メシアの生涯(66)—しるしを求める律法学者とパリサイ人たち—

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このメッセージでは...

このメッセージは、人生の分岐点について学ぼうとするものである。

「しるしを求める律法学者とパリサイ人たち」

§062 マタ12:38~45

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①ベルゼブル論争が行われた。

②ユダヤ人たちは公にイエスのメシア性を拒否した。

③この出来事は、イエスの公生涯の分岐点となった。

④さらに、この出来事は、ユダヤ人の歴史の分岐点ともなった。

    (2)きょうの箇所では、宗教的指導者たちがさらに「しるし」を求めている。

      ①イエスの回答によって、ユダヤ民族が危機に瀕していることが分かる。

    (3)A.T.ロバートソンの調和表

      「律法学者とパリサイ人たちはしるしを求める」(§62)

2.アウトライン

  (1)質問(38節)

  (2)預言による回答(39~40節)

  (3)対比による回答(41~42節)

  (4)たとえ話による回答(43~45節)

  3.結論:

    (1)神に聞かれない祈り

    (2)ヨナのしるし

    (3)回帰不能点

このメッセージは、人生の分岐点について学ぼうとするものである。

Ⅰ.質問(38節)

  1.38節

  「そのとき、律法学者、パリサイ人たちのうちのある者がイエスに答えて言った。『先生。

私たちは、あなたからしるしを見せていただきたいのです』」

   (1)宗教的指導者たちが、民衆の考え方を束縛していた。

    ①民衆は、羊のように彼らに従っていた。

(2)「先生。私たちは、あなたからしるしを見せていただきたいのです」

   ①イエスはこれまでに、メシア的奇跡も含めて数々のしるしを行ってきた。

  ②宗教的指導者たちは、それらのしるしをすべて拒否した。

  ③彼らは、もうひとつ、新しいしるしを求めた。

  ④癒しや悪霊の追い出し以上の、天からのしるしを求めた。

    (3)イエスの3つの回答

      ①ユダヤ的説明法(2人、ないし3人の証言)

Ⅱ.預言による回答(39~40節)

   1.39a節

  「しかし、イエスは答えて言われた。『悪い、姦淫の時代はしるしを求めています』」

     (1)ユダヤ人は「しるし」を求める民である。

      ①彼らの場合は、見る→信じる、となる。

    (2)しかし、「しるし」は信仰の必要条件ではない。

      ①イエスの教えを聞いただけで、イエスをメシアと信じることができる。

      ②「しるし」を求める時代は、そもそも異常なのである。

      ③イエスの教えは、信じる→見る、である。

      ④ヨハ20:29

      「イエスは彼に言われた。『あなたはわたしを見たから信じたのですか。見ずに信

じる者は幸いです』」

    (3)「悪い、姦淫の時代」とは何か。

      ①「悪い時代」

*彼らは、イエスがメシアであるという事実に意識的に目をつむっている。

      ②「姦淫の時代」

        *彼らは、霊的に神に対して不真実である。

*形式的信仰生活(口伝律法に基づく)を送っている。

*イエスのメシア性を拒否している。

  2.39b~40節

「だが預言者ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられません。ヨナは三日三晩大魚の

腹の中にいましたが、同様に、人の子も三日三晩、地の中にいるからです」

   (1)彼らには、もうひとつのしるしが与えられるが、その時は手遅れになっている。

    ①「ヨナのしるし」は、彼らがイエスを拒否した結果与えられるものである。

  (2)ヨナは、当時のユダヤ人たちには人気のない預言者であった。

     ①ヨナは最初、主の命令に反抗した。

    ②ユダヤ人たちの解釈

      *ヨナが主の命令に反抗した理由は、恐れであった。

*ニネベの人たちが悔い改めたなら、ユダヤ人の不信仰が際立つ。

    (3)ヨナは、三日三晩大魚の腹の中にいた。

      ①彼は死んでいたが、やがて甦った。

      ②ヨナの経験は、イエスの死と復活の予表となっている。

      ③イエスは、自らの死と復活を予知しておられた。

      ④ユダヤ的には、24時間でなくても、1日と数える。

    (4)これ以降、「しるし」としての奇跡はなくなる。

      ①イエスは、弟子訓練のためにだけ奇跡を行うようになる。

      ②弟子たちは、使徒行伝の時代のために訓練を受ける。

Ⅲ.対比による回答(41~42節)

   1.41節

  「ニネベの人々が、さばきのときに、今の時代の人々とともに立って、この人々を罪に定

めます。なぜなら、ニネベの人々はヨナの説教で悔い改めたからです。しかし、見なさい。

ここにヨナよりもまさった者がいるのです」

   (1)ニネベの人々

    ①彼らは「しるし」を求めたわけではない。

    ②しかし、預言者ヨナが遣わされ、ヨナが彼らにとっての「しるし」となった。

    ③それだけで彼らは神を信じ、悔い改めた。

  (2)「今の時代の人々」

    ①ヨナよりもまさった者が、彼らの間を歩まれた。

      *「ここに、ヨナにまさるものがある」(新共同訳)

      *「プレイオン」という言葉は、中性形である。

      *メシアが提供しておられる神の国のことである。

    ②それでも彼らは、「しるし」を求め続けた。

    ③彼らは、それ以前のどの世代の者たちよりも特権に与った。

  (3)異邦人たちは、より少ない「光」によって信じた。

    ①彼らは、「今の時代の人々」よりもはるかに信仰的であった。

    ②終わりの日(裁きの日)に「今の時代の人々」が裁かれるのは、確実である。

2.42節

「南の女王が、さばきのときに、今の時代の人々とともに立って、この人々を罪に定めま

す。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てから来たからです。しかし、

見なさい。ここにソロモンよりもまさった者がいるのです」

  (1)南の女王

    ①1列10:1~10

「ときに、シェバの女王が、【主】の名に関連してソロモンの名声を伝え聞き、難

問をもって彼をためそうとして、やって来た」(1列10:1)

