メシアの生涯(2)—ヨハネによる序言(1)—

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ヨハネの福音書の序言を3回に分けて学ぶその1回目です。

「ヨハネによる序言(1)」

ヨハ1:1~5

1.はじめに

  (1)4つの福音書を並べ、時間順にメシアの生涯を追って行く。

    ①前回は、ルカによる献呈の辞を取り上げた。

    ②今回は、ヨハネによる序言を取り上げる(ヨハ1:1~18)。

      *時間的に最も早い。

  (2)ヨハネの序言の3つの特徴

①最も崇高なキリスト論である。

  *これに匹敵する箇所は、新約聖書に2ヶ所しかない。

  *コロ1:15~17

  *ヘブ1:1~3

②詩的文書である。

③神学的文書である。

  *神学校の1学期をかけて学ぶほどの内容である。

  *内容が豊富なので、3回に分けて解説する。

  (3)文書の構造

  ①階段を一つずつ上るように、ゴールに向かっている。

  ②イエスの受肉がゴールである(14節)。

    「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。

父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに

満ちておられた」

  2.アウトライン(1~5節)

(1)メシアの本質(1~2節)

  (2)メシアによる創造の業(3節)

  (3)光と闇の戦い(4~5節)

  3.メッセージのゴール

    (1)ユダヤ人にとってのロゴス

    (2)共同体としての証し

    (3)復活後に書かれたことの意味

このメッセージは、ヨハネの序言からメシアについて学ぼうとするものである。

Ⅰ.メシアの本質(1~2節)

  「初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。この方は、

初めに神とともにおられた」

1.「初めに」

    (1)ヨハネは、創世記1:1以前に遡って、そこからこの福音書を書き始める。

  ①マルコは、バプテスマのヨハネの活動から書き始める。

  ②マタイは、アブラハムの系図から書き始める。

      ③ルカは、献呈の辞から書き始める。

  ④ヨハネは、共観福音書の書き始めよりもさらに遡って、書き始める。

    (2)「初めに」という言葉は、キリスト教信仰の土台となる神学的概念を示している。

  ①ヨハネは、神しか存在していなかった時に、戻っている。

  ②キリスト教では、神以前には戻れない。

  ③異教の神話には、神々が造られる話が出てくる。

    (3)「初めに」存在したお方として、神ではなく、「ことば」を紹介している。

      ①驚くべきことである。

      ②では、「ことば」とは誰か。

  2.「ことば」

(1)ギリシア語の「ロゴス」である。

  ①ギリシア哲学では、ロゴスに2つの意味がある。

    *理性(メシアは神のイデア-理想的な形-である)

*言葉(メシアは神の表現である)

  ②しかし、ヨハネはギリシア哲学者ではなく、ユダヤ人の漁師である。

    *紀元1世紀のユダヤ教の用語をギリシア語に訳した。

    *ヨハネだけがメシアを示す言葉として「ロゴス」を使用している。

*しかも、「序言」にしか出てこない。

    (2)ヘブル語では「ダバール」である。

      ①旧約聖書では、「ダバール」が擬人法で用いられている。

  ②つまり、「ことば」が人格的存在であるかのように行動しているということ。

    *創15:1、詩33:4~6、147:15、イザ9:8、55:10~11、エゼ1:3

  ③イザ55:10~11

  「雨や雪が天から降ってもとに戻らず、必ず地を潤し、それに物を生えさせ、芽

を出させ、種蒔く者には種を与え、食べる者にはパンを与える。そのように、わ

たしの口から出るわたしのことばも、むなしく、わたしのところに帰っては来な

い。必ず、わたしの望む事を成し遂げ、わたしの言い送った事を成功させる」

④ユダヤ教のラビたちは、アラム語で「メムラ」という概念を作り出した。

  *これもまた、「ことば」という意味である。

  *「メムラ」に関して、6つの基本的教えを確立した。

  *「メムラ」は、神とは区別されるが神である。

⑤ヨハネは、「メムラ」を「ロゴス」と訳した。

  *ここには、同時代のユダヤ人に対するメッセージがある。

  *メシアは、「メムラ」である。

  3.「ことば」の3つの特徴

    (1)天地創造の前から、「ことば」は存在していた。

  ①「ことば」と神とは別の存在である。

    (2)「ことば」は、神と親密な交流関係にあった。

      「ことばは神とともにあった」

  ①「ともに」(with)は、ギリシア語で「pros」である。

      ②この前置詞は、親密な交流関係を表している。

    (3)「ことば」は、神と一体であった。

  「ことばは神であった」

      ①エホバの証人の解釈

    *「ことば」の前に定冠詞が付いていないので、「a god」と訳す。

    *この解釈は、イエスの神性の否定か、多神教に行き着く。

      ②正しい解釈は、「神」を形容詞と取ることである。

  4. 1節の内容の再確認(2節)

