私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(182)—ゲツセマネ途上での説教(3)—
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この世から受ける憎しみについて学ぶ。
「ゲツセマネ途上での説教(3)」
ヨハ15:18~16:4
1.はじめに
(1)文脈の確認
①最後の晩餐の後、イエスの最後の長い説教が続く。
②ヨハ15、16章 ゲツセマネの園に向かう途中で語られた。
③イエスは、数時間後に逮捕されることになっている。
④人類救済計画の時代区分(ディスペンセーション)が移行しつつある。
*律法の時代→恵みの時代
(2)A.T.ロバートソンの調和表
§150 ゲツセマネの園に向かう途中でのメッセージ
2.アウトライン
(1)ぶどうの木とその枝(15:1~10)
(2)イエスの友(15:11~17)
(3)この世から受ける憎しみ(15:18~16:4)
(4)聖霊の働き(16:5~15)
(5)悲しみから喜びへ(16:16~33)
3.結論:
(1)「この世」について
(2)「弟子たちの証し」について
この世から受ける憎しみについて学ぶ。
Ⅲ.この世から受ける憎しみ(15:18~16:4)
1.18節
Joh 15:18 もし世があなたがたを憎むなら、世はあなたがたよりもわたしを先に憎んだことを知っておきなさい。
(1)ヨハネの福音書の「世」とは何か。
①ギリシア語で「コスモス」という。
②神に敵対する組織化された社会のことである。
③サタンの支配下に置かれている。
④ヨハ14:30
Joh 14:30 わたしは、もう、あなたがたに多くは話すまい。この世を支配する者が来るからです。彼はわたしに対して何もすることはできません。
(2)神の友であるとは、この世から見たら「敵」である。
①この世と調子を合わせることは、神の敵になることである。
②ヤコ4:4
Jas 4:4 貞操のない人たち。世を愛することは神に敵することであることがわからないのですか。世の友となりたいと思ったら、その人は自分を神の敵としているのです。
(3)世の憎しみに会った時、思いがけないことが起こったと感じてはならない。
①イエス自身が、先に世の憎しみを経験している。
②誕生の時、ヘロデ大王に殺されそうになった。
③今は、十字架につけられようとしている。
④「もし」は仮定のことではない。イエスに従う者は、迫害に会う。
2.19節
Joh 15:19 もしあなたがたがこの世のものであったなら、世は自分のものを愛したでしょう。しかし、あなたがたは世のものではなく、かえってわたしが世からあなたがたを選び出したのです。それで世はあなたがたを憎むのです。
(1)この世が信者を憎むのは、信者に対して異質なものを感じるからである。
①信者は、闇の王国から解放され、神の王国に移された。
②信者は、新しい喜び、目的、希望、愛を見出した。
③信者は、この世の人たちとは異なったライフスタイルを持っている。
④信者は、この世にいながら、この世のものではない。
(2)この世は、自分たちと同質なものを愛する。
①粗暴な言葉(日常会話、ネット上の書き込み)
②肉欲
③教養のある人であっても、自分のためにだけ生きている。
(3)信者はイエスによって選ばれた人たちである。
①信者は、その生き方を通してこの世の人たちを裁く。
②それゆえ、この世の人たちは信者を憎むのである。
3.20~21節
Joh 15:20 しもべはその主人にまさるものではない、とわたしがあなたがたに言ったことばを覚えておきなさい。もし人々がわたしを迫害したなら、あなたがたをも迫害します。もし彼らがわたしのことばを守ったなら、あなたがたのことばをも守ります。
Joh 15:21 しかし彼らは、わたしの名のゆえに、あなたがたに対してそれらのことをみな行います。それは彼らがわたしを遣わした方を知らないからです。
(1)「しもべはその主人にまさるものではない」(ヨハ13:16での教え)
①信者は、主イエスに倣って「しもべ」となる必要があるという教えである。
②この教えには、別の適用がある。
*イエスを憎む者は、弟子たちをも憎む。
*イエスのことばを守る者は、弟子たちのことばも守る。
(2)この世の人たちが信者を迫害する理由
①イエスを遣わした父なる神を知らないので、イエスを憎む。
②イエスへの憎しみを、弟子たちに向ける。
4.22~23節
Joh 15:22 もしわたしが来て彼らに話さなかったら、彼らに罪はなかったでしょう。しかし今では、その罪について弁解の余地はありません。
Joh 15:23 わたしを憎んでいる者は、わたしの父をも憎んでいるのです。
(1)イエスが到来する前と後の違い
①到来する前なら、まだ弁解の余地があった(無知を言い訳にできた)。
*「罪はない」とは、無罪だということではなく、罪の度合いの問題である。
*啓示の量が増えると、倫理的責任も増える。
②到来して以降は、弁解の余地はない。
*イエスは神のことばを語り、メシア性を証明する奇跡を行われた。
*イエスにはなんの罪もなかった。
*にもかかわらず、彼らはイエスを信じなかった。
(2)主イエスは、父なる神を啓示するために来られた。
①イエスを憎む者は、父なる神をも憎む者である。
5.24~25節
Joh 15:24 もしわたしが、ほかのだれも行ったことのないわざを、彼らの間で行わなかったのなら、彼らには罪がなかったでしょう。しかし今、彼らはわたしをも、わたしの父をも見て、そのうえで憎んだのです。
Joh 15:25 これは、『彼らは理由なしにわたしを憎んだ』と彼らの律法に書かれていることばが成就するためです。
(1)これは、22~23節の詳細な説明である。
