ガラテヤ人への手紙(8)異邦人とアブラハム契約 ー聖書に基づく議論ー

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旧約聖書に基づく議論について学ぶ。

ガラテヤ8回
「異邦人とアブラハム契約」
-聖書に基づく議論-
ガラ3:6~14

 

1.はじめに
(1)ガラテヤ人への手紙の位置づけ
①ガラテヤ地方の諸教会は、律法主義者の教えの影響を受けた。
②パウロは、律法主義者の教えに反論する必要を感じ、この書簡を書いた。

 

(2)ガラテヤ人への手紙のアウトライン
①個人的弁明:パウロの使徒職(1:1~2:21)
②教理的教え:信仰義認(3:1~4:31)
③実践的教え:キリスト者の自由(5:1~6:18)

 

(3)文脈の確認
①3章から、ガラテヤ人たちに対する教理的教えが始まる。
*体験に基づく議論(1~5節)
*聖書に基づく議論(6~14節)
*論理に基づく議論(15~29節)
③今回は、聖書に基づく議論(6~14節)を取り上げる。
*パウロは、旧約聖書から論じる。これが4章の最後まで続く。
*律法主義者たちは、旧約聖書の教えに従っていると自負していた。
*パウロは、彼らが誇りとしていた旧約聖書を用いて彼らを論駁する。
*新約聖書が存在していない。旧約聖書から論じるのは、当然である。
*旧約聖書には、福音が含まれている。

 

2.メッセージのアウトライン
(1)アブラハムの信仰(6~9節)
(2)律法の行い(10~12節)
(3)キリストの御業(13~14節)

 

3.結論
(1)聖書の権威
(2)アブラハム契約と異邦人

 

旧約聖書に基づく議論について学ぶ。
Ⅰ.アブラハムの信仰(6~9節)
1.6~7節
Gal 3:6 「アブラハムは神を信じた。それで、それが彼の義と認められた」とあるとおりです。
Gal 3:7 ですから、信仰によって生きる人々こそアブラハムの子である、と知りなさい。
(1)律法主義者たちは、自分たちは旧約聖書の教えに立っていると自負していた。
①特に、モーセの律法を誇りとしていた。
②パウロは、彼らの土俵に乗って議論を展開する。
③モーセよりも約500年遡って、アブラハムを取り上げる。
④アブラハムは、ユダヤ民族とユダヤ教の源流である。
⑤律法主義者は、自分がアブラハムの子孫であることを誇りとしていた。

 

(2)パウロは、創15:6を引用する。
Gen 15:6 アブラムは【主】を信じた。それで、それが彼の義と認められた。
①アブラハムは、神には約束されたことを成就する力があると信じた。
*これは、福音の三要素を信じたということではない。
*「あなたの子孫は、このようになる」という約束を信じたのである。
②神を彼の信仰を受け入れ、彼を義と認めた。
*これは、パウロの議論の鍵になる聖句である。
③アブラハムには、誇るものは何もない。
④アブラハムは、割礼を受ける前に信仰によって義とされた
*創17:24は、それを証明している。
Gen 17:24 アブラハムが包皮の肉を切り捨てられたときは、九十九歳であった。

 

(3)パウロは、アブラハムが信仰によって救われたという真理を適用する。
①信仰によって生きる人々こそ、真のアブラハムの子である。
②ユダヤ人も異邦人も、信仰によって義とされたなら、アブラハムの霊的子孫
となったのである。
③異邦人は、先ずユダヤ教に改宗する必要はない。

 

2.8節
Gal 3:8
聖書は、神が異邦人を信仰によって義とお認めになることを前から知っていたので、アブラハムに対して、「すべての異邦人が、あなたによって祝福される」と、前もって福音を告げました。
(1)このことは、創世12:3の教えと合致している(創世15:6に次いで重要)。
Gen 12:3 わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、/あなたを呪う者をのろう。/地のすべての部族は、/あなたによって祝福される。」
①アブラハムを通して、地上のすべての民が祝福を受ける。
②無割礼の異邦人の救いは、アブラハム契約の中で予想されていた。
③これは、「福音」(グッドニュース)である。
④アブラハム契約は、シナイ契約よりも重要である。

 

3.9節
Gal 3:9 ですから、信仰によって生きる人々が、信仰の人アブラハムとともに祝福を受けるのです。
(1)祝福は、すべての民に提供された。
①しかし、それを受け取るのは、信仰を持った人々だけである。
②その人たちは、アブラハムと同じ方法で、祝福を受け取る。

 

Ⅱ.律法の行い(10~12節)
1.10~11節
Gal 3:10
律法の行いによる人々はみな、のろいのもとにあります。「律法の書に書いてあるすべてのことを守り行わない者はみな、のろわれる」と書いてあるからです。
Gal 3:11 律法によって神の前に義と認められる者が、だれもいないということは明らかです。「義人は信仰によって生きる」からです。
(1)律法に依存することは、論理に反する(不条理である)。
①パウロは、申27:26を引用する。
Deu 27:26 「このみおしえのことばを守ろうとせず、これを実行しない者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。
②律法は完璧を要求する。
③完璧でない者はみな、のろわれる。
④すべての人は、どこかの時点で失敗する。
⑤それゆえ、律法によって義と認められる者がいなというのは、明らかである。

 

(2)さらにパウロは、ハバクク2:4を引用する。
Hab 2:4 見よ。彼の心はうぬぼれていて直ぐでない。/しかし、正しい人はその信仰によって生きる。」
①信仰義認の真理は、旧約聖書に啓示されている。
②「義人は信仰によって生きる」とは、信仰によって義とされた人は、永遠の
いのちを持つということである。

