メシアの生涯(204)—復活(2)—

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このメッセージでは...

1回目と2回目の現れから復活の意味を確認してみよう。

「復活(2)」

ヨハ20:11~18、マタ28:9~10

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①日曜日(夜明け前)に、女たちが行動を開始する。

    ②墓が空になっていたことを発見する。

    ③マグダラのマリアは、ペテロとヨハネにそれを伝える。

    ④墓に来たペテロは当惑し、ヨハネは信じた。

(2)復活の記録は、細部を見ると矛盾しているかのように思える。

  ①しかし、これこそ福音記者たちが事実を記録している証拠である。

  ②調和をもって説明する方法が必ずある。

(3)聖書は、復活のイエスの出現を10回記録している。

  ①復活の当日(日曜日)に5回

  ②それ以降の40日間に5回

  ③今回は、1回目と2回目の現れを見てみる。

    (4)A.T.ロバートソンの調和表

      §173 1回目の現れ:マグダラのマリア

 マコ16:9~11、ヨハ20:11~18

      §174 2回目の現れ:女たち

 マタ28:9~10

2.アウトライン

  (1)1回目の現れ

  (2)2回目の現れ

  3.結論:

    (1)なぜマグダラのマリアが最初の目撃者になったのか。

    (2)なぜマグダラのマリアはイエスに触れることを許されなかったのか。

1回目と2回目の現れから復活の意味を確認してみよう。

Ⅰ.1回目の現れ(ヨハ20:11~18)

   1.11~12節

Joh 20:11 しかし、マリヤは外で墓のところにたたずんで泣いていた。そして、泣きながら、からだをかがめて墓の中をのぞき込んだ。

Joh 20:12 すると、ふたりの御使いが、イエスのからだが置かれていた場所に、ひとりは頭のところに、ひとりは足のところに、白い衣をまとってすわっているのが見えた。

     (1)ペテロとヨハネが去っても、マグダラのマリアは墓に残った。

      ①愛する人を失くした喪失感がある。

      ②彼女にとっては、これは「通夜」(寝ずの番)である。

    (2)彼女は、墓の中をのぞき込んだ。

      ①そこにふたりの天使が、白い衣をまとって座っていた。

      ②ペテロとヨハネは、天使を見ていなかった。

      ③天使が現れる時は、通常、男性の姿を取る。

        *例外的には、イザヤが見たセラフィムの幻がある(イザ6:1~13)。

      ④彼女には、超自然的なことが起こっているという認識がない。

   2.13~14節

Joh 20:13 彼らは彼女に言った。「なぜ泣いているのですか。」彼女は言った。「だれかが私の主を取って行きました。どこに置いたのか、私にはわからないのです。」

Joh 20:14 彼女はこう言ってから、うしろを振り向いた。すると、イエスが立っておられるのを見た。しかし、彼女にはイエスであることがわからなかった。

     (1)天使と対話しながら、それに気づいていない。

      ①「なぜ泣いているのですか」

      ②「だれかが私の主を取って行きました。どこに置いたのか、私にはわからない

のです」

③彼女は依然として、イエスの体が盗まれたという前提で話している。

    (2)彼女はうしろを振り向いた。

      ①背後に人の気配を感じたのであろう。

      ②背後にイエスが立っているのを見た。

      ③しかし、それがイエスであることが分からなかった。

      ④このパターン(イエスだと認識できない)は、それ以降も続く。

      ⑤すぐに前を向いたのであろう。

   3.15節

Joh 20:15 イエスは彼女に言われた。「なぜ泣いているのですか。だれを捜しているのですか。」彼女は、それを園の管理人だと思って言った。「あなたが、あの方を運んだのでしたら、どこに置いたのか言ってください。そうすれば私が引き取ります。」

     (1)イエスの質問

      ①「なぜ泣いているのですか。だれを捜しているのですか」

    (2)マリアの回答

      ①彼女は、その人を園の管理人(園丁、庭師)だと勘違いした。

      ②「あなたが、あの方を運んだのでしたら、どこに置いたのか言ってください。

そうすれば私が引き取ります」

③なぜイエスだと認識できなかったのか。

  *涙で目が曇っていた。

  *イエスの姿があまりにも変化していた。

  *神が一時的に霊的盲目状態を作り出された。

  *喪失感が深くて、正常な判断ができなかった。

   4.16~17節

Joh 20:16 イエスは彼女に言われた。「マリヤ。」彼女は振り向いて、ヘブル語で、「ラボニ(すなわち、先生)」とイエスに言った。

Joh 20:17 イエスは彼女に言われた。「わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないからです。わたしの兄弟たちのところに行って、彼らに『わたしは、わたしの父またあなたがたの父、わたしの神またあなたがたの神のもとに上る』と告げなさい。」

