ルカの福音書(60)永遠の視点12:13~21

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永遠の視点を持つことの重要性について学ぶ。

ルカの福音書 60回

永遠の視点

ルカ12:13~21

1.はじめに

(1)文脈の確認

  ①ルカは、エルサレムへの旅という枠組みの中に、種々の教えを配置している。

  ②パリサイ人や律法学者によるイエスの拒否が、決定的になった。

  ③拒否という現実がある中で、弟子としていかに生きるべきかが教えられる。

  ④クリスチャンは、霊的戦いに巻き込まれているのである。

(2)ルカ12:1~13:17の内容

  ①恐れなき信仰告白(12:1~12)

  ②永遠の視点(12:13~21)

  ③神の備え(12:22~34)

  ④人の子の来臨(12:35~48)

  ⑤苦難の日の予告(12:49~59)

  ⑥悔い改めの勧め(13:1~9)

  ⑦教えの正しさを証明するしるし(13:10~17)

(3)注目すべき点

  ①7つのポイントは、拒否という現実の中でいかに生きるべきかを教える連続し

たメッセージである。

  ②教えの対象は、弟子たちから群衆に広がっていく。

  ③最後に出てくる病の癒しは、イエスの教えの信頼性を保証するしるしである。

2.アウトライン

(1)貪欲に対する警告(13~15節)

(2)愚かな農夫のたとえ話(16~21節)

3.結論

(1)3つの聖書箇所

(2)バランスの取れた人生

永遠の視点を持つことの重要性について学ぶ。

Ⅰ.貪欲に対する警告(13~15節)

1.13節

Luk 12:13
群衆の中の一人がイエスに言った。「先生。遺産を私と分けるように、私の兄弟に言ってください。」

(1)この箇所も、弟子訓練のための教えである。

  ①イエスは、忠実にイエスに従うことの重要性を教えておられた。

  ②そこに声を挟む者が現れた。

  ③「群衆の中の一人」とあるが、恐らく弟子ではないと思われる。

  ④彼は、イエスが別のテーマに移ろうとしている隙を捉えて、質問を投げかけた。

  ⑤聖なる教えが続く中で、俗なる質問をするのは、彼が俗人だからである。

  ⑥イエスはこの機会を捉えて、貪欲の危険性について教える。

  ⑦11:37以降では、パリサイ人の行為を捉えて、偽善の危険性について教えた。

  ⑧イエスの弟子は、貪欲という強敵と戦う必要がある。

  ⑨貪欲が原因で、弟子道から離れて行く人が多くいる。

(2)この人は、兄弟(恐らく兄)と遺産に関して争っていた。

  ①律法によれば、長子は2倍の取り分を得た。

  ②申21:17

Deu 21:17
嫌われている妻の子を長子として認め、自分の全財産の中から二倍の取り分を彼に与えなければならない。その子は父の力の初穂であるから、長子の権利は彼のものである。

  ③彼が不当な扱いを受けていたのか、取り分以上に欲しがったのかは分からない。

  ④彼は、イエスが争いの仲裁人になってくれることを期待した。

  ⑤彼は、兄もイエスを律法の教師として敬うだろうと考えた

2.14節

Luk 12:14
すると、イエスは彼に言われた。「いったいだれが、わたしをあなたがたの裁判官や調停人に任命したのですか。」

(1)口語訳の訳文

「人よ、だれがわたしをあなたがたの裁判人または分配人に立てたのか」

  ①「人よ」を「いったい」(新改訳2017)と訳すのは、意訳である。

  ②「人よ」は力強い呼びかけであるが、侮辱的意味はない。

  ③ルカ22:58

Luk 22:58 しばらくして、ほかの男が彼を見て言った。「あなたも彼らの仲間だ。」しかし、ペテロは「いや、違う」と言った。

    *「人よ、然らず」(文語訳)

(2)イエスは、質問を返すことで、彼にイエスとは誰かについて考えさせた。

  ①ユダヤ教では、ラビたちがそのような紛争の仲介者となっていた。

  ②この人は、イエスをユダヤ教のラビと同列に置いていた。

  ③しかしイエスは、奇跡によってご自身がメシアであることを啓示しておられた。

  ④イエスは、究極的な意味での裁判官であるが、この人にはそれが見えなかった。

(3)イエスは、この争いに介入しようとはされなかった。

  ①その代わりに、この人の根本的な問題を解決しようとされた。

  ②根本的な問題とは、彼の心を支配していた物質主義である。

  ③イエスが来られた目的は、人を神のもとに連れ戻すことであって、財を人にも

たらすことではない。

3.15節

Luk 12:15

そして人々に言われた。「どんな貪欲にも気をつけ、警戒しなさい。人があり余るほど持っていても、その人のいのちは財産にあるのではないからです。」

(1)貪欲の問題

  ①いくら手に入れても、満足することがない。

  ②物質を必要以上に評価する(これは偶像礼拝である)。

  ③他者への配慮に欠ける。

  ④人生で最も重要なものを犠牲にする。

(2)人生の質は、財産の多さに比例するものではない。

  ①この人は、より多くのものを所有すれば、より幸せになると考えていた。

  ②人生に意味を与えるのは、神である。

  ③それゆえ、富ではなく、神を求めるべきである。

Ⅱ.愚かな農夫のたとえ話(16~21節)