    「この方は、初めに神とともにおられた」

    (1)ユダヤ人との論争で、この点が特に重要になる。

  ①ヨハ5:18

  「このためユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうとするようになった。イエ

スが安息日を破っておられただけでなく、ご自身を神と等しくして、神を自分の

父と呼んでおられたからである」

      ②ヨハ19:7

  「ユダヤ人たちは彼に答えた。『私たちには律法があります。この人は自分を神

の子としたのですから、律法によれば、死に当たります』」

Ⅱ.メシアによる創造の業(3節)

  「すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできた

ものは一つもない」

  1.創造物語が記されている。

    (1)「すべてのもの」

  ①神以外のすべてのもの

  ②天使も含む。

    (2)「この方によって」

  ①ギリシア語の前置詞「dia」

  ②英語で、「by Him」、あるいは、「through Him」である。

  2.「ことば」が神よりも劣るということではない。

(1)神と同時に、創造の業に参加したということ。

Ⅲ.光と闇の戦い(4~5節)

  「この方にいのちがあった。このいのちは人の光であった。光はやみの中に輝いている。

やみはこれに打ち勝たなかった」

  1.「いのち」と「光」が関連付けられている。

    (1)「いのち」はギリシア語で「zoe」である。

  ①ヨハネの福音書で36回出てくる。

  ②メシアはいのちの源である。

    *創造主として、肉体のいのちを与えてくださった。

*贖い主として、霊的いのちを与えてくださった。

        *救い主として、永遠のいのちを与えてくださった。

  2.光とやみの戦いは、ヨハネの福音書のテーマのひとつである。

    (1)光が闇の世界に侵入し、輝いている。

      ①動詞は現在形。継続した動作。

  (2)「やみはこれに打ち勝たなかった」

    「暗闇は光を理解しなかった」(新共同訳)

    ①動詞は、「カタランバノウ」である。

  ②光と闇の二元論ではないので、「理解しなかった」がよい。

    ③聖書は、闇にそれほどの力を認めていない。

結論:

  

  1.ユダヤ人にとってのロゴス

    (1)メムラは神とは別の存在であるが、神と同じお方でもある。

      ①1節は、メムラの1番目の特徴を表現している。

  ②ラビたちは、このパラドックスを説明しようとはしなかった。

      ③三位一体の教理によって、初めて説明可能となる。

      ④ここでは、唯一の神が複数の位格をもって存在していることが示されている。

    (2)メムラは天地創造に参加されたお方である。

      ①3節は、メムラの2番目の特徴を表現している。

  2.共同体としての証し

    (1)14節

    「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父

のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちて

おられた」

  ①「私たち」という主語

  ②16節にも、「私たち」と出てくる。

(2)メシアの生涯の証しは、個人的なものではなく、信者の共同体が共有する。

  ①ヨハ21:24

  「これらのことについてあかしした者、またこれらのことを書いた者は、その弟

子である。そして、私たちは、彼のあかしが真実であることを、知っている」

  3.復活後に書かれたことの意味

    (1)光と闇の戦いは二元論の反映ではないが、それでも現実的なものである。

      ①ヨハネの福音書の中で、闇の力が最高潮に達するのは、ユダの裏切りの箇所。

      ②ヨハ13:30

      「ユダは、パン切れを受けるとすぐ、外に出て行った。すでに夜であった」

      ③復活において、光が闇を追い出した。

    (2)ヨハ20:19~20

    「その日、すなわち週の初めの日の夕方のことであった。弟子たちがいた所では、ユ

ダヤ人を恐れて戸がしめてあったが、イエスが来られ、彼らの中に立って言われた。

『平安があなたがたにあるように。』こう言ってイエスは、その手とわき腹を彼らに

示された。弟子たちは、主を見て喜んだ」

(3)ヨハ3:16の重要性

「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を

信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである」

  ①神の愛の業は完了した。

  ②私たちが、その愛に応答する番である。

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