メシアの生涯(185)—大祭司の祈り(1)—

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大祭司の祈りから、霊的教訓を学ぶ

「大祭司の祈り(1)」

ヨハ17:1~5

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①ヨハ14章 最後の晩餐の部屋の中で語られた。

②ヨハ15~16章 ゲツセマネの園に向かう途中で語られた。

    ③ヨハ17章 恐らく、ゲツセマネの園の近辺での祈りであろう。

    ④イエスの弟子たちへの教えは、勝利のことばでおわった。

      *「わたしはすでに世に勝った」(ヨハ16:33)

      *十字架の死が想定されている。

      *さらに、父なる神に戻って行くことが想定されている。

    ⑤この段階で、イエスの働きは預言者から祭司に移行した。

    ⑥ここに記された祈り(大祭司の祈り)は、聖書の中の最高の祈りである。

        *イエスの心の中を覗くことができる祈りである。

        *私たちが実践すべき適用を含んだ祈りである。

        *弟子たちに創作できるような内容の祈りではない。

    (2)A.T.ロバートソンの調和表

    §151 キリストの執りなしの祈り

2.アウトライン

  (1)自分自身のための祈り(1~5節)

  (2)使徒たちのための祈り(6~19節)

  (3)すべての信者のための祈り(20~26節)

  (今回は、(1)を取り上げる)

  3.結論:

    (1)自分のための祈り

    (2)父なる神への祈り

    (3)神の栄光を求める祈り

大祭司の祈りから、霊的教訓を学ぶ

Ⅰ.自分自身のための祈り(1~5節)

   1.1節

Joh 17:1 イエスはこれらのことを話してから、目を天に向けて、言われた。「父よ。時が来ました。あなたの子があなたの栄光を現すために、子の栄光を現してください。

     (1)「これらのことを話してから」

      ①ヨハ14~16章の弟子たちへのメッセージを終えてから。

      ②場所は、ゲツセマネの園の近くであろう。

    (2)「目を天に向けて」

      ①私たちの場合は、頭を垂れ、目を閉じて祈ることが多い。

      ②しかし、旧約聖書には、そのような祈りの姿勢は出てこない。

      ③祈りの形式に固執する必要はない。内容が問題である。

      ④立ったままでも、歩きながらでも、祈ることができる。

    (3)「父よ」

      ①イエスの場合は、父と子の関係において祈っている。

      ②イエスは、合計6回、父に呼びかけている。

        *「父よ」 1節、5節、21節、24節

        *「聖なる父よ」 11節

        *「正しい父よ」 26節

      ③「恵みの時代」の信者は、イエスを通して父に祈る。

    (4)「時が来ました」

      ①イエスは、父なる神の御心に忠実に歩んで来られた。

      ②受肉の目的は、人類の罪を贖う計画の成就である。

      ③「時」とは、十字架の時である。

      ④それまでは、イエスの時はまだ来ていなかった。

        *イエスの敵は、イエスを逮捕することができなかった。

        *ヨハ2:4、7:6、7:8、7:30、8:20

      ⑤今、イエスの時が来た。

        *ヨハ12:23、13:1、17:1

    (5)「子の栄光を現してください」

      ①イエスの心の中を見ることができる。

②「子の栄光を現す」とは、どういうことか。

*苦難の中で父がイエスを支えること

        *父がイエスの犠牲の死を受け入れること

        *父がイエスを復活させること

          ・復活は、イエスが神の子であることの証拠となる。

        *イエスが本来持っていた栄光を回復させること

          ・昇天によって、イエスは栄光の座に着く。

    (6)「あなたの子があなたの栄光を現すために、」

      ①原文の語順と日本語の語順は逆である。

      ②イエスは、自分の願いの目的を明らかにしている。

        *神に何かを願う時に、私たちもその目的を申し上げるとよい。

      ③父なる神の知恵、力、愛が、イエスを通して現れるように。

      ④イエスを信じる者たちに永遠のいのちを与えることで、父の栄光を現す。

      ⑤罪人が新生し、神をたたえるようになることは、父に栄光をもたらす。

  2.2~3節

Joh 17:2 それは子が、あなたからいただいたすべての者に、永遠のいのちを与えるため、あなたは、すべての人を支配する権威を子にお与えになったからです。

Joh 17:3 その永遠のいのちとは、彼らが唯一のまことの神であるあなたと、あなたの遣わされたイエス・キリストとを知ることです。

     (1)イエスの願いは、父なる神の御心に沿ったものである。

      ①父は子に、すべての人を支配する権威を与えた。

        *詩2篇のテーマ(メシア的詩篇)

