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使徒の働き(16)―サンヘドリンの前に立つペテロとヨハネ(2)―
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サンヘドリンでの裁判の内容について学ぶ。
「サンヘドリンの前に立つペテロとヨハネ(2)」
使徒4:13~31
1.はじめに
(1)ペテロとヨハネは、イエスの御名によって生まれつき足の不自由な人を癒した。
①ペテロは、集まって来た群衆に向ってメッセージを語った。
*この男の癒しは、復活したイエスの力によるものである。
②メッセージの途中で、ふたりは逮捕され、翌朝サンヘドリンの法廷で裁かれた。
(2)ペテロの弁明
①この男が直ったのは、ナザレ人イエス・キリストの御名による。
②そのイエス・キリストを、あなたがたは十字架に付けた。
③神は、そのイエスを死者の中からよみがえらせた。
「あなたがた家を建てる者たちに捨てられた石が、礎の石となった」(詩118:22)
④この方以外には、だれによっても救いはない。
(3)アウトライン
①サンヘドリンの裁定(13~18節)
②ペテロとヨハネの応答(19~22節)
③信者の一致した祈り(23~31節)
結論:聖霊の満たし
サンヘドリンでの裁判の内容について学ぶ。
Ⅰ.サンヘドリンの裁定(13~18節)
1.13~14節
Act 4:13 彼らはペテロとヨハネとの大胆さを見、またふたりが無学な、普通の人であるのを知って驚いたが、ふたりがイエスとともにいたのだ、ということがわかって来た。
Act 4:14 そればかりでなく、いやされた人がふたりといっしょに立っているのを見ては、返すことばもなかった。
(1)サンヘドリンは、驚いた。
①ペテロとヨハネが大胆であったから(ヨハネも証言していた)。
*形式的宗教は、大胆さや熱心な伝道を嫌う。
②ふたりが無学な、普通の人であった(ガリラヤ訛り)。
*ユダヤ人男子は、シナゴーグで基本的な聖書教育を受けていた。
*「無学」とは、ラビ教育を受けていないという意味である。
③ちなみに、新約聖書では、聖職者と平信徒の区別はない。
*これは、カトリック教会が導入した伝統である。
*ヤン・フス(ボヘミヤ)(1369~1415)は、万人祭司を主張し刑された。
(2)ふたりがイエスとともにいたのだ、ということがわかって来た。
①ふたりの振る舞いや語り口調を見ながら、イエスを思い出した。
②ヨハ7:15
Joh 7:15 ユダヤ人たちは驚いて言った。「この人は正規に学んだことがないのに、どうして学問があるのか。」
③サンヘドリンが理解しなかったことがひとつある。
*ふたりは、聖霊に満たされて語っている。
(3)癒された人がそばに立っていた。
①ペテロとヨハネの証言を裏付ける動かぬ証拠である。
*この奇跡は、イエス・キリストの御名によるものである。
2.15節
Act 4:15 彼らはふたりに議会から退場するように命じ、そして互いに協議した。
(1)内密の協議が行われた。
①ペテロとヨハネを議会から退場させた。
②ふたりは癒しという善行を行ったので、有罪にする理由がない。
(2)驚くべきことに、証拠を基にふたりの主張の正当性を論じることはしていない。
①これは、結論ありきの協議である。
3.16~17節
Act 4:16 彼らは言った。「あの人たちをどうしよう。あの人たちによって著しいしるしが行われたことは、エルサレムの住民全部に知れ渡っているから、われわれはそれを否定できない。
Act 4:17 しかし、これ以上民の間に広がらないために、今後だれにもこの名によって語ってはならないと、彼らをきびしく戒めよう。」
(1)否定できない事実がある。
①ペテロとヨハネによって奇跡が行われた。
②エルサレムの住民全部がそれを知っている。
③それを否定すれば、自分たちに非難が向けられる。
(2)最善の方法は、判決を下すことではなく、握りつぶすことである。
①「今後だれにもこの名によって語ってはならない」と命じる。
*「この名」(this name)「この男」(this man)というのは婉曲語である。
*「イエス」という名を口にすることを避けている。
②「彼らをきびしく戒めよう」
*「彼らを脅しておこう」(新改訳2017)
*「脅しておこう」(新共同訳)
*「おどしてやろうではないか」(口語訳)
*つまり、処罰するぞと脅迫したのである。
(3)サンヘドリンは、ふたりの大胆さを過小評価した。
①脅迫すれば沈黙するにちがいないと思い込んだ。
4.18節
Act 4:18 そこで彼らを呼んで、いっさいイエスの名によって語ったり教えたりしてはならない、と命じた。
(1)ふたりに対して、2つのことを禁止した。
①個人的な会話の中でイエスについて語ってはならない。
②公のメッセージによってイエスについて教えてはならない。
Ⅱ.ペテロとヨハネの応答(19~22節)
1.19~20節
Act 4:19 ペテロとヨハネは彼らに答えて言った。「神に聞き従うより、あなたがたに聞き従うほうが、神の前に正しいかどうか、判断してください。
Act 4:20 私たちは、自分の見たこと、また聞いたことを、話さないわけにはいきません。」
(1)無学な者が、知恵あるイスラエルの指導者たちに挑戦した。
①神に聞き従うよりも、人に聞き従うほうが、神の前に正しいのか。
②これで、立場が逆転した。
③もし指導者たちが正直であるなら、ふたりの言うことを認めたはずである。
(2)ペテロとヨハネは、神への忠誠心を第一にした。
①彼らは、イエスと生活をともにした。
②彼らは、イエスの十字架の死を目撃した。
③彼らは、イエスの埋葬、復活、昇天を目撃した。
④彼らは、目撃者として証言しないわけにはいかない。
2.21~22節
