私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(185)—大祭司の祈り(1)—
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大祭司の祈りから、霊的教訓を学ぶ
「大祭司の祈り(1)」
ヨハ17:1~5
1.はじめに
(1)文脈の確認
①ヨハ14章 最後の晩餐の部屋の中で語られた。
②ヨハ15~16章 ゲツセマネの園に向かう途中で語られた。
③ヨハ17章 恐らく、ゲツセマネの園の近辺での祈りであろう。
④イエスの弟子たちへの教えは、勝利のことばでおわった。
*「わたしはすでに世に勝った」(ヨハ16:33)
*十字架の死が想定されている。
*さらに、父なる神に戻って行くことが想定されている。
⑤この段階で、イエスの働きは預言者から祭司に移行した。
⑥ここに記された祈り(大祭司の祈り)は、聖書の中の最高の祈りである。
*イエスの心の中を覗くことができる祈りである。
*私たちが実践すべき適用を含んだ祈りである。
*弟子たちに創作できるような内容の祈りではない。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
§151 キリストの執りなしの祈り
2.アウトライン
(1)自分自身のための祈り(1~5節)
(2)使徒たちのための祈り(6~19節)
(3)すべての信者のための祈り(20~26節)
(今回は、(1)を取り上げる)
3.結論:
(1)自分のための祈り
(2)父なる神への祈り
(3)神の栄光を求める祈り
大祭司の祈りから、霊的教訓を学ぶ
Ⅰ.自分自身のための祈り(1~5節)
1.1節
Joh 17:1 イエスはこれらのことを話してから、目を天に向けて、言われた。「父よ。時が来ました。あなたの子があなたの栄光を現すために、子の栄光を現してください。
(1)「これらのことを話してから」
①ヨハ14~16章の弟子たちへのメッセージを終えてから。
②場所は、ゲツセマネの園の近くであろう。
(2)「目を天に向けて」
①私たちの場合は、頭を垂れ、目を閉じて祈ることが多い。
②しかし、旧約聖書には、そのような祈りの姿勢は出てこない。
③祈りの形式に固執する必要はない。内容が問題である。
④立ったままでも、歩きながらでも、祈ることができる。
(3)「父よ」
①イエスの場合は、父と子の関係において祈っている。
②イエスは、合計6回、父に呼びかけている。
*「父よ」 1節、5節、21節、24節
*「聖なる父よ」 11節
*「正しい父よ」 26節
③「恵みの時代」の信者は、イエスを通して父に祈る。
(4)「時が来ました」
①イエスは、父なる神の御心に忠実に歩んで来られた。
②受肉の目的は、人類の罪を贖う計画の成就である。
③「時」とは、十字架の時である。
④それまでは、イエスの時はまだ来ていなかった。
*イエスの敵は、イエスを逮捕することができなかった。
*ヨハ2:4、7:6、7:8、7:30、8:20
⑤今、イエスの時が来た。
*ヨハ12:23、13:1、17:1
(5)「子の栄光を現してください」
①イエスの心の中を見ることができる。
②「子の栄光を現す」とは、どういうことか。
*苦難の中で父がイエスを支えること
*父がイエスの犠牲の死を受け入れること
*父がイエスを復活させること
・復活は、イエスが神の子であることの証拠となる。
*イエスが本来持っていた栄光を回復させること
・昇天によって、イエスは栄光の座に着く。
(6)「あなたの子があなたの栄光を現すために、」
①原文の語順と日本語の語順は逆である。
②イエスは、自分の願いの目的を明らかにしている。
*神に何かを願う時に、私たちもその目的を申し上げるとよい。
③父なる神の知恵、力、愛が、イエスを通して現れるように。
④イエスを信じる者たちに永遠のいのちを与えることで、父の栄光を現す。
⑤罪人が新生し、神をたたえるようになることは、父に栄光をもたらす。
2.2~3節
Joh 17:2 それは子が、あなたからいただいたすべての者に、永遠のいのちを与えるため、あなたは、すべての人を支配する権威を子にお与えになったからです。
Joh 17:3 その永遠のいのちとは、彼らが唯一のまことの神であるあなたと、あなたの遣わされたイエス・キリストとを知ることです。
(1)イエスの願いは、父なる神の御心に沿ったものである。
①父は子に、すべての人を支配する権威を与えた。
*詩2篇のテーマ(メシア的詩篇)
②父は子に、裁きを行う権威を与えた(ヨハ5:27)。
③子は、自分から命を捨てる(ヨハ10:18)。
④子は、父からいただいたすべての者に、永遠のいのちを与える。
⑤信者は、「父からいただいた者」である(5回この表現が出て来る)。
*2節、6節(2回)、9節、24節
⑥救いの教理の二面性
*天地が造られる前から、父はキリストに属する者を選んでおられる。
*神は、すべての人を招いておられる(信仰によって救われない人はいない)。
(2)イエスによる永遠のいのちの定義
①パリサイ人たちは、神の国に入ることが「永遠のいのち」だと考えていた。