①イエスは、多くの奇跡を行い、ご自身のメシア性を証明された。
②しかし、イスラエルの民は光よりも闇を愛したので、イエスを拒否した。
③ニコデモの応答は、例外的なものである。
Joh 3:2 この人が、夜、イエスのもとに来て言った。「先生。私たちは、あなたが神のもとから来られた教師であることを知っています。神がともにおられるのでなければ、あなたがなさるこのようなしるしは、だれも行うことができません。」
(2)罪というのは、基本的に非理性的で、理屈に合わないものである。
①彼らの不信仰は、旧約聖書に預言されていた。
②ダビデによる預言(義人の嘆き)
Psa 69:4 ゆえなく私を憎む者は私の髪の毛よりも多く、/私を滅ぼそうとする者、/偽り者の私の敵は強いのです。/それで、私は盗まなかった物をも/返さなければならないのですか。
③詩35:19、109:3など参照
6.26~27節
Joh 15:26 わたしが父のもとから遣わす助け主、すなわち父から出る真理の御霊が来るとき、その御霊がわたしについてあかしします。
Joh 15:27 あなたがたもあかしするのです。初めからわたしといっしょにいたからです。
(1)弟子たちへの励ましのことば
①弟子たちは、イエスについて証しする。
②聖霊は、弟子たちを通して働く。
7.1~2節
Joh 16:1 これらのことをあなたがたに話したのは、あなたがたがつまずくことのないためです。
Joh 16:2 人々はあなたがたを会堂から追放するでしょう。事実、あなたがたを殺す者がみな、そうすることで自分は神に奉仕しているのだと思う時が来ます。
(1)迫害の予告をする理由
①つまずくことがないためである。
②弟子たちは、メシア的王国の希望を持っていた。
③イエスの死と復活の後に起こることは、想定外のことである。
(2)迫害の内容
①会堂からの追放
*ユダヤ人にとっては、最悪の悲劇である。
*ユダヤ人共同体からの追放である。
*紀元85年から90年の間に、会堂での祈りに変化があった。
*「シュモネ・エスレ」という伝統的な祈り
*元来は18の祈りから成っていたが、第19番目が追加された。
*それは、メシアニックジューを追い出すための祈りである。
「背教者からすべての希望を取り去りたまえ。分派を作る者は、直ちに滅ぶ
べし」
②殉教の死
*ステパノ(使7章)
*ヤコブ(使12章)
*サウロによる迫害(使9章)
(3)迫害の理由は、それが神への奉仕だと誤解していること。
①サウロがその例である。
8.3~4節
Joh 16:3 彼らがこういうことを行うのは、父をもわたしをも知らないからです。
Joh 16:4 しかし、わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、その時が来れば、わたしがそれについて話したことを、あなたがたが思い出すためです。わたしが初めからこれらのことをあなたがたに話さなかったのは、わたしがあなたがたといっしょにいたからです。
(1)迫害の根本的な理由は、父なる神を知らないことである。
①父を知らない人は、イエスをも知らない。
②イエスを知らない人は、イエスの弟子たちの教えを受け入れない。
(2)イエスが迫害を予告した理由は、弟子たちがそれを思い出すためである。
①これまでイエスは迫害について語って来なかった。
②この世の憎しみは、イエスに向けられていた。
③イエスがいなくなると、イエスの地上におけるからだである教会が誕生する。
④この世は、イエスのからだである教会を憎むようになる。
結論:
1.「この世」について
(1)「この世」には、ユダヤ人たちは含まれるか。
(2)ユダヤ人たちは、自分たちは選びの民であるがゆえに、異邦人諸国から迫害され
ると考えていた。
①彼らは、自分たちと異邦人諸国を明確に区別した。
②それゆえ、自分たちを「この世」という括りに入れられることに抵抗を覚えた。
(3)しかし、隠遁生活をしたエッセネ派の人たちは、別の判断を下していた。
①一般のユダヤ人たちは背教者である。
②それゆえ、彼らは「この世」に属している。
(4)イエスは、不信仰なユダヤ人たちを含めて「この世」と言った。
(5)私たちへの適用
①教会の中には、残念ながら真の生まれ変わりを経験していない自称信者がいる。
②その人たちは、真理が解き明かされた時、抵抗する。
③それは、彼らがまだ救われていないからである。
④教会内の問題もまた、「この世」の憎しみによって起こることが多い。
⑤信者は、この世から評価されることを求めてはならない。
2.「弟子たちの証し」について
(1)この世から隔離した生活は、神の御心ではない。
①修道院のような隠遁生活、この世との接点を失った孤島のような教会
(2)弟子たちへの励ましのことば
Joh 15:26 わたしが父のもとから遣わす助け主、すなわち父から出る真理の御霊が来るとき、その御霊がわたしについてあかしします。
Joh 15:27 あなたがたもあかしするのです。初めからわたしといっしょにいたからです。
①聖霊の約束
*聖霊は、父から出る真理の御霊である。
*聖霊は、イエスが父のもとから遣わす助け主である。
*聖霊は、イエスについて証しする。
②弟子たちも、イエスについて証しする。
*彼らは、イエスと寝食をともにし、イエスの復活を目撃した。
*聖霊は、弟子たちを通して働く。
*伝道は、人と聖霊の共同作業である。
*その結果、人々が救われていく。
(3)私たちへの適用
①弟子たちが証しした結果誕生したのが、新約聖書である。
②今の私たちは、その証しを用いて伝道する。
③伝道は、聖霊との共同作業である。
④この原則は、今も続いている。
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