コリント人への手紙第一(23)御霊の賜物(3)―一致と多様性(2)―12:15~31

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御霊の賜物の一致と多様性について学ぶ。

コリント人への手紙第一 23回

御霊の賜物(3)

―一致と多様性(2)―

12 :15~31

はじめに

1.文脈の確認

(1) 結婚に関する教え(7:1~40)

(2)偶像に献げられた肉(8:1~11:1)

(3)女のかぶり物(11:2~16)

(4)聖餐式(11:17~34)

(5)御霊の賜物(12~14)

  ①御霊による信仰告白(12:1~3)

  ②一致と多様性(12:4~31)

  ③愛の優位性(13:1~13)

  ④異言よりも預言(14:1~25)

  ⑤正しい賜物の行使(14:26~40)

2.注目すべき点

(1)コリント教会の礼拝に混乱をもたらした3つの要因

  ①女のかぶり物

  ②聖餐式

  ③御霊の賜物

(2)御霊の賜物が最も深刻な問題である。

  ①パウロは、14章で異言の問題を取り上げる。

  ②その前に、御霊の賜物全般について解説する。

3.アウトライン(一致と多様性)

(1)一つの御霊と多様な賜物(4~11節)

(2)一つのからだと多様な部分(12~14節)

(3)たとえの適用(15~26節)

(4)多様性の再確認(27~31節)

4.結論:使徒たちと預言者たち

御霊の賜物の一致と多様性について学ぶ。

Ⅰ.一つの御霊と多様な賜物(4~11節)

Ⅱ.一つのからだと多様な部分(12~14節)

Ⅲ.たとえの適用(15~26節)

