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ルカの福音書(72)いなくなった羊のたとえ話15:1~10
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罪人に対する神の愛について学ぶ。
ルカの福音書 72回
いなくなった羊のたとえ話
15:1~10
1.はじめに
(1)文脈の確認
①ルカは、エルサレムへの旅という枠組みの中に、種々の教えを配置している。
②ルカ15章のテーマは、「罪人に対する神の愛」である。
③イエスの奉仕は、貧しい人や罪人を対象としたものであった。
④ルカは、このグループに深い関心を示している。
⑤異邦人もまた、同じ範疇に属する人たちである。
(2)ルカ15:1~32の内容
①いなくなった羊のたとえ話(1~7節)
②なくした銀貨のたとえ話(8~10節)
③放蕩息子のたとえ話(11~32節)
(3)注目すべき点
①3つのたとえ話には、共通点がある。
*所有物を失った際の悲しみ
*それを発見した際の喜び
②誰でも、似たような経験をする。
③私たち一人ひとりは、父なる神の目に尊い存在である。
2.アウトライン
(1)いなくなった羊のたとえ話(1~7節)
(2)なくした銀貨のたとえ話(8~10節)
3.結論
(1)イエス時代のユダヤ人が使っていたたとえ話
(2)三位一体の神の愛
罪人に対する神の愛について学ぶ。
Ⅰ.いなくなった羊のたとえ話(1~7節)
1.1~2節
Luk 15:1
さて、取税人たちや罪人たちがみな、話を聞こうとしてイエスの近くにやって来た。
Luk 15:2
すると、パリサイ人たち、律法学者たちが、「この人は罪人たちを受け入れて、一緒に食事をしている」と文句を言った。
(1)舞台設定
①取税人か罪人の食卓
②ルカ14:34~35
Luk 14:34 塩は良いものです。しかし、もし塩が塩気をなくしたら、何によってそれに味をつけるのでしょうか。
Luk 14:35 土地にも肥やしにも役立たず、外に投げ捨てられます。聞く耳のある者は聞きなさい。」
*イエスは弟子志望者たちに、ご自身の教えに耳を傾けるように呼びかけた。
*パリサイ人や律法学者たちは、イエスの教えに耳を傾けていなかった。
(2)イエスの教えに応答したのは、ユダヤ人社会では見下されていた人たち。
①取税人は、ローマの手先となって富を得ていた。
②罪人は、不道徳な者や、律法的に汚れた職業に就いている者である。
③彼らは、霊的に村八分にされていた。
④彼らは、癒やしを必要とする霊的病人である。
⑤「みな」とは、誇張法であろう。
(3)イエスの教えに肯定的なグループと、否定的なグループの対比
①「取税人たち、罪人たち」vs.「パリサイ人たち、律法学者たち」
(4)「一緒に食事をする」とは、受け入れて交わりをすることである。
①イエスは、取税人たちや罪人たちを受け入れておられた。
②宗教的指導者たちは、「つぶやいた」。
*荒野でのイスラエルの民のつぶやきを想起させる。
2.3~4節
Luk 15:3
そこでイエスは、彼らにこのようなたとえを話された。
Luk 15:4
「あなたがたのうちのだれかが羊を百匹持っていて、そのうちの一匹をなくしたら、その人は九十九匹を野に残して、いなくなった一匹を見つけるまで捜し歩かないでしょうか。
(1)イエスの聴衆の中には、羊飼いたちがいたことであろう。
①羊飼いは、パレスチナでは最も普通の職業である。
*パリサイ人から見れば、汚れた職業である。
②100匹というのは、羊飼いがひとりで導く平均的な数である。
③羊飼いは、毎晩頭数を数えた。
(2)ある日、一匹をなくした。
①この羊は、愚かさのゆえに群れから離れたのである。
②羊が愚かな家畜であることは、よく知られていた。
③1ペテ2:25
1Pe 2:25 あなたがたは羊のようにさまよっていた。/しかし今や、自分のたましいの牧者であり/監督者である方のもとに帰った。
(3)羊飼いの対応
①100匹すべてが羊飼いの所有物である。
②彼は、99匹を野(荒野)に残して、1匹を見つけるまで捜し歩く。
③99匹は、自分たちは悔い改める必要がないと思っている人たちである。
④羊飼いは、どこまでも羊を捜す。
3.5~6節
Luk 15:5
見つけたら、喜んで羊を肩に担ぎ、
Luk 15:6
家に戻って、友だちや近所の人たちを呼び集め、『一緒に喜んでください。いなくなった羊を見つけましたから』と言うでしょう。
