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メシアの生涯(165)—オリーブ山での説教(1)—
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オリーブ山での説教を通して、終末論について学ぶ。
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「オリーブ山での説教(1)」
マコ13:1~37、マタ24、25、ルカ21:5~36
1.はじめに
(1)文脈の確認
①A.T.ロバートソンの調和表は、新しい区分に入る(Ⅻ)。
②イエスの公生涯は終わった。
③イエスは神殿を去り、オリーブ山に座る。
④そこで、弟子たちに「オリーブ山での説教」を語る。
⑤非常に難解な内容である。
*共観福音書のそれぞれの著者が、異なった読者を想定して書いている。
*それらすべてを並行して読む必要がある。
*紀元1世紀のユダヤ教の用語が出て来るので、難解である。
*特に、終末論的用語が問題である。
⑥この箇所でも、火曜日が続いている。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
§139 イエスはオリーブ山に座り、終末的出来事に関して弟子たちに教える。
マコ13:1~37、マタ24、25、ルカ21:5~36
2.アウトライン
(1)説教が生まれた歴史的背景
(2)3つの質問
(3)回答①:世の終わりのしるし
(4)回答②:エルサレム崩壊のしるし
(5)回答③:再臨のしるし
(今回は、(1)~(3)を取り上げる)
3.結論:
(1)メシアの3つの役割
(2)偽キリスト
(3)戦争
オリーブ山での説教を通して、終末論について学ぶ。
Ⅰ.説教が生まれた歴史的背景(1~2節)
1.1節
Mat 24:1 イエスが宮を出て行かれるとき、弟子たちが近寄って来て、イエスに宮の建物をさし示した。
(1)イエスは、神殿を去って行かれる。
①イエスの公生涯は終わった。
②弟子たちが近寄ってきて、神殿のすばらしさを口にする。
(2)マコ13:1
「イエスが、宮から出て行かれるとき、弟子のひとりがイエスに言った。『先生。これ
はまあ、何とみごとな石でしょう。何とすばらしい建物でしょう』」
(3)神殿の石は、3~3.5メートル、重量は8~10トンもある。
①壁に使用される石は、それよりも大きい。
②現在の西壁は、神殿域を支える壁の西側の部分である。
2.2節
Mat 24:2 そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「このすべての物に目をみはっているのでしょう。まことに、あなたがたに告げます。ここでは、石がくずされずに、積まれたまま残ることは決してありません。」
(1)当時、神殿はまだ工事中であった。
①前20年にヘロデ大王によって拡張工事が始められた。
②紀元64年に完成した(84年かかった)。
③イエスが神殿を去ったのは、紀元30年である。
④神殿は、紀元70年に滅びる(弟子たちは知らない)。
(2)イエスの預言は、文字通り成就した。
①ローマの将軍ティトゥスは、兵士たちに神殿を破壊しないように命じていた。
②しかし、ひとりの兵士がたいまつを神殿に投げ込み、内部が焼失した。
③内壁を覆っていた金が溶け出し、石と石の隙間に流れ込んだ。
④後日、それを取り出すために、石が取りのけられた。
Ⅱ.3つの質問(3節)
1.3節
Mat 24:3 イエスがオリーブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとに来て言った。「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのでしょう。あなたの来られる時や世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。」
(1)マコ13:3
「イエスがオリーブ山で宮に向かってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、
アンデレが、ひそかにイエスに質問した」
①ペテロとアンデレ、ヤコブとヨハネという2組の兄弟が質問した。
②イエスの教えは、この4人の内弟子に対する個人レッスンである。
(2)彼らは、3つの質問をした。
①「いつ、そのようなことが起こるのでしょうか」
*エルサレム崩壊のしるしは何か。
②「あなたが来られる時には、どんな前兆があるのでしょうか」
*再臨のしるしは何か。
③「世の終わりには、どんな前兆があるのでしょうか」
*世の終わりのしるしは何か。
(3)イエスの回答は、質問の順番とは異なる。
③世の終わりのしるしは何か。
