コリント人への手紙第一(26)御霊の賜物(6)―正しい賜物の行使―14:26~40

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正しい賜物の行使について学ぶ。

コリント人への手紙第一 26回

御霊の賜物(6)

―正しい賜物の行使―

14 :26~40

はじめに

1.文脈の確認

(1)御霊の賜物(12~14)

  ①御霊による信仰告白(12:1~3)

  ②一致と多様性(12:4~31)

  ③愛の優位性(13:1~13)

  ④異言よりも預言(14:1~25)

  ⑤正しい賜物の行使(14:26~40)

2.注目すべき点

(1)教会に混乱をもたらした最大の要因は、御霊の賜物の誤用であった。

(2)愛の章(13章)は、御霊の賜物の行使という文脈の中で出てくる。

(3)14章は、集会での賜物の行使に関する教えである。

(4)当時は、今のような礼拝形式がまだ確立していなかった。

3.アウトライン

(1)秩序の重要性(26~33節a)

(2)婦人の言動(33b~35節)

(3)最後の勧め(36~40節)

4.結論:異言の賜物に関する7つの教え

正しい賜物の行使について学ぶ。

Ⅰ.秩序の重要性(26~33節a)

1.26節

1Co 14:26

それでは、兄弟たち、どうすればよいのでしょう。あなたがたが集まるときには、それぞれが賛美したり、教えたり、啓示を告げたり、異言を話したり、解き明かしたりすることができます。そのすべてのことを、成長に役立てるためにしなさい。

(1)26~28節は、異言の賜物の濫用を抑制するための教えである。

  ①異言の賜物が、礼拝に最も混乱をもたらしていた。

(2)当時の礼拝は、形式張らず、自由なものであった。

  ①聖霊が、御霊の賜物(複数の信者)を用いて自由に働かれた。

  ②初代教会の礼拝は、いわば「オープンミーティング」であった。

  ③各人が、自発的に礼拝の奉仕に参加していた。

(3)26節から垣間見える礼拝の様子

  ①ある人が賛美する(詩篇か)。

  ②別の人が、そこから着想を得た教えを語る。

  ③また別の人が、預言の賜物を発揮して啓示を語る。

  ④さらに異言で語る人と解き明かしをする人がことばを発する。

  ⑤賜物を行使する人たちは、愛(教会の霊的成長)をゴールとして奉仕をする。

2.27~28節

1Co 14:27

だれかが異言で語るのであれば、二人か、多くても三人で順番に行い、一人が解き明かしをしなさい。

1Co 14:28

解き明かす者がいなければ、教会では黙っていて、自分に対し、また神に対して語りなさい。

(1)異言の賜物の行使に関する教え

  ①礼拝で異言の賜物を用いる場合は、2人か3人に限定する。

  ②複数の人が同時に異言を語るのではなく、順番に行う。

  ③解き明かしができる者がいることが、異言を語るための条件である。

  ④解き明かす者がいなければ、教会の礼拝では黙っている。

  ⑤その人は、ことばに出さないで、自分と神に対して異言で語ればよい。

  ⑥全員が一斉に異言で祈ることは、許されていない。

3.29節

1Co 14:29

預言する者たちも、二人か三人が語り、ほかの者たちはそれを吟味しなさい。

(1)礼拝の中で預言する者を、2人か3人に限定する。

  ①異言を語る者の場合と同じである。

(2)ほかの者はそれを吟味する。

  ①神の霊によって語っているかどうかを見極める。

  ②もし神の霊によって語っていなければ、その人は偽預言者である。

4.30~31節

1Co 14:30

席に着いている別の人に啓示が与えられたら、先に語っていた人は黙りなさい。

1Co 14:31

だれでも学び、だれでも励ましが受けられるように、だれでも一人ずつ預言することができるのです。

(1)別の人に啓示が与えられたなら、先に語っていた人は黙る。

  ①長く語っていると、人間的な判断が混入する危険性がある。

(2)預言者には一人ずつ順に預言する機会が与えられるべきである。

  ①その結果、だれでも学び、励ましを受けることができる。

5.32~33節a

1Co 14:32 預言する者たちの霊は預言する者たちに従います。

1Co 14:33a 神は混乱の神ではなく、平和の神なのです。

(1)コリントの信者たちの誤解

  ①聖霊に満たされている人ほど、自分を制御できないと考えていた。

  ②長く話し続けるのは、聖霊に満たされている証拠であると考えていた。

(2)パウロの教え

  ①預言の賜物を与える霊は、預言する者たちに従う。

  ②つまり、恍惚状態で預言するわけではない。

  ③預言者は、自分の意志で預言の賜物を制御することができる。

  ④神は混乱の神ではなく、平和の神である。

  ⑤混乱した礼拝の中には、神の臨在はない。

Ⅱ.婦人の言動(33b~35節)

