メシアの生涯(46)—12使徒の選抜‐ヤコブ、ヨハネ‐—

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ヤコブとヨハネの人生から教訓を学びます。

「12使徒の選抜‐ヤコブ、ヨハネ-」

§053 マコ3:13~19、ルカ6:12~16

1.はじめに

  (1)宣教の拡大のために、使徒たちを選抜し、彼らを各地に派遣する段階になった。

    ①弟子とは、師から学ぶ者。権威の付与はない。

    ②使徒とは、遣わされた者。遣わす者から権威が与えられている。

    (2)A.T.ロバートソンの調和表

(§53)徹夜の祈りの後、イエスは12使徒を選ぶ。

マコ3:13~19、ルカ6:12~16

  (3)12使徒のリストは、4ヶ所に出て来る。

    ①マコ3章、マタ10章、ルカ6章、使1章

    ②同名の者、別名を持つ者などがいて、非常に難解である。

<12使徒の歌(ルカ6:14~16)>

1. イエスの使徒たち12人、彼らは全員20代、

1組4人で活動し、御国の福音伝えます。

    2. ペテロが最初の長(おさ)となり、弟アンデレそこに付き、

ヤコブとヨハネの兄弟も、 御国のために仕えます。

      3.ピリポの組の者たちは、バルトロ、別名ナタナエル、

マタイ、もとは取税人、トマス、あだ名がデドモ(双子)です。

4. ヤコブの父はアルパヨで、シモンの前歴熱心党、

別名タダイのユダがいて、 裏切り者のユダ最後。

    (4)第1組に属するヤコブとヨハネの兄弟を取り上げる。

  4.アウトライン

    (1)概略の紹介(両者に共通する)

    (2)サマリヤの町に火を呼び下そうとした。

    (3)御国での地位を求めた。

    (4)イエスの側近3人の中にいた。

    (5)ヤコブは、最初の殉教者となった。

(6)ヨハネは、初代教会のリーダーとして活躍した。

  5.結論

このメッセージは、ヤコブとヨハネの人生から教訓を学ぼうとするものである。

Ⅰ.概略の紹介

   1.父親はゼベダイである。

    (1)ゼベダイの子ヤコブ

①アルパヨの子ヤコブ

②主の兄弟ヤコブ、などと混同しないこと。

    (2)父ゼベダイは漁師で、相当の資産家である。

「また少し行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネをご覧になった。彼ら

も舟の中で網を繕っていた。すぐに、イエスがお呼びになった。すると彼らは父ゼベ

ダイを雇い人たちといっしょに舟に残して、イエスについて行った」 (マコ1:19~20)

  ①彼らはカペナウムに住んでいた。

      ②父親は舟と雇い人を持っていた。

      ③彼らは、ペテロとアンデレに続いて召された。

    (3)ゼベダイの一家は、ペテロとアンデレの兄弟たちとパートナーになっていた。

    「シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブやヨハネも同じであった。イエスはシモ

ンにこう言われた。『こわがらなくてもよい。これから後、あなたは人間をとるよう

になるのです』」 (ルカ5:10)

  ①大規模な漁業をするためには、協力関係が必要である。

  2.母親はサロメである。

(1)イエスの母マリアの姉妹である(マタ27:56、マコ15:40、ヨハ19:25参照)。

  ①つまり、ヤコブとヨハネはイエスの従弟に当たる。

(2)サロメは、典型的なユダヤ人の母親である。

  ①熱心にイエスに仕えた。

  「また、悪霊や病気を直していただいた女たち、すなわち、七つの悪霊を追い出

していただいたマグダラの女と呼ばれるマリヤ、自分の財産をもって彼らに仕え

ているヘロデの執事クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか大ぜいの女たちも

いっしょであった」 (ルカ8:2~3)

