メシアの生涯(206)—復活(4)—

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このメッセージでは...

イエスの復活が弟子たちに与えた影響について考えてみる。

「復活(4)」

ルカ24:13~35

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①週の初めの日(日曜日)に、イエスは復活された。

    ②聖書は、復活のイエスの出現を10回記録している。

    *復活の当日(日曜日)に5回

    *それ以降の40日間に5回

    (2)復活のイエスの顕現

      ①マグダラのマリアに(マコ16:9~11)

      ②女たちに(マタ28:8~10)

      ③エマオ途上の2人の弟子たちに(ルカ24:13~32)

      ④ペテロに(ルカ24:34)

      ⑤トマスを除いた使徒たちに(ヨハ20:19~25)

      ⑥トマスを含めた使徒たちに(ヨハ20:26~31)

      ⑦ガリラヤ湖畔で7人の弟子たちに(ヨハ21章)

      ⑧500人以上の信者たちに(1コリ15:7)

      ⑨ヤコブに(1コリ15:7)

      ⑩オリーブ山で使徒たちに(使1:3~12)

(3)今回は、3回目と4回目の現れを見てみる。

    (4)A.T.ロバートソンの調和表

      §176 エマオ途上のふたりの弟子たちへの現れ

          ルカ24:13~32

      §177 ペテロへの現れ

  ルカ24:33~35、1コリ15:5

2.アウトライン

  (1)起(エマオへの道中)

  (2)承(見知らぬ人との会話)

  (3)転(聖書の解き明かし)

  (4)結(霊的開眼)

  3.結論:

    (1)ペテロへの現れ

    (2)クレオパへの現れ

イエスの復活が弟子たちに与えた影響について考えてみる。

Ⅰ.起(エマオへの道中)

   1.13~14節

Luk 24:13 ちょうどこの日、ふたりの弟子が、エルサレムから十一キロメートル余り離れたエマオという村に行く途中であった。

Luk 24:14 そして、ふたりでこのいっさいの出来事について話し合っていた。

     (1)「ちょうどこの日、ふたりの弟子が」

      ①日曜日の午後である。

      ②登場人物は、ふたりの弟子である。

      ③恐らく、70人の弟子たちの中のふたりであろう。

④イエスは彼らを宣教のために派遣した。

      ⑤ひとりはクレオパで、もうひとりは無名の弟子であった。

   (2)「エマオという村に行く途中であった」

      ①エマオは、エルサレムの北西60スタディオン(11キロメートル)にある村。

      ②なぜエルサレムを去るのか理由は書かれていないが、想像はできる。

        *悲しみ、驚き、失望

        *自分を取り戻すために生活の場に戻る必要があったのであろう。

    (3)「ふたりでこのいっさいの出来事について話し合っていた」

      ①イエスの死、埋葬、そして復活したという知らせがその内容である。

      ②動詞は、未完了形である。継続した動作。

  2.15~16節

Luk 24:15 話し合ったり、論じ合ったりしているうちに、イエスご自身が近づいて、彼らとともに道を歩いておられた。

Luk 24:16 しかしふたりの目はさえぎられていて、イエスだとはわからなかった。

     (1)「イエスご自身が近づいて、彼らとともに道を歩いておられた」

      ①イエスが彼らとともに道を歩かれた。動詞は、未完了形である。

      ②旅の途中で知らない人が会話に加わることは、ユダヤ人には普通のこと。

      ③過越の祭りを祝った巡礼者が帰路につく場合は、特にそう言える。

    (2)「ふたりの目はさえぎられていて、イエスだとはわからなかった」

      ①なぜイエスだとわからなかったのか。

      ②思い込みが激しかった、悲しみに沈んでいた、復活の体を認識できなかった。

      ③神が霊的目を閉ざしておられた。

Ⅱ.承(見知らぬ人との会話)

