コリント人への手紙第一(04)分裂の原因(1) ―福音の愚かさ―1:18~2:5

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福音の愚かさについて学ぶ。

コリント人への手紙第一 4回

分裂の原因(1) ―福音の愚かさ―

1 :18~2:5

はじめに

1.文脈の確認

(1)イントロダクション(1:1~9)

(2)教会内の分裂(1:10~4:21)

  ①分裂という現実(1:10~17)

  ②分裂の原因(1:18~4:5)

    *福音のメッセージの誤解(1:18~3:4)

      ・福音の愚かさ(1:18~2:5)

      ・神の知恵の啓示(2:6~16)

      ・肉に属する人(3:1~4)

    *奉仕の誤解(3:5~4:5)

  ③分裂の問題の解決法(4:6~21)

2.注目点:3つの主要な教え

(1)福音の愚かさ(1:18~2:5)

  ①十字架につけられたキリスト

(2)教会の本質(12:4~13:13)

  ①御霊の賜物の種類と目的

(3)死者の復活(15章)

  ①死者の復活はないとの主張に対する反論

3.アウトライン:福音の愚かさ(1:18~2:5)

(1)十字架のことばの愚かさ(18~25節)

(2)信者の選びの愚かさ(26~31節)

(3)宣教の愚かさ(2章1~5節)

4.結論:福音の伝達

(1)誰が

(2)何を

(3)どういう方法で

福音の愚かさについて学ぶ。

Ⅰ.十字架のことばの愚かさ(18~25節)

1.18~19節

1Co 1:18

十字架のことばは、滅びる者たちには愚かであっても、救われる私たちには神の力です。

1Co 1:19

「わたしは知恵ある者の知恵を滅ぼし、/悟りある者の悟りを消し去る」/と書いてあるからです。

(1)「十字架のことば」

  ①キリストが罪人の身代わりとして呪われた死を遂げられたというメッセージ

  ②ギリシア人にとっては、十字架は無力さと屈辱の象徴である。

  ③ユダヤ人にとっては、十字架は神の呪いの象徴である。

(2)十字架のメッセージは、人類を2分する。

  ①滅びる者たちには愚かである。

  ②救われる者たちには神の力である。

  ③その中間の人はいない。

(3)パウロは、イザ29:14を引用する。

Isa 29:14
それゆえ、見よ、/わたしはこの民に再び、不思議なこと、/驚くべきことをする。/この民の知恵ある者の知恵は滅び、/悟りある者の悟りは隠される。」

  ①神の方法は、常に、人間の知恵の愚かさを暴露するものである。

2.20~21節

1Co 1:20

知恵ある者はどこにいるのですか。学者はどこにいるのですか。この世の論客はどこにいるのですか。神は、この世の知恵を愚かなものにされたではありませんか。

1Co 1:21

神の知恵により、この世は自分の知恵によって神を知ることがありませんでした。それゆえ神は、宣教のことばの愚かさを通して、信じる者を救うことにされたのです。

(1)当時、知恵を誇っていた人が 3 種類いた。

  ①「知恵ある者」とは、哲学に通じ、世界観を論じることのできる人々。

  ②「学者」(律法学者)とは、旧約聖書の知識を誇っていた人々。

  ③「この世の論客」とは、それ以外の論争好きな人々。

(2)しかし神は、「この世の知恵」を愚かなものとされた。

  ①「この世の知恵」は「人の知恵」であり、「神の知恵」とは対極にある。

  ②「神の知恵」は、神が啓示された知恵である。

  ③神は、「宣教のことばの愚かさを通して」、人々を救うことにされた。

  ④救われるのは、「信じる者」である。

  ⑤救いの条件は、信仰である。

3.22~25節

1Co 1:22 ユダヤ人はしるしを要求し、ギリシア人は知恵を追求します。

1Co 1:23

しかし、私たちは十字架につけられたキリストを宣べ伝えます。ユダヤ人にとってはつまずき、異邦人にとっては愚かなことですが、

1Co 1:24

ユダヤ人であってもギリシア人であっても、召された者たちにとっては、神の力、神の知恵であるキリストです。

1Co 1:25 神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからです。

(1)ユダヤ人は、しるしを要求する。

  ①「しるし」とは、イエスがメシアであるということを証明するものである。

  ②もしイエスがメシアなら、すでに地上に神の国が成就しているはずである。

  ③しかし、イエスは十字架につけられて死んだ。

  ④十字架は、神の呪いのしるしである(申21:23、ガラ3:13)。

  ⑤十字架のメッセージは、ユダヤ人にとっては、「つまずき」となった。

(2)ギリシア人は、知恵を追求する。

  ①ここでは、ギリシア人と異邦人は、同義語である。

  ②罪がないのに、十字架刑で殺されるのは、愚かなことである。

  ③その愚か者が救世主であるというメッセージは、余りにも不条理である。

  ④コリントの信者たちが人間の知恵に惹かれる理由が、ここにある。

  ⑤十字架がキリスト教のシンボルになるのは、紀元2~3世紀のことである。

(3)しかし、「召された者たちにとっては」、キリストは神の力、神の知恵である。

  ①パウロは、「十字架につけられたキリスト」を宣べ伝えた。

  ②「神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強い」からである。

Ⅱ.信者の選びの愚かさ(26~31節)

