メシアの生涯(47)—12使徒の選抜‐ピリポ、ナタナエル-—

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ピリポとナタナエルの人生から教訓を学びます。

「12使徒の選抜‐ピリポ、ナタナエル-」

§053 マコ3:13~19、ルカ6:12~16

1.はじめに

    (1)宣教の拡大のために、使徒たちを選抜し、彼らを各地に派遣する段階になった。

(2)12使徒のリストは、4ヶ所に出て来る。

    ①マコ3章、マタ10章、ルカ6章、使1章

    ②同名の者、別名を持つ者などがいて、非常に難解である。

(3)A.T.ロバートソンの調和表

(§53)徹夜の祈りの後、イエスは12使徒を選ぶ。

マコ3:13~19、ルカ6:12~16

(4)これまでに4人取り上げた。

    ①ペテロ:キーマン

    ②アンデレ:紹介者

    ③ヤコブ:天国への一番槍

    ④ヨハネ:主が愛された弟子

  (5)今回は、第2組の最初の2人を取り上げる。

    ⑤ピリポと⑥ナタナエル(バルトロマイ)

<12使徒の歌(ルカ6:14~16)>

1. イエスの使徒たち12人、彼らは全員20代、

1組4人で活動し、御国の福音伝えます。

    2. ペテロが最初の長(おさ)となり、弟アンデレそこに付き、

ヤコブとヨハネの兄弟も、 御国のために仕えます。

      3.ピリポの組の者たちは、バルトロ、別名ナタナエル、

マタイ、もとは取税人、トマス、あだ名がデドモ(双子)です。

4. ヤコブの父はアルパヨで、シモンの前歴熱心党、

別名タダイのユダがいて、 裏切り者のユダ最後。

  2.アウトライン

    (1)ピリポ

      ①概略の紹介

      ②5000人のパンの奇跡の場面

      ③ギリシア人訪問の場面

      ④最後の晩餐の場面

    (2)ナタナエル

      ①概略の紹介

      ②イエスとの出会い

      ③復活のイエスとの出会い

  3.結論

    (1)ピリポの性格

    (2)ナタナエルの性格

このメッセージは、ピリポとナタナエルの人生から教訓を学ぼうとするものである。

Ⅰ.ピリポ

  1.概略の紹介

    (1)ベツサイダの出身

      ①「house of fishing」という意味

      ②カペナウムに近かったと思われる。

      ③ペテロとアンデレは、ベツサイダ出身であった。

    (2)恐らくバプテスマのヨハネの弟子であろう。

    「その翌日、イエスはガリラヤに行こうとされた。そして、ピリポを見つけて『わた

しに従って来なさい』と言われた」 (ヨハ1:43)

      ①彼はイエスによって招かれて、イエスの弟子となった。

      ②ユダヤ的習慣では、弟子志願者から申し出ることになっていた。

      ③彼はその招きにただちに応答した。

    (3)彼は、ナタナエルにイエスを紹介した。

    「彼はナタナエルを見つけて言った。『私たちは、モーセが律法の中に書き、預言者

たちも書いている方に会いました。ナザレの人で、ヨセフの子イエスです』」

(ヨハ1:45)

      ①アンデレとペテロの場合は、直感的、行動的である。

      ②ピリポの場合は、理性的である。

      ③「モーセが律法の中に書き、預言者たちも書いている方」

       (例話)第4回「再臨待望聖会」の講師セツ・ポステル師

    (4)ピリポとナタナエルは、同時に出て来ることが多い。

      ①ふたりは似たようなタイプの人物である。

  2.5000人のパンの奇跡の場面

  「イエスは目を上げて、大ぜいの人の群れがご自分のほうに来るのを見て、ピリポに言わ

れた。『どこからパンを買って来て、この人々に食べさせようか』」。もっとも、イエスは、

ピリポをためしてこう言われたのであった。イエスは、ご自分では、しようとしているこ

とを知っておられたからである。ピリポはイエスに答えた。『めいめいが少しずつ取るに

しても、二百デナリのパンでは足りません』」 (ヨハ6:5~7)

  (1)この質問は、ピリポを試すためのものであった。

    ①ギリシア語で「ペイラゾウ」(英語でprove)である。

    ②決して悪い意味ではない。

    ③これは、弟子訓練の一環である。

  (2)なぜ試す必要があったのか。

    ①ピリポの長所が欠点になっていたから。

    ②理性中心の信仰からの脱却が必要。

  (3)ピリポの答えは、彼の特徴を反映させたものであった。

    ①彼はすばやく計算した。

②200デナリとは、労働者の200日分の賃金である。

    (4)彼は、イエスの方法を目撃し、仰天したことであろう。

  3.ギリシア人訪問の場面

  「さて、祭りのとき礼拝のために上って来た人々の中に、ギリシヤ人が幾人かいた。この

人たちがガリラヤのベツサイダの人であるピリポのところに来て、『先生。イエスにお目

にかかりたいのですが』と言って頼んだ。ピリポは行ってアンデレに話し、アンデレとピ

リポとは行って、イエスに話した」 (ヨハ12:20~22)

  (1)ピリポという名前は、新約聖書に4人出て来る。

    ①使徒ピリポ

    ②ヘロデ大王とマリアンメの息子、ヘロデ・ピリポ(ヘロデヤの元夫)

