私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ルカの福音書(53)マルタとマリア10:38~42
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弟子としての生活の優先順位について学ぶ。
ルカの福音書 53回
マルタとマリア
ルカ10:38~42
1.はじめに
(1)文脈の確認
①イエスのガリラヤ地方での奉仕(ルカ4:14~9:50)
②ルカ9:51からエルサレムへの旅が始まった(ルカ9:51~19:27)。
*ルカは、弟子たちに語られたイエスの教えに関心がある。
*エルサレムへの旅という枠組みの中に、種々の教えを配置している。
(2)直近の文脈
①派遣された70人が帰還した。
②イエスは、弟子としていかに生きるべきかを語った。
(3)ルカ10:25~11:13は、1つのブロックである(ルカだけの情報)。
①隣人との関係-良きサマリア人のたとえ(10:25~37)
②イエスとの関係-マルタとマリア(10:38~42)
③父なる神との関係-主の祈り(11:1~13)
(4)注目すべき点
①ルカは、ここでも、弟子となった婦人たちを取り上げている。
*ルカ8:2~3
Luk 8:2 また、悪霊や病気を治してもらった女たち、すなわち、七つの悪霊を追い出してもらったマグダラの女と呼ばれるマリア、
Luk 8:3 ヘロデの執事クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか多くの女たちも一緒であった。彼女たちは、自分の財産をもって彼らに仕えていた。
②良きサマリア人のたとえは、隣人への愛(第2の命令)がテーマである。
③マルタとマリアの話は、神への愛(第1の命令)がテーマである。
2.アウトライン
(1)イエスを歓迎する家(38節)
(2)マリアの応対(39節)
(3)マルタの応対(40節)
(4)イエスの教え(41~42節)
3.結論 :イエスの弟子として学ぶべき霊的教訓
弟子としての生活の優先順位について学ぶ。
Ⅰ.イエスを歓迎する家(38節)
1.38節
Luk 10:38
さて、一行が進んで行くうちに、イエスはある村に入られた。すると、マルタという女の人がイエスを家に迎え入れた。
(1)エルサレムへの旅というモチーフが続く。
①ルカは、旅の行程や地理的情報は重視していない。
②急にエルサレムに近づいているが、ルカの意図からすれば、問題ではない。
③これは、最後の過越の祭りの前の12月(ハヌカの祭り)のことだと思われる。
(2)「ある村」とは、ベタニアであるが、ルカはそれを省略している。
①ヨハ11:1
Joh 11:1 さて、ある人が病気にかかっていた。ベタニアのラザロである。ベタニアはマリアとその姉妹マルタの村であった。
②ヨハネは、ラザロの名を挙げているが、ルカ(共観福音書)は省略している。
③両者の違いは何か。
*ラザロの一家は、ユダヤ人からの攻撃に遭う可能性があった。
*ルカはそれを恐れて、ベタニアの名もラザロの名も伏せたと考えられる。
*ヨハネの福音書はエルサレム崩壊以降に書かれたので、なんの問題もない。
(3)ルカは、マルタをこの家の女主人として紹介している。
①マルタはアラム語の「マル」から派生している。女主人という意味である。
②彼女の歓迎ぶりは、サマリア人の否定的な態度と好対照を成している。
③ルカ9:53
Luk 9:53 しかし、イエスが御顔をエルサレムに向けて進んでおられたので、サマリア人はイエスを受け入れなかった。
④マルタは責任感の強い女主人である。
⑤イエスの弟子として、最大限のもてなしをしようとした。
Ⅱ.マリアの応対(39節)
1.39節
Luk 10:39
彼女にはマリアという姉妹がいたが、主の足もとに座って、主のことばに聞き入っていた。
(1)マルタにはマリアという妹がいた。
①マリアは、ミリアムである。
②彼女は、姉のマルタとは異なった対応をした。
(2)マリアは、伝統的な弟子の姿勢を取った。
①主の足もとに座って、そのことばに聞き入った。
②ラビの足もとに座るのは、弟子が学ぶときの姿勢である。
③使22:3
Act 22:3
「私は、キリキアのタルソで生まれたユダヤ人ですが、この町で育てられ、ガマリエルのもとで先祖の律法について厳しく教育を受け、今日の皆さんと同じように、神に対して熱心な者でした。
*「ガマリエルのもとで」は、「at the feet of Gamaliel」である。
④「主」ということばは、イエスの権威を表している。
⑤マリアは、弟子としてイエスの権威に服したのである。
Ⅲ.マルタの応対(40節)