1.26節

1Co 1:26

兄弟たち、自分たちの召しのことを考えてみなさい。人間的に見れば知者は多くはなく、力ある者も多くはなく、身分の高い者も多くはありません。

(1)十字架のことばの愚かさから、コリントの信者の愚かさに移行する。

  ①信者として召された者の大半が、この世から見れば愚かな者である。

  ②知者も、力ある者も、身分の高い者も多くはない。

  ③信者の多くが、奴隷か、解放された自由人であった。

2.27~28節

1Co 1:27

しかし神は、知恵ある者を恥じ入らせるために、この世の愚かな者を選び、強い者を恥じ入らせるために、この世の弱い者を選ばれました。

1Co 1:28

有るものを無いものとするために、この世の取るに足りない者や見下されている者、すなわち無に等しい者を神は選ばれたのです。

(1)神の選びの不思議

  ①神は、知恵ある者を恥じ入らせるために、この世の愚かな者を選ばれた。

  ②神は強い者を恥じ入らせるために、この世の弱い者を選ばれた。

  ③有るもの(この世が評価するもの)を無いものとするために、無に等しい者

(この世の愚か者)を選ばれた。

(2)この世の有力者は救われないという意味ではない。

  ①彼らも、信仰によって救われる。

  ②神の栄光は、この世の愚かな者の選びの中に現れているという意味である。

3.29節

1Co 1:29 肉なる者がだれも神の御前で誇ることがないようにするためです。

(1)神は、ご自身の栄光のために、この方法を採用された、

  ①人は、神の御前で自分を誇ることはできない。

  ②さらに、自分が好む指導者たちを誇ることもできない。

4.30~31節

1Co 1:30

しかし、あなたがたは神によってキリスト・イエスのうちにあります。キリストは、私たちにとって神からの知恵、すなわち、義と聖と贖いになられました。

1Co 1:31 「誇る者は主を誇れ」と書いてあるとおりになるためです。

(1)私たちが誇るべきは、人間ではなく、神ご自身である。

  ①キリストは、神からの知恵となられた。

  ②キリストは、私たちの義となられた(義認)。

  ③キリストは、私たちの聖となられた(聖化)。

  ④キリストは、私たちの贖いとなられた(栄化)。

(2)「誇る者は主を誇れ」

  ①エレ9:24

Jer 9:24
誇る者は、ただ、これを誇れ。/悟りを得て、わたしを知っていることを。/わたしは【主】であり、/地に恵みと公正と正義を行う者であるからだ。/まことに、わたしはこれらのことを喜ぶ。/──【主】のことば。』」

  ②無力な人間を誇るのは、愚かなことである。

Ⅲ.宣教の愚かさ(2章1~5節)

1.1~2節

1Co 2:1

兄弟たち。私があなたがたのところに行ったとき、私は、すぐれたことばや知恵を用いて神の奥義を宣べ伝えることはしませんでした。

1Co 2:2

なぜなら私は、あなたがたの間で、イエス・キリスト、しかも十字架につけられたキリストのほかには、何も知るまいと決心していたからです。

(1)十字架のことばの愚かさ、信者の愚かさ、そして、宣教の愚かさ

  ①パウロのコリント宣教は、愚かな方法で行われた。

  ②すぐれたことばや知恵を用いなかった。

  ③「神の奥義」とは、イエス・キリストの福音である。

(2)パウロは、十字架につけられたキリストだけを伝えた。

  ①ガラ3:1

Gal 3:1 ああ、愚かなガラテヤ人。十字架につけられたイエス・キリストが、目の前に描き出されたというのに、だれがあなたがたを惑わしたのですか。

(3)注意すべき点

  ①説教者の学び、準備、努力などを否定しているわけではない。

  ②なんと素晴らしい説教者だろうかと言われたら、失敗である。

  ③なんと素晴らしい救い主だろうかと言われたら、成功である。

2.3節

1Co 2:3 あなたがたのところに行ったときの私は、弱く、恐れおののいていました。

(1)パウロは、無力感を覚えていた。

  ①アテネでの宣教結果に失望していた。

  ②使18:9~10

Act 18:9 ある夜、主は幻によってパウロに言われた。「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。

Act 18:10 わたしがあなたとともにいるので、あなたを襲って危害を加える者はいない。この町には、わたしの民がたくさんいるのだから。」

3.4~5節

1Co 2:4

そして、私のことばと私の宣教は、説得力のある知恵のことばによるものではなく、御霊と御力の現れによるものでした。

1Co 2:5

それは、あなたがたの信仰が、人間の知恵によらず、神の力によるものとなるためだったのです。

(1)パウロの宣教は、説得力のある知恵のことばによるものではなかった。

  ①パウロは、説教者の努力、準備、賜物の行使を否定しているわけではない。

  ②説教者は、自分の力を信頼してはならないということである。

  ③福音を聞いた人の心を開くのは、御霊の役割である。

(2)コリントの信者たちは、人間の知恵ではなく、神の力によって救われた。

  ①新生体験は、超自然的な体験である。

結論:福音の伝達

1.誰が

(1)「この世の愚かな者」が、伝達者になる。

(2)彼らは、「十字架のことば」を信じて、救われた人たちである。

(3)そして、それは私たちのことでもある。

(4)愚かな者を用いるのは、旧約聖書から一貫して続いている神の方法である。

2.何を

(1)キリストは罪人の身代わりとして呪われた死を遂げられたというメッセージ

(2)ギリシア人にとっては、十字架は無力さと屈辱の象徴である。

(3)ユダヤ人にとっては、十字架は神の呪いの象徴である。

(4)「十字架のことば」に何かを付加することは許されない。

3.どういう方法で

(1)率直に、聖霊を信頼して、福音を伝える。

(2)パウロは、説得力のある知恵のことばを用いなかった。

    (例話)私に伝道してくれた大学時代の後輩

(3)すべてが神から発し、神に至る。

(4)人間的なものを誇る余地は、全くない。

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