があり、畏怖の念を抱かせる声である。
②このような声の持ち主に挑戦する者はいない。
3.16節
Rev 1:16 また、右手に七つの星を持ち、口からは鋭い両刃の剣が出ており、顔は強く照り輝く太陽のようであった。
(1)右手に7つの星を持っていた。
①星がなんであるかは、20節で明かされる。
②右手は、権威ある所有を表している。
(2)口からは鋭い両刃の剣が出ていた。
①両刃の剣は、「神のことば」である。エペ6:17、ヘブ4:12
②この言葉は、キリストの裁き主としての性質を表現している。
③ギリシア語の「ロンファイア」。ローマ兵が敵を刺し殺すために使用した武器。
(3)顔は強く照り輝く太陽のよう。
①キリストが持っておられるシャカイナグローリーの現れである。
②変貌山のキリスト。マタ17章。
Ⅲ.幻の解釈(17~20節)
1.17~18節
Rev 1:17 それで私は、この方を見たとき、その足もとに倒れて死者のようになった。しかし彼は右手を私の上に置いてこう言われた。「恐れるな。わたしは、最初であり、最後であり、
Rev 1:18 生きている者である。わたしは死んだが、見よ、いつまでも生きている。また、死とハデスとのかぎを持っている。
(1)ヨハネの反応
①足もとに倒れて死者のようになった。
*変貌山での弟子たちもそうであった(マタ17:6)。
②パウロも同じような体験をした。
Act 9:3 ところが、道を進んで行って、ダマスコの近くまで来たとき、突然、天からの光が彼を巡り照らした。
Act 9:4 彼は地に倒れて、「サウロ、サウロ。なぜわたしを迫害するのか」という声を聞いた。
(2)キリストの励ましのことば
①右手をヨハネの上に置いて「恐れるな」と言われた。
*交わりの手を差し伸べた。
②「わたしは、最初であり、最後であり、生きている者である」
*永遠の存在で、復活したお方でもある。
③「わたしは死んだが、見よ、いつまでも生きている」
*一度死んだが、復活し、永遠に生きている。
④「死とハデスとのかぎを持っている」
*死に対する権威と死者が行く場所に対する権威を持っている。
*クリスチャンの死と復活は、キリストの御手の中に握られている。
2.19節
Rev 1:19 そこで、あなたの見た事、今ある事、この後に起こる事を書きしるせ。
(1)これが黙示録のアウトラインである。
①あなたの見た事(1章)
②今ある事(2~3章)
③この後に起こる事(4~22章)
*この部分が預言的内容で、黙示録の中心部である。
3.20節
Rev 1:20 わたしの右の手の中に見えた七つの星と、七つの金の燭台について、その秘められた意味を言えば、七つの星は七つの教会の御使いたち、七つの燭台は七つの教会である。
(1)黙示録では、先ず象徴(シンボル)が紹介され、次にその意味が解き明かされる。
①その秘められた意味の解説が与えられる。
②黙示録は、不可解な書ではなく、注意深く書かれた書である。
③字義通りの解釈だけが、黙示録の本当の意味を解き明かすことができる。
④黙示録の中に解説がないなら、他の箇所にそれがある。
*特に、ダニエル書、エゼキエル書が重要である。
*聖書全体を勤勉に学ぶ者にだけ、黙示録の意味が開かれてくる。
(2)7つの星
①7つの教会の御使いたち(守護天使)
②御使いに関してさまざまな解釈がある。「アンゲロス」というギリシア語。
*天使
*神のことばを届けるという意味で、牧師(司教)
*7つの教会に手紙を届ける人間のメッセンジャー
③聖書では、星という言葉が象徴的に用いられた場合は、例外なしに天使を指す。
(3)7つの燭台
①7つの教会
②教会はこの世に光を届ける使命を持っているので、燭台という象徴は適切。
結論:
1.ヨハネにとってのキリスト
(1)ヨハネが愛する主の声を聞いたのは、恐らく60年ぶりのことであろう。
(2)60年前のキリスト
①ベツレヘムの羊の洞窟で誕生した赤子であった。
②人々に仕えるために来られたしもべであった。
③十字架に付けられた苦難のしもべであった。
④死から甦られた主であった。
(3)今のキリスト
①栄光に輝く裁き主である。
②かつてヨハネは、イエスの胸もとに寄りかかっていた(ヨハ13:25)。
③今ヨハネは、足もとに倒れて死者のようになった。
*キリストのシャカイナグローリーを知らなかったわけではない。
*しかし、シャカイナグローリーの全貌に触れた時、彼は恐れた。
④そのヨハネに、キリストは励ましと確証のことばを語った。
(4)私たちにとってのキリスト
①私のサイズに閉じ込め、私の思い通りに動かそうとしているのではないか。
②私たちは、栄光の輝く裁き主としてのキリストを見る必要がある。
③そのキリストが、私たちに交わりの手を指し伸ばしておられる。
2.教会にとってのキリスト
(1)7つの燭台は、それぞれ自立している。
①ここでは、教会に教派的組織や階級制は存在しない。
②キリストと燭台の間に遮るものは何もない。
③個々の教会が、キリストと直接つながっている。
(2)キリストは、7つの燭台の真ん中におられる。
①キリストは、地域教会で起こっていることをすべてご存じである。
②迫害の中にある者には、大きな慰めである。
3.信者にとってのキリスト
(1)キリストは、裁き主として立っておられる。
①キリストには、7つの教会を裁く権威と資格がある。
②それゆえ、7つの教会に書き送るのである。
(2)黙示録の後半で、キリストは神の敵を裁かれる。
(3)しかし、神の裁きは先ず「神の家」から始まらねばならない。
1Pe 4:17 なぜなら、さばきが神の家から始まる時が来ているからです。さばきが、まず私たちから始まるのだとしたら、神の福音に従わない人たちの終わりは、どうなることでしょう。
(4)教会に対する裁きの性質
①教会は、聖めと褒賞を目的とした裁きを受ける。
②この世は、罪の罰としての裁きを受ける。
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