Act 4:21 そこで、彼らはふたりをさらにおどしたうえで、釈放した。それはみなの者が、この出来事のゆえに神をあがめていたので、人々の手前、ふたりを罰するすべがなかったからである。
Act 4:22 この奇蹟によっていやされた男は四十歳余りであった。
(1)サンヘドリンの弱みは、ペテロとヨハネを処罰できないことである。
①奇跡は確かに起こった。
②この奇跡のゆえに、みなの者が神を賛美していた。
③癒された男は有名な男で、年齢は40歳余りであった。
(2)そこで、ふたりをさらに脅したうえで釈放した。
Ⅲ.信者の一致した祈り(23~31節)
1.23~24節a
Act 4:23 釈放されたふたりは、仲間のところへ行き、祭司長たちや長老たちが彼らに言ったことを残らず報告した。
Act 4:24a これを聞いた人々はみな、心を一つにして、神に向かい、声を上げて言った。
(1)釈放されたふたりは、苦難を仲間と共有した。
①これは、信者の特権であり、知恵である。
②サンヘドリンで言われたことを残らず報告した。
③教会は心を一つにして、祈った。
2.24b~26節
Act 4:24b 「主よ。あなたは天と地と海とその中のすべてのものを造られた方です。
Act 4:25 あなたは、聖霊によって、あなたのしもべであり私たちの父であるダビデの口を通して、こう言われました。/『なぜ異邦人たちは騒ぎ立ち、/もろもろの民はむなしいことを計るのか。
Act 4:26 地の王たちは立ち上がり、/指導者たちは、主とキリストに反抗して、/一つに組んだ。』
(1)詩146:6の引用
Psa 146:6 主は天と地と海とその中のいっさいを造った方。/とこしえまでも真実を守り、
①「主よ」は、「キュリオス」ではなく、「デスポテイス」(デスポタ)である。
*英語の「despot」(専制君主、独裁者、暴君)の語源である。
*「デスポテイス」は、主人と奴隷の関係を表現する言葉である。
*「デスポテイス」は、「完全な主人」という意味である。
②祈りの対象は、天地の創造主である神である。
(2)詩2:1~2の引用
Psa 2:1 なぜ国々は騒ぎ立ち、/国民はむなしくつぶやくのか。
Psa 2:2 地の王たちは立ち構え、/治める者たちは相ともに集まり、/【主】と、主に油をそそがれた者とに逆らう。
①これは、キリストがメシア的王国を設立される時に何が起こるかの預言である。
②二重著者
*ダビデが人間の著者である。
*聖霊が真の著者である。
③支配者たちは、神の計画を破壊しようとして立ち上がる。
④初期の信者たちは、この預言を当時の状況に適用した。
3.27~28節
Act 4:27 事実、ヘロデとポンテオ・ピラトは、異邦人やイスラエルの民といっしょに、あなたが油をそそがれた、あなたの聖なるしもべイエスに逆らってこの都に集まり、
Act 4:28 あなたの御手とみこころによって、あらかじめお定めになったことを行いました。
(1)エルサレムで、ユダヤ人とローマ人は手を組んで聖なるしもべイエスに逆らった。
①ヘロデはユダヤ人の代表である。
②ポンテオ・ピラトはローマ人の代表である。
③イザ53章の「【主】のしもべ」(受難のしもべ)のイメージが含まれている。
④神は、受難のしもべを送ることを決めておられた。
⑤ユダヤ人とローマ人は悪を行ったが、それは神の計画に沿ったことであった。
4.29~30節
Act 4:29 主よ。いま彼らの脅かしをご覧になり、あなたのしもべたちにみことばを大胆に語らせてください。
Act 4:30 御手を伸ばしていやしを行わせ、あなたの聖なるしもべイエスの御名によって、しるしと不思議なわざを行わせてください。」
(1)3つの願い
①彼らの脅迫に目を留めてください。
②大胆にみことばを語らせてください。
③イエスの御名によって奇跡を行わせてください。
5.31節
Act 4:31 彼らがこう祈ると、その集まっていた場所が震い動き、一同は聖霊に満たされ、神のことばを大胆に語りだした。
(1)祈りに対する応答
①その場所が震い動いた。これは、そこに存在した霊的力の物理的表現である。
②出19:18
Exo 19:18 シナイ山は全山が煙っていた。それは【主】が火の中にあって、山の上に降りて来られたからである。その煙は、かまどの煙のように立ち上り、全山が激しく震えた。
②一同は聖霊に満たされ、神のことばを大胆に語り出した。
③聖霊の満たしが更新され、以前にも増して大胆になったということ。
結論:聖霊の満たし
1.神のことばを語るための力
Act 2:4 すると、みなが聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした。
Act 4:8 そのとき、ペテロは聖霊に満たされて、彼らに言った。「民の指導者たち、ならびに長老の方々。
Act 4:31 彼らがこう祈ると、その集まっていた場所が震い動き、一同は聖霊に満たされ、神のことばを大胆に語りだした。
2.奉仕のための力
Act 6:3 そこで、兄弟たち。あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判の良い人たち七人を選びなさい。私たちはその人たちをこの仕事に当たらせることにします。
3.牧会と伝道を成功させる力(アンテオケに派遣されたバルナバ)
Act 11:24 彼はりっぱな人物で、聖霊と信仰に満ちている人であった。こうして、大ぜいの人が主に導かれた。
4.神に敵対する者を叱責する力(魔術師エルマ)
Act 13:9 しかし、サウロ、別名でパウロは、聖霊に満たされ、彼をにらみつけて、
5.死を乗り越える力
Act 7:55 しかし、聖霊に満たされていたステパノは、天を見つめ、神の栄光と、神の右に立っておられるイエスとを見て、
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