サムエル記第一(22)「ペリシテ人に勝利するヨナタン」1サム14:1~23

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命題:神は、ご自身の力を信じて一歩踏み出す者を用いて、勝利をもたらされる。このことを、4つのポイントを通して確認する。

サムエル記第一(22)

「ペリシテ人に勝利するヨナタン」

1サム14:1~23

1.文脈の確認

 Ⅰ.王政に向けた準備(1~9章)

  Ⅱ.サウルの治世(10~31章)

   A.サウルの確立(10~14章)

    1.サウルを王として選ぶイスラエル(10章)

    2.サウルの最初の勝利(11章)

    3.サムエルの告別説教(12章)

    4.ギルガルでの不従順(13章)

    5.ヨナタンの活躍(14章)

     (1)ペリシテ人に勝利するヨナタン(14:1~23)

     (2)サウルの性急な誓い(14:24~46)

     (3)継続するペリシテ人との戦い(14:47~52)

2.注目すべき点

(1)サウルとヨナタンの対比が鮮明になっている。

(2)ヨナタンの信仰は、兵力ではなく主の力に基づいている。

(3)ヨナタンの信仰は、無謀な自己確信ではない。

(4)ヨナタンと道具持ちの小さな行動を、神がイスラエルの勝利へと拡大された。

(5)この物語の主人公はヨナタンではなく、【主】である。

命題:神は、ご自身の力を信じて一歩踏み出す者を用いて、勝利をもたらされる。

このことを、4つのポイントを通して確認する。

Ⅰ.信仰が試される状況(1~5節)

1.ヨナタンの秘かな決断(1節)

1Sa 14:1
そのようなある日、サウルの息子ヨナタンは、道具持ちの若者に言った。「さあ、この向こう側のペリシテ人の先陣の方へ行こう。」しかし、ヨナタンは父にそのことを知らせなかった。

(1)道具持ちに、ペリシテ人の先陣のところへ渡ろうと提案した。

(2)父サウルには知らせなかった。自発的な信仰の行動である。

(3)まだ戦闘を開始したのではなく、まず敵陣に近づこうとした。

2.動かないサウル(2~3節)

1Sa 14:2 サウルはギブアの外れで、ミグロンにある、ざくろの木の下に座っていた。彼とともにいた兵は約六百人であった。

1Sa 14:3
アヒヤは、エポデを身に着けていた。アヒヤはアヒトブの子で、アヒトブはイ・カボデの兄弟、イ・カボデはピネハスの子、ピネハスは、シロで【主】の祭司であったエリの子である。兵たちは、ヨナタンが出て行ったことを知らなかった。

(1)サウルは約600人の兵とともにギブアの外れにとどまっていた。

  ①祭司アヒヤも同行しており、エポデを身に着けていた。

  ②サウルには、兵士も祭司もいた。しかし、行動していなかった。

  ③「兵たちは、ヨナタンが出て行ったことを知らなかった。」

(2)ここには暗黙の対比がある。

  ①サウルには600人がいる。ヨナタンには一人しかいない。

  ②しかし、動き出したのはヨナタンであった。

3.険しい地形(4~5節)

1Sa 14:4
ヨナタンがペリシテ人の先陣の側に越えて行こうとしていた山峡には、手前側にも、向こう側にも、切り立った岩があって、一方の側の名はボツェツ、もう一方の側の名はセンネといった。

1Sa 14:5 一方の岩は北側、ミクマスの側にあり、もう一方の岩は南側、ゲバの側にそそり立っていた。

(1)ボツェツとセンネという二つの岩壁があった。

  ①人間的に見れば、攻撃には極めて不利な状況である。

  ②この場所は、「信仰が試される舞台」である。

  ③信仰は、状況の好転を待つだけでなく、神を信頼して一歩踏み出すことである。

Ⅱ.信仰による告白(6~10節)

1.ヨナタンの信仰(6節)

1Sa 14:6
ヨナタンは道具持ちの若者に言った。「さあ、この無割礼の者どもの先陣のところへ渡って行こう。おそらく、【主】がわれわれに味方してくださるだろう。多くの人によっても、少しの人によっても、【主】がお救いになるのを妨げるものは何もない。」

