私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ローマ人への手紙(34)—拒否の現実(1)—
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イスラエルの特権について学ぶ。
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「拒否の現実(1)―イスラエル人の7つの特権―」
1.はじめに
(1)福沢諭吉の「福翁自伝」
①豊前(ぶぜん)国下毛(しもげ)郡中津 (現 大分県中津市)
②中津藩の下級武士出身
③幕末から明治にかけての、民主主義者、啓蒙家の第一人者となった。
④パウロとの共通点がある。
(2)ロマ書9~11章の扱いについて
①省略する(置換神学の立場。教会は新しいイスラエルであると考える)。
②軽視する(これは挿入句的なものである)。
③神が3章も使って啓示しておられる内容が軽いものであるはずがない。
(3)ロマ書全体の中での9~11章の位置づけ
2.1~8章の復習
(1)序言(手紙の紹介):1:1~17
①パウロの自己紹介
②福音は、先ずユダヤ人に、そして異邦人に。
(2)義認(過去形の救い):1:18~5:21
①神の義の規準
②すべての人は神の義から外れている。
*野蛮な異邦人
*文化的な異邦人
*ユダヤ人
③神は、信仰と恵みによる義認を用意してくださった。
(3)聖化(現在進行形の救い):6:1~8:18
①聖化もまた、信仰により恵みによる。
②聖化は聖霊に業である。
(4)栄化(未来形の救い):8:19~39
①摂理は私たちを聖化へと導く。
②キリスト・イエスにある神の愛から私たちを引き離すものはない。
3.9~11章の展開
(1)本来ならば、「神の義の適用」(12~15章)に進むはず。
①パウロ書簡の特徴は、先ず教理、そして実践の順である。
②理解せずして、神の愛に応答することは不可能である。
③聖書研究の重要性がここにある。
(2)パウロは、当然の疑問に答えようとしている。
①イスラエル人に対する神の愛は、どうなったのか。
②9~11章は、「イスラエル人に関する神の義」の弁護である。
③きょうの箇所は、「イスラエル人の7つの特権」を扱っている。
4.アウトライン
(1)パウロの悲しみ(1~3節)
(2)イスラエル人の7つの特権(4~5節)
①子とされる
②栄光
③契約(複数形)
④律法を与えられること
⑤礼拝
⑥約束(複数形)
⑦先祖たち(族長たち)
5.メッセージのゴール
(1)誤解①
(2)誤解②
(3)誤解③
このメッセージは、イスラエルの特権について学ぶものである。
Ⅰ.パウロの悲しみ(1~3節)
1.1~2節
「私はキリストにあって真実を言い、偽りを言いません。次のことは、私の良心も、聖霊
によってあかししています。私には大きな悲しみがあり、私の心には絶えず痛みがありま
す」
(1)真実な告白
①「キリストにあって」:キリストは真理そのもの。
②「真実を言い」、「偽りを言いません」:同じ意味の繰り返し
③パリサイ派の伝統:2、3の証人の口による証言が必要。
*私の良心(キリストにある良心)
*聖霊(内住の聖霊)
(2)告白の内容
①大きな悲しみがある。
②絶えず痛みがある。
③同胞の救いに関する痛みである。
2.3節
「もしできることなら、私の同胞、肉による同国人のために、この私がキリストから引き
離されて、のろわれた者となることさえ願いたいのです」
(1)「もしできることなら」
①これは不可能な願いである。
②キリスト・イエスにある神の愛から切り離されることはない。
(2)「私の同胞、肉による同国人のために」
①パウロが感じている痛みは、人類一般に対してではない。
②同国人、つまり、ユダヤ人のための痛みである。
(3)「のろわれた者」
①「神から見捨てられた者」(新共同訳)
②ギリシア語では「アナテマ」である。
③ヘブル語の「ヘレム」をLXXでは「アナテマ」という言葉に訳した。
④ヨシ6:17
「この町と町の中のすべてのものを、【主】のために聖絶しなさい。ただし遊女ラ
ハブと、その家に共にいる者たちは、すべて生かしておかなければならない。あ
の女は私たちの送った使者たちをかくまってくれたからだ」
Ⅱ.イスラエル人の7つの特権(4~5節)
ロマ3:1~2
「では、ユダヤ人のすぐれたところは、いったい何ですか。割礼にどんな益があるのです
か。それは、あらゆる点から見て、大いにあります。第一に、彼らは神のいろいろなおこ
とばをゆだねられています」
ロマ9:4~5
「彼らはイスラエル人です。子とされることも、栄光も、契約も、律法を与えられること
も、礼拝も、約束も彼らのものです。父祖たちも彼らのものです。またキリストも、人と