1.33b~34

1Co 14:33b  聖徒たちのすべての教会で行われているように、

1Co 14:34

女の人は教会では黙っていなさい。彼女たちは語ることを許されていません。律法も言っているように、従いなさい。

(1)章と節は、後の時代に付加された。

  ①ここでは、33節の区分が不自然である。

  ②33節bは、本来34節に含まれるものである。

  ③これから教えることは、すべての教会に適用される普遍的真理である。

(2)婦人の役割

  ①婦人には多くの役割が与えられている。

    *特に、家庭の管理、育児が重要である。

  ②しかし、教会の公の集会で発言することは、許されていない。

    *これは、おしゃべりのことではない。

    *権威をもって語ることである。

  ③「律法も言っているように」

    *創3:16

Gen 3:16
女にはこう言われた。/「わたしは、あなたの苦しみとうめきを/大いに増す。/あなたは苦しんで子を産む。/また、あなたは夫を恋い慕うが、/彼はあなたを支配することになる。」

  ④「従いなさい」

    *婦人の役割は、夫への従順である。

(3)明らかな矛盾をどのように解決するか。

  ①11:5

1Co 11:5
しかし、女はだれでも祈りや預言をするとき、頭にかぶり物を着けていなかったら、自分の頭を辱めることになります。それは頭を剃っているのと全く同じことなのです。

  ②14:34

1Co 14:34 女の人は教会では黙っていなさい。彼女たちは語ることを許されていません。律法も言っているように、従いなさい。

  ③前者では、婦人が集会の中で祈りや預言をすることが許可されている。

  ③後者では、語られた預言に対して応答することが禁じられている。

    *男に許されていることが婦人には許されていない。

  ④11:5と14:34は、矛盾ではない。

2.35節

1Co 14:35

もし何かを知りたければ、家で自分の夫に尋ねなさい。教会で語ることは、女の人にとって恥ずかしいことなのです。

(1)質問すること自体が、教えることにつながる場合がある。

  ①そのような抜け穴を防ぐために、婦人には質問することが禁じられている。

  ②質問があれば、家で自分の夫に尋ねるべきである。

(2)未婚の女性や寡婦は、どうしたらよいのか。

  ①聖書は、一般原則を述べている。

  ②未婚の女性には、父や兄がいる。

  ③寡婦には、教会の長老がいる。

  ④神の秩序に違反するのは恥ずべきことである、という点を覚えておけばよい。

Ⅲ.最後の勧め(36~40節)

1.36節

1Co 14:36

神のことばは、あなたがたのところから出たのでしょうか。あるいは、あなたがたにだけ伝わったのでしょうか。

(1)パウロは、予想される反論に対して「皮肉」を用いて回答している。

  ①「使徒たちの教え」以上に、自分たちは深い知識を持っているというのか。

  ②神のことばは、あなたがたのところから出たというのか。

  ③あるいは、あなたがたにだけ伝わったというのか。

  ④神のことばは自分たちのところから出たと主張できる教会は、存在しない。

2.37~38節

1Co 14:37

だれかが自分を預言者、あるいは御霊の人と思っているなら、その人は、私があなたがたに書くことが主の命令であることを認めなさい。

1Co 14:38 それを無視する人がいるなら、その人は無視されます。

(1)パウロの教えは、彼自身が考えたことではない。

  ①それは、主の命令である。

  ②使徒たちの教えは、主ご自身から出たものである。

  ③自分を預言者や御霊の人と思っているなら、パウロの教えを認めるべきである。

(2)それを認めないなら、その人は預言者、御霊の人ではない。

  ①その人自身が、認められない状態にとどまることになる。

3.39節

1Co 14:39

ですから、私の兄弟たち、預言することを熱心に求めなさい。また、異言で語ることを禁じてはいけません。

(1)預言の賜物のほうが異言の賜物よりも優れている。

  ①預言のことばによって救いに導かれる未信者がいる。

  ②異言は、解き明かす人がいなければ、群全体の益にはならない。

  ③預言に関しては、それを熱心に求める。

  ④異言に関しては、それを禁じてはいけない。

4.40節

1Co 14:40 ただ、すべてのことを適切に、秩序正しく行いなさい。

(1)これが結論である。

  ①適切に、秩序正しく

  ②今も、すべての教会がこの命令に従っているわけではない。

結論:異言の賜物に関する7つの教え

1.異言を禁じてはならない(39節)。

2.公の集会で異言を語る場合は、解き明かす人がいなければならない(27~28節)。

3.公の集会で異言を語る人の人数は、最大3人までである(27節)。

4.異言を語る人は、同時にではなく、順番に語らなければならない(27節)。

5.異言の内容は、群の成長に役立つものでなければならない(26節)。

6.婦人は、語られた預言に応答することが許されていない(40節)。

7.すべての集会は、適切に、秩序正しく行うべきである(40節)。

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