②シェバは、現在のイェメンである。

③しかし、伝承では彼女はエチオピアの女王とされている。

④彼女は、ソロモンの知恵と富を試すために、やって来た。

⑤古代世界では、このような行為は、気晴らしのための遊びであった。

⑥彼女は、単なる噂だけで、長旅をしてソロモンに会いに来た。

    (2)「今の時代の人々」

      ①イエスほど長旅をされた方はいない。

        *天から下り、人となられた。

      ②ソロモンよりもまさった者が彼らの間を歩まれた。

      ③しかし彼らは、そのお方に会うために、短い旅さえしようとはしなかった。

  (3)異邦人の女王は、より少ない「光」によって信じた。

    ①彼女は、「今の時代の人々」よりもはるかに信仰的であった。

    ②終わりの日(裁きの日)に「今の時代の人々」が裁かれるのは、確実である。

Ⅳ.たとえ話による回答(43~45節)

  1.43~44節

「汚れた霊が人から出て行って、水のない地をさまよいながら休み場を捜しますが、見つ

かりません。そこで、『出て来た自分の家に帰ろう』と言って、帰って見ると、家はあい

ていて、掃除してきちんとかたづいていました」

   (1)ある人が悪霊を追い出してもらった。

    ①その人の心は、掃除してきちんと片づいた状態にある。

    ②しかしその人は、心に聖霊を迎えていない。

  (2)出て行った悪霊が再びその人の心に戻って来た。

    ①悪霊は、その人の内側がきれいになっているので、驚いた。

2.45節a

「そこで、出かけて行って、自分よりも悪いほかの霊を七つ連れて来て、みな入り込んで

そこに住みつくのです。そうなると、その人の後の状態は、初めよりもさらに悪くなりま

す」

   (1)悪霊は、自分よりも悪いほかの7つの悪霊を連れて来る。

    ①「7」という数字は、聖書では、非常に厳しい裁きを指す言葉である。

    ②つまり、この人の状態は初めとは比較にならないくらい悪くなるということ。

3.45節b

「邪悪なこの時代もまた、そういうことになるのです」

   (1)たとえ話の結論の部分

    ①このたとえ話は、「今の時代の人々」の状態を説明したものである。

  (2)内側が掃除された。

    ①バプテスマのヨハネは、メシアを迎える準備をした。

    (3)内側は空になっている。

      ①しかし彼らは、イエスを信じていない。

        *彼らの信仰は、形式的なものであった。

      *彼らは、口伝律法を実行しようとしていた。

    ②超自然的な回心体験がないことが、致命的な欠陥であった。

  (4)初めの状態よりもはるかに悪い状態がやって来る。

    ①イエスが登場した時代、イスラエルは多少の自治権を持っていた。

      *ローマ帝国に対する税の支払いはあった。

    ②この時から40年後、エルサレムは滅ぼされた。

      *神殿の崩壊

      *ユダヤ人の世界離散

      *系図や歴史的記録の破壊

    ③今でも、多くのユダヤ人が世界に離散したままである。

結論:

  1.神に聞かれない祈り

    (1)律法学者とパリサイ人たちは、イエスに「もうひとつのしるし」を求めた。

    (2)しかしイエスは、それには答えなかった。

    (3)その理由

      ①彼らはすでに、十分すぎるほどの「しるし」を受けていた。

      ②与えられているものを用いないなら、次に必要なものは与えられない。

  2.ヨナのしるし

    (1)ラザロの蘇生(ヨハ11:1~45)

      ①この「しるし」によって、多くのユダヤ人たちが信じた。

    (2)イエスの復活

    (3)2人の証人の復活(黙11章)

    (4)以上のことは、すべて3日が経ってから起こったことである。

      ①マタ27:52~53は、ヨナのしるしとなる条件を満たしていない。

「墓が開いて、眠りについていた多くの聖なる者たちの体が生き返った。そして、

イエスの復活の後、墓から出て来て、聖なる都に入り、多くの人々に現れた」

  3.回帰不能点

    (1)民13~14章

      ①カデシュ・バルネアでの出来事

      ②モーセは12人のスパイを送り、40日間、約束の地の偵察を行わせた。

      ③10人は否定的な報告をもたらした。

      ④民14:22~23

      「エジプトとこの荒野で、わたしの栄光とわたしの行ったしるしを見ながら、こ

のように十度もわたしを試みて、わたしの声に聞き従わなかった者たちは、みな、

わたしが彼らの先祖たちに誓った地を見ることがない。わたしを侮った者も、み

なそれを見ることがない」

⑤ヨシュアとカレブ、そして20歳以下の者を除いて、全員が荒野で死に絶える。

⑥悔い改めれば罪は赦されるが、物理的結果は刈り取らねばならない。

    (2)2歴33:1~20

      ①マナセ王の時代

      ②流血、人身供養、神殿の冒涜

      ③神は、バビロン捕囚を予告する。

      ④マナセ王は悔い改め、その罪は赦された。

      ⑤バビロン捕囚は先に延ばされたが、取り消されることはなかった。

      ⑥その後、ヨシヤ王という善王が登場したが、バビロン捕囚はやって来た。

    (3)マタ12章

      ①ベルゼブル論争

      ②何人の人が救われようとも、紀元70年のエルサレム崩壊はやって来る。

      ③イエスのメシア性を公に拒否したことが原因である。

      ④エルサレム崩壊までの40年は、神によって用意された「恵みの期間」である。

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