     (1)イエスであるとの認識が生まれた。

      ①旧約聖書で最大の「認識事件」は、「私はヨセフです」である(創45:1~3)。

      ②歴史上最大の「認識事件」は、ここである。

      ③そのきっかけは、「マリア」という呼びかけである。

      ④善き羊飼いは、羊の名を呼び、羊はそれについて行く(ヨハ10:3、4)。

      ⑤終末時代に、ユダヤ人たちはイエスがメシアであることを認識する。

    (2)彼女は振り向いた。

      ①ヘブル語で、「ラボニ」と言った。先生、あるいは、私の先生。

    (3)イエスは、マリアがイエスに触れることを許さなかった。

      ①「わたしはまだ父のもとに上っていないからです」がその理由であった。

    (4)マリアへの命令

      ①「わたしの兄弟たちのところに行って」

        *ヨハ15:15

Joh 15:15 わたしはもはや、あなたがたをしもべとは呼びません。しもべは主人のすることを知らないからです。わたしはあなたがたを友と呼びました。なぜなら父から聞いたことをみな、あなたがたに知らせたからです。

        *ここでは、「兄弟たち」となっている。

        *イエスを信じる者たちは、神を天の父とする家族である。

        *ロマ8:29

Rom 8:29 なぜなら、神は、あらかじめ知っておられる人々を、御子のかたちと同じ姿にあらかじめ定められたからです。それは、御子が多くの兄弟たちの中で長子となられるためです。

      ②「わたしは、わたしの父またあなたがたの父、わたしの神またあなたがたの神

のもとに上る」

  *イエスは神の家族の中の長子である。

  *しかし、イエスと神の関係は、私たちと神の関係とは違う。

  *イエスの場合は、「わたしの父」である。

  *私たちの場合は、「私たちの父」である。

    (5)マリアには、新しい使命が与えられた。復活の証人としての使命である。

      ①天使たちを見た。

      ②復活のイエスを見た。

      ③最初の目撃者となった。

      ④よき知らせを伝える者となった。

   5.18節

Joh 20:18 マグダラのマリヤは、行って、「私は主にお目にかかりました」と言い、また、主が彼女にこれらのことを話されたと弟子たちに告げた。

     (1)マグダラのマリアは、弟子たちによき知らせを伝えた。

      ①彼女は、「使徒たちへの使徒」となったのである。

    (2)しかし、弟子たちは、彼女の証言を信じなかった(他の婦人たちの証言も)。

      ①ルカ24:11

Luk 24:11 ところが使徒たちにはこの話はたわごとと思われたので、彼らは女たちを信用しなかった。

       ②エマオ途上の弟子たちは、イエスからお叱りを受けた。

Ⅱ.2回目の現れ(マタ28:9~10)

   1.9節

Mat 28:9 すると、イエスが彼女たちに出会って、「おはよう」と言われた。彼女たちは近寄って御足を抱いてイエスを拝んだ。

     (1)同じ日(日曜日)、少し時間が経過してからイエスが婦人たちに現れた。

      ①2度目の現れも、婦人たちに対してであった。

    (2)彼女たちは、いろいろと思いを巡らせていたであろう。

      ①天使に会ったこと

      ②墓が空になっていたこと

    (3)イエスが彼女たちに出会って、あいさつのことばをかけた。

      ①「おはよう」(新改訳)(新共同訳)

      ②「平安あれ」(口語訳)

      ③「安かれ」(文語訳)

      ④ギリシア語は「カイロウ」という動詞の命令形。

        *「喜べ」というニュアンスが込められたあいさつの言葉

    (4)彼女たちはイエスの御足を抱いて、イエスを拝した。

      ①マグダラのマリアの時とは違っている。

      ②時間の経過があったが、その間に何か起こったのであろう。

   2.10節

Mat 28:10 すると、イエスは言われた。「恐れてはいけません。行って、わたしの兄弟たちに、ガリラヤに行くように言いなさい。そこでわたしに会えるのです。」

     (1)イエスは彼女たちを派遣した。

      ①「ガリラヤに行くように言いなさい」

      ②イエスがそう命じるのはこれで3度目である。

        *過越の食事の席でイエスが命じた(マタ26:32)。

        *墓で天使たちが命じた(マタ28:7)。

結論:

  1.なぜマグダラのマリアが最初の目撃者になったのか。

    (1)マリアはイエスを心から慕っていたから。

      ①ルカ8:1

Luk 8:1 その後、イエスは、神の国を説き、その福音を宣べ伝えながら、町や村を次から次に旅をしておられた。十二弟子もお供をした。

Luk 8:2 また、悪霊や病気を直していただいた女たち、すなわち、七つの悪霊を追い出していただいたマグダラの女と呼ばれるマリヤ、

Luk 8:3 自分の財産をもって彼らに仕えているヘロデの執事クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか大ぜいの女たちもいっしょであった。

      ②ヨハ19:25

Joh 19:25 兵士たちはこのようなことをしたが、イエスの十字架のそばには、イエスの母と母の姉妹と、クロパの妻のマリヤとマグダラのマリヤが立っていた。

      ③ヨハ20:1

Joh 20:1 さて、週の初めの日に、マグダラのマリヤは、朝早くまだ暗いうちに墓に来た。そして、墓から石が取りのけてあるのを見た。

      ④多く赦された者は、多く愛す。

      ⑤イエスは、彼女の献身的な愛に応答されたのであろう。

    (2)復活が歴史的出来事であることを証言するため。

      ①ユダヤの法廷では、婦人の証言は無効とされた。

      ②弟子たちが信じなかったのも、そこに一因がある。

      ③もし弟子たちが復活を捏造したとするなら、女たちを最初の発見者にはしない。

      ④マリアが天使やイエスを認識できなかったことは、事実の「におい」がする。

    

  2.なぜマグダラのマリアはイエスに触れることを許されなかったのか。

    (1)最初の解釈の可能性

      ①ハプトマイ(すがりつく)

      ②フェロウ(手を伸ばす)

    (2)第2の解釈の可能性

      ①ヨハ20:17

Joh 20:17 イエスは彼女に言われた。「わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないからです。わたしの兄弟たちのところに行って、彼らに『わたしは、わたしの父またあなたがたの父、わたしの神またあなたがたの神のもとに上る』と告げなさい。」

      ②ヘブ9:23

Heb 9:23 ですから、天にあるものにかたどったものは、これらのものによってきよめられる必要がありました。しかし天にあるもの自体は、これよりもさらにすぐれたいけにえで、きよめられなければなりません。

      ③ヘブ10:12~13

Heb 10:12 しかし、キリストは、罪のために一つの永遠のいけにえをささげて後、神の右の座に着き、

Heb 10:13 それからは、その敵がご自分の足台となるのを待っておられるのです。

      ④イエスは大祭司として天の幕屋を清める役割を担っていたが、まだそれを実行

していなかった。

⑤どうして天の幕屋を清める必要があったのか。

⑥エゼ28:18

Eze 28:18 あなたは不正な商いで不義を重ね、/あなたの聖所を汚した。/わたしはあなたのうちから火を出し、/あなたを焼き尽くした。/こうして、すべての者が見ている前で、/わたしはあなたを地上の灰とした。

      ⑥大祭司が贖罪の日に行うこと

  *大祭司の衣装を脱ぐ(色彩豊かな衣装)。

  *儀式的清めを行う。

  *贖罪の日の衣装を身に付ける(亜麻布の装束)。

  *種々の儀式を行う(贖いの蓋の前にやぎの血を振りかける)。

  *再度、儀式的清めを行う。

  *大祭司の衣装を着る。

⑦この過程で、大祭司は誰にも触られてはならない。汚れを受けることになる。

⑧イエスは、ご自身の血をもって天の幕屋を清めようとしていた。

⑨これは仮説であるが、種々の聖句と調和する仮説である。

    (3)イエスとの新しい出会い

      ①ひとつのいけにえによって、私たちを聖なる者としてくださった。

      ②父なる神の右の座に着き、私たちのために執りなしをしていてくださる。

      ③やがて、すべての敵が滅ぼされ、すべての舌がイエスは主なりと告白するよう

になる。

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