①エルサレム崩壊のしるしは何か。
②再臨のしるしは何か。
(4)「世の終わり」という言葉について
①「the end of the world」(KJV)、「the end of the age」(ISV)
②ギリシア語は、「アイオーン」である。
③当時のユダヤ人たちは、2つの「時代」を認識していた。
*「今いる時代」と「メシア的時代」(メシア到来後の時代)
Ⅲ.回答①:世の終わりのしるし(4~8節)
1.4~6節
Mat 24:4 そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「人に惑わされないように気をつけなさい。
Mat 24:5 わたしの名を名のる者が大ぜい現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わすでしょう。
Mat 24:6 また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。これらは必ず起こることです。しかし、終わりが来たのではありません。
(1)世の終わりのしるしではないことが2つある。
①これは、教会時代の特徴である。
②惑わされてはならない。
(2)偽キリストの出現
①ユダヤ人の歴史上、最初にメシア宣言をしたのはイエスである。
②次に、バル・コクバが出た(紀元132年)。
*彼は、偽キリストの最初の人物となった。
(3)戦争の勃発
①「戦争のことや、戦争のうわさ」とは、地域戦争のことである。
②終末に関係しているのは、世界戦争である。
③教会時代を通じて、戦争は起こり続ける。
④これらのことは、終わりが来たというしるしではない。
2.7~8節
Mat 24:7 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。
Mat 24:8 しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。
(1)ここで、世の終わりのしるしについて語られる。
(2)世界戦争、飢饉、地震
①「民族は民族に、国は国に敵対して」というのは、世界戦争のことである。
*当時のラビ用語である。
②飢饉と地震は、世界中に広がっている。
③ルカ21:11
「大地震があり、方々に疫病やききんが起こり、恐ろしいことや天からのすさま
じい前兆が現れます」
*疫病、恐ろしいこと、天からのすさまじい前兆
④「そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです」
*今の世が終わり新しい世になるための陣痛の初めである。
*メシア的王国が出現する前の苦しみを「陣痛」と呼ぶのはラビ的用語。
結論:
1.メシアの3つの役割
(1)メシアは、預言者、祭司、王としての役割を持つ。
①この3つの職責への任命は、油注ぎによって行われる。
②メシアとは、油注がれた者という意味である。
(2)イエスは、オリーブ山での説教で、預言者としての使命を終える。
(3)イエスの大祭司としての使命は、最後の晩餐の席ですでに始まっている。
①昇天されたイエスは、父なる神の右の座に座し、大祭司として信者のために執
り成しをしておられる。
(4)メシアは、王として再臨される。
2.偽キリスト
(1)シャブタイ・ツビ(1626~76年)
①トルコのイズミール出身
②メシア宣言を行い、ユダヤ人を聖地に帰還させると誓った。
③彼を信じて財産を処分し、聖地に向かった人々が出た。
④彼はトルコ軍に捕まり、幽閉後にイスラム教に改宗した。
(2)ジェイコブ・フランク(1726~91年)
①ポーランド出身のユダヤ人
②シャブタイ・ツビの生まれ変わりと称して、メシア宣言を行った。
③トーラーを否定し、秘義として性的儀式を行った。
(3)メナヘムヘム・シュネルソン(1902~1994年)
①ニューヨーク出身のラビ
②ルバビッチ派の多くの人が、今でもシュネルソンをメシアと信じている。
(4)異邦人の中からも偽キリストが出ている。
①文鮮明
②ニューエイジ運動
*特定のグルをメシアとする。
*「キリスト意識」の教え
3.戦争
(1)第一次世界大戦(1914~18年)
①人類史上初の世界戦争である。
②その結果、シオニズム運動が生まれた。
(2)第二次世界大戦(1939~45年)
①第一次世界大戦の継続形
②その結果、イスラエル国家が誕生した(1948年)。
③紀元70年に国が滅びて以来のことである。
④これで、ユダヤ人たちが「祝福あれ。主の御名によって来られる方に」と祈る
環境が整った。
⑤100年前には、聖書学者のほとんどがイスラエル回復の預言を比ゆ的に解釈し
ていた。
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