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コリント人への手紙第一(03)分裂という現実1:10~17
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教会内の分裂という現実について学ぶ。
コリント人への手紙第一 3回
分裂という現実
1 :10~17
はじめに
1.文脈の確認
(1)イントロダクション(1:1~9)
①あいさつ(1:1~3)
②感謝の祈り(1:4~9)
(2)教会内の分裂(1:10~4:21)
①分裂という現実(1:10~17)
②分裂の原因(1:18~4:5)
*福音のメッセージの誤解(1:18~3:4)
*奉仕の誤解(3:5~4:5)
③分裂の問題の解決法(4:6~21)
2.注目点
(1)パウロは、真っ先に分裂の問題を取り上げる。
(2)分裂は、最も深刻な問題である。
(3)分裂の背後には、神学的な要因が潜んでいる。
(4)パウロは、神学的な要因を正そうとする。
3.アウトライン
(1)クロエの家の者からの情報(10~12節)
(2)パウロの質問(13節)
(3)パウロのバプテスマ(14~16節)
(4)パウロの奉仕(17節)
4.結論
(1)キリスト教の勝利主義
(2)分派の原因
教会内の分裂という現実について学ぶ。
Ⅰ.クロエの家の者からの情報(10~12節)
1.10節
1Co 1:10
さて、兄弟たち、私たちの主イエス・キリストの名によって、あなたがたにお願いします。どうか皆が語ることを一つにして、仲間割れせず、同じ心、同じ考えで一致してください。
(1)「私たちの主イエス・キリストの名によって」
①最初の10節で、「キリスト」という名が10回も出てくる。
*キリスト、イエス・キリスト、キリスト・イエス
②パウロは、コリントの信者の目をキリストに向けさせようとしている。
③自分の教えが最高の権威(キリスト)から出ていることを示そうとしている。
④パウロは、主にある兄弟として、コリントの兄弟たちにお願いしている。
(2)「仲間割れせず、同じ心、同じ考えで一致してください」
①パウロは、教会の問題の背後に神学的な要因があることを見抜いている。
②信者たちは、キリストよりも人間を高く上げていた。
③キリストの名を高く上げることが、一致のための方法である。
④信者がキリストの心を持つなら、一致できるようになる。
2.11節
1Co 1:11
私の兄弟たち。実は、あなたがたの間に争いがあると、クロエの家の者から知らされました。
(1)パウロが聞いた情報
①情報源は、クロエの家の者(複数)である。
②クロエという婦人が誰なのかは、分からない。
③彼女は、ビジネスウーマンで、複数のしもべ(奴隷)を所有していた。
④しもべたちは、コリントを訪問し、エペソに戻って来た。
⑤彼らは、コリント教会の現状をパウロに報告した。手紙も持ち帰った。
(2)パウロは、情報源を明示した。
①この情報は、ゴシップ(うわさ話)ではない。
②ここには、私たちへの教訓がある。
3.12節
1Co 1:12
あなたがたはそれぞれ、「私はパウロにつく」「私はアポロに」「私はケファに」「私はキリストに」と言っているとのことです。
(1)4つのグループが存在していた。
①パウロ派
*パウロは、コリントで18か月奉仕をした教会の創立者である。
②アポロ派
*アポロは、雄弁な弁証家である。
*特に、ユダヤ人伝道に優れていた。
③ケファ(ペテロ)派
*ペテロがコリントを訪問したという記録はない。
*ペテロはユダヤ人に対する使徒の筆頭である。
*初期のクリスチャン、特にユダヤ人信者はペテロを崇拝した。
④キリスト派
*彼らは、人間のリーダーにではなく、キリストについた。
*彼らは、霊的エリートという自己認識を持っていた。
*彼らもまた、教会内で分派を形成していた。
Ⅱ.パウロの質問(13節)
1.13節
1Co 1:13
キリストが分割されたのですか。パウロがあなたがたのために十字架につけられたのですか。あなたがたはパウロの名によってバプテスマを受けたのですか。
(1)キリスト派に対する質問
①キリストが分割されたのか。
*キリスト派の存在は、キリストのからだなる教会を分割する行為である。
(2)パウロ派に対する質問
①パウロがあなたがたのために十字架につけられたのか。
*パウロは、十字架の重要性を強調している。
*キリスト以上にパウロをあがめるのは、重大な誤りである。
②パウロの名によってバプテスマを受けたのか。
*パウロは、水のバプテスマを重視した。
*バプテスマは、キリストとの一体化を表明する聖礼典である。
*ロマ6:3~4
Rom 6:3
それとも、あなたがたは知らないのですか。キリスト・イエスにつくバプテスマを受けた私たちはみな、その死にあずかるバプテスマを受けたのではありませんか。
Rom 6:4