(1)「この無割礼の者ども」

  ①単なる侮蔑語ではない。ヨナタンはこの戦いの霊的意味を理解していた。

  ②契約の民vs.契約の外にいる民

  ③ヨナタンは、契約の神への信頼に立って行動している。

(2)「おそらく、……だろう。」

  ①ヨナタンは神の御心を勝手に決めつけていない。

  ②信仰とは「自分が信じれば必ずそうなる」ということではない。

  ③結果を【主】に委ねながら、自分の責任を果たすことである。

(3)「多くの人によっても、少しの人によっても」

  ①ヨナタンは、神の力を人間の数で測っていない。

  ②神が働かれるなら、人数は決定的な要素ではない。

  ③この言葉が、14:1~23全体の中心命題と言ってよいだろう。

2.道具持ちの応答(7節)

1Sa 14:7 道具持ちは言った。「何でも、お心のままになさってください。さあ、お進みください。私も一緒に参ります。お心のままに。」

(1)道具持ちは、単なる武器運搬係ではない。

  ①信仰によって歩むヨナタンに、信仰を共有する同労者が与えられた。

3.神の導きを確認するヨナタン(8~10節)

1Sa 14:8 ヨナタンは言った。「さあ、あの者どものところに渡って行って、われわれの姿を現すのだ。

1Sa 14:9
もし彼らが『おれたちがおまえらのところに行くまで、じっとしていろ』と言ったら、その場に立ちとどまり、彼らのところに上って行かないでいよう。

1Sa 14:10
しかし、もし彼らが『おれたちのところに上って来い』と言ったら、上って行こう。【主】が彼らを、われわれの手に渡されたのだから。これが、われわれへのしるしだ。」

(1)彼には二つの確信がある。

  ①神には救う力がある。

  ②しかし、神の具体的な御心は確認する必要がある。

(2)彼は、無謀に突撃したのではなく、神の導きを確認しながら進んだ。

  ①「じっとしていろ」か、「上って来い」か。

  ②これは、今日適用すべき原則ではない。

Ⅲ.信仰による行動(11~15節)

1.ペリシテ人の嘲笑(11~12節)

1Sa 14:11 二人はペリシテ人の先陣に身を現した。するとペリシテ人が言った。「おい、ヘブル人が、隠れていた穴から出て来るぞ。」

1Sa 14:12
先陣の者たちは、ヨナタンと道具持ちに呼びかけて言った。「おれたちのところに上って来い。思い知らせてやる。」ヨナタンは道具持ちに言った。「私について上って来なさい。
【主】がイスラエルの手に彼らを渡されたのだ。」

(1)敵はヨナタンたちを軽視した。

  ①「隠れていた臆病者が出てきた」というニュアンスがある。

  ②挑発の言葉が、ヨナタンが定めていた「【主】からのしるし」となった。

(2)「【主】がイスラエルの手に彼らを渡されたのだ。」

  ①6節では「おそらく……だろう」であった。

  ②12節では「渡されたのだ」になった。

2.ヨナタンの攻撃(13~14節)

1Sa 14:13 ヨナタンは手足を使ってよじ登り、道具持ちも後に続いた。ペリシテ人はヨナタンの前に倒れ、道具持ちがうしろで彼らを打ち殺した。

1Sa 14:14 ヨナタンと道具持ちが最初に討ち取ったのは約二十人で、一ツェメドのおおよそ半分の広さの場所で行われた。

(1)攻撃する側に非常に不利な状況である。

  ①地形が厳しい。しかも2人しかいない。

(2)二人の役割分担

  ①ヨナタンが敵を倒し、後から道具持ちがとどめを刺したのであろう。

(3)最初に倒したのは約20人。

  ①人間的には小さな勝利にすぎなかった。

  ②神がこれからなさる大きな働きの引き金となる。

3.神の介入(15節)

1Sa 14:15 そして陣営にも野にも、すべての兵のうちに恐れが起こった。先陣の者、略奪隊さえ恐れおののいた。地は震え、非常な恐れとなった。

(1)ここで戦いの次元が変わる。

  ①ペリシテ人の陣営に恐怖が起こった。

  ②略奪隊にも恐怖が広がった。

  ③地が震えた。

  ④「神の恐怖」が敵陣を襲った。

(2)ヨナタンができることをしたとき、神がヨナタンにはできないことをされた。

Ⅳ.【主】がもたらした勝利(16~23節)