    ③ヘロデ大王とエルサレムのクレオパトラの息子、国主ピリポ

      ・ルカ3:1 「イツリヤとテラコニテ地方の国主」

    ④伝道者ピリポ

  (2)ピリポというのはギリシア風の名前である。

    ①ギリシア的なものとの関連性がうかがえる。

    ②そう見ると、ギリシア人が最初にピリポに声をかけたのには理由がある。

  (3)ピリポの対応は、彼の性質を反映させたものである。

    ①彼自身が、永遠の求道者なので、ギリシア人たちに同情できる。

②しかし、思慮深くなり過ぎて、自分で判断できない。

    ③それで直感型のアンデレに相談する。

    (例話)投資セミナーに出た無学な人

  4.最後の晩餐の場面

「ピリポはイエスに言った。『主よ。私たちに父を見せてください。そうすれば満足しま

す』。イエスは彼に言われた。『ピリポ。こんなに長い間あなたがたといっしょにいるのに、

あなたはわたしを知らなかったのですか。わたしを見た者は、父を見たのです。どうして

あなたは、「私たちに父を見せてください」と言うのですか』」 (ヨハ14:8~9)

  (1)ピリポの願望は、彼の性質を反映させたものである。

    ①恐らく彼は、神の顕現か、シャカイナグローリーを見たいと願ったのであろう。

    ②人類の普遍的な願いである。

    ③行き着く先は、偶像礼拝である。

  (2)イエスの回答は、驚愕の内容である。

    ①イエスを見た者は、父を見たのである。

Ⅱ.ナタナエル

  1.概略の紹介

    (1)ガリラヤのカナ出身

      ①恐らく漁師であろう。

      ②ヨハ21:2に登場する。

      ③ヨハネの福音書では、ナタナエル(神は与えた、God has given)で登場する。

      ④共観福音書では、バルトロマイ(トロマイの息子)で登場する。

    (2)福音書に彼が登場するのは、2箇所だけである。

  2.イエスとの出会い

  「ナタナエルは彼に言った。『ナザレから何の良いものが出るだろう』」。ピリポは言った。

『来て、そして、見なさい』」。イエスはナタナエルが自分のほうに来るのを見て、彼につ

いて言われた。『これこそ、ほんとうのイスラエル人だ。彼のうちには偽りがない』」。ナ

タナエルはイエスに言った。『どうして私をご存じなのですか』。イエスは言われた。『わ

たしは、ピリポがあなたを呼ぶ前に、あなたがいちじくの木の下にいるのを見たのです』」。

ナタナエルは答えた。『先生。あなたは神の子です。あなたはイスラエルの王です』。イエ

スは答えて言われた。『あなたがいちじくの木の下にいるのを見た、とわたしが言ったの

で、あなたは信じるのですか。あなたは、それよりもさらに大きなことを見ることになり

ます』。そして言われた。『まことに、まことに、あなたがたに告げます。天が開けて、神

の御使いたちが人の子の上を上り下りするのを、あなたがたはいまに見ます』」

(ヨハ1:46~51)

  (1)ピリポから紹介された。

    ①ナタナエルの反応は、「ナザレから何の良いものが出るだろう」であった。

    ②ガリラヤのカナ出身の彼は、ナザレのことをよく知っていた。

  (2)イエスの応答

「これこそ、ほんとうのイスラエル人だ。彼のうちには偽りがない」

*最高のほめことばである。

②イエスは、彼がどこで何をしていたかを言い当てた。

    (3)ナタナエルの信仰告白

      ①「先生。あなたは神の子です。あなたはイスラエルの王です」

       ②この時点での理解は不完全であるが、イエスがメシアであることは認めた。

  3.復活のイエスとの出会い

  「この後、イエスはテベリヤの湖畔で、もう一度ご自分を弟子たちに現された。その現さ

れた次第はこうであった。シモン・ペテロ、デドモと呼ばれるトマス、ガリラヤのカナの

ナタナエル、ゼベダイの子たち、ほかにふたりの弟子がいっしょにいた」 (ヨハ21:1~2)

  (1)ペテロ、アンデレ、ヤコブ、ヨハネが体験したことを、彼も体験した。

    ①最初の出会いの時に語られたことばを、彼は体験した。

  (2)これ以外にも多くのことを体験したはずである。

結論:

  1.ピリポは哲学者である。

    (1)彼の長所は、知的、理性的であること(ギリシア的なものとの関連)

①ナタナエルに対して説得力がある。

②また、ギリシア人にもアピールする力がある。

    (2)信じる前に、さまざまな角度から検証し、体験せねばならないタイプの人

      ①決して悪いことではない。

      ②しかし、それが彼の信仰の成長を阻んだ。

      ③イエスの弟子訓練は、そこを修正するためのものであった。

    (3)復活のイエスの目撃者

      ①ヨハ20:24~25 トマスはいなかった。

      ②マタ28:16~20 大宣教命令を受けた。

      ②使1:13

      「彼らは町に入ると、泊まっている屋上の間に上がった。この人々は、ペテロと

ヨハネとヤコブとアンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨ

の子ヤコブと熱心党員シモンとヤコブの子ユダであった」

  2.ナタナエルはイスラエルの型である。

    (1)ナザレから出る者への懐疑心

    (2)イエス彼を、「まことのイスラエル人」(ヨハ1:47)(新共同訳)と呼ばれた。

      ①彼が黙想していた箇所は、ヤコブがベテルで神と出会う箇所である。

    (3)彼は、復活のイエスを顔と顔を合わせて対面した(ヨハ21:1~14)。

    (4)彼の姿は、イスラエルの救いを祈るための動機付けとなる。

  ①イエスを信じるユダヤ人は、「完成したユダヤ人」である。

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