私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(122)—弟子たちへの教え(1)—
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弟子たちへの教えを通して、イエスから警告と励ましを受ける。
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「弟子たちへの教え(1)」
ルカ12:1~12
1.はじめに
(1)文脈の確認
①前回は、パリサイ人の家の食卓での出来事を見た。
②イエスは、パリサイ人たちの儀式主義を糾弾した。
③次にイエスは、律法学者たちの律法主義を糾弾した。
④きょうの箇所は、その文脈の中で読むべきものである。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
§108~110は、ひとかたまりと考えるべきである。
①§108 ルカ12:1~59
②§109 ルカ13:1~9
③§110 ルカ13:10~21
(3)内容
①ルカ12:1~53 弟子たちへの教え 5つのテーマ
②ルカ12:54~13:21 群衆への教え 4つのテーマ
(4)アウトライン(12:1~53)
①恐れずに証しせよ(12:1~12)
②貪欲に注意せよ(12:13~21)
③心配するな(12:22~34)
④その日に備えよ(12:35~48)
⑤誤解されることを恐れるな(12:49~53)
(今回は①だけを取り上げる)
3.結論:
(1)赦されない罪とは
(2)聖霊の助けとは
弟子たちへの教えを通して、イエスから警告と励ましを受ける。
Ⅰ.恐れずに証しせよ(12:1~12)
1.1節
Luk 12:1 そうこうしている間に、おびただしい数の群衆が集まって来て、互いに足を踏み合うほどになった。イエスはまず弟子たちに対して、話しだされた。「パリサイ人のパン種に気をつけなさい。それは彼らの偽善のことです。
(1)パリサイ人の食卓での教えは、人々を引きつけ、それが大群衆となった。
①パリサイ人に対するイエスの容赦なき糾弾が、人々の関心を呼んだ。
②日頃パリサイ人から苦しめられていた人たちは、溜飲を下げたことであろう。
③イエスは弟子たちに教えたが、その周りでは、群衆が聞いていた。
④ローマは、大群衆の集まりを恐れた。通常は集会許可が必要である。
⑤この段階では、ローマはまだイエスに注目していない。
(2)「パリサイ人のパン種に気をつけなさい」
①「パン種」という言葉が比ゆ的に用いられると、それは「偽りの教え」を指す。
②「パリサイ人のパン種」とは、パリサイ人の偽善のことである。
③内面を隠すために仮面をかぶるのが、偽善である。
④前回取り扱ったテーマは、パリサイ人の偽善であった。
2.2~3節
Luk 12:2 おおいかぶされているもので、現されないものはなく、隠されているもので、知られずに済むものはありません。
Luk 12:3 ですから、あなたがたが暗やみで言ったことが、明るみで聞かれ、家の中でささやいたことが、屋上で言い広められます。
(1)偽善的に生きるのは、愚かなことである。
①やがてすべてが明るみに出されるから。
(2)次に、弟子たちの宣教の広がりが預言される。
①今は、弟子たちのメッセージに耳を傾ける人は少数であり、限定的である。
②しかし、十字架、復活、聖霊降臨の時代が来る。
③その時には、弟子たちの働きは世界的なものとなる。
④それは、家の中でささやいていたことを、屋上で言い広めるようなものである。
⑤パレスチナの家屋では、近隣に情報を伝達するためには屋上が最適である。
⑥自らの伝道の広がりに期待する人は、幸いである。
3.4節
Luk 12:4 そこで、わたしの友であるあなたがたに言います。からだを殺しても、あとはそれ以上何もできない人間たちを恐れてはいけません。
(1)イエスは弟子たちを「わたしの友」と呼ばれた。
①ギリシア語で友は、「フィロス」である。
②この友情関係は、いかなる試練の中でも、恥ずべきものではない。
(2)世界宣教が始まると、迫害が起こり、命の危険を感じる状況が訪れる。
①しかし、人間を恐れてはならない。
②人間ができることには限界がある。肉体的な命を奪うことまでである。
4.5節
Luk 12:5 恐れなければならない方を、あなたがたに教えてあげましょう。殺したあとで、ゲヘナに投げ込む権威を持っておられる方を恐れなさい。そうです。あなたがたに言います。この方を恐れなさい。
(1)恐れなければならない方がいる。
①「殺したあとで、ゲヘナに投げ込む権威を持っておられる方」
②「ゲヘナの意味」
*「ゲイ・ヒノム(ヒノムの谷)」=「ゲヘナ」
*モレクの神に子どもを捧げていた場所
*ヨシヤ王がそこを破壊した(2列23:10)。
*それ以降、エルサレムの町から出るゴミを燃やす場となった。
*常時、煙が立ち上っていた。
③日本語訳
*「ゲヘナ」という訳:(新改訳)、(文語訳)
*「地獄」という訳:(新共同訳)、(口語訳)、(リビングバイブル)
*「火と硫黄との燃える池」(黙21:8)と同じである。