1.ペリシテ人の混乱を発見する(16~18節)

1Sa 14:16 ベニヤミンのギブアでサウルのために見張りをしていた者たちが見ると、大軍は震えおののいて右往左往していた。

1Sa 14:17
サウルは彼とともにいる兵に言った。「だれがわれわれのところから出て行ったかを、点呼して調べなさい。」彼らが点呼すると、ヨナタンと道具持ちがいなかった。

1Sa 14:18 サウルはアヒヤに言った。「神の箱を持って来なさい。」神の箱は、そのころ、イスラエル人の間にあったからである。

(1)ギブアにいたサウルの見張りは、ペリシテ軍が混乱しているのを目撃した。

  ①大軍は震えおののいて右往左往していた。

(2)サウルは、兵の点呼を命じた。

  ①ヨナタンと道具持ちがいないことが分かる。

  ②ヨナタンはすでに信仰によって行動している。

  ③サウルは後方で、何が起こっているのかを調べている。

(3)神の箱を持って来るように命じた。

  ①神の御心を求めようとしたのであろう。

2.サウルが戦闘に加わる(19~20節)

1Sa 14:19 サウルが祭司とまだ話している間に、ペリシテ人の陣営の騒動は、ますます大きくなっていった。サウルは祭司に「手を戻しなさい」と言った。

1Sa 14:20 サウルと、彼とともにいた兵がみな集まって戦場に行くと、そこでは剣をもって同士討ちをしていて、非常に大きな混乱が起こっていた。

(1)祭司と話している間に、敵の陣営の騒動はますます大きくなった。

  ①サウルは、神託を求める手続きを中断して、戦闘に向かった。

(2)ペリシテ人は同士討ちをしていて、大混乱が起こっていた。

  ①15節で始まった「神の恐怖」が、敵軍の同士討ちにまで発展したのである。

  ②イスラエルが戦う前に、すでに【主】が戦っておられた。

3.離れていたイスラエル人が戻ってくる(21~22節)

1Sa 14:21
それまでペリシテ人について、彼らと一緒に陣営に上って来ていたヘブル人も転じて、サウルとヨナタンとともにいるイスラエル人の側につくようになった。

1Sa 14:22 また、エフライムの山地に隠れていたすべてのイスラエル人も、ペリシテ人が逃げたと聞いて、戦いに加わってペリシテ人に追い迫った。

(1)ペリシテ側にいたヘブル人がイスラエル側に戻ってきた。

  ①傭兵だったのか、強制的にペリシテ軍に組み込まれていたのか。

(2)隠れていたイスラエル人も戦いに加わった。

  ①隠れていた民が、追撃する民に変わった。

  ②最初は、ヨナタンと道具持ちの二人であった。

  ③それがイスラエル全体の戦いへと広がった。

3.物語の結論(23節)

1Sa 14:23 その日、【主】はイスラエルを救われた。そして、戦いはベテ・アベンに移った。

(1)【主】がイスラエルを救われた。

  ①ヨナタンがイスラエルを救ったのではない。

  ②サウルがイスラエルを救ったのでもない。

  ③これが、この箇所の結論である。

結論:今日の信者への適用

1.状況ではなく、神の力を見る(6節)

(1)敵は大軍、自分たちは二人だけであった。

(2)「多くの人によっても、少しの人によっても、【主】がお救いになるのに妨げとな

るものは何もない。」

(3)「私に何ができるか」だけではなく、「神には何がおできになるか」を問う。

2.結果を神に委ねて、一歩踏み出す(6節)

(1)「おそらく、【主】がわれわれのために働いてくださるだろう」

(2)信仰とは、自分の願いどおりに神を動かすことではない。

(3)神の主権に結果を委ねながら、御心だと確信したことに一歩踏み出すことである。

3.勝利の栄光を神に帰す(23節)

(1)「【主】が救われたのです。」

(2)一人の信仰から大きな働きが始まることもある。

(3)しかし、実を結ばせるのは神である。

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