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ルカの福音書(101)十字架上のイエス―罪を赦す救い主-23:33~49
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十字架上で罪を赦す救い主の姿について学ぶ。
ルカの福音書 101回
十字架上のイエス
―罪を赦す救い主-
23 :33~49
1.文脈の確認
(1)イエスの受難(22~23章)
①宗教的指導者たちの陰謀(22:1~6)
②過越の食事の準備(22:7~13)
③二階の大広間での出来事(22:14~38)
④イエスの逮捕(22:39~53)
⑤イエスの裁判(22:54~23:25)
⑥イエスの死(23:26~49)
*ヴィア・ドロローサ(23:26~32)
*十字架上のイエス(22:33~49)
(2)この箇所は、ルカ独特の記録である。
2.アウトライン
(1)敵のための祈り(33~38節)
(2)犯罪人たちとの対話(39~43節)
(3)父への自己犠牲の祈り(44~49節)
3.結論
(1)イエスの祈り
(2)イエスの約束
十字架上で罪を赦す救い主の姿について学ぶ。
Ⅰ.敵のための祈り(33~38節)
1.33節
Luk 23:33
「どくろ」と呼ばれている場所に来ると、そこで彼らはイエスを十字架につけた。また犯罪人たちを、一人は右に、もう一人は左に十字架につけた。
(1)アラム語の「ゴルゴタ」ではなく、ギリシア語の「クラニオン」を使っている。
①異邦人読者のための配慮である。
②「どくろ」に似ているからではなく、刑場だからこの名が付いている。
(2)イエスの十字架は、真ん中に建てられた。
①この出来事の中心にイエスがいる。
②イエスは、すべての罪人の近くにおられる。
2.34節
Luk 23:34そのとき、イエスはこう言われた。「父よ、彼らをお赦しください。彼らは、自分が何をしているのかが分かっていないのです。」彼らはイエスの衣を分けるために、くじを引いた。
(1)ルカの視点は、旧約聖書の預言の成就ではない。
①それは、マタイやヨハネの視点である。
②ルカは、イエスが死に瀕しても、罪を赦すメシアであることを示そうとする。
(2)イエスは、自分を殺そうとしている兵士たちのために祈った。
①無知のゆえに、イエスを殺そうとしている。
②その罪の重さを認識していない。
③この祈りによって、神の怒りが鎮められた。
(3)イエスと兵士たちの対比
①兵士たちは、イエスの衣を分けるために、くじを引いた。
②詩22:18
Psa 22:18 彼らは私の衣服を分け合い/私の衣をくじ引きにします。
3.35節
Luk 23:35
民衆は立って眺めていた。議員たちもあざ笑って言った。「あれは他人を救った。もし神のキリストで、選ばれた者なら、自分を救ったらよい。」
(1)民衆は、傍観者であった。
①中には、勝利の入城に立ち会った者たちもいたであろう。
(2)議員たちは、イエスをあざ笑った。
①「もし神のキリストで、選ばれた者なら」
*彼らは、イエスの主張を覚えていた。
②「自分を救ったらよい」
*肉体的解放と霊的解放
4.36~38節
Luk 23:36 兵士たちも近くに来て、酸いぶどう酒を差し出し、
Luk 23:37
「おまえがユダヤ人の王なら、自分を救ってみろ」と言ってイエスを嘲った。
Luk 23:38
「これはユダヤ人の王」と書いた札も、イエスの頭の上に掲げてあった。
(1)兵士たちもイエスをあざけった。
①彼らは、酸いぶどう酒を差し出した。
②これは、あざけりの行為の一環である。
③「おまえがユダヤ人の王なら、自分を救ってみろ」
④「これはユダヤ人の王」と書いた札が、イエスの頭の上に掲げてあった。
Ⅱ.犯罪人たちとの対話(39~43節)
1.39節
Luk 23:39
十字架にかけられていた犯罪人の一人は、イエスをののしり、「おまえはキリストではないか。自分とおれたちを救え」と言った。
(1)2人の犯罪人は、人類の代表である。
①1人は、イエスを拒否して滅びて行く人の代表である。
②もう1人は、イエスを信じて救われる人の代表である。
(2)犯罪人の一人は、イエスのメシア性の主張をあざけった。
①キリストなのだから、自分を救い、おれたちを救えと言った。
2.40~41節
Luk 23:40
すると、もう一人が彼をたしなめて言った。「おまえは神を恐れないのか。おまえも同じ刑罰を受けているではないか。
Luk 23:41
おれたちは、自分のしたことの報いを受けているのだから当たり前だ。だがこの方は、悪いことを何もしていない。」
