私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ルカの福音書(66)神の国のたとえ話13:18~21
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神の国についての2つのたとえ話について学ぶ。
ルカの福音書 66回
神の国のたとえ話
13:18~21
1.はじめに
(1)文脈の確認
①ルカは、エルサレムへの旅という枠組みの中に、種々の教えを配置している。
②イエスは、拒否という現実の中で、弟子としていかに生きるべきかを教えた。
③この箇所から、弟子訓練のテーマが「神の国に関する教え」に変わる。
(2)ルカ13:18~14:35の内容
①神の国のたとえ話(13:18~21)
②神の国への入国(13:22~30)
③神の国の延期(13:31~35)
④食卓での諸々の教え(14:1~24)
⑤弟子の代価(14:25~35)
(3)注目すべき点
①5つのポイントは、すべて神の国に関連した教えである。
②しるしを目撃した群衆は、神の国がすぐに到来することを期待した。
③しかし、指導者たちがメシアを拒否したので、神の国は延期された。
④イエスは、メシア拒否と再臨の間の期間に起こることについて話された。
2.アウトライン
(1)神の国というテーマの紹介(18節)
(2)からし種のたとえ話(19節)
(3)パン種のたとえ話(20~21節)
3.結論
(1)からし種のたとえ話の現代的適用
(2)パン種のたとえ話の現代的適用
神の国についての2つのたとえ話について学ぶ。
Ⅰ.神の国というテーマの紹介(18節)
1.18節
Luk 13:18
そこで、イエスはこう言われた。「神の国は何に似ているでしょうか。何にたとえたらよいでしょうか。
(1)「そこで」(therefore)という接続詞が書かれている。
①これは、前述の事項を受けて、次の事項につなげるための接続詞である。
②前述の事項とは、群衆がイエスの御業を喜んだことである(17節)。
Luk 13:17 イエスがこう話されると、反対していた者たちはみな恥じ入り、群衆はみな、イエスがなさったすべての輝かしいみわざを喜んだ。
③つまり群衆は、神の国が近いと感じたのである。
④そこでイエスは、群衆の誤解を解くために、神の国のテーマを取り上げた。
(2)神の国についての2つのたとえ話
①2つのたとえ話を積極的に解釈する学者がいる。
*神の国には生命力がある。
*最初は小さな始まりであるが、やがて大きな存在となる。
*筆者も、かつてはそういう理解をしていたことがある。
②2つのたとえ話を消極的に解釈する学者がいる。
*メシア拒否と再臨の間の期間におけるキリスト教界の状況の描写である。
*現在筆者は、この立場に立っている。
(3)マタイの福音書13章との関連
①マタ13章には、神の国についてのたとえ話が多数出てくる。
②からし種とパン種のたとえ話(マタ13:31~33)
③マタ13:11
Mat 13:11 イエスは答えられた。「あなたがたには天の御国の奥義を知ることが許されていますが、あの人たちには許されていません。
④この聖句から、「奥義としての神の国」という名称が生まれた。
*「奥義」とは、新約時代になってから初めて啓示された真理である。
⑤2つのたとえ話は、キリスト教界がどのように発展するかを預言したもの。
⑥奥義としての王国=キリスト教界
⑦奥義としての王国は、真の信者と見かけだけの信者を含む。
⑧再臨の前に、キリスト教界内に悪の影響が広がることが預言された。
Ⅱ.からし種のたとえ話(19節)
1.19節
Luk 13:19
それはからし種に似ています。ある人がそれを取って自分の庭に蒔くと、生長して木になり、空の鳥が枝に巣を作りました。」
(1)「それはからし種に似ています」
①「からし種」がなんであるか、学者の間に論争がある。
②恐らく「黒胡椒」であろう。
③イエス時代、最も小さな種として知られていた。
*からし種1グラムの中に725~760粒の種がある。
④胡椒は調味料として、また油を搾る種として珍重された。
⑤「奥義としての王国」の始まりは、実に小さなものである。
*イエスの弟子たちは、少数であった。
*イエスの教えは、この世の価値観とは正反対のものであった。
(2)「ある人がそれを取って自分の庭に蒔くと、生長して木になり、」
①からし種は、木ではない。
②マタイの福音書13章32節では、「野菜」と訳されている。
③ギリシア語では「ラカノン」である。灌木、ハーブ。
④木ではないが、木のように枝を張る一年生植物である。
