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ルカの福音書(95)二階の大広間での出来事(1)22:14~23
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二階の大広間での出来事について学ぶ。
ルカの福音書 95回
二階の大広間での出来事(1)
22:14~23
1.文脈の確認
(1)イエスの受難(22~23章)
①宗教的指導者たちの陰謀(22:1~6)
②過越の食事の準備(22:7~13)
③二階の大広間での出来事(22:14~38)
④イエスの逮捕(22:39~53)
⑤イエスの裁判(22:54~23:25)
⑥イエスの死(23:26~49)
(2)二階の大広間での出来事(22:14~38)
①過越の食事(14~18節)
②新しい契約(19~20節)
③裏切りの予告(21~23節)
④弟子たちへの教え(24~30節)
⑤ペテロのつまずきの予告(31~34節)
⑥迫害に対する備え(35~38節)
(3)注目すべき点
①共観福音書の中では、ルカの記述が最も詳しい。
②それよりも詳しいのは、ヨハネの福音書である(13~17章)。
2.アウトライン
(1)過越の食事(14~18節)
(2)新しい契約(19~20節)
(3)裏切り者の予告(21~23節)
3.結論
(1)イエスの公生涯
(2)神の国での過越の食事
(3)最後の晩餐の意味
二階の大広間での出来事について学ぶ。
Ⅰ.過越の食事(14~18節)
1.14節
Luk 22:14その時刻が来て、イエスは席に着かれ、使徒たちも一緒に座った。
(1)イエスは、状況を完全に支配しておられる。
①「その時刻」とは、イエスが過越の食事をすると決めていた時刻である。
②木曜日の日没後(午後6時過ぎ)に食事が始まる。
③使徒たちもいっしょに席に着いた。
*ギリシア語で「アナピプトウ」。英語で「recline」。横になる。
*当時は、コの字型の低いテーブルで食事をした。
*日常の食事は、座って食べていた。
(2)過越の食事の手順(セデル)は、中間時代に始まったとされている。
①それが今日まで継続している。式文はハガダー。
②イエスと弟子たちは、ユダヤ人たちが今も行っている手順で過越の食事をした。
(3)ここでは、「使徒たち」ということばが使われている。
①二階の大広間での出来事は、教会設立の土台となるものである。
②使徒たちは、教会の指導者となる。
③エペ2:20
Eph 2:20 使徒たちや預言者たちという土台の上に建てられていて、キリスト・イエスご自身がその要の石です。
2.15節
Luk 22:15
イエスは彼らに言われた。「わたしは、苦しみを受ける前に、あなたがたと一緒にこの過越の食事をすることを、切に願っていました。
(1)「切に願っていました」
①使徒たちといっしょに過越の食事をすること
②食事の席で、重要な教えを語る必要があった。
③この食事によって、イエスは、新しい出エジプトをもたらされる。
3.16節
Luk 22:16
あなたがたに言います。過越が神の国において成就するまで、わたしが過越の食事をすることは、決してありません。」
(1)「わたしが過越の食事をすることは、決してありません」
①強い否定形である。
②「過越が神の国において成就するまで」
③「過越の成就」とは、霊的解放と安息の成就である。
④旧約聖書の預言どおり、究極的解放は、メシア的王国で成就する。
⑤イエスはメシア的王国において、過越の食事をされる。
(2)これは、メシア的王国が設立される前に食される最後の過越の食事である。
①また、新しい契約が締結される食事でもある。
②贖いの血によって新しい契約が締結される。
3.17~18節
Luk 22:17
そしてイエスは杯を取り、感謝の祈りをささげてから言われた。「これを取り、互いの間で分けて飲みなさい。
Luk 22:18
あなたがたに言います。今から神の国が来る時まで、わたしがぶどうの実からできた物を飲むことは、決してありません。」
(1)過越の食事には4つの杯がある。
①感謝の杯
②裁きの杯
③贖いの杯
④賛美の杯
*①と②は食事の前に飲む。
*福音書には①と③だけが出てくる。
(2)17節の杯は、①感謝の杯である。
①「杯」は単数形である。ひとつの杯を回し飲みした。
(3)18節で、イエスは同じことをくり返された。