私たちは、キリストの死にあずかるバプテスマによって、キリストとともに葬られたのです。それは、ちょうどキリストが御父の栄光によって死者の中からよみがえられたように、私たちも、新しいいのちに歩むためです。
Ⅲ.パウロのバプテスマ(14~16節)
1.14節
1Co 1:14
私は神に感謝しています。私はクリスポとガイオのほか、あなたがたのだれにもバプテスマを授けませんでした。
(1)パウロは、神に感謝している。
①福音を信じてキリストに信頼すれば、その人は救われる。
②バプテスマは救いの条件ではないので、少数の者の洗礼しか行わなかった。
③パウロは福音を宣べ伝えたが、バプテスマは他の人に委ねた。
④分派のことを考えると、少数者にしか洗礼を授けなかったことを感謝している。
(2)クリスポとガイオ(使18:7~8)
Act 18:7 そして、そこを去って、ティティオ・ユストという名の、神を敬う人の家に行った。その家は会堂の隣にあった。
Act 18:8 会堂司クリスポは、家族全員とともに主を信じた。また、多くのコリント人も聞いて信じ、バプテスマを受けた。
①クリスポ
*クリスポは、会堂司である。
*家族全員が信者になった。
②ガイオ
*ティティオ・ユストと同一人物であろう。
*神を敬う異邦人で、その家は会堂の隣にあった。
2.15節
1Co 1:15
ですから、あなたがたが私の名によってバプテスマを受けたとは、だれも言えないのです。
(1)信者の関心をキリストに向けさせるために、バプテスマを行うことを控えた。
①そうすることで、信者がパウロの弟子になる危険性を避けたのである。
(2)キリストの名によるバプテスマによって、信者はキリストの弟子となる。
①司式者がパウロであっても、誰かほかの人であっても、結果は変わらない。
②この点では、パウロはほかのキリストの弟子と同じである。
3.16節
1Co 1:16
もっとも、ステファナの家の者たちにもバプテスマを授けましたが、そのほかにはだれにも授けた覚えはありません。
(1)ステファナの家の者たち
①パウロは、記録を取っていないので、誰に洗礼を授けたかを覚えていない。
②書き進むうちに、ステファナの家の者たちのことを思い出した。
③16:15
1Co 16:15
兄弟たちよ、あなたがたに勧めます。ご存じのとおり、ステファナの一家はアカイアの初穂であり、聖徒たちのために熱心に奉仕してくれました。
*ステファナの一家は、アカイアの初穂となった(初期の信者)。
*そこでパウロがバプテスマを授けた。
Ⅳ.パウロの奉仕(17節)
1.17節
1Co 1:17キリストが私を遣わされたのは、バプテスマを授けるためではなく、福音を、ことばの知恵によらずに宣べ伝えるためでした。これはキリストの十字架が空しくならないようにするためです。
(1)パウロの奉仕の内容
①「Aではなく、Bである」は、Bを強調するための構文である。
②洗礼は大宣教命令の一部であるが、それよりも福音を宣べ伝えるほうが重要。
(2)パウロの福音伝達
①「ことばの知恵によらずに宣べ伝えるため」
*「ことばの知恵」は、ギリシア人が重視したものである。
*パウロは、ギリシア人が称賛した雄弁という武器を用いなかった。
②「キリストの十字架がむなしくならないようにするため」
*パウロは、雄弁家ではなく、伝道者である。
*伝道者は、キリストの十字架を語る。
結論
1.キリスト教の勝利主義
(1)分派は、勝利主義の一形態である。
①分派は、自分の派が他の人たちよりも上であるという認識から生まれる。
②分派は、十字架の神学ではなく、偽りの勝利主義に立っている。
(2)クリスチャンは、罪とその結果に勝利したと考えるのが勝利主義である。
①罪に勝利したので、迫害、苦難、人間的な限界などから解放されている。
②解放を体験していないなら、それは不信仰のゆえである。
(3)勝利主義の本質は、終末論の強調にある。
①勝利主義は、終末時代に成就する祝福を今の時代に引き寄せている。
②繁栄の神学は、現代のキリスト教の勝利主義である。
③今の時代は、聖化の道を歩む時代である。
④また、キリストとともに苦しむ時代である。
2.分派の原因
(1)分派の原因は、どの説教者の話法を好むかにある。
①パウロ、アポロ、ペテロ、キリストそれぞれが、異なった話法を用いた。
②どの話法に惹かれるかによって、どの分派に属するかが決まる。
(2)パウロは、コリントの信者は肉の目でものごとを判断していると指摘する。
①3:3
1Co 3:3
あなたがたは、まだ肉の人だからです。あなたがたの間にはねたみや争いがあるのですから、あなたがたは肉の人であり、ただの人として歩んでいることにならないでしょうか。
(3)パウロが強調したのは、話法ではなく、メッセージの内容である。
①説教者が語るのは、十字架のメッセージである。
②説教者の力は、十字架のメッセージから出てくるものである。
(4)私たちには、本物を見分けるための霊的な目と耳が必要である。
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