(1)羊飼いの喜び
①いなくなった羊を見つけ、その安全を確保した。
②喜んで羊を肩に担ぎ、家に戻る。
*最も容易な運搬法である。
*救われた者の特権を指している。
③近所の人たちを呼び集め、ともに喜ぶ。
④これらは、当時の一般的な農村の情景である。
4.7節
Luk 15:7
あなたがたに言います。それと同じように、一人の罪人が悔い改めるなら、悔い改める必要のない九十九人の正しい人のためよりも、大きな喜びが天にあるのです。
(1)「悔い改める必要のない九十九人の正しい人」
①これは皮肉である。
②これは、パリサイ人や律法学者を指している。
③彼らは、自分たちは正しいと思い込んでいた。
(2)ここでの対比
①1人の罪人の救いの喜びvs.99人の救いのない状態の悲しさ
②「天に」とは、神の御前でという意味である。
③このたとえ話は、イエスが罪人と交わることを擁護している。
④イエスは、神の愛に基づいて行動している。
Ⅱ.なくした銀貨のたとえ話(8~10節)
1.8~9節
Luk 15:8
また、ドラクマ銀貨を十枚持っている女の人が、その一枚をなくしたら、明かりをつけ、家を掃いて、見つけるまで注意深く捜さないでしょうか。
Luk 15:9
見つけたら、女友だちや近所の女たちを呼び集めて、『一緒に喜んでください。なくしたドラクマ銀貨を見つけましたから』と言うでしょう。
(1)似たようなたとえ話が語られる。
①イエスは、ここでの教えの重要性を、聴衆が理解することを期待された。
(2)女の人
①ルカは女性の聴衆に配慮している。
②先のたとえ話では、比較的裕福な男が、1匹の羊をなくした。
③このたとえ話では、比較的貧しい未婚の女が、1枚の銀貨をなくした。
④イエスは、パリサイ人たちが拒否するであろうことを予知した上で語っている。
⑤ドラクマ銀貨(ギリシアのコイン)=デナリ銀貨(ローマのコイン)
*労働者の日当
⑥不注意のゆえに、銀貨をなくした。
⑦花嫁料(ケトゥバー)として貯めていたものであろう。
*結婚に際して、花嫁は花婿、または父親からこれを受け取った。
*当時のパレスチナでは、10枚であった。
*これは、離婚しても彼女が所有権を主張できる金である。
*10枚には、結婚指輪と同様の象徴的価値があった。
*1枚を失くすことには、金額的な損失以上の精神的損失があった。
(3)彼女の対応
①窓がない(あっても小さい)ので、明かりをつけて探す。
②家を掃いて、見つけるまで注意深く捜す。
*石の床には、小さな割れ目がたくさんあった。
*そこに銀貨が落ち込むと、なかなか見つからない。
*これは、考古学者には朗報である。年代推定に役立つ。
③見つけたら、女友だちや近所の女たちを呼び集めて、一緒に喜ぶ。
2.10節
Luk 15:10
あなたがたに言います。それと同じように、一人の罪人が悔い改めるなら、神の御使いたちの前には喜びがあるのです。」
(1)最初のたとえ話と同じ教訓が語られる。
①1人の罪人の救いは、大きな喜びをもたらす。
②神の御使いたちは、地上のおける神の働きに興味を持っている。
③彼らは、神の喜びを自分の喜びとする。
結論
1.イエス時代のユダヤ人が使っていたたとえ話
(1)なくした銀貨のたとえ話
(2)適用が異なる。
①この女が銀貨を捜すよりも熱心に、トーラーを捜すべきである。
②トーラーの学びは、一時的な喜びではなく、永遠の報賞をもたらす。
③しかし、トーラーの教えは、業による救いである。
④イエスの教えは、それとは異なる。
*神の愛
*救い主のあわれみ
*失われた者の救いに伴う喜び
2.三位一体の神の愛
(1)いなくなった1匹を探し歩く羊飼いは、イエスを指している。
①イエスの生涯を思い出せ。
*①誕生、公生涯、拒絶。十字架の死と復活
②ラビたちは、罪人が神のもとに来るなら神は許してくださると教えていた。
③神が捜し歩くという教えは、イエスに独特のものである。
(2)なくなった銀貨を捜す女の人は、聖霊を指している。
①みことばの光を掲げて、捜す。
②部屋の中に落ちていることは、分かっている。
③アダムとエバが木の間に身を隠していることは分かっていた。
④ザアカイがいちじく桑の木の葉の間に身を隠していることは分かっていた。
(3)放蕩息子の父は、父なる神を指している。
①あるべき姿に戻れ。
②神は、私たちを喜び、誇りとしたいと思っておられる。
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