①メシア的王国が地上に設立される。
②そうなるまでは、過越の食事をしない。
③過越の食事で飲むぶどう酒は、自然発酵したものである。
④酵母を加えて発酵を促進したものは「コシェル」ではない。
⑤ヨハ19:30の「酸いぶどう酒」は、それに当たらない。
Ⅱ.新しい契約(19~20節)
1.19節
Luk 22:19
それからパンを取り、感謝の祈りをささげた後これを裂き、弟子たちに与えて言われた。「これは、あなたがたのために与えられる、わたしのからだです。わたしを覚えて、これを行いなさい。」
(1)イエスが弟子たちに与えたパンは、アフィコーメンと呼ばれる。
①3つの種なしパンの中央のものを半分に割り、それを布で包み隠す。
②食事の途中、子どもたちがそれを探し、見つけるとご褒美がもらえる。
③アフィコーメンは、食後のデザートとして食べられる。
(2)聖餐式の目的は、イエスの御業を記念することである。
①ユダヤ教のラビたちは、アフィコーメンの儀式を神学的に説明できない。
②メシアニックジューたちは、その意味を深く理解している。
2.20節
Luk 22:20
食事の後、杯も同じようにして言われた。「この杯は、あなたがたのために流される、わたしの血による、新しい契約です。
(1)①と②の杯は食前に、③と④の杯は食後に飲んだ。
①これは、第3の杯(贖いの杯)である。
②贖いの杯は、過越の子羊の流された血を象徴している。
③この杯は、神の子羊イエスの血を象徴するものとなった。
(2)「わたしの血による、新しい契約です」
①ぶどう酒は、イエスの血潮の象徴である。
②イエスの血潮は、新しい契約のしるしである。
③イエスの血潮は、罪の赦しのために流されるものである。
Ⅲ.裏切りの予告(21~23節)
1.21節
Luk 22:21
しかし見なさい。わたしを裏切る者の手が、わたしとともに食卓の上にあります。
(1)ルカは、マタイとマルコとは異なり、裏切りの予告を契約締結後に置いている。
①イエスの自己犠牲の愛と、ユダの利己的な心の対比がある。
②この予告によって、弟子たちは驚いた。
③親しい人物が、イエスを裏切るのである。
2.22節
Luk 22:22
人の子は、定められたとおり去って行きます。しかし、人の子を裏切るその人はわざわいです。」
(1)十字架の預言が語られる。
①イエスは「人の子」、つまりメシアである。
②イエスは「去って行く」、つまり殺される。
③十字架の死は「定められたとおり」、つまり神の御心どおりである。
(2)裏切り者に、呪いが宣告される。
①ユダヤ人の指導者たちの上に呪いが宣告された。
②エルサレムの上に呪いが宣告された。
(3)ここでは、神の主権と人間の責務が両立している。
3.23節
Luk 22:23
そこで弟子たちは、自分たちのうちのだれが、そんなことをしようとしているのかと、互いに議論をし始めた。
(1)弟子たちは仰天して、犯人捜しの議論を始めた。
①ユダもその議論に参加していた。
②ユダには、悔い改めのチャンスが残されていた。
③ユダは、過越の食事をともにした後で、イエスを裏切るのである。
結論
1.イエスの公生涯
(1)新約時代の教会には、2つの聖礼典が与えられている。
①洗礼式
②聖餐式
(2)イエスの公生涯は、洗礼式とともに始まった。
①分離ときよめの象徴である。
(3)イエスの公生涯は、聖餐式とともに終わった。
①信者の交わりと一体化の象徴である。
2.神の国での過越の食事
(1)イエスは、メシア的王国で過越の食事をすると約束された。
(2)メシア的王国の始まりを告げる宴会において、食される。
(3)弟子たちは、メシア的王国がすぐにでも来ると期待した。
①使1:6
Act 1:6
そこで使徒たちは、一緒に集まったとき、イエスに尋ねた。「主よ。イスラエルのために国を再興してくださるのは、この時なのですか。」
3.最後の晩餐の意味
(1)これは、愛する弟子たちとの別れの食事であった。
(2)これは、愛する弟子たちに最後の説教をする場であった(ヨハ13~17章)。
(3)これは、より偉大な出エジプト(解放)が始まるきっかけとなる食事であった。
(4)これは、神が私たちとの交わりを願っておられることを示す食事であった。
(5)聖餐式において私たちは、イエスの死を記念し、イエスの再臨を告白する。
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