(1)もう一人の犯罪人は、イエスを信じた。
①心の変化を体験した。
②悪口を言う仲間をたしなめ、神を恐れよと忠告した。
③自分たちは当然の報いを受けていることを認めた。
④この方(イエス)は、悪いことを何もしていないと言った。
2.42節
Luk 23:42
そして言った。「イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い出してください。」
(1)彼は、イエスに信頼した。
①間もなく死のうとしているイエスが、いつか御国の位に着くと信じた。
②「御国」とは、キリストが地上に設立する王国である。
③彼は、イエスの説教を聞いていたのである。
④この宗教的・社会的部外者は、イエスの死、復活、昇天、再臨を信じた。
⑤「私を思い出してください」とは、救ってくださいという意味である。
3.43節
Luk 23:43
イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます。」
(1)イエスは、彼の願いに答えた。
Ⅲ.父への自己犠牲の祈り(44~49節)
1.44~45節
Luk 23:44
さて、時はすでに十二時ごろであった。全地が暗くなり、午後三時まで続いた。
Luk 23:45 太陽は光を失っていた。すると神殿の幕が真ん中から裂けた。
(1)全地が暗くなり、午後3時まで続いた。
①この暗闇は、神の裁きの象徴である。
②御子イエスは、父との断絶を経験していた。
(2)神殿の幕が真ん中から裂けた。
①誰でもイエスを通して神の臨在に近づけるようになった。
2.46節
Luk 23:46
イエスは大声で叫ばれた。「父よ、わたしの霊をあなたの御手にゆだねます。」こう言って、息を引き取られた。
(1)「父よ」という呼びかけ
①イエスは、大声で叫ばれた。状況を支配している。
②父との関係が回復した。
(2)イエスは、自分のいのちを罪の贖いのささげ物として献げた。
①イエスの死は、自発的なものであった。
②イエスの祈りは、多くのユダヤ人が就寝前に献げる祈りである。
③イエスの父への信頼を表明している。
3.47節
Luk 23:47
百人隊長はこの出来事を見て、神をほめたたえ、「本当にこの方は正しい人であった」と言った。
(1)百人隊長は、イエスが無罪であることを証言した。
①「本当にこの方は正しい人であった」
②彼は、神をほめたたえた。
(2)この百人隊長に関する伝承
①彼の名前は、「ロンギナス」である。
②後にイエスを信じる忠実な信者となった。
③伝道し、最後は殉教の死を遂げた。
4.48~49節
Luk 23:48
また、この光景を見に集まっていた群衆もみな、これらの出来事を見て、悲しみのあまり胸をたたきながら帰って行った。
Luk 23:49
しかし、イエスの知人たちや、ガリラヤからイエスについて来ていた女たちはみな、離れたところに立ち、これらのことを見ていた。
(1)群衆は、この悲劇的出来事を見て、悲しみながら帰って行った。
①中には、イエスに好意的な人たちもいた。
(2)イエスについて来ていた者たちは、離れたところで、これらのことを見ていた。
①イエスの復活物語への橋渡し的情報である。
結論
1.イエスの祈り
Luk 23:34
そのとき、イエスはこう言われた。「父よ、彼らをお赦しください。彼らは、自分が何をしているのかが分かっていないのです。」彼らはイエスの衣を分けるために、くじを引いた。
(1)通常は、このタイミングで人は自分の罪を告白する。
①しかしイエスは、罪の告白を必要としなかった。
(2)それゆえ、罪人たちのために祈ることができた。
①これは、ルカ19:10と合致する。
Luk 19:10 人の子は、失われた者を捜して救うために来たのです。」
(3)この祈りには、弟子訓練の側面もある。
①ステパノは、この祈りを祈った。
Act 7:60
そして、ひざまずいて大声で叫んだ。「主よ、この罪を彼らに負わせないでください。」こう言って、彼は眠りについた。
2.イエスの約束
Luk 23:43
イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます。」
(1)彼は、予想していた以上の祝福を受けた。
①「今日」。長く待つ必要はない。すぐに祝福が与えられる。
②「わたしとともに」。素晴らしいお方が同行してくださる。
*イエスがともにいてくださることが、救いの本質である。
③「パラダイスにいます」。最高の場所が約束された。
*「アブラハムのふところ」
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