②一般的には、いつまでも続くいのちである。
*しかし、永遠のいのちとは、永遠に存在し続けることではない。
*すべての者は、永遠に存在し続ける。
*どこで、どのような状態で存在し続けるかが問題である。
③永遠のいのちとは、それは、唯一のまことの神を知ること。
*「唯一のまことの神」とは、偶像と対比した言葉である。
④それは、父が遣わされたイエス・キリストを通して可能となる。
*父と子とは、同質の神である。
⑤それは、イエス・キリストを通して与えられる「神との平和」である。
⑥「知る」とは、親密な個人的関係を指す動詞である。
⑦その関係は、永遠に続く。
3.4~5節
Joh 17:4 あなたがわたしに行わせるためにお与えになったわざを、わたしは成し遂げて、地上であなたの栄光を現しました。
Joh 17:5 今は、父よ、みそばで、わたしを栄光で輝かせてください。世界が存在する前に、ごいっしょにいて持っていましたあの栄光で輝かせてください。
(1)イエスの自分自身のための祈りは、使命の完了を土台としたものである。
①イエスは、父がイエスに与えた使命を成し遂げた。
②十字架の死が確実なこととして語られている。
(2)イエスの願いは、受肉前の栄光の回復である。
①世界が存在する前から、子は父といっしょに栄光を持っていた。
②受肉は、「メシアの辱め」の始まりである。
③十字架は、「メシアの辱め」の終わりである。
結論:
1.自分のための祈り
(例話)クリスチャンの祈りに感動した人の話
(1)自分のために祈ることは、利己的なことではない。
(2)利己的な祈りとは、自分だけの繁栄を求める祈りである。
(3)他人のために祈る前に、自分の心と行いが神と調和している必要がある。
(4)自分のための祈りは、楽器の調律と同じである。
*自分の魂の調律が終わった人は、効果的な祈りを捧げることができる。
(5)自分のための祈りは、クリスチャンにとって必要不可欠なものである。
2.父なる神への祈り
(1)イエスは、弟子たちに、父に対して祈るように教えてこられた。
(2)そのモデルが、「主の祈り」である。
(3)しかし、「主の祈り」は、「主イエスが教えた弟子たちの祈り」である。
(4)ここでは、イエス自身も父に対して祈っている。これこそ「主の祈り」である。
(5)ヨハ20:17
Joh 20:17 イエスは彼女に言われた。「わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないからです。わたしの兄弟たちのところに行って、彼らに『わたしは、わたしの父またあなたがたの父、わたしの神またあなたがたの神のもとに上る』と告げなさい。」
①マグダラのマリアへのことば
②「わたしの父」、「わたしの神」
③「あなたがたの父」、「あなたがたの神」
(6)イエスの祈りは、三位一体の神の「父と子」の関係を基にしたものである。
(7)私たちの祈りは、被造物が創造主に対して祈るものである。
①私たちは、父なる神に対して、イエス・キリストを通して、聖霊に導かれて祈
るのである。
3.神の栄光を求める祈り
(1)ヨハ17:5
Joh 17:5 今は、父よ、みそばで、わたしを栄光で輝かせてください。世界が存在する前に、ごいっしょにいて持っていましたあの栄光で輝かせてください。
(2)イエスが栄光を求めた理由は、父の栄光が現れるためである。
(3)イエスは、受肉期間にご自身の栄光を隠された。
(4)山頂での変貌が、唯一の例外である。
(5)イエスは、父に従順に歩むことによって父の栄光を現された。
①栄光とは、人格にかかわる概念である。
②神の義、力、愛が証明されることは、神の栄光につながる。
(6)人間の生きる目的は、神の栄光を現すことである。
①ロマ11:36
Rom 11:36 というのは、すべてのことが、神から発し、神によって成り、神に至るからです。どうか、この神に、栄光がとこしえにありますように。アーメン。
②1コリ10:31
1Co 10:31 こういうわけで、あなたがたは、食べるにも、飲むにも、何をするにも、ただ神の栄光を現すためにしなさい。
③エペ1:11~12
Eph 1:11 この方にあって私たちは御国を受け継ぐ者ともなりました。みこころによりご計画のままをみな行う方の目的に従って、私たちはあらかじめこのように定められていたのです。
Eph 1:12 それは、前からキリストに望みを置いていた私たちが、神の栄光をほめたたえるためです。
④エペ1:13~14
Eph 1:13 この方にあってあなたがたもまた、真理のことば、あなたがたの救いの福音を聞き、またそれを信じたことにより、約束の聖霊をもって証印を押されました。
Eph 1:14 聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証です。これは神の民の贖いのためであり、神の栄光がほめたたえられるためです。
(7)聖書が書かれた目的は、神の栄光のためである。
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