   1.17~18節

Luk 24:17 イエスは彼らに言われた。「歩きながらふたりで話し合っているその話は、何のことですか。」すると、ふたりは暗い顔つきになって、立ち止まった。

Luk 24:18 クレオパというほうが答えて言った。「エルサレムにいながら、近ごろそこで起こった事を、あなただけが知らなかったのですか。」

     (1)「歩きながらふたりで話し合っているその話は、何のことですか」

      ①イエスは、知らないから質問しているわけではない。

      ②彼らの信仰を喚起するための会話を始めているのである。

    (2)「すると、ふたりは暗い顔つきになって、立ち止まった」

      ①驚きの反応。立ち止まった。

      ②悲しみの反応。暗い顔つきになった。

    (3)クレオパの言葉

      ①エルサレムにいたなら、誰でも知っている話を、あなただけが知らないのか。

      ②イエスの活動と死は、エルサレム中に知れ渡っている。

        *過越の祭りの最中に十字架刑が執行された。

      ③ルカは、イエスを拒否したユダヤ人の責任を問うている。

   2.19~21節a

Luk 24:19 イエスが、「どんな事ですか」と聞かれると、ふたりは答えた。「ナザレ人イエスのことです。この方は、神とすべての民の前で、行いにもことばにも力のある預言者でした。

Luk 24:20 それなのに、私たちの祭司長や指導者たちは、この方を引き渡して、死刑に定め、十字架につけたのです。

Luk 24:21 しかし私たちは、この方こそイスラエルを贖ってくださるはずだ、と望みをかけていました。

     (1)イエスの質問に対して、ふたりの弟子たちが答えた。

      ①自分たちが信じていたことと、実際の出来事が合致しないので、当惑している。

      ②彼らの言葉は、信者の一般的な思いを代表している。

    (2)彼らが信じていた4つのこと

      ①イエスは神の預言者であった。

      ②イエスが預言者であることは、その教えと行いによって証明された。

      ③イエスは裁判にかけられ、死刑に定められ、十字架につけられた。

      ④イエスはイスラエルを贖ってくださるはずだ(メシア)と望みをかけていた。

    (3)イエスがメシアであり、神の国をもたらすお方であるという期待が広まっていた。

      ①ルカ2:30(シメオンの言葉)

Luk 2:30 私の目があなたの御救いを見たからです。

      ②ルカ2:38(アンナの言葉)

Luk 2:38 ちょうどこのとき、彼女もそこにいて、神に感謝をささげ、そして、エルサレムの贖いを待ち望んでいるすべての人々に、この幼子のことを語った。

   3.21b~24節

事実、そればかりでなく、その事があってから三日目になりますが、

Luk 24:22 また仲間の女たちが私たちを驚かせました。その女たちは朝早く墓に行ってみましたが、

Luk 24:23 イエスのからだが見当たらないので、戻って来ました。そして御使いたちの幻を見たが、御使いたちがイエスは生きておられると告げた、と言うのです。

Luk 24:24 それで、仲間の何人かが墓に行ってみたのですが、はたして女たちの言ったとおりで、イエスさまは見当たらなかった、というのです。」

     (1)次に彼らは、イエスが復活したという知らせについても話した。

      ①これは、第1の現れと第2の現れのことである。

      ②彼らは、イエスが復活したということを、まだ信じていない。

    (2)「三日目になる」

      ①イエスの十字架刑が金曜日に行われたことを証明している。

    (3)イエスは、彼らが心の中にあることをすべて吐き出すまで黙って聞いている。

      ①試練の中にいる人の話を聞く際に、大いに参考になる。

Ⅲ.転(聖書の解き明かし)

   1.25~27節

Luk 24:25 するとイエスは言われた。「ああ、愚かな人たち。預言者たちの言ったすべてを信じない、心の鈍い人たち。

Luk 24:26 キリストは、必ず、そのような苦しみを受けて、それから、彼の栄光に入るはずではなかったのですか。」

Luk 24:27 それから、イエスは、モーセおよびすべての預言者から始めて、聖書全体の中で、ご自分について書いてある事がらを彼らに説き明かされた。

     (1)イエスは、彼らを優しく戒めた。

      ①預言者たちは、メシアの受難と復活を預言していた。

    (2)「モーセおよびすべての預言者」

      ①モーセとは「モーセの五書」のこと。本来は1冊の書である。

      ②預言者(複数形)とは、預言書のこと。

      ③これ全体で、旧約聖書を指す。

      ④旧約聖書はメシアを指し示している。

        *申18:15~18

        *詩22篇

        *イザ9:1~21、11:1~16、53:1~12

      ⑤これは、イエスによるバイブルスタディである。

      ⑥それを聞きたいと思うが、私たちには旧新約聖書と聖霊の助けがある。

    (3)旧約聖書の重要性

      ①初代教会の時代、伝道は旧約聖書を用いて行われた。

      ②新約教会は、新約聖書が書かれる前に活動を開始していた。

      ③ユダヤ人伝道は、旧約聖書を用いて行われる。

   2.28~29節

Luk 24:28 彼らは目的の村に近づいたが、イエスはまだ先へ行きそうなご様子であった。

Luk 24:29 それで、彼らが、「いっしょにお泊まりください。そろそろ夕刻になりますし、日もおおかた傾きましたから」と言って無理に願ったので、イエスは彼らといっしょに泊まるために中に入られた。