1.40節a
Luk 10:40a
ところが、マルタはいろいろなもてなしのために心が落ち着かず、
(1)マルタも、マリアと同じようにイエスの足もとに座りたかったはずである。
①しかし、女主人としての役割があったので、それができなかった。
②彼女は、心が落ち着かなかった。
*心を乱した。
*イエスに向けるべき関心が、あちこち揺れ動いた。
③マリアに対する妬みも生まれてきた。
2.40節b
Luk 10:40b
みもとに来て言った。「主よ。私の姉妹が私だけにもてなしをさせているのを、何ともお思いにならないのですか。私の手伝いをするように、おっしゃってください。」
(1)マルタは、文句を言うためにイエスのもとに来た。
①彼女は、イエスがマリアに忠告してくれることを願った。
②「座り込んでいないで、お姉さんの手伝いをしなさい」と言ってほしかった。
(2)「主よ」と言っているが、イエスを自分の計画どおりに動かそうとしている。
①彼女は、マリアがしているように、主イエスの計画に耳を傾けるべきであった。
Ⅳ.イエスの教え(41~42節)
1.41節
Luk 10:41
主は答えられた。「マルタ、マルタ、あなたはいろいろなことを思い煩って、心を乱しています。
(1)イエスはマルタを否定したのではなく、思い煩いの解決策を与えようとした。
①「マルタ、マルタ」という呼びかけに、愛とあわれみが込められている。
②ルカ22:31
Luk 22:31 シモン、シモン。見なさい。サタンがあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って、聞き届けられました。
③使9:4
Act 9:4 彼は地に倒れて、自分に語りかける声を聞いた。「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか。」
(2)イエスは、問題の分析をした。
①いろいろな思い煩いとは、過剰な接待のことである。
②これはイエスが命じたことではなく、彼女自身が、自らに課したことである。
③もてなしは簡素にして、主イエスのことばに耳を傾けるほうがよほど良い。
(ILL)将来の方法性について相談に乗ってくれたある牧師(食事もしないで)
2.42節
Luk 10:42
しかし、必要なことは一つだけです。マリアはその良いほうを選びました。それが彼女から取り上げられることはありません。」
(1)必要なことは一つだけです。
①必要なこととは、イエスのことばに耳を傾けることである。
②これは、主の権威を認めることであり、主に依存することでもある。
③イエスのことばを聞くとは、イエスの弟子になることである。
(2)マリアの選んだ一つのことは、マルタの選んだ多くのことよりもまさっている。
①マルタは、働きを少なくし、もっとイエスのことばを聞くべきであった。
②マリアが選んだのは弟子としての道であり、そこには祝福が伴っている。
③それが彼女から取り上げられることはない。
結論:イエスの弟子として学ぶべき霊的教訓
1.「わざによる救い」や「律法主義的生活」を求めるのは、危険なことである。
(1)良きサマリア人のたとえの直後に、このエピソードが置かれている。
(2)ルカは、行い以上にイエスのことばに耳を傾けることの重要性を説いた。
2.
静思の時を確保しないで、忙しく奉仕をすることは無意味なことである。
(1)神は、私たちが聞き従うことを望んでおられる。
(2)神のことばを聞かなければ、祝された奉仕はできない。
(3)弟子として、優先順位を確立する必要がある。
3.相手の必要を確認しないで、自分の判断で親切にしようとするのは愚かなことである。
(1)マルタは、食卓にごちそうを並べることが、親切だと思い込んでいた。
(2)イエスは、食事は簡単にして、自分のことばに耳を傾けてほしいと思われた。
(3)自分の奉仕が、神の御心に適っているかどうか、吟味しよう。
4.イエスのことばを聞いて理解する人は、時宜に適った奉仕をすることができる。
(1)ヨハ12:2~3
Joh 12:2
人々はイエスのために、そこに夕食を用意した。マルタは給仕し、ラザロは、イエスとともに食卓に着いていた人たちの中にいた。
Joh 12:3
一方マリアは、純粋で非常に高価なナルドの香油を一リトラ取って、イエスの足に塗り、自分の髪でその足をぬぐった。家は香油の香りでいっぱいになった。
(2)ヨハ12:7
Joh 12:7
イエスは言われた。「そのままさせておきなさい。マリアは、わたしの葬りの日のために、それを取っておいたのです。
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