1.15~17節

1Co 12:15

たとえ足が「私は手ではないから、からだに属さない」と言ったとしても、それで、からだに属さなくなるわけではありません。

1Co 12:16

たとえ耳が「私は目ではないから、からだに属さない」と言ったとしても、それで、からだに属さなくなるわけではありません。

1Co 12:17

もし、からだ全体が目であったら、どこで聞くのでしょうか。もし、からだ全体が耳であったら、どこでにおいを嗅ぐのでしょうか。

(1)からだのたとえの適用(教訓)を記している。

  ①健康なからだには、通常、多様な部分が備わっている。

  ②教訓とは、自分を過小評価する必要はないということである。

  ③また、他の信者を過小評価してはならないということである。

(2)足は、自分が手ではないことを卑下する必要はない。

  ①足は、立つ、歩く、走る、上る、蹴る、踊るなどの役割を果たすことができる。

(3)耳は、目のような役割を果たすことができないと卑下する必要はない。

  ①声や音が聞こえにくくなると、耳の役割の大切さが分かるようになる。

(4)多様性のないからだは、生き延びることができない。

  ①からだ全体が目であったら、物音を聞くことができない。

  ②からだ全体が耳であったら、においを嗅ぐことができない。

  ③パウロの強調点

    *からだ全体が舌(tongue)(異言)であれば、それは異常である。

    *コリントの信者たちは、異言の賜物だけを重視していた。

2.18~20節

1Co 12:18

しかし実際、神はみこころにしたがって、からだの中にそれぞれの部分を備えてくださいました。

1Co 12:19

もし全体がただ一つの部分だとしたら、からだはどこにあるのでしょうか。

1Co 12:20 しかし実際、部分は多くあり、からだは一つなのです。

(1)神は、御心にしたがって、からだを造ってくださった。

  ①からだの中に多様な部分を備えてくださった。

  ②全体がただ一つの部分だとしたら、からだは存在しなくなる。

  ③実際は、部分は多くあり、からだは一つである。

(2)キリストのみからだである教会も、これと同じである。

  ①神は、御心にしたがって多くの御霊の賜物を教会に与えてくださった。

  ②他の人に与えられている賜物を妬んだり、うらやんだりする必要はない。

  ③目立たない賜物でも、教会には不可欠なものである。

  ④それぞれの部分が、全体の祝福のために仕えているのである。

3.21~22節

1Co 12:21

目が手に向かって「あなたはいらない」と言うことはできないし、頭が足に向かって「あなたがたはいらない」と言うこともできません。

1Co 12:22

それどころか、からだの中でほかより弱く見える部分が、かえってなくてはならないのです。

(1)他の人に与えられている賜物を軽蔑してはならない。

  ①目は見ることができるが、手のように仕事をすることはできない。

  ②頭は判断することができるが、足のように移動することはできない。

(2)からだの中でほかより弱く見える部分が、かえって不可欠の部分である。

  ①心臓、肺、肝臓、腎臓などの内臓は、目立つことなしに、忠実に働いている。

  ②手や足がなくても生きることができるが、内臓なしには生きることができない。

4.23~24節a

1Co 12:23

また私たちは、からだの中で見栄えがほかより劣っていると思う部分を、見栄えをよくするものでおおいます。こうして、見苦しい部分はもっと良い格好になりますが、

1Co 12:24a 格好の良い部分はその必要がありません。

(1)私たちのからだに関して

  ①見栄えが劣っている部分を、衣服で覆う。

    *パウロは、生殖器に言及していると思われる。

  ②格好の良い部分は、露出したままである。

(2)教会に関して

  ①目立たない賜物や奉仕は、もっと大切にされるべきである。

    *掃除、礼拝のために準備、苦しんでいる人への奉仕、ベビーシッター

5.24b~25節

1Co 12:24b

神は、劣ったところには、見栄えをよくするものを与えて、からだを組み合わせられました。

1Co 12:25

それは、からだの中に分裂がなく、各部分が互いのために、同じように配慮し合うためです。

(1)私たちのからだに関して

  ①劣った部分と見栄えの良い部分の差が埋まるように、神は配慮しておられる。

(2)教会に関して

  ①各部分が、互いを受け入れ、配慮し合うように、神は導いておられる。

6.26節

1Co 12:26

一つの部分が苦しめば、すべての部分がともに苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分がともに喜ぶのです。

(1)これは、私たちのからだに関しても、教会に関しては言えることである。

  ①ロマ12:15

Rom 12:15 喜んでいる者たちとともに喜び、泣いている者たちとともに泣きなさい。

  ②ここまでのたとえは、主に人間のからだに関するものであった。

  ③次の箇所では、教会に関する教えに移行する。

Ⅳ.多様性の再確認(27~31節)

1.27節

1Co 12:27 あなたがたはキリストのからだであって、一人ひとりはその部分です。

(1)コリント教会は、普遍的教会ではない。

  ①コリント教会は、地域教会である。

  ②コリント教会は、普遍的教会の一部である。

  ③信者たちは、普遍的教会の一部であると同時に、地域教会の一部である。

2.28節

1Co 12:28

神は教会の中に、第一に使徒たち、第二に預言者たち、第三に教師たち、そして力あるわざ、そして癒やしの賜物、援助、管理、種々の異言を備えてくださいました。

(1)このリストは、御霊の賜物をすべて網羅したものではない。

      ①使徒たち

    *12使徒

    *パウロ、バルナバ、ヤコブ、シラス、テモテ

    *エペ2:20

Eph 2:20 使徒たちや預言者たちという土台の上に建てられていて、キリスト・イエスご自身がその要の石です。

  ②預言者たち

    *新約聖書が完結するまでは、神は預言者たちを通して語られた。

  ③教師たち

    *みことばを一般信徒に分かるように教える人たち

  ④力あるわざ

    *死者を蘇生させたり、悪霊を追い出したりする能力

  ⑤癒やしの賜物

    *瞬時に病を癒やす能力

  ⑥援助

    *執事の賜物

  ⑦管理

    *長老や監督の賜物

  ⑧種々の異言

    *パウロは、異言を最後に置いた。

    *コリントの信者たちは、異言を最初に置いていた。

3.29~30節

1Co 12:29

皆が使徒でしょうか。皆が預言者でしょうか。皆が教師でしょうか。すべてが力あるわざでしょうか。

1Co 12:30

皆が癒やしの賜物を持っているでしょうか。皆が異言を語るでしょうか。皆がその解き明かしをするでしょうか。

(1)この質問は、「NO」という答えを想定したものである。

  ①からだは一つ、賜物は多数。

  ②教会は、各人が自分の賜物を発揮することによって建て上がって行く。

4.31節

1Co 12:31

あなたがたは、よりすぐれた賜物を熱心に求めなさい。/私は今、はるかにまさる道を示しましょう。

(1)「よりすぐれた賜物を熱心に求めなさい」

  ①これは、個人としてではなく、地域教会として求めよという勧めである。

  ②どんな賜物も、軽視してはならない。

  ③しかし、教会の益になるかどうかという視点から見ると、優劣の差がある。

  ④賜物のリストの順番が、優劣の順番になっている。

(2)「私は今、はるかにまさる道を示しましょう」

  ①これは、愛の章(13章)へのイントロダクションである。

  ②賜物は、持っていること以上に、愛に基づいて用いることが重要である。

  ③特に、異言の行使においては愛が必要である。

  ④異言を語る人は、自己中心的になるべきではない。

  ⑤異言を語らない人は、異言の賜物を侮辱してはならない。

結論:使徒たちと預言者たち

1.使徒たち

(1)12使徒(使1:22)

  ①イエスが洗礼を受けたときから弟子であった人 たち

(2)第2グループの使徒たち

  ①復活のイエスに出会った人 たち

  ②パウロはこの資格を満たしている(1コリ9:1)。

  ③バルナバもまた第2グループの使徒である(使14:14)。

  ④イエスの弟のヤコブも同じである(1コリ15:7、ガラ1:19)。

(3)使徒と預言者の賜物は、終了した。

  ①エペ2:19~22によれば、使徒と預言者は「土台」 である。

  ②キリストは「礎石」である。

  ③信者は建物を形成する石材 である。

2.預言者たち

(1)預言者たちの使命は、神からの啓示を受けてそれを記録することである。

(2)使徒は、預言の賜物も持っている。

(3)新約時代の「預言者」と「使徒」によって、「恵みの時代」の啓示はすべて記録された。

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