1.16節a

Luk 12:16a
それからイエスは人々にたとえを話された。

(1)この真理を心に印象づけるために、イエスはたとえ話を語る。

  ①対象は群衆である。

  ②ヘブル的教授法から学ぶことは多くある。

  ③インフォーマルな場での教えには、力がある。

2.16b~18節

Luk 12:16b
「ある金持ちの畑が豊作であった。

Luk 12:17
彼は心の中で考えた。『どうしよう。私の作物をしまっておく場所がない。』

Luk 12:18
そして言った。『こうしよう。私の倉を壊して、もっと大きいのを建て、私の穀物や財産はすべてそこにしまっておこう。

(1)主人公は、金持ちの農夫である。

  ①彼は知的な農夫であるが、愚か者である。

  ②彼が不当に財を成したという印象はない。

  ③長年の努力によって、金持ちになったのであろう。

  ④イエスは、計画を立てること自体を問題視しているわけではない。

  ⑤重要なことを考慮していないことが問題である。

(2)彼が考えた計画

  ①畑が豊作になった。

  ②作物を貯蔵する場所がない。

  ③今の倉を建て替え、もっと大きなものにしよう。

  ④そして、穀物や財産はすべてそこにしまっておこう。

3.19節

Luk 12:19

そして、自分のたましいにこう言おう。「わがたましいよ、 これから先何年分もいっぱい物がためられた。さあ休め。食べて、飲んで、楽しめ。」』

(1)彼は、自分のたましいに語りかけた。

  ①「たましい」とは、全存在を表現することばである。

  ②「これから先何年分もいっぱい物がためられた。さあ休め。食べて、飲んで、

楽しめ」

  ③彼は、人生の豊かさは富の量によって決まると考えていた。

(2)彼が考えつかなかったこと

  ①彼の関心事は、地上のことだけである。

  ②彼には、霊的生活への関心がなかった。

  ③また、死後の生活への関心もなかった。

  ④それゆえ、彼は愚か者である。

4.20節

Luk 12:20

しかし、神は彼に言われた。『愚か者、おまえのたましいは、今夜おまえから取り去られる。おまえが用意した物は、いったいだれのものになるのか。』

(1)この人の結論と神の結論が対比されている。

  ①神は彼を「愚か者」と呼ばれた。

    *旧約聖書では、神を無視したり、神に反抗したりする人は、愚か者である。

    *彼は神を無視したので、愚か者である。

  ②彼は、これから何年も生きるつもりでいた。

    *神はその夜、彼のいのちが取り去られると言われた。

  ③彼は何も持たないで死後の世界に入って行く。

    *彼が蓄えた物は、相続人に渡る。

  ⑥伝6:2

Ecc 6:2
神が富と財と誉れを与え、望むもので何一つ欠けることがない人がいる。しかし神は、この人がそれを楽しむことを許さず、見ず知らずの人がそれを楽しむようにされる。これは空しいこと、それは悪しき病だ。

(2)このたとえ話は、イエスに声をかけた人の心に響いたはずである。

  ①たとえ遺産を相続したとしても、すぐにいのちが取り去られる可能性がある。

5.21節

Luk 12:21
自分のために蓄えても、神に対して富まない者はこのとおりです。」

(1)たとえ話の適用

  ①地上での富と天上での富が対比されている。

  ②自分が富むことだけを考え、霊的なことを考慮しない人は、愚か者である。

  ③この教訓は、弟子たちと群衆に語られた。

  ④永遠の視点がない者は、愚か者である。

  ⑤永遠の視点がない者は、人生の優先順位が混乱している人である。

(2)繁栄の神学は、物質的な豊かさを神からの恵みの指標と考える。

  ①苦難の意味を評価しないキリスト教は、聖書的キリスト教ではない。

結論

1.3つの聖書箇所

(1)マタ6:19~21

Mat 6:19
自分のために、地上に宝を蓄えるのはやめなさい。そこでは虫やさびで傷物になり、盗人が壁に穴を開けて盗みます。

Mat 6:20

自分のために、天に宝を蓄えなさい。そこでは虫やさびで傷物になることはなく、盗人が壁に穴を開けて盗むこともありません。

Mat 6:21
あなたの宝のあるところ、そこにあなたの心もあるのです。

(2)1テモ6:6~10

1Ti 6:6
しかし、満ち足りる心を伴う敬虔こそが、大きな利益を得る道です。

1Ti 6:7
私たちは、何もこの世に持って来なかったし、また、何かを持って出ることもできません。

1Ti 6:8
衣食があれば、それで満足すべきです。

1Ti 6:9
金持ちになりたがる人たちは、誘惑と罠と、また人を滅びと破滅に沈める、愚かで有害な多くの欲望に陥ります。

1Ti 6:10

金銭を愛することが、あらゆる悪の根だからです。ある人たちは金銭を追い求めたために、信仰から迷い出て、多くの苦痛で自分を刺し貫きました。

(3)ヤコ1:9~10

Jas 1:9
身分の低い兄弟は、自分が高められることを誇りとしなさい。

Jas 1:10
富んでいる人は、自分が低くされることを誇りとしなさい。富んでいる人は草の花のように過ぎ去って行くのです。

2.バランスの取れた人生

(1)地上生活のための計画

(2)永遠の生活のための準備

(ILL)池田さん

  ①1885~1924年の間に、約20万人の日本人がハワイに、18万人がアメリカ本土

に集団移民した。

  ②彼らは1世と呼ばれる日系人である。

  ③池田さんは、私よりも60歳くらい年上の1世であった。

  ④彼は、綿畑に投資したが干ばつのために無一物になってしまった。

  ⑤その結果、クリスチャンになった。

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