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コリント人への手紙第一(14)結婚に関する教え(3)―未婚の者たちへの助言―7:25~40
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未婚の者たちへの助言について学ぶ。
コリント人への手紙第一 14回
結婚に関する教え(3)
―未婚の者たちへの助言―
7 :25~40
はじめに
1.文脈の確認
(1)イントロダクション(1:1~9)
(2)教会内の分裂(1:10~4:21)
(3)教会内の無秩序(5~6)
(4)教会からの質問(7~16)
①結婚に関する教え(7:1~40)
*既婚者への助言(1~16節)
*結婚に関する基本原則(17~24節)
*未婚の者たちへの助言(25~40節)
2.注目すべき点
(1)パウロは、「前の手紙」で、いくつかの指示を出した。
(2)コリントの信者たちは、それに関する質問を書いてきた。
(3)パウロは、「○〇について」(ペリ・デ)という用語を用いて、各質問に答える。
(4)7~16章は、各質問に対する回答である。
(5)その最初が、結婚に関する教えである。
3.アウトライン(未婚の者たちへの助言)
(1)未婚でいることの利点(25~28節)
(2)未婚でいることの理由(29~35節)
(3)結婚の正当性(36~40節)
4.結論
(1)既婚者への励まし
(2)独身者への励まし
(3)終末的生き方の勧め
未婚の者たちへの助言について学ぶ。
Ⅰ.未婚でいることの利点(25~28節)
1.25節
1Co 7:25
未婚の人たちについて、私は主の命令を受けてはいませんが、主のあわれみにより信頼を得ている者として、意見を述べます。
(1)「〇〇について」(ペリ・デ)
①ここから、未婚の人たちへの助言が始まる。
②内容は、コリント教会の禁欲主義への反論である。
③「未婚の人たち」(パーセノイ)とは、処女のことである。
*婚約している処女たち、婚約を考えている処女たち
(2) 「私は主の命令をうけていませんが、」
①パウロは、このテーマに関するイエスの教えを知らない。
②パウロは、主のあわれみにより信頼(信任)を得ている者として書いている。
③彼の意見は霊感を受けたもので、信頼性がある。
2.26節
1Co 7:26
差し迫っている危機のゆえに、男はそのままの状態にとどまるのがよい、と私は思います。
(1) 「差し迫っている危機のゆえに」
①コリント教会に迫っている危機か。
②「終わりの日」の描写か。
③初臨と再臨の間の時代は、危機の時代である。
*不信者たちの敵対がある。
*教会の背教が起こる。
(2) 「男はそのままの状態にとどまるのがよい、と私は思います」
①「人は現状にとどまっているのがよいと思います」(共同訳)
*男=人
②召されたときの状態にとどまるというのが、パウロの教えである。
3.27~28節
1Co 7:27
あなたが妻と結ばれているなら、解こうとしてはいけません。妻と結ばれていないなら、妻を得ようとしてはいけません。
1Co 7:28
しかし、たとえあなたが結婚しても、罪を犯すわけではありません。たとえ未婚の女が結婚しても、罪を犯すわけではありません。ただ、結婚する人たちは、身に苦難を招くでしょう。私はあなたがたを、そのような目にあわせたくないのです。
(1)現状維持の原則
①結婚しているなら、離婚しようとすべきではない。
*不信者の相手が去って行く場合は、それを受け入れてもよい。
②未婚の人は、結婚しようとすべきではない。
*主への奉仕に集中できる。
③しかし、結婚したとしても、罪を犯すわけではない。
*独身生活を勧める理由は、独身者の益を考えてのことである。
*結婚する人たちは、身に苦難を招くことになる。
*迫害が襲ってきたときには、子どもがいると苦難が増す。
④以上の教えは、「迫害」が迫っていることを前提とした牧会的配慮である。
*結婚を禁じているわけではない。
Ⅱ.未婚でいることの理由(29~35節)
1.29節a
1Co 7:29a 兄弟たち、私は次のことを言いたいのです。時は短くなっています。
(1)パウロは、信者とこの世の関係に目を転じる。
①「時が縮まっているからです」(共同訳)
②再臨の時は近づいている。
③人生は有限である。
④永遠の視点から、人生を生きることが重要である。
2.29b~31節
1Co 7:29 b 今からは、妻のいる人は妻のいない人のようにしていなさい。
1Co 7:30
泣いている人は泣いていないかのように、喜んでいる人は喜んでいないかのように、買う人は所有していないかのようにしていなさい。
1Co 7:31
世と関わる人は関わりすぎないようにしなさい。この世の有様は過ぎ去るからです。
(1)信者のあるべき姿
①結婚している人は、主第一の生活をすべきである。
②泣いている人は、泣いていないかのようにする。
*やがて悲しみは取り去られるから。
③喜んでいる人は、喜んでいないかのようようにする。
*やがて試練がやってくるから。
④買う人は、自分が所有者でないかのようにする。
*すべては主のものだから。
(2) 「この世の有様は過ぎ去るからです」
①それゆえ、この世のことに関わり過ぎないようにする。
②既婚者であっても、独身者であっても、この世の影響を受けないようにする。
3.32節a
1Co 7:32a あなたがたが思い煩わないように、と私は願います。
(1)クリスチャンは、終末的生き方をする人たちである。