*パレスチナでは、3.5~4.5メートルにもなるものがある。
(3)「空の鳥が枝に巣を作りました」
①野生の鳥がその枝に宿るようになった。
②種蒔く人のたとえ話が、それ以外のたとえ話を解釈する基準である。
③空の鳥(複数形)は、サタンや悪霊の象徴である。
④巨大化したキリスト教界は、悪霊の影響を受けるようになる。
Ⅲ.パン種のたとえ話(20~21節)
1.20~21節
Luk 13:20
再びイエスは言われた。「神の国を何にたとえたらよいでしょうか。
Luk 13:21
それはパン種に似ています。女の人がそれを取って三サトンの粉に混ぜると、全体がふくらみました。」
(1)「女の人が」
①女ということばは、宗教的意味を含んでいる。
②良い意味での象徴
*イスラエルは、「ヤハウェの妻」である。
*教会は、「キリストの花嫁」である。
③悪い意味での象徴
*黙2:20
Rev 2:20
けれども、あなたには責めるべきことがある。あなたは、あの女、イゼベルをなすがままにさせている。この女は、預言者だと自称しているが、わたしのしもべたちを教えて惑わし、淫らなことを行わせ、偶像に献げた物を食べさせている。
*黙17:1~2
Rev 17:1
また、七つの鉢を持つ七人の御使いの一人が来て、私に語りかけた。「ここに来なさい。大水の上に座している大淫婦に対するさばきを見せましょう。
Rev 17:2 地の王たちは、この女と淫らなことを行い、地に住む人々は、この女の淫行のぶどう酒に酔いました。」
*統一化された偽の教会
(2)パン種ということばは、罪や偽りの教理を象徴している。
①種なしパンの祭りでは、7日間パン種を家から取り除く(出12:15)。
②ユダヤ人たちは、その意味を理解した。違反者は共同体から追放された。
③マタ16:6
Mat 16:6 イエスは彼らに言われた。「パリサイ人たちやサドカイ人たちのパン種に、くれぐれも用心しなさい。」
④マタ16:12
Mat 16:12 そのとき彼らは、用心するようにとイエスが言われたのはパン種ではなく、パリサイ人たちやサドカイ人たちの教えであることを悟った。
⑤1コリ5:8
1Co 5:8 ですから、古いパン種を用いたり、悪意と邪悪のパン種を用いたりしないで、誠実と真実の種なしパンで祭りをしようではありませんか。
⑥ガラ5:9
Gal 5:9 わずかなパン種が、こねた粉全体をふくらませるのです。
(3)「混ぜると」という動詞
①ギリシア語で「エンクルプトウ」。隠す、しのばせるという意味。
②英語では、「hide」と訳されている。
(4)このたとえ話の背景
①ローマの町々には、パン屋があった。
②ガリラヤ地方では、婦人が家でパンを焼いた。
③1サトンは約14リットル。3サトンは約42リットル。
④ひとりの婦人が捏ねる最大量である。
⑤これでパンを焼くと、約100人が食べられる。
(5)このたとえ話の意味
①偽りの教えが「奥義としての王国」にこっそりと入り込む。
②その結果、キリスト教界全体が影響を受ける。
結論
1.からし種のたとえ話の現代的適用
(1)からし種は、奥義としての王国(キリスト教界)の象徴である。
(2)からし種は、灌木ではなく、巨大な木になってしまった。
(3)キリスト教界には、多くの教派・教団や団体が存在するようになった。
(4)キリスト教界(地域教会)には、真の信者と偽の信者が含まれている。
(5)空の鳥とは、福音の真理を否定するカルトや異端である。
①モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)
②エホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会)
③統一協会(世界平和統一家庭連合)
(6)私たちは、木の枝に巣を作る空の鳥を見分ける必要がある。
(7)そのために必要なのが、聖書研究である。
2.パン種のたとえ話の現代的適用
(1)「パン種」は、新約聖書に23回出てくるが、すべて否定的な意味である。
(2)パン種は福音のことではない。
(3)神の国は、福音の広がりによってではなく、メシアの再臨によって成就する。
(4)偽りの教えが混ぜられた結果、キリスト教界が3分割された。
①ローマ・カトリック教会
②東方正教会
③プロテスタント教会
(5)3分割された教会は、それぞれ程度の差こそあれ、偽りの教えを内包している。
(6)今も、パン種は粉全体をふくらませている。
①「真理は時代とともに変化する」
②「聖書は時代とともに再解釈する必要がある」
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