しては彼らから出られたのです。このキリストは万物の上にあり、とこしえにほめたたえ
られる神です。アーメン」
(1)1~8章では、「ユダヤ人」という呼び名が使用されていた。
①民族的なアイデンティティを示す言葉である。
(2)9~11章では、「イスラエル」が12回出てくる。
①ユダヤ人は2回だけ(9:24、10:12)。
②イスラエルとは、神との契約関係を示す言葉である。
③イスラエル人の特権は、すべてこの契約関係を土台としたものである。
1.子とされる
(1)出4:22
「そのとき、あなたはパロに言わなければならない。【主】はこう仰せられる。『イス
ラエルはわたしの子、わたしの初子である』」
①イスラエルは民族的に「神の子」とされている。
②クリスチャンは、個人的に「神の子」とされている。
(2)ホセ11:1
「イスラエルが幼いころ、わたしは彼を愛し、わたしの子をエジプトから呼び出した」
(3)この関係は、今も壊れていない。
①イザ63:16
②エレ3:17~19、31:9、20
2.栄光
(1)出13:20~21
「【主】は、昼は、途上の彼らを導くため、雲の柱の中に、夜は、彼らを照らすため、
火の柱の中にいて、彼らの前を進まれた。彼らが昼も夜も進んで行くためであった。
昼はこの雲の柱、夜はこの火の柱が民の前から離れなかった」
①シャカイナグローリー
(2)シャカイナグローリーの現れ
①荒野
②幕屋
③神殿
④メシアであるイエス
3.契約(複数形)
(1)神がイスラエルと結んだ4つの無条件契約
①アブラハム契約
②土地の契約
③ダビデ契約
④新しい契約
(2)無条件という意味
①これらの契約は、イスラエルの不信実によって破棄されるものではない。
②今も有効である。
4.律法を与えられること
(1)シナイ契約とモーセの律法
①出19:16~20:1
(2)これは条件付き契約である。
①神の民に生活の指針を与えた。
②キリストの十字架によって、その要求は満たされたので、今は廃棄された。
5.礼拝
(1)「神への奉仕」とも訳せる。
①ギリシア語で「ラトレイア」である。
②神への最大の奉仕は、礼拝である。
(2)レビ記の規定
①祭司職
②幕屋
③いけにえのささげ物
6.約束(複数形)
(1)メシア預言
①初臨
②再臨
(2)メシア的王国の預言
①人類一般に対する約束
②特に、イスラエル人に対する約束
7.先祖たち(族長たち)
(1)申10:15
「【主】は、ただあなたの先祖たちを恋い慕って、彼らを愛された。そのため彼らの後
の子孫、あなたがたを、すべての国々の民のうちから選ばれた。今日あるとおりであ
る」
①アブラハム、イサク、ヤコブのことである。
(2)キリストとの関係
①人間としては、族長たちから出た。つまり、ユダヤ人である。
②キリストは、万物の上にある。
③とこしえにほめたたえられる神である。
結論
1.イスラエルの救いに関する誤解
(1)7つの特権は、彼らに救いを与えるものではない。
(2)キリストに対する信頼がなければ、これらの特権は無意味である。
2.神の愛に関する誤解
(1)パウロの悲しみと痛みは、理性ではなく、心で受け止める必要がある。
①彼は、裏切り者としていつも攻撃にさらされた。
②しかし、彼の本当の姿はそうではない。
(2)モーセの祈りが背景にある(出32:31~32)。
「そこでモーセは【主】のところに戻って、申し上げた。『ああ、この民は大きな罪
を犯してしまいました。自分たちのために金の神を造ったのです。今、もし、彼らの
罪をお赦しくだされるものなら──。しかし、もしも、かないませんなら、どうか、
あなたがお書きになったあなたの書物から、私の名を消し去ってください』」
①民はモーセを信用しなかった。
②しかし、彼の本当の姿はそうではない。
(3)イエスはエルサレムのために涙された(ルカ19:41~42)。
「エルサレムに近くなったころ、都を見られたイエスは、その都のために泣いて、言
われた。『おまえも、もし、この日のうちに、平和のことを知っていたのなら。しか
し今は、そのことがおまえの目から隠されている』」
①イスラエルの不信仰は、神に責任があるのではなく、彼ら自身の問題である。
②神は、裁く時に涙しておられる。
3.イスラエルの役割に関する誤解
(1)神の国の原則:後の者が先になり、先の者が後になる。
(2)将来、イスラエルの救いは成就する。
①もしイスラエルが見放されたとするなら、私たちの救いも不安定なものとなる。
(3)イスラエルの救いは、キリストの再臨の条件である。
①再臨信仰を持つ者は、イスラエルの救いのために祈るべきである。
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