     (1)エマオに近づいたが、イエスはまだ先に行きそうな様子であった。

      ①イエスは、招かれない限り無理に家に入ることはない。

      ②家を心と置き換えても同じことが言える。

    (2)彼らはイエスを強いて引き止めた(無理に願った)。

      ①そろそろ夕刻になる。旅は危険である。

      ②空腹になって来た。

      ③食事と宿が用意されている。

      ④イエスは、彼らの招きに応じて家に入った。

Ⅳ.結(霊的開眼)

   1.30~31節

Luk 24:30 彼らとともに食卓に着かれると、イエスはパンを取って祝福し、裂いて彼らに渡された。

Luk 24:31 それで、彼らの目が開かれ、イエスだとわかった。するとイエスは、彼らには見えなくなった。

     (1)イエスは、主人の役割を果たしておられる。

      ①パンを取って神の御名を祝福した。

      ②裂いて彼らに渡した。

    (2)彼らの目が開かれて、イエスだとわかった。

      ①パンを裂くしぐさ

        *5000人のパンの奇跡

        *最後の晩餐

      ②イエスの手首に釘の後を見たのであろう。

      ③その瞬間、イエスは見えなくなった。

      ④イエスの体が、新しい次元の体であることを示している。

      ⑤聖餐式の席には、イエスがともにいてくださる。

   2.32節

Luk 24:32 そこでふたりは話し合った。「道々お話しになっている間も、聖書を説明してくださった間も、私たちの心はうちに燃えていたではないか。」

     (1)「心はうちに燃えていた」

①教師はイエスご自身であった。

②内容は、聖書のそのものであった。

    (2)私たちの心が燃えるための秘訣がここにある。

      ①心が燃えるとは、話し手に同意し、感動している状態である。

   3.33~35節

Luk 24:33 すぐさまふたりは立って、エルサレムに戻ってみると、十一使徒とその仲間が集まって、

Luk 24:34 「ほんとうに主はよみがえって、シモンにお姿を現された」と言っていた。

Luk 24:35 彼らも、道であったいろいろなことや、パンを裂かれたときにイエスだとわかった次第を話した。

     (1)彼らはすぐにエルサレムに戻った。

      ①「十一使徒」とは、使徒集団を表す言葉である。トマスはいなかった。

      ②彼らは、復活のイエスがシモン(ペテロ)に現れたという知らせを聞いた。

      ③今度は、彼ら自身が、自分たちの体験に基づいてイエスの復活を証言した。

    (2)1コリ15:5

1Co 15:5 また、ケパに現れ、それから十二弟子に現れたことです。

      ①12弟子の中で最初に復活のイエスを見たのは、ペテロである。

    (3)マコ16:13

Mar 16:13 そこでこのふたりも、残りの人たちのところへ行ってこれを知らせたが、彼らはふたりの話も信じなかった。

結論:イエスの憐れみ

  1.ペテロへの現れ

    (1)使徒集団で、最初に復活のイエスを見たのはペテロであった。

(2)ペテロは、赦しと励ましを必要としていた。

    (3)ペテロが初代教会のリーダーとなることを使徒集団が認識する必要があった。

  2.クレオパへの現れ

    (1)クレオパの名が上がっているのは、初代教会で有名な指導者となったから。

    (2)クレオパは、後にエルサレム教会の指導者となった。

      ①イエスの弟のヤコブが死んでから。

    (3)紀元66年

      ①将軍ティトゥスは、エルサレムの包囲を解いてローマに帰還し、皇帝となった。

      ②その時、メシアニック・ジューたちはイエスの預言に従ってエルサレムから逃

れた。

③紀元70年にエルサレムが陥落した時、メシアニック・ジューで死んだ人はひ

とりも出なかった。

④この時、メシアニック・ジューたちを導いたのはクレオパであった。

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