①結婚や経済活動が、クリスチャンの存在価値を決めるのではない。
②終末的祝福を待ち望む人は、この世の思い煩いから解放される。
5.32b~34節
1Co 7:32b
独身の男は、どうすれば主に喜ばれるかと、主のことに心を配ります。
1Co 7:33
しかし、結婚した男は、どうすれば妻に喜ばれるかと世のことに心を配り、
1Co 7:34
心が分かれるのです。独身の女や未婚の女は、身も心も聖なるものになろうとして、主のことに心を配りますが、結婚した女は、どうすれば夫に喜ばれるかと、世のことに心を配ります。
(1)献身した2種類の信者の比較
①独身者は、主に喜ばれることは何かを考える。
②既婚者は、主への奉仕以外に、家族への配慮という責務がある。
③しかし、独身者のほうが優れているとは言えない。
④独身者であっても、自分のためだけに時間を使う者もいる。
6.35節
1Co 7:35
私がこう言うのは、あなたがた自身の益のためです。あなたがたを束縛しようとしているのではありません。むしろ、あなたがたが品位ある生活を送って、ひたすら主に奉仕できるようになるためです。
(1)パウロの助言は、命令ではない。
①結婚生活の本質を教え、各人が自分にふさわしい選びをするように導いている。
②根底にある認識
*差し迫っている危機のゆえに
*時は短くなっている。
③結婚するかどうか、子どもは何人欲しいかなどは、各人に委ねられている。
Ⅲ.結婚の正当性(36~40節)
1.36節
1Co 7:36
ある人が、自分の婚約者に対して品位を欠いたふるまいをしていると思ったら、また、その婚約者が婚期を過ぎようとしていて、結婚すべきだと思うなら、望んでいるとおりにしなさい。罪を犯すわけではありません。二人は結婚しなさい。
(1)婚約者がいる人が、結婚することを躊躇している場合
①その人は、独身生活の方がすぐれていると思い込んでいる可能性がある。
②コリント教会に広がっていた禁欲主義の影響を受けている可能性がある。
(2)その人の問題
①自分の婚約者に対して品位を欠いたふるまいをしている。
*婚約者を中途半端な状態に置いている。
②婚約者が婚期を過ぎようとしている。
③その場合は、望んでいるとおりに結婚すべきである。
2.37~38節
1Co 7:37
しかし、心のうちに固く決意し、強いられてではなく、自分の思いを制して、婚約者をそのままにしておこうと自分の心で決意するなら、それは立派なふるまいです。
1Co 7:38
ですから、婚約者と結婚する人は良いことをしており、結婚しない人はもっと良いことをしているのです。
(1)結婚するかしないかの選択は、本人の自由意志によって為すべきである。
①婚約者と結婚する人は良いことをしている。
②結婚しない人はもっと良いことをしている。
③これは、罪か罪でないかの選びではない。
④これは、ベターかベストかの選びである。
3.39節
1Co 7:39
妻は、夫が生きている間は夫に縛られています。しかし、夫が死んだら、自分が願う人と結婚する自由があります。ただし、主にある結婚に限ります。
(1)結婚関係は、相手の死によって終わる。
①地上での結婚関係は、天にまで持ち込まれることはない。
②相手が死んだら、残された方は再婚することができる。
③その場合は、再婚相手は信者であることが条件となる。
4.40節
1Co 7:40
しかし、そのままにしていられるなら、そのほうがもっと幸いです。これは私の意見ですが、私も神の御霊をいただいていると思います。
(1)再婚しないほうが、もっと幸いである。
①ただし、貧しい女性が信仰深い男性と再婚するのは、祝福である。
(2)パウロは、謙遜な態度で助言を与えている。
① 「私も神の御霊をいただいていると思います」
②結婚するかどうかの問題は、「倫理的テーマ」ではない。
結論
1.既婚者への励まし
(1)結婚しても、問題は存在する。
①結婚しても、性的誘惑を体験する人がいる。
②結婚しても、人生の諸問題に遭遇する。
③結婚しても、孤独を感じることがある。
④結婚しても、内面が満たされないことがある。
(2)祝された結婚生活の秘訣とは何か。
①お互いがキリストに献身すること。
②意見の違いがあっても、お互いに自分を相手に献げること。
③置かれている環境(神の摂理)の中で、神の栄光を表す生き方を目指すこと。
2.独身者への励まし
(1)独身の賜物があれば、祝された独身生活を送ることができる。
①社会の圧力を感じる必要はない。
②独身生活は、神からの召命である。
(2)独身生活の利点
①主に仕えるための時間が、より多く確保できる。
②家庭生活の思い煩いから解放され、奉仕に専念できる。
③注意しないと、怠惰な生活に陥る危険性がある。
3.終末的生き方
(1)差し迫っている危機
①コリント教会内の問題か。
②ローマ帝国におけるキリスト教の迫害か。
*初期の迫害は、ローカルで断続的なものであった。
*3世紀に入ると、帝国全体でより組織的な形の迫害が起こった。
*ディオクレティアヌス帝の時代(284~305年)が最も厳しかった。
*投獄、拷問、処刑、集会所の破壊、財産の没収
*313年のミラノ勅令により、キリスト教は公認された。
③初臨と再臨の間の一般的な状況か。
(2)21世紀のクリスチャン生活
①時が迫っているという認識
②この世の価値観との決別
③自分が持っているものはすべて、神のものであるという認識
④自分のからだを通して神の栄光を表すという決意
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