(2)ユダヤ人たちは、この表現が裁き主である神を指していることを理解した。
①裁き主である神を恐れることは、知恵である。
(3)信者を迫害する者は、肉体の死よりも恐ろしい永遠の死を経験するようになる。
5.6~7節
Luk 12:6 五羽の雀は二アサリオンで売っているでしょう。そんな雀の一羽でも、神の御前には忘れられてはいません。
Luk 12:7 それどころか、あなたがたの頭の毛さえも、みな数えられています。恐れることはありません。あなたがたは、たくさんの雀よりもすぐれた者です。
(1)神の守りの教えを補強するためのカル・バホメル(大から小へ)の議論
①雀は、最も安い食用の鳥である。
②2羽で1アサリオン(マタ10:29。最小のローマ銅貨で16分の1デナリ)
③ここでは、5羽で2アサリオン。5羽目はただである。
④そんな雀の一羽でも、神は覚えておられる。
⑤ましてや、神があなたがた人間を忘れることはない。
(2)「あなたがたの頭の毛さえも、みな数えられています」
①旧約聖書の表現法で、神の許しがなければ何も起こらないという意味である。
②1サム14:45、2サム14:11、1列1:52
6.8~9節
Luk 12:8 そこで、あなたがたに言います。だれでも、わたしを人の前で認める者は、人の子もまた、その人を神の御使いたちの前で認めます。
Luk 12:9 しかし、わたしを人の前で知らないと言う者は、神の御使いたちの前で知らないと言われます。
(1)ユダヤ人にはなじみのある「天の法廷」での裁きの情景
①天使たちがそこに出席しているのも、ユダヤ人の理解に合致している。
②イエスは、弁護士であり検察官でもある。
③イエスは、この裁判に負けることはない。
(2)2種類の人たち
①イエスを人の前で認める者
*イエスを救い主と信じる者。真の信者。
*イエスは、真の信者を認めてくださる。
②イエスを人の前で知らないという者
*イエスを信じない者
*第一義的にはパリサイ人を指すが、それ以外の者にも当てはまる。
7.10節
Luk 12:10 たとい、人の子をそしることばを使う者があっても、赦されます。しかし、聖霊をけがす者は赦されません。
(1)「赦される」「赦されない」という表現
①ユダヤ人たちは、「神の御名」を避けるために、受動態を使うことが多かった。
②実際は、「神は赦される」、「神は赦されない」という意味である。
③「赦されない罪」については、結論で詳細を解説する。
8.11~12節
Luk 12:11 また、人々があなたがたを、会堂や役人や権力者などのところに連れて行ったとき、何をどう弁明しようか、何を言おうかと心配するには及びません。
Luk 12:12 言うべきことは、そのときに聖霊が教えてくださるからです。」
(1)ユダヤの権威による裁きと、ローマの権威による裁きがあった。
①前者の場合は、会堂で裁きが行われた。
②鞭打たれることもあった。
③後者の場合は、より厳しい裁きが実行された。
(2)弟子たちには、聖霊の守りが保証された。
①事前に弁明内容を考えておく必要はない。
②聖霊が、教えてくださる。
結論:
1.赦されない罪について
「たとい、人の子をそしることばを使う者があっても、赦されます。しかし、聖霊をけが
す者は赦されません」(10節)
(1)「聖霊をけがす」とは、イエスがメシアであることを否定する者である。
①イエスは、かずかずの「しるし」を行い、ご自身のメシア性を証明された。
②そのひとつに、口をきけなくする悪霊の追い出しがあった。
③ユダヤ人たちは、イエスは悪霊のかしらベルゼブルによって悪霊を追い出して
いると言った。
④これは、聖霊を悪霊だと言っているのと同じことである。
⑤これは、イエス時代のユダヤ人たちだけが犯すことのできる罪である。
⑥イエスは、その罪に加担しないように弟子たちに勧めた。
(2)信仰が後退した者の罪は、赦される。
①その人が神に立ち返ったなら、赦される。
②罪責感があることは、「赦されない罪」を犯していないことを証明している。
(例話)南蛮誓詞と日本誓詞
(3)イエスを拒否したり、罵倒したりする未信者の罪も、赦される。
①キリストを救い主として受け入れることが、条件である。
2.聖霊の助けについて
「また、人々があなたがたを、会堂や役人や権力者などのところに連れて行ったとき、何
をどう弁明しようか、何を言おうかと心配するには及びません。言うべきことは、そのと
きに聖霊が教えてくださるからです」(11~12節)
(1)これは、聖書研究に対して怠惰であってもいいという教えではない。
①みことばの学び
②祈りの生活、すべて重要である。
(2)これは、第一義的には弟子たちに語られたものである。
①世界に対して福音のメッセンジャーになると、迫害が襲ってくる。
②サンヘドリンからの迫害、ローマからの迫害
(3)第二義的には、真の信者一般にも適用可能である。
①困難に遭遇した際に、発すべき言葉が与えられる。
②証しの際に、語るべき言葉が与えられる。
③イエスとの友情関係が、ベースにある。
(例話)ハーベスト・タイムの番組収録で
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