 

2.12節
Gal 3:12 律法は、「信仰による」のではありません。「律法の掟を行う人は、その掟によって生きる」のです。
(1)律法と信仰の両方が必要ではないかという人がいるかもしれない。
①律法と信仰は、対立する概念であり、両立は不可能である。

 

(2)律法の掟を示すために、レビ18:5が引用される。
Lev 18:5 あなたがたは、わたしの掟とわたしの定めを守りなさい。人がそれらを行うなら、それらによって生きる。わたしは【主】である。
①律法を行う人は、それを完璧に行わなければ、義とされない。
②律法は、それを行う人に有罪宣言を与える。
③有罪宣言を受けた人は、信仰によって神の前にひれ伏すしかなくなる。
*律法は、私たちをキリストに導く養育係である。

 

Ⅲ.キリストの御業(13~14節)
1.13節
Gal 3:13
キリストは、ご自分が私たちのためにのろわれた者となることで、私たちを律法ののろいから贖い出してくださいました。「木にかけられた者はみな、のろわれている」と書いてあるからです。
(1)律法によって呪いを受けた者には、希望がある。
①その希望は、人の内にではなく、キリストの内にある。

 

(2)キリストは、呪いから解放される道を用意してくださった。
①キリストは、罪人たちのために、のろわれた者となられた。
②それは、罪人たちを律法ののろいから贖い出すためである。
③つまり、律法に違反した者たちの罰を自分の身に受けてくださった。
④律法ののろいは、罪人たちから罪のないお方転嫁された。
⑤1ペテ3:18
1Pe 3:18
キリストも一度、罪のために苦しみを受けられました。正しい方が正しくない者たちの身代わりになられたのです。それは、肉においては死に渡され、霊においては生かされて、あなたがたを神に導くためでした。

 

(3)パウロは、申21:23を引用する。
Deu 21:23
その死体を次の日まで木に残しておいてはならない。その日のうちに必ず埋葬しなければならない。木にかけられた者は神にのろわれた者だからである。あなたの神、【主】が相続地としてあなたに与えようとしておられる土地を汚してはならない。
①重大な罪を犯した者は、石打の刑に処された。
②その死体を、見せしめのために木にかけた。
③呪われた死であることを示すために、木にかけたのである。
④それゆえ、十字架の死は、ユダヤ人たちにとっては「つまずき」となった。
⑤しかし、その意味を理解した人には、信じる根拠となった。

 

2.14節
Gal 3:14 それは、アブラハムへの祝福がキリスト・イエスによって異邦人に及び、私たちが信仰によって約束の御霊を受けるようになるためでした。
(1)キリストの贖いの業の目的
①信仰による義認が、異邦人にも及ぶためである。
*これは、アブラハムが受けたのと同じ祝福である。
②信仰によって義とされた人たちが、聖霊を受けるためである。
*聖霊は、聖化をもたらすお方である。

 

結論:
1.聖書の権威
(1)ガラ3:8
Gal 3:8
聖書は、神が異邦人を信仰によって義とお認めになることを前から知っていたので、アブラハムに対して、「すべての異邦人が、あなたによって祝福される」と、前もって福音を告げました。

 

(2)パウロは、「聖書は、『〇〇』と、前もって福音を告げた」と書いている。
①聖書の擬人化である。
*聖書は、預言者である。
*聖書のことばは、神のことばである。

 

(3)この聖句は、聖書の十全霊感を支持している。
①2テモ3:16
2Ti 3:16 聖書はすべて神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練のために有益です。
②2ペテ1:20~21
2Pe 1:20 ただし、聖書のどんな預言も勝手に解釈するものではないことを、まず心得ておきなさい。
2Pe 1:21 預言は、決して人間の意志によってもたらされたものではなく、聖霊に動かされた人たちが神から受けて語ったものです。

 

2.アブラハム契約と異邦人
(1)アブラハム契約は、地上のすべての民に適用される。
①土地の約束は、アブラハムの肉の子孫に与えられている。
②霊的祝福の約束は、アブラハムの霊的な子孫に与えられている。
③賜物としての聖霊は、その祝福の一部である。

 

(2)聖霊の約束は、最初イスラエルに与えられていた。
①エゼ36:26~28
Eze 36:26
あなたがたに新しい心を与え、あなたがたのうちに新しい霊を与える。わたしはあなたがたのからだから石の心を取り除き、あなたがたに肉の心を与える。
Eze 36:27 わたしの霊をあなたがたのうちに授けて、わたしの掟に従って歩み、わたしの定めを守り行うようにする。
Eze 36:28 あなたがたは、わたしがあなたがたの先祖に与えた地に住み、あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる。
②ヨエ2:28~29
Joe 2:28 その後、わたしは/すべての人にわたしの霊を注ぐ。/あなたがたの息子や娘は預言し、/老人は夢を見、青年は幻を見る。
Joe 2:29 その日わたしは、男奴隷にも女奴隷にも、/わたしの霊を注ぐ。

 

(3)ガラ3:14
Gal 3:14 それは、アブラハムへの祝福がキリスト・イエスによって異邦人に及び、私たちが信仰によって約束の御霊を受けるようになるためでした。
①私たちは、信仰によって義とされる。
②私たちは、信仰によって約束の聖霊を受ける。
③私たちは、信仰によって義認と聖化を経験する。

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