      ②父は子に、裁きを行う権威を与えた(ヨハ5:27)。

      ③子は、自分から命を捨てる(ヨハ10:18)。

      ④子は、父からいただいたすべての者に、永遠のいのちを与える。

      ⑤信者は、「父からいただいた者」である(5回この表現が出て来る)。

       *2節、6節(2回)、9節、24節

     ⑥救いの教理の二面性

       *天地が造られる前から、父はキリストに属する者を選んでおられる。

       *神は、すべての人を招いておられる(信仰によって救われない人はいない)。

    (2)イエスによる永遠のいのちの定義

      ①パリサイ人たちは、神の国に入ることが「永遠のいのち」だと考えていた。

      ②一般的には、いつまでも続くいのちである。

        *しかし、永遠のいのちとは、永遠に存在し続けることではない。

        *すべての者は、永遠に存在し続ける。

        *どこで、どのような状態で存在し続けるかが問題である。

      ③永遠のいのちとは、それは、唯一のまことの神を知ること。

        *「唯一のまことの神」とは、偶像と対比した言葉である。

      ④それは、父が遣わされたイエス・キリストを通して可能となる。

        *父と子とは、同質の神である。

      ⑤それは、イエス・キリストを通して与えられる「神との平和」である。

      ⑥「知る」とは、親密な個人的関係を指す動詞である。

      ⑦その関係は、永遠に続く。

  3.4~5節

Joh 17:4 あなたがわたしに行わせるためにお与えになったわざを、わたしは成し遂げて、地上であなたの栄光を現しました。

Joh 17:5 今は、父よ、みそばで、わたしを栄光で輝かせてください。世界が存在する前に、ごいっしょにいて持っていましたあの栄光で輝かせてください。

     (1)イエスの自分自身のための祈りは、使命の完了を土台としたものである。

      ①イエスは、父がイエスに与えた使命を成し遂げた。

      ②十字架の死が確実なこととして語られている。

    (2)イエスの願いは、受肉前の栄光の回復である。

      ①世界が存在する前から、子は父といっしょに栄光を持っていた。

      ②受肉は、「メシアの辱め」の始まりである。

      ③十字架は、「メシアの辱め」の終わりである。

結論:

  1.自分のための祈り

    (例話)クリスチャンの祈りに感動した人の話

    (1)自分のために祈ることは、利己的なことではない。

    (2)利己的な祈りとは、自分だけの繁栄を求める祈りである。

    (3)他人のために祈る前に、自分の心と行いが神と調和している必要がある。

    (4)自分のための祈りは、楽器の調律と同じである。

      *自分の魂の調律が終わった人は、効果的な祈りを捧げることができる。

    (5)自分のための祈りは、クリスチャンにとって必要不可欠なものである。

  2.父なる神への祈り

    (1)イエスは、弟子たちに、父に対して祈るように教えてこられた。

    (2)そのモデルが、「主の祈り」である。

    (3)しかし、「主の祈り」は、「主イエスが教えた弟子たちの祈り」である。

    (4)ここでは、イエス自身も父に対して祈っている。これこそ「主の祈り」である。

    (5)ヨハ20:17

Joh 20:17 イエスは彼女に言われた。「わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないからです。わたしの兄弟たちのところに行って、彼らに『わたしは、わたしの父またあなたがたの父、わたしの神またあなたがたの神のもとに上る』と告げなさい。」

      ①マグダラのマリアへのことば

      ②「わたしの父」、「わたしの神」

      ③「あなたがたの父」、「あなたがたの神」

    (6)イエスの祈りは、三位一体の神の「父と子」の関係を基にしたものである。

    (7)私たちの祈りは、被造物が創造主に対して祈るものである。

      ①私たちは、父なる神に対して、イエス・キリストを通して、聖霊に導かれて祈

るのである。

  3.神の栄光を求める祈り

    (1)ヨハ17:5

Joh 17:5 今は、父よ、みそばで、わたしを栄光で輝かせてください。世界が存在する前に、ごいっしょにいて持っていましたあの栄光で輝かせてください。

    (2)イエスが栄光を求めた理由は、父の栄光が現れるためである。

    (3)イエスは、受肉期間にご自身の栄光を隠された。

    (4)山頂での変貌が、唯一の例外である。

    (5)イエスは、父に従順に歩むことによって父の栄光を現された。

      ①栄光とは、人格にかかわる概念である。

      ②神の義、力、愛が証明されることは、神の栄光につながる。

    (6)人間の生きる目的は、神の栄光を現すことである。

      ①ロマ11:36

Rom 11:36 というのは、すべてのことが、神から発し、神によって成り、神に至るからです。どうか、この神に、栄光がとこしえにありますように。アーメン。

      ②1コリ10:31

1Co 10:31 こういうわけで、あなたがたは、食べるにも、飲むにも、何をするにも、ただ神の栄光を現すためにしなさい。

      ③エペ1:11~12

Eph 1:11 この方にあって私たちは御国を受け継ぐ者ともなりました。みこころによりご計画のままをみな行う方の目的に従って、私たちはあらかじめこのように定められていたのです。

Eph 1:12 それは、前からキリストに望みを置いていた私たちが、神の栄光をほめたたえるためです。

      ④エペ1:13~14

Eph 1:13 この方にあってあなたがたもまた、真理のことば、あなたがたの救いの福音を聞き、またそれを信じたことにより、約束の聖霊をもって証印を押されました。

Eph 1:14 聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証です。これは神の民の贖いのためであり、神の栄光がほめたたえられるためです。

    (7)聖書が書かれた目的は、神の栄光のためである。

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