「また、遠くのほうから見ていた女たちもいた。その中にマグダラのマリヤと、

小ヤコブとヨセの母マリヤと、またサロメもいた。イエスがガリラヤにおられた

とき、いつもつき従って仕えていた女たちである。このほかにも、イエスといっ

しょにエルサレムに上って来た女たちがたくさんいた」 (マコ15:40~41)

②息子たちが御国で高い地位に着くことを願った(マタ20:20)。

  3.兄弟関係

    (1)ヤコブは常にヨハネと並んでその名が出て来る。

      ①ヤコブの名が先に出て来るので、彼が兄であろう。

      ②ペテロとアンデレの場合とは異なり、弟の方が有名である。

    (2)裕福な家の息子で、イエスと親戚関係にある。

      ①ヤコブとヨハネの性質と行動パターンが見えてくる。

Ⅱ.サマリヤの町に火を呼び下そうとした。

  「さて、天に上げられる日が近づいて来たころ、イエスは、エルサレムに行こうとして御

顔をまっすぐ向けられ、ご自分の前に使いを出された。彼らは行って、サマリヤ人の町に

入り、イエスのために準備した。しかし、イエスは御顔をエルサレムに向けて進んでおら

れたので、サマリヤ人はイエスを受け入れなかった。弟子のヤコブとヨハネが、これを見

て言った。『主よ。私たちが天から火を呼び下して、彼らを焼き滅ぼしましょうか』」。し

かし、イエスは振り向いて、彼らを戒められた。そして一行は別の村に行った」

(ルカ9:51~56)

1.サマリヤ人はイエスを受け入れなかった。

  (1)エルサレムに上る途上にあったから

2.ヤコブとヨハネは激怒した。

  (1)イエスを思う心

①特権意識も混在している。

  (2)「天から火を呼び下して」

     ①復讐の言葉である。

    ②エリヤの前例がある。

*50人隊の隊長とその部下が、2度にわたって焼かれた。

      *2列1:10

      *2列1:12

  3.イエスは平和の人である。

    (1)彼らを戒めた。

    (2)別の村に行った。

Ⅲ.御国での地位を求めた。

  「さて、ゼベダイのふたりの子、ヤコブとヨハネが、イエスのところに来て言った。『先

生。私たちの頼み事をかなえていただきたいと思います』」。イエスは彼らに言われた。『何

をしてほしいのです』」。彼らは言った。『あなたの栄光の座で、ひとりを先生の右に、ひ

とりを左にすわらせてください』。しかし、イエスは彼らに言われた。『あなたがたは自分

が何を求めているのか、わかっていないのです。あなたがたは、わたしの飲もうとする杯

を飲み、わたしの受けようとするバプテスマを受けることができますか』」。彼らは『でき

ます』と言った。イエスは言われた。『なるほどあなたがたは、わたしの飲む杯を飲み、

わたしの受けるべきバプテスマを受けはします。しかし、わたしの右と左にすわることは、

わたしが許すことではありません。それに備えられた人々があるのです』」。十人の者がこ

のことを聞くと、ヤコブとヨハネのことで腹を立てた」 (マコ10:35~41)

1.母親のサロメが主導権を取っている(マタ20:20~28)。

  (1)イエスとの親戚関係を利用したのであろう。

2.イエスは、父なる神の御心に判断を委ねた。

  (1)イエスは、彼らに受難の預言を与えた。

  (2)彼らは、安易に「できます」と答えた。

  (3)他の弟子たちは、腹を立てた。

Ⅳ.イエスの側近3人の中にいた。

   1.ペテロ、ヤコブ、ヨハネの3人は、イエスの側近であった。

  2.彼らは、3つの重要な出来事を目撃した。

    (1)ヤイロの娘の蘇生(マコ5:37、ルカ8:51)

    (2)イエスの変貌(マタ17:1、マコ9:2、ルカ9:28)

    (3)ゲツセマネの園での祈り(マタ26:37、マコ14:33)

