私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(203)—復活(1)—
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メシア復活の経緯を確認してみよう。
「復活(1)」
マタ28:2~4、ルカ24:1~8、ヨハ20:2~10
1.はじめに
(1)文脈の確認
①福音の三要素が展開されて行く。
*キリストの死
*埋葬
*復活
(2)ユダヤ的時間の確認
①金曜の午後3時、イエスは息を引き取った。
②金曜の日没前に、イエスは埋葬された。
③土曜日(安息日)に、墓に封印がされた。
④そして、日曜日(夜明け前)に、女たちが行動を開始する。
(3)復活の記録は、細部を見ると矛盾しているかのように思える。
①しかし、これこそ福音記者たちが事実を記録している証拠である。
②調和をもって説明する方法が必ずある。
(4)A.T.ロバートソンの調和表
§170 地震によって開いた墓
マタ28:2~4
§171 天使の語りかけを受ける女たち
マコ16:2~8、ルカ24:1~8、ヨハ20:1
§172 使徒たちに報告する女たち
ルカ24:9~12、ヨハ20:2~10
2.アウトライン
(1)開いた墓
(2)天使の語りかけ
(3)使徒たちへの報告
3.結論:復活信仰の型
(1)ペテロの信仰
(2)ヨハネの信仰
(3)トマスの信仰
メシア復活の経緯を確認してみよう。
Ⅰ.開いた墓(マタ28:2~4)
1.2~3節
Mat 28:2 すると、大きな地震が起こった。それは、主の使いが天から降りて来て、石をわきへころがして、その上にすわったからである。
Mat 28:3 その顔は、いなずまのように輝き、その衣は雪のように白かった。
(1)「すると」
①時間は、日曜日の明け方頃である。
②女たちが墓に着く少し前に、この出来事が起こった。
③この情報は、マタイだけが記録しているものである。
(2)「大きな地震が起こった」
①イエスの死の瞬間に地震が起こった。
②イエスの復活の瞬間にも地震が起こった。
③この地震は、天使が天から降りて来て、石をころがしたことと関係している。
(3)天使の姿
①顔はいなずまのように輝いていた。
②その衣は雪のように白かった。
③天使は、ローマの権威(封印)も祭司長たちの企ても粉砕した。
2.4節
Mat 28:4 番兵たちは、御使いを見て恐ろしさのあまり震え上がり、死人のようになった。
(1)番兵たちは、天使を見て震え上がった。
①死人のようになったとは、動けなくなったということ。
②彼らは、女たちが来る前に逃げ去った。
Ⅱ.天使の語りかけ(ルカ24:1~8)
1.1~2節
Luk 24:1 週の初めの日の明け方早く、女たちは、準備しておいた香料を持って墓に着いた。
Luk 24:2 見ると、石が墓からわきにころがしてあった。
(1)2つの婦人のグループが墓に来たようである。
①ヨハ20:1によれば、マグダラのマリアが先にひとりで墓に来ている。
Joh 20:1 さて、週の初めの日に、マグダラのマリヤは、朝早くまだ暗いうちに墓に来た。そして、墓から石が取りのけてあるのを見た。
②彼女は墓が空になっているのを見た。
③彼女は、イエスの体が盗まれたと思い込んで、行動を開始する。
④墓の中を確かめることをしなかったし、天使を見ることもなかった。
⑥すぐにペテロとヨハネに報告に行った。
(2)第2の婦人のグループが墓に着いた。
①香料を持って来た。
②「墓の入口からあの石をころがしてくれる人が、だれかいるでしょうか」と心
配していた(マコ16:3)
③着いてみると、墓石がころがしてあるのを見た。
2.3~4節
Luk 24:3 入って見ると、主イエスのからだはなかった。
Luk 24:4 そのため女たちが途方にくれていると、見よ、まばゆいばかりの衣を着たふたりの人が、女たちの近くに来た。
(1)彼女たちは墓の中に入った。
①そこにはイエスのからだはなかった。
②彼女たちは途方にくれた(戸惑った)。
(2)天使が現れた。
①ふたりの「男」(青年)である。
②まばゆいばかりの衣を着ていた。
③マコ16:5では、天使は「ひとり」となっている。
④これは矛盾ではない。ふたりの天使が現れたが、主にひとりが話したのである。
3.5~7節
Luk 24:5 恐ろしくなって、地面に顔を伏せていると、その人たちはこう言った。「あなたがたは、なぜ生きている方を死人の中で捜すのですか。
Luk 24:6 ここにはおられません。よみがえられたのです。まだガリラヤにおられたころ、お話しになったことを思い出しなさい。
Luk 24:7 人の子は必ず罪人らの手に引き渡され、十字架につけられ、三日目によみがえらなければならない、と言われたでしょう。」
(1)彼女たちは、地面に顔を伏せた。
①天使を見て恐れを覚えるのは、ユダヤ人として自然の感情である。
(2)天使が語りかけた。
①「なぜ生きている方を死人の中で探すのか」
②イエスは復活された。
③ガリラヤにいた時に、イエスは預言しておられた。
④「人の子は必ず、罪人の手に渡され、十字架につけられ、三日目に復活するこ
とになっている」(新共同訳)
(3)マコ16:7
Mar 16:7 ですから行って、お弟子たちとペテロに、『イエスは、あなたがたより先にガリラヤへ行かれます。前に言われたとおり、そこでお会いできます』とそう言いなさい。」
①「前に言われたとおり」とは、マタ26:32のことである。
「しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先に、ガリラヤへ行きま
す」
②弟子たちは、エルサレムにとどまるのではなく、ガリラヤに行きべきであった。
③弟子たちは、ガリラヤに行けという命令を2度目に受けたことになる。
4.8節
Luk 24:8 女たちはイエスのみことばを思い出した。
(1)女たちは、イエスが語った復活の預言をついに思い出した。
①彼女たちも、使徒たちと同じように復活の預言を忘れていた。
(2)マコ16:8によれば、彼女たちは使徒たちに報告した。
①次に見るように、ペテロとヨハネはいなかった。
②使徒たち以外には、誰にも言わなかった。
Ⅲ.使徒たちへの報告(ヨハ20:2~10)
1.2節
Joh 20:2 それで、走って、シモン・ペテロと、イエスが愛された、もうひとりの弟子とのところに来て、言った。「だれかが墓から主を取って行きました。主をどこに置いたのか、私たちにはわかりません。」
(1)マグダラのマリアは、イエスのからだが盗まれたという前提で行動している。
①ペテロとヨハネに報告した。
②誰かが墓から死体を取って行った。
③別のグループの女たちは、自分たちが見聞きしたことを使徒たちに報告した。
④使徒たちは信じなかった。
⑤墓に走ったのは、マグダラのマリアの話を聞いたペテロとヨハネだけだった。
2.3~5節
Joh 20:3 そこでペテロともうひとりの弟子は外に出て来て、墓のほうへ行った。
Joh 20:4 ふたりはいっしょに走ったが、もうひとりの弟子がペテロよりも速かったので、先に墓に着いた。
Joh 20:5 そして、からだをかがめてのぞき込み、亜麻布が置いてあるのを見たが、中に入らなかった。
(1)ヨハネの方が、足が速かった。
①年齢差か。
②伝承では、ヨハネが使徒たちの中で最も若かった。
(2)ヨハネは先に墓に着いたが、のぞき込んだだけで、中には入らなかった。
①亜麻布が置いてあるのを見た。
②マグダラのマリアは誤解したと思ったであろう。
③中に入らなかったのは、儀式的汚れを恐れてのことであろう。
3.6~8節
Joh 20:6 シモン・ペテロも彼に続いて来て、墓に入り、亜麻布が置いてあって、
Joh 20:7 イエスの頭に巻かれていた布切れは、亜麻布といっしょにはなく、離れた所に巻かれたままになっているのを見た。
Joh 20:8 そのとき、先に墓に着いたもうひとりの弟子も入って来た。そして、見て、信じた。
(1)ペテロは到着すると、中に入って様子を確かめた。
①亜麻布は、イエスの死体をくるんだ状態のままで残されていた。
*頭に巻かれていた布切れは、離れた所に巻かれたままになっていた。
②つまり、イエスの体は亜麻布を通過してなくなっていた。
③これは、復活の体が地上の体とは異なることを示している。
④ラザロの場合は、亜麻布を解く必要があった。
⑤ペテロは、なぜ亜麻布がその状態で残されているのか戸惑ったことであろう。
(2)ヨハネはペテロに続いて墓に入った。
①ヨハネも同じものを見たが、その意味を理解した。
②彼は、イエスが復活したことを信じた。
③墓が開いたのは、弟子たちが中に入って確かめるためであった。
4.9~10節
Joh 20:9 彼らは、イエスが死人の中からよみがえらなければならないという聖書を、まだ理解していなかったのである。
Joh 20:10 それで、弟子たちはまた自分のところに帰って行った。
(1)これは、ヨハネの感想である。
①使徒たちは、イエスが何度も教えてくださったことを、この時までまだ理解し
ていなかった。
②最初に理解したのは、ヨハネである。
(2)墓に居続ける必要はないと判断し、彼らは町のどこかに戻って行った。
①他の使徒たちに伝えるために。
結論:復活信仰の型
1.ペテロの信仰
(1)ヨハ20:7
Joh 20:7 イエスの頭に巻かれていた布切れは、亜麻布といっしょにはなく、離れた所に巻かれたままになっているのを見た。
①「見た」はギリシア語で「セオウレオウ」(英語のtheaterの語源)である。
②これは、視覚的認識である。
(2)ルカ24:12
Luk 24:12 しかしペテロは、立ち上がると走って墓へ行き、かがんでのぞき込んだところ、亜麻布だけがあった。それで、この出来事に驚いて家に帰った。
①ペテロは、不思議に思っただけである。
(3)彼は、復活のイエスに出会って信じた。
2.ヨハネの信仰
(1)ヨハ20:8
Joh 20:8 そのとき、先に墓に着いたもうひとりの弟子も入って来た。そして、見て、信じた。
①「見た」はギリシア語で「エイドス」である。
②これは、深い意味を見たということである。
③ペテロの場合は「sight」でありヨハネの場合は「insight」である。
(2)ヨハネは、亜麻布を見ただけで信じた。
3.トマスの信仰
(1)ヨハ20:29
Joh 20:29 イエスは彼に言われた。「あなたはわたしを見たから信じたのですか。見ずに信じる者は幸いです。」
①トマスは、使徒たちの証言だけで信じる人の型である。
②しかし彼は、最終的には復活のイエスを見て信じた。
(2)神は私たちに、トマスの失敗から教訓を学ぶことを期待しておられる。
①弟子たちの証言は、生々しい目撃者の証言である。
②その証言を受け入れる以外に、復活を信じる方法はない。
③復活が事実なら、私たちの人生は根本的に変わる。
④「sight」ではなく、「insight」が与えられるように祈ろう。
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