Ⅴ.ヤコブは、最初の殉教者となった。

  「そのころ、ヘロデ王は、教会の中のある人々を苦しめようとして、その手を伸ばし、ヨ

ハネの兄弟ヤコブを剣で殺した。それがユダヤ人の気に入ったのを見て、次にはペテロを

も捕らえにかかった。それは、種なしパンの祝いの時期であった」 (使12:1~3)

   1.紀元42~44年頃

    (1)ヘロデ・アグリッパ1世(ヘロデ大王の孫)

    (2)新約聖書に記録されている唯一の使徒の殉教の死

  2.ヤコブは、その行動的な性格のゆえに狙われたのであろう。

    (1)ユダヤ人はそれを喜んだ。

Ⅵ.ヨハネは、初代教会のリーダーとして活躍した。

   1.ペテロと行動をともにしている。

    (1)美しの門での、生まれつき足のなえた人の癒し

    (2)サンヘドリンでの信仰の告白

    (3)サマリヤ人の回心を確認する旅で、ペテロに同行している。

        *かつてはサマリヤの町に火を下そうとしたのに、心が変化している。

    (4)兄のヤコブの殉教以降、聖書にはヨハネの名は登場しなくなる。

  2.伝承

    (1)ヨハネは、小アジアのエペソに移り住んだ。

    (2)そこから、パトモス島に流された。

        *皇帝ドミティアヌス(81~96年)の頃

        *ここで黙示録が書かれた。

    (3)その後エペソに戻り、そこで死んだ。

        *トラヤヌスが皇帝になって(98年)から

結論:

  1.ヤコブとヨハネの性質

    (1)短気、排他的、成功志向

    「ゼベダイの子ヤコブとヤコブの兄弟ヨハネ、このふたりにはボアネルゲ、すなわち、

雷の子という名をつけられた」(マコ3:17)

  ①アラム語で「ボアネルゲ」

  ②マルコはそれを「雷の子」と訳した。

(2)ヨハネの排他的な気質

「ヨハネが答えて言った。『先生。私たちは、先生の名を唱えて悪霊を追い出してい

る者を見ましたが、やめさせました。私たちの仲間ではないので、やめさせたのです』。

しかしイエスは、彼に言われた。『やめさせることはありません。あなたがたに反対

しない者は、あなたがたの味方です』」(ルカ9:49~50)

  ①悪霊の追い出しは、使徒職の証明である。

  ②他の者が悪霊の追い出しをすることに、危機感を覚えた。

(3)イエスは彼らのそのような性質を受け入れたが、喜んではおられなかった。

  ①特に、成功志向は、使徒としてふさわしくない性質であった。

  ②ヨハネはいつも、自分はイエスから愛されていると感じていた。

  2.ヤコブとヨハネの生涯の終え方

    (1)ヤコブは最初に死ぬ使徒であり、ヨハネは最後に死ぬ使徒である。

      ①2人の寿命を足して、2で割ればバランスが取れる。

      ②しかしこれは、人間の思いであり、神の計画ではない。

    (2)ヤコブは天国への一番槍となった。

      ①彼の殉教の死は、イエスの預言の成就である。

      ②彼の殉教の死は、活発な宣教につながっていく(使12:24)。

      ③死は悲劇であると同時に、最終的な解決でもある。

    (3)ヨハネは、新約聖書の中の5つの書を著した。

      ①ヨハネの福音書

      ②ヨハネの手紙1~3

      ③黙示録

      ④ヨハネの完成形

      「互いに愛し合うべきであるということは、あなたがたが初めから聞いている教

えです。…私たちは、自分が死からいのちに移ったことを知っています。それは、

兄弟を愛しているからです。愛さない者は、死のうちにとどまっているのです。

兄弟を憎む者はみな、人殺しです。いうまでもなく、だれでも人を殺す者のうち

に、永遠のいのちがとどまっていることはないのです。キリストは、私たちのた

めに、ご自分のいのちをお捨てになりました。それによって私たちに愛がわかっ

たのです。ですから私たちは、兄弟のために、いのちを捨てるべきです」

(1ヨハ3:11~16)

⑤主が愛された弟子

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